熱中症に関する緊急対策の申し入れ
東京都知事 小池百合子殿
東京都教育長 中井敬三殿
2018年7月27日
日本共産党東京都議会議員団
熱中症に関する緊急対策の申し入れ
気象庁が「いのちに関わる危険な暑さ」「災害と認識」と述べている今年の猛暑によって熱中症の深刻な被害が広がっています。東京消防庁管内での熱中症による6月以降の救急搬送人数(速報値)は7月22日時点で3317人に上ります。また、日本救急医学会は7月20日、「熱中症予防に関する緊急提言」を発表しました。その内容は、小児や高齢者、持病のある方を「熱中症弱者」と位置づけて、暑さ指数(温度、湿度などから算出され、熱中症の起きやすさを表す指標)を意識し、運動や作業中止を適切に判断することなどです。
東京都監察医務院がまとめたデータによれば、6月1日から7月26日までの特別区における熱中症による死亡者は85人ですが、そのうち71人が65歳以上です。屋内死亡のうちクーラーの設置・使用状況が判明している68件のうち23件はクーラーなし、45件はクーラーがありましたが、うち43件は使用していませんでした。
昼夜を問わず、クーラーを使用しなければいのちの危機と直結する事態を直視し、熱中症からいのちを守るための対策が緊急に求められます。経済的理由で設置や使用が困難にならないための支援と、使用の必要性の周知が必要です。
また、練馬区内の都立高校では、体育館で授業を受けていた生徒のうち25人が熱中症の症状を訴え、10人が救急搬送されました。
総務省消防庁の速報値を見ると、東京都の7月16日から22日までの熱中症の発生場所が教育機関で139人となっています。子どもは体温調整機能が未発達で、かつ輻射熱が発生する地表から近いなど熱中症になりやすく、大人以上に注意が必要です。学校等は夏休みに入っていますが、部活動をはじめとした児童・生徒の諸活動にあたっては、熱中症の知識や防止対策に関して一層徹底が求められます。
日本共産党都議団は、下記のとおり熱中症予防のための緊急対策を求めます。
1 暑さ指数計(熱中症計)を都有施設、都立学校、都道など多くの人の目に触れるところに設置するとともに、小中学校、幼稚園、保育園、福祉施設等への設置を支援すること。生活保護世帯には、配布するなど、普及を進めること。
2 暑さ指数にもとづく「熱中症警報システム」を都として実施し、注意報や警報を発令するとともに、区市町村と連携し、防災行政無線放送等を活用して注意報・警報の周知を図ること。
3 都立高校の特別教室及び体育館等にクーラーを設置する計画を立て、速やかに設置すること。都立特別支援学校は今年度中に確実に設置すること。
4 今年度で終了予定の区市町村立小中学校の特別教室へのクーラー設置補助の期間を延長するとともに、体育館のクーラー設置にも補助を行うこと。
5 国の通知により、生活保護受給者に対し保護開始時や転居の場合などに一時扶助によるクーラーの購入・設置を行えるようになりましたが、それ以外の生活保護受給世帯にも対象を拡大するよう国に対して求めるとともに、国が対象とするまでの間、都として支援を行うこと。また、夏季の冷房利用にともなう電気代相当額を都独自に加算すること。
6 生活保護を受給していない低所得世帯へもクーラー設置の補助を行うとともに、夏季の冷房利用にともなう電気代相当額を都独自に助成すること。
7 熱中症による死亡者数等は、23区だけでなく都内全域の実態を把握すること。
8 風の道やクールスポットの確保、遮熱性舗装の推進、建物の外壁等の断熱化をはじめとしたヒートアイランド対策を抜本的に強化するとともに、ヒートアイランドを招かないまちづくり政策に転換すること。また、CO2削減をはじめ地球温暖化対策を強化すること。
以上