予算特別委員会 とや英津子都議(練馬区選出)の討論
★討論の原稿です。
2019年第1回定例会 予算特別委員会 討論
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2019年3月26日
日本共産党都議会議員団
とや英津子(練馬区選出)
日本共産党都議団を代表して、第1号議案 平成31年度東京都一般会計予算ほか16議案に反対し、第1号議案の編成替えを求める動議に賛成の立場から討論を行います。
今定例会は波乱の幕開けとなりましたが、予算特別委員会においても、都議会史上例のない異常な運営が、くり返されました。
14日の理事会は、自民党と共産党が出席していないもとで、石川良一委員長をはじめ、知事与党の都民ファーストの会と公明党により一方的に開かれ、委員会の開催も強行されました。
これは、都議会が長年にわたって築いてきた議会運営のルールと議会制民主主義をふみにじる暴挙です。これに対し、予算特別委員会に加わっている自民党、共産党、立憲・民主クラブ、維新・あたらしい・無所属の会の4会派は、石川委員長に抗議を行うとともに、議会運営のルールを尊重した理事会、委員会運営を行うよう、くりかえし要望しました。
それを受け、25日に全会派出席のもと改めて理事会が開催され、石川委員長が理事会冒頭、「委員会は原則として各会派から1名以上の委員が出席しなければ、会議を開くことができない」との認識を示し、今後、議会運営の原則を遵守していくと確認したことは、遅きに失したとはいえ当然のことです。
議会運営の大原則は、議会運営委員会の申し合わせにおいても「各会派間の協議を尽くすことを基本」と定めているように、すべての議会運営において貫かれるべき基本です。
ましてや、委員会を構成する全ての会派が参加し、協議の場として位置づけられている理事会において、会派がそろわず、その理由も聞かず、開催の同意も得ずに一部会派だけで進める行為がまかり通れば、言論の府である議会を形骸化することとなり、断じて認めるわけにはいきません。
石川委員長をはじめ、都民ファーストの会と公明党は、一連の議会運営を深く反省し、再び今回のような暴挙を繰り返さないよう、改めてきびしく求めるものです。
次に、市場移転問題は、予算特別委員会でも大きな焦点になりました。
小池知事は一昨年6月20日、都議選告示3日前に発表した「築地は守る」「市場機能を残す」との基本方針は、今年1月の「築地まちづくり方針(素案)」では、まったく触れられていません。知事の公約違反は明白です。ところが知事は、「考え方は変わっていない」と強弁しつづけ、非を認めようとしませんでした。驚くべきことです。
知事の基本方針で、築地に戻れると信じていた築地女将さん会のみなさんが「だまされた」と怒りの声をあげ、築地ブランドをつくりあげ、守ってきた人たち、築地場外で商売をしている人たちも、「知事に裏切られた」と、きびしい批判の声をあげているのは当然です。
知事、このような公約違反は許されません。都民と市場関係者に謝罪し、「築地は守る」という公約を守る立場から、築地まちづくり方針を一から検討し直すことを、改めてつよく求めるものです。
わが党は、豊洲市場で発生している黒い粉塵問題をとりあげました。
東京農工大学の渡辺泉教授に依頼して成分分析を行い、12日の代表総括質疑で、アンチモンやカドミウムなど有害な重金属類が、一般の道路粉塵にくらべ、はるかに高濃度で検出されたことを明らかにしました。
昨日のしめくくり総括質疑では、市場衛生検査所の「監視日報」にもとづき、市場開場直後からほこりや粉塵が発生し、のどの痛みなど体調不良、健康への影響が心配される事態が生じていたことを明らかにしました。
わが党は、市場で働く人の健康を守るため、粉塵の成分分析、発生抑制など抜本対策を求め、市場長は、ターレのタイヤ改善などの新たな対策の必要性をはじめて認めました。しかし知事も市場長も、「豊洲市場の衛生環境は良好」という答弁をくりかえし、黒い粉塵の調査は拒否しました。アンチモンなどは重い金属なので、常時空中にただよっていることはありません。しかし、有害なアンチモンやカドミウム入りの粉塵が、床や手すりなど、あちこちにたまっている所で、多くの人が働いていることが、良好な衛生環境だとはとうてい言えません。粉塵の調査・分析、発生源を元から断つ抜本対策を早急に行うよう、つよく求めるものです。
来年度東京都予算の規模は、一般会計で7兆4,610億円、全会計では14兆9,594億円で過去最高となりましたが、東京2020大会経費および関連経費で5,330億円、今年度の2倍にもなっています。
組織委員会との共同実施事業1,593億円の中身は極めて不透明で、予算執行後も多くの部分の契約金額が明らかにされない可能性があります。新国立競技場整備は、国が責任を持つべきものであるにもかかわらず、都負担395億円を計上したことは認められません。
外かく環状道路や外環の2、住民がつよく反対している特定整備路線などの大型道路建設が引き続き推進されています。大型クルーズ客船の埠頭整備は、実際にどれくらい寄港があるかという見通しも示さないまま、昨年度に続き93億円の予算が計上され、カジノの調査予算も計上されています。
さらに、今年10月に予定されている消費税10%を前提に上下水道料金、都営交通の運賃の値上げで47億円余の都民負担増が予算案に盛り込まれましたが、増税前提の予算編成をすべきではありません。特別区の国民健康保険料の均等割は、この20年間で2倍にもなり、重い負担が大問題になっているにもかかわらず、新たな負担軽減策はありません。
一方、来年度予算案には、重要な前進面もあります。
わが党都議団がいち早く提案してきた公立学校へのエアコン設置では、公立小中学校の体育館リース補助657棟、都立学校24棟、公立小中学校の給食調理室への設置をはじめ118億円が計上されました。国の補助単価をこえる事業費の3分の2を都が負担する補助率は、今年度限りとされていましたが、2021年度まで延長されます。また、市町村交付金が10億円増額され、学校のエアコン設置にも活用できるようになりました。
児童虐待防止対策として、児童相談所の児童福祉司が30人、児童心理司が19人増員されます。認可保育園をはじめとした保育サービス利用定員は、21,000人分ふやす見込みです。待機児ゼロを実現する取り組みをする必要があります。
認可保育園の0~2歳児、私立幼稚園・幼稚園類似施設を利用する世帯への都独自の負担軽減、不妊検査や不妊治療助成の拡充が盛り込まれたことも重要です。
この間、実質賃金は下がり続け、高齢者は「年金だけでは生活できない」と無理をしてでも働き、学生は高すぎる学費を払うために勉強時間を削ってアルバイトをせざるを得ない状況があります。
こんなときだからこそ、不要不急の大型開発を抜本的に見直して、都民のくらし・福祉最優先の予算編成に転換することが求められています。
この立場から、わが党は一般会計予算の編成替えを求める動議を提案しました。一般会計予算の組み替えの規模は、全体の2.9%ですが、国民健康保険料の子どもの均等割無料化やシルバーパスの拡充、学校給食費助成はじめ85項目のくらし、福祉、教育施策を拡充できます。各会派の皆さんの賛同を心から呼びかけて、討論をおわります。