都営住宅居住者の修繕負担区分見直しについての申し入れ
東京都知事 小池百合子殿
2019年1月22日
日本共産党東京都議会議員団
都営住宅居住者の修繕負担区分見直しについての申し入れ
都営住宅の修繕負担区分では、畳表や畳床の取替え、ふすま紙の張替え・取り換え壁の塗り替え、水道蛇口の取り換えなどの修繕が居住者の負担とされています。都営住宅の居住者は、もともとの入居条件からして低所得であることに加え、年金生活者が増加し、所得はいっそう低下しており、修繕費負担はたいへん重いものとなっています。
さらに、都営住宅のうち、1981年以前に建てられた住戸でかつ、居住者が2008年度より前に入居した住戸については、浴槽と給湯設備の設置・取り換えは居住者の負担とされており、「風呂釜が壊れたがお風呂に入らないわけにはいかないので修繕したところ、20数万円かかって生活が一気に苦しくなった」「たいへんな思いをして取り換えたところ、一年後に建て替えに入ると知らされ、ショックで力が抜けた」など、深刻な声が共産党都議団にも数多く寄せられています。2017年度末で、都営住宅のうち、都が浴槽・給湯設備を設置していない住戸は6万8千戸にものぼります。都公社一般賃貸住宅は大家である都住宅供給公社の負担で風呂釜・給湯設備を取り換えることになりました。この措置について、都住宅供給公社は、浴槽給湯設備が民間賃貸住宅の一般的な附属設備となっており、居住の安定確保、居住ニーズへの対応の観点からも都公社側の負担としたと説明しています。都営住宅についても、こうした転換が行われるべきです。
賃貸住宅の修繕の負担区分については、近年、大きな変化が生まれています。
国土交通省は2017年の民法改正に伴って、賃貸住宅の契約の参考にするための「賃貸住宅標準契約書」を改定し、「畳表の取替え、障子紙、ふすま紙の張替え、給水栓、LED照明の取替え」を借主が自ら負担してできる修繕の一覧表から外しました。国交省のこのような改定は、借主の負担を軽減する方向での見直しです。
UR賃貸住宅については、昨年末、UR都市機構が修繕負担区分の見直しを発表しました。UR都市機構は、居住者の利便性向上、負担軽減を図るため、現行の修理細目通知書で借主負担としていた81項目の約8割をUR負担とし、借主負担を大幅に軽減したと説明している、と報じられています。
よって、日本共産党都議団は以下のことを求めるものです。
- 都営住宅の修繕負担区分の見直しを、借主負担を大幅に軽減する方向で見直すこと。その際、「畳表の取替え、障子紙、ふすま紙の張替え、給水栓、LED照明の取替え」を借主負担から外した国交省の賃貸住宅標準契約書の積極的な内容を考慮すること。
- 現在、浴槽と給湯設備を自己負担で更新するしくみとなっている都営住宅について、都の責任と負担で更新を行うように見直すこと。
以 上