2018年第3回定例会を終えて(談話)
2018年第3回定例会を終えて
2018年10月5日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 大山とも子
今定例会でわが党は、都政に対するチェック機能をいかんなく発揮するとともに、代表質問、一般質問、委員会質疑を通して、切実な都民要求の実現のために全力をあげ、多くの前進を得ることができました。
1 豊洲市場への移転強行、築地市場の解体工事は許されない
わが党は、小池知事が公約を破り、土壌汚染が残る豊洲市場への移転を強行しようとしていることに強い怒りをもって抗議しました。同時に、新たに発覚した水産仲卸売場棟の地盤沈下・ひび割れ問題を中心に問題点を厳しく追及しました。知事は「時間の経過とともに収束する、安全性の問題に影響は生じない」と答弁しましたが、その根拠を示すよう求めた再質問に対し、まともに答えることはできませんでした。
また、毎年100億円の赤字が生じる問題について、現時点での見通しを示すことができないまま開場しようとしていることが、明らかになりました。
「辛くて眠れない日々が続いている」「移転先の安全は担保されていない」など築地女将さん会をはじめ市場業者の思いに背を向け、豊洲市場への移転強行、築地市場の解体工事を進めることは断じて許されません。
2 横田基地へのオスプレイ配備は撤回を
10月1日、横田基地にCVオスプレイが正式に配備されました。事故や不時着などを繰り返している欠陥機オスプレイを、住宅や学校、病院などが密集するところへ配備する暴挙に、満身の怒りをもって抗議するものです。
知事は、「基地周辺の住民の皆様が不安を感じている」との認識を示しました。そうであるならば、国と米軍に強く抗議し、配備撤回を求めることが自治体の長として当然の責務です。おおもとにあるのは日米地位協定です。全国知事会が全会一致で日米地位協定の見直しを含む決議をあげたことを受け、日米地位協定の見直しにどう取り組むのか質したのに対し、知事は、「他の自治体と連携しながら、日米地位協定の見直しを国に要請して行く」と答弁しました。オスプレイ配備撤回とともに国と米軍に迫るよう、改めて強く求めるものです。
わが党は、故翁長前沖縄県知事の大きなイニシアティブで実現した全国知事会の決議を大事にし、日米地位協定の見直しのために引き続き力をつくします。
3 大きな焦点となった東京都人権条例について
今定例会で大きな焦点となった人権条例案には、わが党の提案も受け、憲法の遵守が明記され、いかなる差別も許さない姿勢が明確にされました。性自認、性的指向を理由とする不当な差別をしてはならないことが明確にされたことも、都民の声による大きな成果です。
ヘイトスピーチの解消では、憲法が保障する表現の自由などを侵害しないようにすること、規制対象はヘイトスピーチ解消法第2条に規定するものに限られるという、明確な答弁がありました。また、公の施設の利用制限の基準を知事が定める際、「地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない」という地方自治法の規定を踏まえること、公の施設の利用制限は、集会の自由など基本的人権の制限と密接に関わるため、学識経験者等の意見も聞きながら基準をつくるという答弁もありました。
わが党は、以上のことを総合的に判断して、人権条例に賛成しました。
一方、自民党の条例案に対する反対意見の核心は、国が啓発など理解促進にとどまる法案を準備しているときに、都が国に先駆けて差別禁止の条例をつくるべきではないというものです。人権尊重のよりよい条例をつくろうという、前向きの姿勢とかけ離れています。また、総務委員会の自民党委員の質疑を聞いた方たちから、LGBTへの理解を深める教育をすることが、日本の家族観や結婚観を揺るがせかねないというようなことを議会で言われてショックだった、悲しくて涙が出そうになったなどの声が寄せられています。重く受け止めるべきです。日本共産党都議団は、よりよい条例になるよう引き続き提案するとともに、だれもが人権を尊重される東京に前進するよう努力をつくすものです。
4 学校体育館のクーラー設置をはじめ多くの前進
最も大きな成果は、学校の体育館へのクーラー設置です。わが党は、7月27日に学校体育館の冷房化をはじめとする「熱中症対策に関する緊急申し入れ」を行い、今定例会で学校体育館へのクーラー設置を進める条例を提案しました。公立小中学校体育館へのクーラー整備に、都が補助を行うもので、リースによる設置や、設備更新なども補助対象としました。
さらに、代表質問でも取り上げ、「都立高等学校の体育館への整備を速やかに進めていく」、公立小中学校の体育館においても「補正予算を編成するなど、緊急的な対応を行い区市町村を支援していく」という知事の答弁を引き出すことができました。
都が検討している中小企業・小規模企業振興条例に、「取引の適正化」を盛り込むという、大企業による下請けいじめ対策強化などにつながる答弁もありました。
認知症が初期のうちは、介護サービスを使うことはなく、支援の空白が生まれている問題で、切れ目のない支援を求めたわが党に対し、知事が「認知症になっても地域で安心してくらすことができるように、施策の充実を図っていく」と答弁したことは、重要です。
全国で土砂災害が相次ぐ中、避難所などが区域内にある土砂災害警戒区域の対策を求めましたが、都は砂防事業などの着実な実施を約束しました。ブラックアウト対策や異常気象の根底にある地球温暖化防止のため、小規模型の再生可能エネルギーの普及を求めたところ、知事は「再生可能エネルギーの普及と活用を図っていく」と答弁しました。
わが党は、マタニティパス交付条例も提案しました。妊産婦に5,500円分をチャージした交通系ICパスカードを交付する区市町村を支援するものです。通院や外出を促進するとともに、マタニティパス交付と同時に妊婦面接へつなげることが可能です。妊娠・出産の早い段階で支援のつながりをつくるきっかけとなります。
わが党が提案した2つの条例や、防災対策を集中的に審議する特別委員会設置の提案は、わが党以外の会派の反対で実現しませんでしたが、今後に生きる提案だと確信します。
わが党は、引き続き都民のくらし、福祉を守ることを最優先にする都政の実現のために全力をあげるものです。
以上