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質問・条例提案

予算特別委員会 曽根はじめ都議(北区選出)の締め括り総括質疑

3月25日の予算特別委員会で、曽根はじめ議員(北区選出)が締め括り総括質疑を行いました。

★質問全文(都議会速記録速報版より)

  1. 中小企業振興対策審議会について
  2. 豊洲市場の黒い粉塵の健康への影響について
  3. 待機児解消と公立保育園の整備について
  4. プライバシーに配慮された多床室の特別養護老人ホームの整備について

 

○曽根委員 それでは、まず中小企業振興対策審議会について質問します。
 この審議会はかつて、ものづくり集積地域の支援の答申をまとめるなど重要な役割を果たしてきました。ところが、白石議員の質疑で、審議会の委員の委嘱をしていないことが明らかになりました。
 中小企業振興対策審議会は、いつから開かれていないのでしょうか。

○藤田産業労働局長 お話の中小企業振興対策審議会は、平成十六年五月より後は開催実績はございません。

○曽根委員 中小企業振興対策審議会条例の第一条には、中小企業の振興を図り、産業の発展に寄与するため、知事の附属機関として東京都中小企業振興対策審議会を置くと明記されています。ところが、委員の委嘱もされていません。石原都政以来何と十四年間開かれていません。
 そこで、知事に伺います。
 中小企業・小規模企業振興条例が制定され、中小企業振興ビジョンをつくった今こそ、条例とビジョンに基づく施策の具体化に向けて検討すべき課題は山積しています。新年度予算案に百六十万円の審議会予算も計上されています。
 知事、中小企業振興対策審議会を再開すべきです。いかがでしょうか。

○小池知事 中小企業・小規模企業振興条例を制定いたしました。そして、中小企業振興ビジョンも作成をしたところでございます。今後、これに基づいてさまざまな施策を進めてまいります。
 その中で、ご指摘の中小企業振興対策審議会でございますが、東京の中小企業振興を考える有識者会議との関係性などを整理した上で、その開催の必要性について検討を行うように指示をいたしたところでございます。

○曽根委員 知事から重要な答弁がありました。中小企業振興対策審議会を速やかに再開することを重ねて求めておきます。

 次の質問に行きます。次に、豊洲市場の問題について質問します。
 我が党は、東京農工大学の渡邉泉教授に依頼して、豊洲市場にたまっている黒い粉じんの成分調査を行い、十二日の代表総括質疑で、多くの有害な重金属類が含まれていたことを明らかにしました。そして、市場で働く方々の健康と安全を守るために、粉じんの成分調査と対策を求めました。
 ところが、市場長は、一定規模以上の建物に義務づけられている一般的な空気中の浮遊粉じん調査で基準を下回る微量であったことを理由に、黒い粉じんそのものの調査は拒否しました。
 前回も紹介をしましたけれども、(パネルを示す)アンチモンとカドミウムという重金属は、一般の道路粉じんにも含まれているものです。ところが、代表総括質疑で指摘したように、豊洲市場の黒い粉じんのアンチモンとカドミウムは、一般の道路粉じんよりもはるかに濃度が高く、アンチモンが八・一倍、カドミウムが四・八倍も含まれていました。
 福祉保健局にお聞きしたいんですが、重金属のカドミウムはどういう毒性があり、人の健康にどういう影響を及ぼす物質でしょうか。

○内藤福祉保健局長 内閣府の食品安全委員会の汚染物質評価書によりますと、空気中の高濃度のカドミウムの吸入や、カドミウムを含有する食品の摂取により、呼吸器や腎機能等に影響を及ぼすおそれがあるとされております。
 カドミウムによるこれらの影響につきましては、鉱石を炉で溶解させる工場のような特殊な産業環境下で高濃度のカドミウムを吸い込んだ場合や、長期間高濃度のカドミウムを含有する食品を摂取した場合に生じるものでございまして、一般的な作業環境下で働く人の健康に影響があることをいうものではないと認識してございます。

○曽根委員 今ご答弁ありましたが、カドミウムは呼吸器や腎機能に影響を及ぼすおそれがあるということであります。
 同じく福祉保健局にお聞きします。アンチモンというのはどういう毒性があり、人の健康にどういう影響を与える物質でしょうか。

○内藤福祉保健局長 厚生労働省の化学物質のリスク評価検討会報告書によりますと、アンチモン及びその化合物が加熱された場合に発生する蒸気状の微細な粒子であるアンチモンフュームや、アンチモンの化合物のうち三酸化二アンチモンは、粉じんの付着により皮膚炎や発疹などの症状を起こすおそれがあるとされております。
 こうした症状が生じるのは、アンチモンを使用した製品を製造する工場における溶融炉前等での作業や、粉状の製品を袋詰めにする作業を行うなど、特殊な環境のもとで長時間粉じんに暴露される場合などであり、一般的な作業環境下で働く人の健康に影響が生じるものとしたものではないと認識してございます。

○曽根委員 粉じんの付着により皮膚炎などの症状を起こすおそれがあるということですよね。
 問題は、このようなアンチモンやカドミウムがなぜ豊洲市場の黒い粉じんに多く含まれているのかということです。
 これは環境局にお聞きしますが、自動車タイヤから重金属類が多く検出されるのはどういう場合でしょうか。

○和賀井環境局長 タイヤの成分分析は環境局では行っておりませんので、文献を紹介することでご答弁とさせていただきますけれども、経済産業省の平成二十三年度タイヤリサイクルに関する事業化可能性調査報告書によりますと、タイヤの成分分析の結果としまして、鉛がごく少量含まれているほか、水銀、カドミウム、六価クロムについては問題ないレベルにあるというふうに記述をされてございます。

○曽根委員 タイヤにも重金属が練り込まれているということです。
 そこで、私、調べてみたんですが、ターレのタイヤが硬質ウレタンの場合は、ウレタン樹脂の難燃剤として一般的に酸化アンチモンをハロゲンと組み合わせて使う場合が多いといわれています。
 ある大学の資料では、アンチモンを使うのが今のところベストプラクティス、一番効率的で安上がりだと書かれていました。それにかわる方法は今のところ見出されていないとまで書かれていて、これは定番だということでした。
 では、建物のコンクリートから重金属類が多く検出されるのはどういう場合でしょうか。コンクリートの質は関係するのでしょうか。環境局長、いかがですか。

○和賀井環境局長 コンクリートにつきましても環境局で成分分析を行っているわけではありませんので、こちらも文献のご紹介でご答弁とさせていただきますが、一般財団法人建材試験センターや一般社団法人セメント協会の資料によりますと、コンクリートは主にセメントや骨材等から構成をされております。そのうち、セメントにつきましては石灰石や粘土等の天然資源や焼却灰等が原料のため、重金属類が含まれることがあるというふうに記述されてございます。

○曽根委員 コンクリートの場合は、答弁もあったように、焼却灰をまぜることがあり、焼却灰が多い、いわゆる粗悪品の場合には、中に多量の重金属が含まれていることが考えられます。
 私たちが分析を依頼した東京農工大学の渡邉教授は、重金属が多い原因として考えられるのは、ターレのタイヤが自動車タイヤより多くの重金属を含んでいる場合、もしくはコンクリートが粗悪品である可能性を指摘していました。
 また、一般に自動車などのブレーキやバッテリーにもアンチモンが使われています。
 そこでお聞きしますが、都は、この黒い粉じんの発生を抑制していくという考えがあるでしょうか。市場長、いかがですか。

○村松中央卸売市場長 豊洲市場の粉じんについては、業界からも風評による取引への影響を懸念する声をいただいております。こうした声を踏まえまして、都は業界と連携して、粉じんの飛散防止と発生抑制に向けた取り組みを進めてまいります。
 まずは、現在取り組んでおります清掃頻度の向上や清掃範囲の拡大など、清掃作業を着実に実施してまいります。また、急ブレーキや急発進によるタイヤ等の摩耗を低減するために、運転者向けの講習会を開催し、適切な走行の徹底を呼びかけるとともに、ターレのタイヤ回りの洗浄を徹底していくこととしております。
 さらには、業界やターレの関連会社の協力のもとで、摩耗しづらい品質のタイヤの導入について研究を進めていく予定でございまして、こうした取り組みを通じて豊洲市場の衛生環境のさらなる向上を図ってまいります。

○曽根委員 今、市場長から、単に清掃するというだけではなく、タイヤ等の新たな対策の必要性を認識していることが初めて答弁されました。
 一方、答弁の中で風評への懸念ということがいわれましたが、風評とは、根拠も示さず悪い評判を流すことです。我が党が科学的分析結果の事実を示して、粉じんの調査を求めているのです。現にたまっている粉じんを調べようとしない都の姿勢こそ厳しく問われています。
 ここで、知事に伺いたいんですけれども、知事は、豊洲市場の黒い粉じんになぜ一般の道路粉じんよりも多いアンチモンやカドミウムなどの重金属が含まれているのか不思議だと思いませんか。知事の率直な感想をお聞きします。知事、いかがでしょうか。

○小池知事 先ほどからこの場でやりとりがされておりますように、いろいろと想像はできるわけでございますけれども、それに対しまして、清掃活動などによって除去をするという活動を行っているところでございます。

○曽根委員 不思議だと思わないかという質問にいきなり清掃ときますか。この粉じんがどういうものかわからないで、下手な清掃をすると、かえって事態を悪くする場合だってあるということは後で申し上げたいと思います。
 ある化学工業の企業が、アンチモンを扱う場合の留意点をまとめた安全データシートというのを作成しています。それによると、長期または反復した暴露により、呼吸器に対して強い有害性があるとされています。そして、アンチモンの粉じんを吸入しないこと、取り扱い後はよく手を洗うこと、保護手袋、保護眼鏡などを着用すること、皮膚に付着したら多量の水と石けんで洗う、目に入ったら直ちに流水で注意深く洗う、口に入ったら直ちに口をすすぎ、うがいをする、気分が悪いときは医師に連絡することなど、注意事項が列記されています。
 また、アンチモンは、化学物質排出把握管理促進法で、人の健康を損なうおそれがあるなどの理由で第一種指定化学物質に指定されてもおります。労働安全衛生法では、名称等を通知及び表示すべき危険物、有害物とされ、水質汚濁防止法の指定物質、大気汚染防止法の有害大気汚染物質ともされています。
 一方、東京都は、今回、建築物衛生法で、一定面積以上の建築物に義務づけられている空気環境調査で浮遊粉じんの量が基準以下だから問題ないとしています。
 しかし、我が党は、一月八日の浮遊粉じん調査の報告書を入手しましたが、調査を行った時間は、午前中は十一時三十二分から十二時過ぎまで、午後は三時過ぎからです。いずれも市場の卸、仲卸の仕事は終わって閑散としている時間です。
 むしろ、深夜から早朝になど、市場業者やターレが建物内を忙しく動き回っている操業時間には、たまった粉じんが巻き上げられている可能性もあるはずです。粉じんに手でさわったり、目に入ったり、鼻や口からある程度吸い込むこともあるはずです。
 しかも、建物の外の駐車場や荷さばき場などは、この浮遊粉じん調査すら全く実施されておりません。
 知事、黒い粉じんが市場内のどこにどれぐらい発生しているのか、有害な成分が入っているのかいないのか、入っているとしたら、どういう有害成分がどれぐらい含まれているのか。これは市場で働く人への健康への影響の問題として、きちんと調べるのが市場で働く方々に対する市場開設者としての知事の責任ではないでしょうか。知事、どうでしょうか。

○村松中央卸売市場長 豊洲市場では、法令に基づきます空気環境測定を行っておりますが、浮遊粉じんの測定結果は法令の基準を大きく下回っております。再三、ご答弁申し上げているとおりです。また、大気汚染物質の健康影響に関する専門家からも、こうした測定結果を踏まえまして、改めて成分調査を行う必要はないとの見解をいただいております。
 市場当局といたしましては、引き続き、豊洲市場内の清掃を徹底するとともに、建物内の空気環境の清浄度を確認することができる、法令に基づく測定を行うことで、市場業者の安心につなげていくこととしております。

○曽根委員 今、市場長がいわれた専門家というのは、市場移転にお墨つきを与えたあの平田座長の専門家会議の三人のうちのお一人ですよね。いわば市場当局の意に沿う発言をされてきた身内の専門家です。
 豊洲市場の地下水調査についても、環境基準を超えたとしても飲むわけではないので人に影響はないと発言された方です。今回の粉じんについても、到底第三者の客観的な専門家による見解とはいえません。
 しかも、先ほど私が申し上げたとおり、都がやった一般的な空気環境測定は、粉じんに含まれる物質さえわからないという、黒い粉じんの発生源を究明することとは無関係な調査です。
 都のやっている空気環境測定と清掃では、黒い粉じんは発生し続け、問題は解決しないことを指摘しなければなりません。
 知事、情報公開が東京大改革の一丁目一番地だと、都政の透明化が知事の公約ではありませんか。きちんと調べて、事実を都民に知らせるという当たり前のことをなぜしないのですか。たとえ都合が悪いことでも、事実を調査し、それを公表してこそ、対策の出発点に立つという姿勢を示す、このことが都政の透明化といえるんじゃありませんか。知事、今度こそお答えください。

○小池知事 先ほど来お尋ねの豊洲市場における粉じんについてでございますが、結論から申し上げますと、適切に対応するよう指示をしております。
 市場当局の方では、業界とも連携しまして、先ほど来申し上げておりますように、清掃頻度を向上させたり、その範囲を拡大したり、清掃作業を充実するということで、作業効率を高めるための設備工事も行っております。
 また、法のもとにおいて、建築物衛生法に基づいて実施をいたしました空気環境測定の結果、浮遊粉じんの測定値は、何度も申し上げますが、法令の基準を大きく下回っておりまして、豊洲市場の衛生環境が良好に保たれていることは確認をされており、都といたしましては、こうした取り組みについて、しっかり情報発信をすることによって、市場業者の安心につなげていきたい、このように何度も申し上げているところです。

○曽根委員 私も何度も申し上げますけれども、その測定をやっているのは十一時半過ぎと午後三時なんですよ。午後三時なんて、市場、誰もいませんよ、市場の卸、仲卸の現場は。そんな時間にはかっている調査でなぜ現場が動いているときの粉じんの実態がわかるというんですか。なぜ黒い粉じんの調査をやって事実を公表することをこれほど嫌がるのか、もう不思議でなりません。
 それで私たち、ちょっと突っ込んで調べてみたんですけれども、黒い粉じんについては、豊洲市場オープンの直後から深刻な実態があることがわかってまいりました。
 東京都が黒い粉じんの存在を認識したのはいつでしょうか。

○村松中央卸売市場長 豊洲市場の粉じんにつきましては、昨年の十月中旬から下旬にかけて、業界から七街区三階等において汚れが目立つといった声をいただいたことを踏まえまして、業界とも調整いたしまして、十一月から清掃範囲の拡大や清掃頻度の向上など清掃作業を充実しているところでございます。

○曽根委員 それで、市場衛生検査所は、豊洲市場の粉じんと市場業者の体調不良について、いつ、どのようなことを把握し、どのように対応しましたか。

○内藤福祉保健局長 まず、市場衛生検査所は卸売市場から独立した組織でございまして、食品衛生法及びその関連法令に基づき、市場に流通する食品の検査や食品の取り扱い等の監視指導に関する業務を所管してございます。一義的には市場で働く方々の体調を把握する立場にはございません。
 なお、昨年十月下旬以降、これまでに関係事業者から市場衛生検査所に粉じんの発生等に関するお問い合わせはありましたが、市場の施設管理者である中央卸売市場にその内容をお伝えいただくようお話をしたところでございます。

○曽根委員 豊洲市場の市場業者の中で体調不良の訴えが出ていたことと黒い粉じんとの関係について、市場当局が調べたり検討したことはありますか。

○村松中央卸売市場長 中央卸売市場では、場内事業者から問い合わせを受けた場合には、清掃作業を充実するなどの対応を進めている旨をお伝えいたしまして、ご理解をいただいております。
 また、衛生検査所から粉じんに係る問い合わせを受けた際は、同様に、市場としての対応について伝えているところでございます。

○曽根委員 今、清掃などでご理解いただいているという話をされましたが、この間の市場の実情と今の市場長の答弁はほど遠いものです。
 今、資料をお配りしておりますけれども、これは我が党が入手した、豊洲を開場してからの現場で働く市場業者や労働者の方々からの苦情と処理をまとめた衛生検査所の監視日報の資料です。
 この日報は、市場衛生検査所が、本来、食品の扱いを中心に日常の業務を点検、指導したことを報告するものです。
 ところが、私も見てびっくりしたんですけれども、この中にかなりの頻度で黒い粉じんや作業中のほこりの問題、体調不良の苦情が含まれていました。
 市場長は先ほど、豊洲市場は清掃をしっかりやっていて理解を得ているみたいなことをおっしゃいましたが、しかし、お配りした資料の少し後の方ですけど、八ページをごらんください。十二月十日の日報です。
 仲卸二番階段のドアがあけっ放しだったので、閉めるよう注意したと。開放している理由について、場内はほこりが舞っていることもあり、他の人からあけておくようお願いされたとのことだったとの記述があります。
 つまり、本来閉め切っておくべきドアを常時あけておかなければならないほど、ほこりが舞っている状態だったということです。
 これで、市場が清掃などを強化して衛生環境は良好だといえる状態だったんでしょうか。売り場内に粉じんが舞っている状態、こういう状態で本当に大丈夫だと市場長は思っていたんでしょうか。明らかに今の答弁と違うんじゃないでしょうか。お答えください。

○村松中央卸売市場長 粉じんにつきましては、繰り返し申し上げますが、日々の清掃作業を充実させておりまして、都が実施した空気環境測定の結果から、粉じんが舞う状況となっていないと認識しております。
 また、今お話がございました日報の関係でございますけれども、私ども、本年の二月に豊洲市場内にございます診療所のドクターの方と意見交換を行いましたけれども、その際、ドクターからは、呼吸器系の症状の原因は不明であって、さまざまな要因が考えられると、なかなか特定できるものではないというお話があります。
 また、こうした患者は、二月の段階ですが、売り場よりも事務室の人が多かったというようなお話を聞いております。先ほどの日報は十二月でとまっておりますが、今、私の話は本年二月にドクターと意見交換した話でございます。

○曽根委員 日々の清掃を充実させてきたとおっしゃいましたが、今紹介した日報は、開場して二カ月たった十二月十日ですよ。二カ月たってもまだ粉じんが舞っていて、閉め切るはずのドアをあけなければならない、あけっ放しにしなきゃならないほどの状態だったと。有効な清掃が行われているということはいえないじゃないですか。
 資料の二ページに戻ってください。開場間もない十月十六日の青果棟からの相談として、青果棟では喉が痛いと皆いっている、一階フロアのほこりがすごい、検査してほしいという声があったことが書かれています。これに対して、ターレ等が走行することでほこりが舞い上がることが要因の一つと考えられる、清掃していると思うが、状況を確認すると書かれています。
 さらに、資料の三ページです。十月三十日には、天井からほこりのようなものが落ちてくるのでどうにかしたい、検査もしてほしいという相談が寄せられている。ここでも検査を求めています。
 開場一週間もたたないうちに、青果棟から喉が痛いと具体的な苦情が上がっていた。当然、市場当局もこのことは知っていたわけですよね。これに対して、検査を求めていることについてどのような対策をとられたんですか。

○村松中央卸売市場長 先ほど来申し上げてございますけれども、昨年の十月中旬から十一月にかけて、いろいろ業界の方からも、ほこりがあるというようなお話を伺いまして、私ども、その時点からいろいろ業界と調整、あるいは連携しながら、清掃頻度の向上や範囲の拡大だとか、そういった取り組みを進めてきたところでございます。
 したがいまして、豊洲市場では、法令に基づく空気環境測定を行っておりますが、測定結果は、その基準を大きく下回っておりまして、大気汚染物質の健康影響に関する専門家からも、こうした測定結果を踏まえまして、改めて成分調査を行う必要はないという見解をいただいております。
 かなりの数値が下回っておりますので、先ほど、いろいろアンチモンとか、カドミウムとかお話がございましたが、全てアンチモン、あるいは全てカドミウムであっても、アンチモンとカドミウムに設定されます労働安全衛生法上の基準を下回っているということから、改めて成分調査をする必要がないという専門家の見解をいただいております。

○曽根委員 今の答弁では全く答えになっていませんよ。
 まず、現場は検査してほしいといっている。それは、市場が、仕事が終わった後の空気の検査じゃないでしょう。
 ほこりの検査とか、床にたまっている粉じんの検査をしてほしいという声が出ているわけですよね。それに対してどういう対策をとったのかと聞いたら、いや、それは必要ないんだと。それから、空気の検査をしていて微量だから大丈夫と。
 それは市場の仕事が終わった後の時間じゃないですか。全く的外れな--この問題の検査を求める切実な声、体調不良が出ていると。診療所まで後で行ったようですけど、その問題はまたやりますけれども、そういったことに対して真っすぐまともに答えようという姿勢がなぜないんですか、市場長。もう一回答えてくださいよ。

○村松中央卸売市場長 お話の調査の件でございますけれども、例えば、アンチモンやカドミウムといった一部の重金属につきまして、この二種類につきましては、労働安全衛生法に基づく作業環境評価基準が定められております。空気中の管理濃度は一立方メートル当たり三酸化二アンチモンが〇・一ミリグラム、カドミウム及びその化合物が〇・〇五ミリグラムとされております。
 私どもの行った測定結果では、瞬間値の最大値、一番大きな値でも一立方メートル当たり〇・〇四ミリグラムでございまして、これが全てアンチモンなりカドミウムであっても、その作業評価基準を下回っているということでございます。

○曽根委員 先ほどから繰り返しになりますけれども、市場が、仕事が終わった後の、粉じんがみんな床に戻った、落ちた後の空気をはかって何になるんですか。それで粉じんの実態がわかるんですか。床に落ちている粉じんをはかればいいじゃないですか。単純なことなんですよ、これは。
 知事に伺いますが、知事は、和泉議員の代表総括質疑の中で、粉じんの発生状況について、市場当局から報告を受けていたと答弁されています。
 知事は、今私が紹介した、喉が痛い、ほこりの調査をしてほしいという声が次々寄せられていたというこの報告は受けていましたか。受けていたとすれば、どう受けとめられますか。

○小池知事 必要な報告については受けております。それを踏まえまして、豊洲市場における粉じんには適切に対応するように指示を行ったところでございます。

○曽根委員 必要だというのは、知事が必要だと認めたというのではなくて、市場の方から必要だと思う報告を上げてきたということですね。その中にこれは含まれていなかったということですね、意味は。
 これをもし知事がごらんになっていたら--普通、多いときには万単位の方が働いたり出入りしているこの大きなところで、これほどオープン直後から問題が起きていれば、こういう問題はトップに上がらない方がおかしいわけですよ。それがちゃんと必要な報告がされていなかったとすれば、これ自体が問題だと思いますし、直ちに知事はこの問題に対する対処をすべきだというふうに考えます。
 豊洲市場の衛生環境は良好などと片づけられる問題ではないということは、この日報でも明らかです。
 先ほどちょっと診療所の話が出ましたので、この日報の中の五ページをごらんください。十二月六日の相談に、水産仲卸棟の空気が悪い、体調が悪く、先々週に受診したところ、ぜんそくと診断され、薬を処方されたという相談が載っています。つまり、市場長はこれを知っているんですね。ぜんそくの診断まで出た人がいるわけですよ。
 それで、市場長は先ほど、ことしの二月に診療所に行ったと、ドクターと話したと。そうしたら、例えば喉や呼吸症状の問題の原因はわからないというのがドクターの意見だったそうですね。今お答えになりましたね。
 原因がわからないのなら、その原因の一つに、もしかしたら床にたまっている粉じんや空中を舞っているほこり、同じものかもしれませんけど、そういうものが原因になっているかもしれないと考えるのが普通じゃないですか。いかがですか。

○村松中央卸売市場長 先ほど申し上げましたのは、診療所のドクターのお話によれば、呼吸器系の疾患というのはなかなか要因を特定するのが困難だというお話でございます。

○曽根委員 原因を特定できないから諦めるということではないでしょう。職場の働いている、しかも、皆さん苦労して豊洲でスタートしているわけですよ。皆さん、市場の業者の方々は豊洲で頑張るしかないわけですよ。そういう方を本当に大事に思うんだったら、せめて健康に、ちゃんと万全の環境を用意すると。これは東京都の仕事でしょう。
 豊洲市場に移転を決断したのは知事ですよね。市場に働く人たちの健康を守るために、少なくとも黒い粉じんの正体を究明し、発生源をもとから断つと、そういう抜本対策が必要だと思います。
 行政のトップである知事として、ここは決断を求められているんじゃないでしょうか。知事、いかがですか。

○小池知事 先ほどからお答えいたしておりますように、豊洲市場における粉じんについては、現場で適切に対応するよう指示をしているところでございます。

○曽根委員 豊洲市場に移転する決断もし、安全宣言まで行っておいて、この問題に全く対処ができないのでは、この安全宣言は何のために出したのかということは厳しく問われます。
 それでは、この粉じんの清掃について伺います。
 今、豊洲市場の清掃は、都の責任の部分も、業界の責任の部分も、ほとんど一つの事業者に委託をしていますよね。この事業者に対して、今懸命に清掃している粉じんの中に重金属が含まれている可能性があることを伝えていますか。

○村松中央卸売市場長 それは清掃作業を丁寧にきちんとしてほしいと、そういうお話はしております。
 重金属については、先ほど来申し上げておりますように、その全てがアンチモンなりなんなりしても、作業管理基準を下回っており、問題ないという専門家の見解をいただいております。

○曽根委員 私が聞いているのは、清掃事業者が清掃している粉じんのことなんですよ。清掃事業者は空気を清掃しているわけじゃないんですよ。空気の中にアンチモンだとかカドミウムが全部であっても大した量じゃないという東京都の測定結果が、清掃作業と何の関係があるんですか。
 このアンチモンが、もし--私たちの依頼した検査結果では、大体粉じんの重量の十分の一ぐらい重金属が入っているんですよ。そのうちの、一番多かったというか、自然界でも多かったのがアンチモンなんですよ。
 こういう場合は必要な防じんマスクや、直接触れないよう手袋その他を装着する注意をすべきなんじゃないですか。そういうことはされているんですか。

○村松中央卸売市場長 そもそも専門家の見解からいっても、豊洲市場の浮遊粉じんの測定結果をもとにして、重金属による健康上の問題もないし、成分調査を行う必要もないという見解をいただいております。
 なお、清掃につきましては、今後とも業界団体と調整、あるいは連携しながら必要な取り組みも着実に行っていきますし、先ほどのターレの走行、これも急ブレーキをかけたり急発進したりすると摩耗度が高くなりますので、そうならないような取り組みもします。
 また、さらにはメーカー等の協力、民間企業との協力のもと、ターレのタイヤの研究についてもしていくと、そういった取り組みを重ねて、今後も粉じんの発生の抑制に取り組んでいくということです。

○曽根委員 必要な取り組みというのであれば、現場の方に聞いて、私、大変だなと思ったのは、例えば散水車などを使って平面のフロアはやっているようですけれども、粉じんが多く出るスロープ、豊洲市場はスロープが大変多いわけですよ。そこはほうきで掃いたり、水の高圧洗浄で吹き飛ばしたりしているというようなことを聞いています。そんなことをしたら粉じんを舞い上げて、作業員が吸い込む危険もあり、環境にもよくないと専門家は指摘しています。
 粉じんは、目の細かいフィルターつきの吸引機で吸引するのが一番効果的だそうです。そういうことをちゃんとアドバイスし、清掃作業の改善を事業者と協力してやるべきなんですよ。
 それで、その前提となる重金属が入っているかどうかの--現にある粉じんですよ、空気じゃないんですよ。そこに重金属が入っているかどうかの認識を持たないで、東京都がそんなことできるわけないじゃないですか。そのことを先ほど来申し上げても、一切、検査、分析を行おうとしない、これが問題だといっているんですよ。
 私は、少なくとも今、豊洲市場で頑張ろうとしている市場業者の皆さんや、毎日清掃に当たっている業者の方々のことを少しでも大事にしようという気があるなら、その苦労している方々の健康を守るために、最小限、都の責務を果たすべきだといっているわけです。
 知事に申し上げますが、今多くの都民は、粉じんの調査をすればいいじゃないかと、なぜしないのかと思っていますよ。
 東京都と市場業者、市場で働く人たち、多くの専門家などによる豊洲市場の、例えば粉じん対策検討会を設置して、公開の場で議論しながら対策の検討を進めることを私は提案するものですが、知事、いかがですか。

○村松中央卸売市場長 まず、なぜ調査しないのかというお話につきましては、要は、アンチモンとカドミウム以外の重金属というのは、調査をしても、それを評価する基準がないので、調査をした後の評価ができないということがまず一点ございます。
 もう一つ、アンチモンとカドミウムにつきましては、先ほど来申し上げましたが、労働安全衛生法に基づく作業環境評価基準がございます。その数値は先ほど私も申し上げました。
 繰り返しますが、アンチモンが一立方メートル当たり〇・一ミリグラム、カドミウム及びその化合物が〇・〇五ミリグラムですので、浮遊粉じんの測定結果に基づいて全ての粉じんがアンチモンなりカドミウムなりと仮定しても、その基準を下回っております。
 ですので、専門家もいっているように、改めて成分調査を行う必要がない、そういうことでございます。

○曽根委員 清掃のことでも、何度清掃しても原因を取り除かない限り粉じんはなくなるものではありません。
 我が党は、市場で働く人たちの健康を守ること、職場の衛生環境の問題として、引き続きこの問題は徹底追及していくことを述べまして、次の質問に移らせていただきます。市場長、本当にひどいですよ、今の答弁は。

 次に、公立保育園の取り組みについて質問いたします。
 私たちは、保育園整備の障害となるさまざまな問題を克服する上で、公立保育園の整備に区市町村が取り組むことこそ、都として支援することが重要だと指摘してきました。
 二〇一六年度に私の地元北区では、区立保育園四園を一気に整備した結果、いわゆる隠れ待機児を含めた待機児童は一六年度の五百四人から一七年度三百三十三人まで減らしました。
 今、区市町村が用地を確保して認可保育園を整備する際、民間から募集するには募集要項を準備するなど事務手続に時間がかかり、しかも社会福祉法人などからは保育士確保が困難なために、なかなか応募がありません。
 北区は区有地を使い区立で整備したので、起案から設計、建設工事、開園まで、独立園舎でしたが、十カ月で完成させることができたということです。保育課長は、年度内に最速で園を立ち上げるには、これが決め手だと決断したと述べています。
 北区のように、公立保育園は計画からオープンまで短期間に整備できることについて、都はどのように評価しますか。

○内藤福祉保健局長 お話の北区におきまして、平成二十八年度に公立保育所の新設や拡張を計画し、必要な職員を確保して、平成二十九年度に利用児童数が約二百名増加したことは承知してございます。
 保育サービスは、保育の実施主体である区市町村が地域の実情を踏まえながら、早期の整備を目指して、さまざまな保育資源を活用して取り組みを進めているものと認識してございます。

○曽根委員 公立保育園のメリットはそれだけではありません。区立保育園四カ所の開園に向けて北区は、区の保育職員八十人の採用を募集しましたが、五百三十人が応募してきたということです。
 また、新園の開園時には、他の区立園から中堅、ベテランを異動させ、新採用保育士は二、三名にとどめることができたなど、職員集団づくりもスムーズだったと聞いています。
 このように公立園で保育士などの人材確保が極めて容易であること、この点についても都はどう評価しますか。

○内藤福祉保健局長 保育所開設時の人材確保に当たりましては、公立、私立にかかわらず、それぞれの特徴を生かして、経験者の採用や他の保育所からの人事異動等により、ベテラン職員を交えた体制を確保するなどの工夫が行われているものと認識しております。

○曽根委員 それぞれ特徴を生かすといっても、やっぱり私立の場合は公立ほど多くの園を持っていませんから、異動といっても限界があります。そういう点では、やはり公立保育園こそ--大体北区でも四十ぐらいの公立園がありますから、大変異動がスムーズで、最初の子供たちのならし保育とか、そういうものが大変スムーズにいくという点でも大きな意味を持っていると思います。
 知事は、この点で、待機児童解消は待ったなしの課題ですので、スピードアップ、そして人材確保も極めて容易な公立保育園の整備に、都としてもさまざまな支援をすることを求めておきます。

 次に、特養ホームの多床室の整備についてお伺いします。
 介護保険発足から二十年ですけれども、在宅では二十四時間介護が困難な現状にあって、特養ホームには強い要望があります。
 また、国はこの間、新設の特養ホームは個室のユニット型とする考えをとる一方、利用料として、室料などホテルコストを徴収することとしました。これが格差と貧困が広がる高齢者の中に深刻な問題を引き起こしています。
 ホテルコストが払えない場合は、多人数部屋の特養ホームがあくのを待つしかありません。多くの待機者が新設ホーム入所を諦め、多床室の特養にあきが出るのを待つようになっています。
 国民年金や、ひとり暮らしでも安心して入れる特養ホームという高齢者の声を受けて、これも北区ですけれども、二〇一三年春に百ベッドのうち二十四ベッドを四人ごとの多床室にした新町光陽苑を新設し、以来、区内全ての新特養には三割分の多床室が設けられ、低い料金で、しかも、このように(パネルを示す)プライバシーに十分配慮された設計のため、区民に非常に喜ばれています。個室とほとんど変わりません。多床室は、ユニット型の一・五から二倍の待機があって、あきはないそうです。
 知事、特養ホームの待機者がユニット型特養へ入所せずに、低料金の多床室の特養ホームのあきを待っている問題があります。多床室に都の整備費補助を行う事業が低所得者の対策として貴重な役割を果たしていると考えますが、知事の認識を伺います。

○小池知事 お尋ねの特養の整備でございますが、都は、特別養護老人ホームの整備に当たりましては、ユニット型での整備を基本としております。基本としつつ、高齢者の多様なニーズへの対応、そして、低所得者の負担軽減などのために区市町村が必要と認める場合には増加定員の三〇%を上限として、多床室の整備に対して補助を行っているところでございます。
 また、低所得者もユニット型特別養護老人ホームを利用できる仕組みを国として構築する必要があると考えておりまして、国に対し提案要求しているところでございます。

以 上