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質問・条例提案

2017.12.06

本会議 米倉春奈都議(豊島区選出)の代表質問

 1.知事の政治姿勢について
 2.市場移転問題について
 3.国民健康保険について
 4.超高齢社会への対応について
 5.待機児童解消について
 6.障害者施策について
 7.教員の多忙化対策について
 8.医療的ケアの必要な子どもたちの通学保障について
 9.中小企業・小規模企業振興について
10.防災対策について
11.社会資本整備について
12.東京五輪について
13.横田基地とオスプレイについて

答弁(議事録速報版より)
再質問、答弁(議事録速報版より)

 

一、知事の政治姿勢について

 日本共産党都議団を代表して質問します。

 所信表明で知事は、総選挙での行動により、困惑、ご心配をおかけしたと述べました。知事が総選挙で何をしたのか、とくに小池知事に期待を寄せてきた都民を裏切るものだったという自覚はないと、指摘せざるを得ません。

Q1 知事は都政で得た「人気」に乗じて、希望の党を立ち上げました。そして希望の党代表として、都政では封印してきた、9条を含む改憲の推進と憲法違反の安保法制を容認する、安倍政権と変わらない右よりの政策を掲げ、その政策を踏み絵にして乱暴に野党の分断を図りました。
 知事は都政では、「反自民」の「改革者」としてふるまい、築地市場の豊洲移転の延期やオリンピックの経費縮減、待機児童解消など、わが党もいっかんして追求してきた施策を実施することで人気を得ました。
 しかし、総選挙での小池知事の行動は、窮地にあった安倍政権を助け、自民党が単独過半数をしめるという結果を招きました。知事は、その重い責任を、どう認識しているのですか。

Q2 知事が総選挙で表明した改憲推進、安保法制容認の姿勢を、都政に持ち込むことは断じて許されません。知事の答弁を求めます。

 

二、市場移転問題について

 知事は都政に専念して改革を進める言いますが、都政における知事の公約違反や重大な問題点の是正に、真しに取り組むかどうかが、きびしく問われています。
 最大の問題のひとつが、市場移転問題です。
 知事と都民ファーストの会は都議選で、「都民の食の安全と安心を守ります」と公約しました。しかし都議選後、この公約はどこへ行ったのかと思わせる行動ばかりが目につきます。土壌も地下水も汚染が残り、解決の見通しのない豊洲新市場への移転を強引におし進め、新たな矛盾に直面しています。

 第一に、市場業者の納得も合意も得られていないことです。

Q1 知事は所信表明で、移転時期は来年10月中旬と決定したなどと言いましたが、開場日を決める新市場建設協議会は、中止に追い込まれています。
 仲卸業者でつくる築地女将さん会は、東京魚市場卸協同組合(東卸)に対し、市場移転の是非について組合員全員の投票を求める署名を集めています。11月7日にスタートし、全組合員538業者のうち過半数の273人からすでに賛同署名が寄せられています。
 築地市場をオリンピックの駐車場にするのは反対、豊洲市場への移転反対、会議の形だけ整えて不安の声を無視するなんて許せないなど、怒りの声があがっています。飲食店や物販、トラック業者など関連事業者の中でも、豊洲新市場への移転はやめるべきだとの声が広がっています。
 このように、市場業者の納得と合意が得られていないことを、知事はどう考えているのですか。市場業者の納得と合意なしに移転を強引に進めることは許されないと思いますが、知事いかがですか。

 第二に、追加対策工事の入札不調が相次いでいることです。

Q2 豊洲新市場の追加対策工事は9つの契約案件がありますが、7件は決まらず入札を終えたのはわずか2件です。都は、再入札にあたり、ゼネコンなどにヒアリングを行い、要望を受けて予定価格を1回目と比べ4割も大幅に上乗せした上で、予定価格の事前公表に踏み切りました。
 知事は昨年8月、移転延期を表明した際、当初の計画よりも1・6倍になった建設費用、巨額で不透明な事業予算を理由のひとつに上げました。しかし小池知事も今回、追加対策工事の予定価格を1・4倍にも吊り上げました。石原知事以来3代の知事と同じではありませんか。知事の答弁を求めます。

 そもそも、追加対策工事をしても、食の安全・安心を確保できる見通しはありません。 地下空間にコンクリートを敷いて換気する追加対策は、地下から汚染物質が上がってくることを前提にしたもので、まさに絆創膏をはるようなものです。
 地下水管理システムの追加対策も、期待できません。
 汚染された地下水で地表に敷いた盛り土が汚染されないよう、地下水をポンプで汲み上げて水位を海抜1・8メートル以下に常時抑えるというのが、市場業者との約束であり、豊洲新市場への移転の大前提だったはずです。
 ところが、その約束はまったく果たされておらず、10月の台風のあとはなんと海抜5メートル以上にまであがったところが、2ヶ所もありました。すでに地下水で盛り土が汚染されている可能性は濃厚で、地下水管理の約束は完全に破たんしています。
 しかも、地下水の水位が下がらない原因が解明されていないのですから、追加対策をしても、目標通りに水位が下がる保証はありません。

Q3 知事は、追加対策工事終了後、その効果があるかどうかの検証を行うとしていますが、わずか1カ月程度、しかも、豊洲移転にお墨付きを与えてきた、わずか3人の専門家会議による検証で、安全・安心だと言われても、とうてい信用できません。知事、そう思いませんか。
 地下空間対策についても、地下水管理システムについても、少なくとも数カ月から1年程度、もっと多くの科学者・専門家も入れて確認・検証を行うことが必要です。知事いかがですか。

「築地は守る」という知事の約束も次々後退しています。
 今回の所信表明では、「築地ブランド」という言葉さえなくなり、驚いたことに「豊洲ブランドを確立したい」と言い始めました。

Q4 都議選が始まる直前の6月20日、市場移転の基本方針を発表した記者会見で知事は、築地市場は、新たな市場として東京をけん引する一大拠点にする、市場としての機能を確保すると明言し、「市場内取引を確保・発展」させると明記した資料を示しました。知事は、これらの発言や資料を覚えていますか。有言実行を求めるものですが、知事お答え下さい。

Q5 6月20日の会見で知事は、築地再開発の具体案について、事業者や都民とのオープンな場を設けて検討すると発言しました。ところが、設置された築地再開発検討会議のメンバーに市場業者は入っていません。これについても政治家としての発言に責任をもち、市場業者も入ったオープンな場での検討が必要です。知事いかがですか。

Q6 築地ブランドは、水産仲卸の目利きなどの力により、80年を超える歴史、蓄積で出来上がったものです。築地女将さん会は、「2020年の東京五輪で築地の和食でもてなしたい」と訴えています。
 食の安全・安心の公約を投げ捨て、築地市場、築地ブランドをこわすような、石原知事以来3代の知事と同じ愚を繰り返すのですか。今ならまだ間に合います。今一度、立ち止まるべきです。知事の答弁を求めます。

 

三、国民健康保険について

 都民福祉の充実に真正面から取り組むことが、知事に求められています。

 まず、国民健康保険への対応です。
 来年度から都道府県化される制度見直しにともない、国民健康保険料、保険税の大幅な負担増が、多くの都民に押し寄せようとしています。こういう時こそ東京都は、都民のくらしを守る防波堤としての役割を発揮すべきです。ところが知事は所信表明で、この問題に、ひと言もふれませんでした。

Q1 11月の国保運営協議会で、制度変更に対応する東京都国保運営方針案が知事に答申されましたが、区市町村が行っている一般会計からの繰り入れを「赤字」と位置づけ、なくしていくよう区市町村に求めていることは重大です。これは国の方針どおりのものですが、そんなことをしたら、国保料、国保税の大幅値上げが避けられません。

 そもそも、国保料、国保税はいまでも高すぎて、都民を苦しめています。
 たとえば23区に住む年収500万円の夫婦と子ども2人の世帯の国保料は、2008年度には27万3千円でした。その後9年間に22万円も値上がりして、今年度は49万3千円です。
 そのうえ一般会計の繰り入れをやめたらどうなるのか。都の試算に基づき、私の住む豊島区の例で計算すると、さらに10万8千円もの値上げになります。
 知事、都民第一の姿勢で見たときに、年収500万円の子育て中の4人家族の負担が、国保料だけで年間60万円にもおよぶのは、あまりにも重い負担だと思いませんか。

Q2 今回の制度変更で、東京都は、区市町村とともに保険者として国民健康保険の財政運営に責任を負うことになります。区長会、市長会や多くの都民が、新たな責任にふさわしい都独自の財政支援の取り組みを、東京都に求めています。
 区市町村国保には345万人もの都民が加入しており、その多くが年金生活者や無職、非正規雇用、中小零細業者です。知事は、「人」に焦点を当てた施策を力強く展開すると表明しましたが、こうした方たちの生活破壊を招きかねない負担を抑えるため、何らかの都としての対応が求められるのではありませんか。

Q3 少なくとも、子どもの多い世帯に対する負担軽減や、子どもにかかる均等割保険料、保険税の軽減は、少子化対策、子育て支援の都の大方針を実現するためにも重要だと思いますが、いかがですか。

Q4 制度見直しに対応する都の検討経過は、他の道府県にくらべて、きわめて不透明です。
 47都道府県のうち少なくとも37道府県は、制度見直しに対応する国保運営方針案について、パブリックコメントを実施しています。また、国保運営協議会は、岐阜県、大分県が5回、富山、福井、滋賀、福岡などは4回開いて、運営方針案のあり方、方向性など議論を重ねながら方針案を策定しています。
 ところが東京都は、協議会の開催はわずか2回、パブリックコメントも実施していません。知事、このようなやり方は、「都民が決める、都民と進める」、「都政の透明化」という都知事選挙の公約違反ではありませんか。
 いまからでも、国保制度見直しに伴う保険料算定についての情報を都民に公開し、運営方針案について、広く都民の意見を聞くためにパブリックコメントを行うことを求めますが、知事お答え下さい。

 

四、超高齢社会への対応について

 超高齢社会への対応や保育の質と量の充実は、まったなしの課題です。

Q1 知事は、都知事選の公約で「介護離職ゼロ」を掲げました。さらに、所信表明で、超高齢社会への対応を強調しましたが、介護を担う現役世代の介護離職は深刻です。都内の介護離職は年間約9千人にのぼります。深刻な例は、都内でも枚挙にいとまがありません。
 40代で公務員の男性は、特別養護老人ホームを待機している認知症の親の介護と、発達障害をもつ子どもの通学の付き添いのため、仕事を辞めざるを得なくなりました。
 このような、介護離職が広がっている深刻な現状について、どう認識していますか。都は仕事と介護の両立にむけて、どのように取り組むのですか。

Q2 特養ホームの待機者は、入居要件が厳しくなった下でも都内で3万人を超えています。特養ホームは圧倒的に不足しており、高齢者人口あたりの定員数は広域型で全国40位、小規模特養では全国最下位です。さらに、在宅で介護しようと思っても、小規模多機能事業所は高齢者10万人あたり5・8事業所しかなく、全国最下位。ショートステイの高齢者人口あたり定員数は、全国46位です。
 知事は、特養ホームをはじめとした介護基盤整備の重大な立ち遅れを、どう認識していますか。打開に向け、どう取り組むのですか。

 

五、待機児童解消について

Q1 都内で認可保育園は、年間1万6千人分以上増設されるようになりましたが、働く女性の増加などにより、待機児童は今年4月時点で8,500人を超えています。いわゆる隠れ待機児童を含めると、約2万8千人におよびます。知事は、2019年度末に待機児童ゼロを実現する計画です。あと2年余で、この都民への約束をどう実現するのですか。

Q2 知事が所信表明で、「保育ニーズ実態調査の結果等を踏まえ、保育サービスの整備目標を検証する」と述べたことは重要です。「検証」するなら、隠れ待機児童、潜在的な保育要求も含めてきちんと把握し、それに見合った整備目標に引き上げることが必要ですが、知事はどう考えていますか。

Q3 また、この機会に、認可保育園の増設目標を明確にすべきです。いかがですか。

Q4 2年余で待機児童ゼロを実現するには、土地確保対策の強化、公立保育園の増設支援など、さらに思い切った新しい施策の充実と、保育予算の増額が必要です。認識を伺います。

Q5 福祉施設整備のための都有地貸付料減額制度は、2014年度に拡充されましたが、期限は2017年度までとなっています。来年度以降も継続し、対象を広げるなどさらに拡充するよう求めるものですが、いかがですか。

Q6 政府が設置している規制改革会議の答申は、自治体が、保育の人員配置や面積について独自の上乗せ基準を実施していることを問題視し、都道府県が協議会を設置して検証するよう求めています。問題なのは低すぎる国基準です。にもかかわらず、小池知事が記者会見で、この答申を歓迎したいと述べたことは重大です。
 知事は所信表明で、「保育の質と量の充実」を進めると発言しましたが、規制改革会議が問題視している自治体による人員配置や面積の上乗せ基準は、保育の質の充実のために、なくてはならないものだということを、知事はどう考えているのですか。
 保育の質の充実というなら、こうした上乗せ基準への都の支援の充実こそ必要ではありませんか。知事お答え下さい。

 

六、障害者施策について

Q1 都の心身障害者医療費助成制度、いわゆるマル障の対象に精神障害者も含めることを求める請願が、今年3月の都議会で、全会一致で採択されています。知事はこのことをどう受け止め、どのように対応するのですか。

 

七、教員の多忙化対策について

 教員の多忙化解消対策は、教員の働き方にとどまらず、教育の質の充実のためにもきわめて重要です。

Q1 都教育委員会は公立学校教員実態調査を行い、速報値を公表しました。浮かびあがったのは、深刻な長時間労働の実態です。
 週60時間を超えて働いている教員、つまり国が過労死ラインとしている月80時間を超えて残業している教員の割合は、中学校68%、特別支援学校44%、小学校37%、高校32%となっています。
 知事はこの調査結果をどう受け止めていますか。

Q2 都教育委員会が対策として公表した「学校における働き方改革推進プラン」中間まとめは、「教員一人一人の心身の健康保持の実現と、誇りとやりがいをもって職務に従事できる環境を整備することにより、学校教育の質の維持向上を図る」ことを目的にしています。
 しかし、都教委が示した目標は、「週当たりの在校時間が60時間を越える教員をゼロにする」、つまり過労死ラインを超えないというだけのものにすぎず、あまりにもお粗末です。
 国の中央教育審議会の特別部会の中間まとめ案は、抜本的な解決策が提案されていない不十分なものですが、教員の時間外労働については、月45時間かつ年間360時間以内という厚生労働省の規準を念頭に、数値目標を設定する必要があるとしています。
 知事、過労死ラインまでの時間外労働を容認する「働き方改革」というのはライフワークバランスという視点から考えても、目標としてふさわしくないと思いませんか。

 全国では、東京都にくらべ財政力の小さい県でも、少人数学級を進める中で、県独自に教員を増やしてきました。文科省の調査では、小学校では担任児童数が多いほど、平日の学内勤務時間が長い傾向にあると結果を分析しています。
 1学級あたりの児童生徒数が全都道府県で一番多いのは、東京都です。

Q3 学級規模が小さい方が教員の労働時間が短いという事実について、どう認識していますか。

 教員1人あたりの児童生徒数でみても、東京都は全国3位です。

Q4 教員の多忙化解決には、さまざまな対策が求められますが、教員を増やすことを基本にすえることが重要です。認識を伺います。

 

八、医療的ケアの必要な子どもたちの通学保障について

Q1 医療的ケアの必要な子どもたちの通学保障も重要です。
 痰の吸引が頻繁に必要なためスクールバスに乗れない、人工呼吸器をつけている場合は保護者の付き添いが求められるなど、本人の体調とは関係ない理由で学校に通えない子どもたちがいます。子どもは毎日通いたいのに、付き添う母親が過労で倒れて、今は週3日しか学校に通えないというお話も伺いました。
 障害者の権利条約、障害者差別解消法の趣旨にてらしてみても、重度の障害や医療的ケアが必要な子どもたちが、保護者の付き添いなしに学校に通えるようにすることは重要だと考えますが、認識を伺います。

Q2 文科省は、人工呼吸器を使用している児童生徒の受け入れについて、原則保護者の付き添いではなく、個別・具体的に判断できる体制の整備に努めるよう求めており、全国的には付き添いなしで通学を保障している自治体が少しずつ増えています。都教委はこの問題に、どう対応するのですか。

Q3 スクールバスに看護師が乗車することや、福祉タクシーの利用も認めること、特別支援学校に配置する看護師の人材育成や、配置を拡充することなどが求められていますが、いかがですか。

 

九、中小企業・小規模企業振興について

 経済を下支えしている中小企業、小規模企業への支援について伺います。

Q1 中小企業振興基本条例を、全国に先駆けて制定したのは墨田区です。区の職員が街の中小企業を一軒一軒訪問して実態をつかみ、1979年に条例制定したことが中小企業を励まし、全国的な大きな流れに広がりました。その後、2014年の小規模企業振興基本法の制定を機に、小規模企業振興条例の制定も急速に広がっています。
 条例で都の理念を明示することで、都議会、都の職員、都民、中小企業・小規模企業のあいだに共通の理解が広がり、協力して地域の中小企業・小規模企業の振興に取り組む基盤となります。知事や担当職員が交代しても、基本姿勢の連続性が担保されます。
 東京の中小企業団体も、条例制定を強く求めています。中小企業振興、小規模企業振興の基本理念などを定める条例がないのは、東京都と佐賀県、高知県だけになりました。知事は、中小企業振興条例、小規模企業振興条例の重要性について、どう認識していますか。

Q2 都として早急に検討を始めることを求めるものです。いかがですか。

 

十、防災対策について

 防災対策について伺います。

Q1 知事は都知事選挙で、住宅耐震化を2020年までに加速させると公約しました。ところが、都の住宅耐震助成は、助成対象を、木造住宅密集地域の一部に限定したままです。
 都は、その理由に、「限られた財政で効率的・効果的に活用する」ことをあげてきましたが、実際には、補助対象地域がごく一部に限られていることから、毎年、予算を大幅に使い残し、住宅耐震化は思うように進まず、最新の推計でも100万戸以上、耐震性を満たさない住宅を残しています。
 公約実現への姿勢がきびしく問われています。今こそ都の支援によって、住宅の耐震化を加速させることが必要です。都の補助対象を拡充することを求めるものですが、いかがですか。

Q2 短時間集中豪雨、台風などの豪雨による水害への対策の強化は急務です。6月から施行された改正水防法では、大規模水害対策に関わる関係者が連携して広域的対策を進めるため、大規模氾濫減災協議会を最優先課題として設置するよう都道府県に求めています。早急に設置すべきですが、いかがですか。

 

十一、社会資本整備について

Q1 知事は所信表明で、首都圏三環状道路整備を重点的に取り組むとともに、区部放射・環状道路や多摩南北道路など骨格幹線道路整備も推進すると述べました。この点では、石原都政以来の都政の姿と何ら変わりません。
 渋滞解消や災害時の首都機能維持のためと言いますが、道路ごとの渋滞解消効果や防災機能など検証しているのですか。これらの道路を全部整備したら、いったいどれぐらい巨額の事業費がかかるのですか。こうした情報を全面公開し、透明化すべきですが、知事お答え下さい。

Q2 知事は一方で、これまでの都政の姿を大胆に変える必要がある、前例にとらわれない改革と政策を推し進めると表明しましたが、人口減少や超高齢化の下でも大型道路建設を聖域とするかのような、道路ファーストの都政の姿こそ、大胆に変える必要があります。知事いかがですか。

Q3 住民の意向を無視して都が進めている特定整備路線に対して、国の事業認可取り消しを求める裁判が提訴されました。5件で500人を超える原告団の裁判は異例のものです。
 知事は第1回定例会で、道路問題は総論賛成、各論反対、自分がかかわってくると難しいと述べ、反対するのは住民エゴであるかのような答弁をしました。
 しかし、5件の裁判原告団に入っているのは、立ち退き対象の住民だけではありません。周辺の町会や商店街の世話役などが多数入っています。街が分断されてしまうこと、地域コミュニティへの影響、環境破壊などに対して、反対の声をあげているのです。
 知事は、都民第一だと言うなら、これらの道路で街全体がどういう影響を受けるのか、自分の目で確かめ、反対している多くの人たちの声に耳を傾けるべきです。知事いかがですか。

Q4 名古屋市では、事業化され8割まで進捗した都市計画道路を廃止すると、市長が発表しました。住民が粘り強く求めてきたことに、行政のトップがこたえたのです。「事業化された路線も見直しの例外ではない」とした国土交通省の方針にも合致しています。知事は、これに学ぶべきではありませんか。

 

十二、東京五輪について

Q1 五輪大会費用縮減について、知事は所信表明でひと言もふれませんでした。知事の姿勢がきびしく問われています。
 大会費用は、都と国、組織委員会などの負担を合わせて総額1兆3850億円とされていますが、IOCからは、さらに10億ドル、1130億円削減するよう要請されています。組織委員会は、その要請を受け25項目の削減提案をIOCに行なったと聞いていますが、内容は公表されていません。
 知事は第3回定例会で大会費用の縮減に向けて関係者と調整していくと答弁しましたが、その後、どういう進捗があったのですか。IOCの要請に対し、どのように取り組むのですか。

Q2 経費縮減を進める上では、都独自の努力とともに、国や組織委員会、IOCにも経費縮減の努力を要請するべきです。例えば、選手村の規模や付帯設備の見直し、海の森水上競技場の観客席数の見直しなど行えば、経費の圧縮の可能性は生まれます。
 IOCに対しても経費縮減への協力を求めるべきですが、いかがですか。

Q3 選手村にする予定の都有地は、近隣の基準地価で計算すると1300億円以上の価格のはずですが、東京都は129億円で民間デベロッパーに売却しました。近隣基準地価の10分の1という破格の安値で、およそ1200億円も優遇したことになります。
 選手村に使うという特殊な条件とはいえ、大会後、建物は分譲や賃貸のマンションに転用され、民間デベロッパーには大きな利益が入ります。しかも大会期間中は、組織委員会から38億円の家賃が入ります。そのうえ、護岸や道路整備などのインフラ整備は都負担です。
 あまりにも、いたれりつくせりで、とうてい納得できません。この問題はすでに住民訴訟となっていますが、知事が率先して、経過を透明化し、都民への説明責任を果たすべきです。知事お答え下さい。

Q4 選手村用地の評価は、都市整備局が特命で日本不動産研究所に土地価格調査委託を行なっています。しかし、情報公開請求しても、具体的にどのように価格を評価しているのか、調査報告書の大事な部分は真っ黒で、都民には、全くその価格調査の内容は分かりません。
 直ちに黒塗りをやめ、全面的に公開すべきではありませんか。

 

十三、横田基地とオスプレイについて

 最後に、横田基地とオスプレイについて質問します。

Q1 政府は、オスプレイは安全だとして国内への配備を正当化してきましたが、この前提が大きく崩れています。クラスAの重大事故率が、日本配備から5年間で、1・7倍に急上昇したのです。米海兵隊機全体の事故率2・72に対し、オスプレイは3・27と、大きく上回っています。
 オスプレイは横田基地への配備が計画されていますが、今でもひんぱんに飛来しています。たとえば今年3月の日米合同演習の際は、18日間で6機のオスプレイが104回の離着陸を繰り返しました。
 横田基地周辺は、住宅をはじめ、学校や保育園など公共施設も多数密集している市街地です。そのため、基地周辺でいったん事故が起これば、取り返しのつかない大惨事となります。
 都民のいのちと安全を守る立場から、オスプレイの事故率上昇を、重く受け止める必要があります。知事はどう認識していますか。

Q2 オスプレイの飛行中止、横田基地への配備撤回を、日本政府と米軍に、強く求めるべきです。知事いかがですか。

Q3 11月に横田基地上空で行われた米軍輸送機の物資投下訓練では、重さ30キロの貨物が、パラシュートから外れ基地内に落下する重大事故が発生しました。
 事故を受けて、周辺市町でつくる「横田基地周辺市町基地対策連絡会」は、米軍や日本政府に抗議するとともに、事故原因の究明と再発防止などの要請を行っています。ところが東京都は、何の行動もしていません。
 知事は、今回の貨物落下事故の重大性を、どう認識していますか。米軍や日本政府に抗議すべきではありませんか。

 知事の答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。

 

答弁

○知事(小池百合子君) 米倉春奈議員の代表質問にお答えいたします。
 総選挙の結果についてのご質問外十九問いただきました。
 私は、総選挙におきまして、みずからの信念に基づいて行動いたしました。選挙結果というのは有権者の皆様の判断でございます。そして、それは当然ながら尊重すべきものと、このように私は考えております。
 改憲と安全保障についてのご質問でございますが、憲法は真の国益、時代の要請に応じて、そのあり方を検討すべきものだと考えております。憲法や安全保障についての議論は、本来国会で行われるべきものでございます。
 一方、都政を預かる者として、都民の生命と財産を守るということは重要な使命であります。こうした認識のもと、都知事として都民のためになすべきことをなしてまいりたいと考えております。
 豊洲市場への円滑な移転を実現するための市場業者との納得と合意についてのご質問でございます。
 市場業者の方々のご理解とご協力を得る、それが豊洲市場への円滑な移転を実現するために必要なものでございます。業界団体の皆様には、先般の新市場建設協議会で開場時期を来年の十月中旬とすることに合意をいただいております。
 今後とも、開場に向けましたさまざまな準備などにつきまして、業界と緊密に調整を図りつつ着実に進め、豊洲市場の開場を目指してまいります。
 その追加対策工事でございますが、補正予算を可決いただいた後、直ちに追加対策工事の契約手続を進めるように指示し、早期の工事着工を目指してまいりました。
 入札不調となった場合には、法令上、原因を分析した上で、予定価格の再積算を行うなど、速やかに再発注の手続を進めることとされております。
 こうしたことから、市場当局において、入札参加者やメーカーへのヒアリングなどを実施いたしまして、これにより把握した工事の困難性などを踏まえて、適切に予定価格の再積算を行ったものであり、ご指摘は当たりません。
 市場移転に関しての基本方針でございますが、私が基本方針で示しましたのは豊洲と築地の両方を生かすという大きな方向性でございます。
 その際、市場内取引について触れましたのは、卸売市場を取り巻く状況の変化や、築地のポテンシャルを踏まえた一つの考えとして示したものでございます。
 この方針をベースといたしまして、行政の取り組みとしての具体化を図るため、市場移転に関する関係局長会議の中で、さまざまな要素を勘案した上で検討を進めて、今後の取り組み内容をまとめているところでございます。
 豊洲市場につきましては、中央卸売市場として継続的に運営していくこととして、築地につきましては、将来築地に戻ることを希望する仲卸業者に応えるための方策に関する検討を豊洲移転後の状況を踏まえながら行ってまいります。
 市場業者の意見の反映についてのご質問でございました。
 築地再開発につきましては、十月に検討会議を立ち上げまして、幅広い分野で活躍されている委員の方々に自由な発想で検討いただいて、来年五月、これを目途にまちづくりの大きな視点として取りまとめてまいります。
 会議のメンバーにつきましては、そうした観点から選定したところでありまして、なお、検討会議は公開で行っております。そこでの検討状況につきまして、水産仲卸の業界団体に対しましては、適宜、情報提供などを行っているところであります。
 来年度にかけまして、民間からのヒアリングを行うなど、ステップを踏みながら開発のコンセプトなどを具体化してまいります。
 築地ブランドについてであります。
 築地市場で働く事業者を初め、食文化を担う多くの方々の努力によりまして、脈々と築かれてきた築地ブランドは、東京の大切な宝物であるということはいうまでもありません。
 豊洲市場につきましては、安全性を高めるための追加対策工事を着実に実施した上で、築地のにぎわいを引き継いで発展させることで、新たな豊洲ブランドの構築を目指していくものであります。
 同時に、築地が有するさまざまなポテンシャルを活用した魅力ある築地再開発にも取り組み、豊洲と築地の両方を生かし、相乗効果を生み出してまいります。
 国民健康保険の保険料についてのご質問でございます。
 国民健康保険は、相互扶助の考えに立った社会保険制度でありまして、その財源は、保険料が二分の一、公費二分の一が基本となっていることはご存じのとおりです。
 その保険料、保険税の賦課方式、そして料率につきましては、各区市町村がみずから定めるものでありまして、住民のさまざまな生活実態を踏まえながら、それぞれの議会で十分な審議が行われ、決定されているものと認識いたしております。今般の制度改革後におきましても、この仕組みは変わるものではございません。
 介護基盤の整備についてのご質問でございます。
 高齢者が、介護が必要になっても住みなれた地域で暮らし続けていけるようにするためには、施設サービスだけでなく、在宅サービス、ケアつき住まいなどの介護基盤をバランスよく整備することが重要でございます。
 特別養護老人ホームなどの整備目標は、高齢者人口の将来推計や区市町村のサービス見込み量を踏まえて定めておりまして、今後とも、都独自の整備費補助、土地賃借料の負担軽減などの支援を行って、介護サービス基盤の整備を進めてまいります。
 待機児童対策についてのご質問でございます。
 都は、平成三十一年度末までに待機児童を解消するために、保育所などの整備の促進、人材の確保、定着の支援、利用者支援の充実の三つを柱に、さまざまな取り組みを進めてまいりました。こうした取り組みによりまして、昨年度は約二万人分の定員拡大が図られております。
 今後とも、区市町村と連携しながら、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育など、多様な保育サービスの拡充に取り組んでまいります。
 保育サービスの整備目標についてのご質問でございます。
 都は、本年八月から九月にかけて、就学前の子供がおられる都内約三万八千の世帯を対象といたしまして、就労状況や就労意向、育児休業の取得状況、保育サービスの利用状況や利用の意向、希望する保育料の水準など、潜在的な保育ニーズも含めまして、実態調査を実施してまいりました。
 今後、この調査結果や区市町村におけるニーズなどを踏まえまして、改めて保育サービスの整備目標を検証することといたしております。
 保育所の人員配置、そして面積基準についてのご質問でございます。
 保育サービスの整備に当たりましては、量の拡大と質の向上を図ることが必要であります。
 そのため都は、地域の実情に応じまして、多様な保育サービスの整備に取り組む区市町村に対しまして、さまざまな支援を行っております。
 人員の配置や面積基準につきましては、都の条例で定めている基準を踏まえながら、保育の実施主体であります区市町村がそれぞれの判断で定めていると認識をいたしております。
 教員の勤務実態調査の結果についてのご質問がございました。
 未来をつくる子供たちに明るい希望を抱かせるように、教員には夢を語り、生き生きと働く姿を見せてもらいたいものであります。今日の学校現場において、教員は日々、子供たちと向き合って献身的な努力を重ねていますが、一方で、このことが教員の長時間労働としてあらわれております。
 こうした実態につきましては、子供たちの学びを支える教員の心身の健康に少なからず影響を及ぼすとともに、学校教育の根幹にもかかわるものでありまして、改善を図っていく必要がある、このように認識をいたしております。
 中小企業などの振興条例についてのご質問がございました。
 都内の経済や雇用を支える中小企業や小規模企業の振興を図るということは、すなわち東京の産業の活力を高める重要な施策の一つであります。
 中小零細企業を支援するために、その時々の経済状況の変化に対応して、さまざまな取り組みを展開していかなければなりません。
 このため都では、二〇二〇年に向けた実行プランなどに基づきまして、多様な対策を柔軟に展開しております。
 今後とも、東京の産業の発展を図るために、中小企業や小規模企業をしっかりと後押ししてまいります。
 道路の建設についてのご質問であります。
 東京の道路は、都市活動や都民生活を支えるだけでなく、交通渋滞の解消や拠点間の連携強化などによりまして、経済成長の促進や国際競争力の強化に資するとともに、都市の防災性や安全性を高める極めて重要な都市基盤でございます。
 さらに、無電柱化、街路樹による緑化を行うことによりまして、環境、景観の向上などにも寄与するものでございます。
 このため都は、成長を生み出すスマートシティー、安全・安心なセーフシティーの実現に向けまして、首都圏三環状道路や区部の放射環状、多摩の南北東西などの骨格幹線道路の整備を推進しております。
 今後とも、都民の理解を得ながら、首都東京の活力を高めて、持続的な成長を支える道路整備を着実に進めてまいります。
 特定整備路線についてでございます。
 都は、首都直下地震の切迫性や東日本大震災の発生を踏まえまして、震災時に特に甚大な被害が想定されます木造住宅密集地域を燃え広がらない、燃えないまちとするために、平成二十四年から木密地域不燃化十年プロジェクトを実施いたしております。
 燃え広がらないまちを実現する特定整備路線は、延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となるなど、都民の生命と財産を守る極めて重要な都市基盤でありまして、地元区の意見も聞き、選定をいたしております。
 阪神・淡路大震災を経験した私でございますが、木密地域の不燃化は都民の生活、命、財産を守るために、一刻も早く取り組むべき課題だと痛感をしております。
 ことしの五月には、世田谷区内の特定整備路線を訪れまして、木密地域において、職員が一軒一軒丁寧に対応してきたことで、延焼遮断等に効果のある道路空間が着実に確保されている現場を視察したところであります。
 特定整備路線につきましては、さまざまなご意見があることは承知をいたしておりますが、引き続き、関係権利者の方々に丁寧に説明をし、理解と協力を得ながら整備を推進して、燃え広がらないまちを実現してまいります。
 東京大会の経費縮減についてでございます。
 昨年、都、IOC、組織委員会、国の四者協議におきまして経費の精査を行い、その後も本年五月の大枠の合意に向けまして、都、組織委員会、国の三者で大会経費の縮減に取り組んでまいりました。
 本年十月にIOCのコーツ委員長が、冬季大会では五億ドル、夏季大会では十億ドルを節約したいと発言されておられますが、目指す方向は同じでございます。
 一方で、競技種目の数がふえたり、コスト増に影響する要素もあることから、大会経費の縮減というのは容易な課題ではございません。
 都といたしましては、組織委員会と連携して、IOCに対しまして必要な要件の見直し、緩和などを求めるとともに、毎年度更新されます大会経費全体の予算の作成に当たって、費用対効果を踏まえて、必要な経費をしっかりと見きわめ、精査をしてまいります。
 選手村につきましてでありますが、選手村は、世界中から集う選手が競技に向けた万全の準備や、スポーツを通じた国際交流を行う場となるものでございます。
 また、大会後は、そのレガシーを生かして、持続可能な成熟都市のモデルとなるまちを目指しております。
 都は、再開発事業を実施して、宿泊施設となる建物につきましては、民間事業者により整備を進めているところであります。
 民間事業者の選定に当たりましては、選手村の特殊要因を踏まえて、土地の価格を定められた基準に基づいて算定し、法令による手続を経て公募、決定をいたしております。
 こうした経緯を初め、事業の概要や工事の状況などについては、これまでも積極的に情報公開をしてまいりました。
 今後も、都民の理解を得ながら、大会時には、選手村がその役割をしっかりと果たせるように、着実に整備を進めてまいります。
 オスプレイの飛行中止、横田基地への配備撤回についてのご質問でございました。
 アジア太平洋地域の安全保障環境は、北朝鮮情勢を初め、大変厳しさを増しております。そうした中で、日米安全保障体制は、我が国のみならず、地域の平和、安定のために重要な役割を果たしていると考えております。横田基地もその一翼を担うものと認識をいたしております。
 安全保障に関することは国の専管事項でございますが、米軍の運用に際しましては、地元住民の生活への最大限の配慮も必要であります。
 都は、国に対しまして、オスプレイを含む米軍機の現在の運用については、安全対策の徹底や環境への配慮などを米国に働きかけるとともに、地元への情報提供を行うように要請しております。
 また、今後、米国が予定している横田基地へのオスプレイ配備につきましては、これらに加え、国において、地元自治体や周辺住民に対しまして、十分な説明責任を果たすことを求めているところでございます。
 今後も、都民の生命と安全・安心を守る立場から、国に対して必要なことを申し入れてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長よりの答弁とさせていただきます。
〔教育長中井敬三君登壇〕

○教育長(中井敬三君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、学校における働き方改革推進プランの目標についてでありますが、教員の勤務実態調査から、いわゆる過労死ライン相当にある教員が存在していることが明らかとなっており、当面の目標として、週当たりの在校時間が六十時間を超える教員をゼロにすることを掲げたところでございます。
 今後、この目標のもと、さまざまな取り組みを行うことにより、教員全体の在校時間の縮減を図っていくこととしております。
 次に、学級規模と労働時間の関係についてでございますが、文部科学省が本年四月に公表した平成二十八年度の教員勤務実態調査の集計において、小学校では担任児童数が多いほど平日の学内勤務時間全体及び成績処理に係る業務時間が長い傾向にあるとされております。
 ただし、例えば担任児童数が一定数を超えたところでは、学内勤務時間に大きな差はないということもあわせて読み取れるところでございます。
 いずれにいたしましても、教員の長時間労働は成績処理などの業務だけではなく、さまざまな要因があることから、働き方改革を進めるに当たりましては、勤務実態を把握し、役割分担のあり方や業務の進め方など、多面的な観点から見直しを図る必要があると考えております。
 次に、多忙化対策として教員をふやすことについてでございますが、教員の定数は、いわゆる国の標準法に基づく都の配置基準により適切に配置しております。
 教員の働き方改革を進めるに当たりましては、教員定数の充実も方策の一つではありますが、それだけではなく、外部人材の活用やICTの活用、学校マネジメントの強化など、あらゆる手だてについて、国や区市町村と連携し、総合的に検討していく必要があると考えております。
 次に、医療的ケアの必要な子供の通学保障についてでありますが、医療的ケアの必要な児童生徒については、保護者の状況によっては通学が難しい場合がありますことから、学校に安定的に通学できる仕組みを整備する必要があると認識しております。
 今後、生命と安全の確保を第一としながら、安定的な通学手段の確保策について検討してまいります。
 人工呼吸器を使用している児童生徒についてでございますが、これまで人工呼吸器の管理は、学校では実施困難な高度な医療的ケアであることから、保護者の付き添いを依頼しております。
 現在、医療関係者、保護者代表及び学校関係者等で構成する医療的ケア運営協議会において、特別支援学校で実施できる医療的ケアの範囲について、継続的に検討しているところでございます。
 最後に、特別支援学校における看護師の配置や人材育成についてでございますが、都教育委員会は、学校で実施可能な医療的ケアを適切に実施するために必要な看護師について、常勤看護師の配置に加えて、学校からの申請に基づいて非常勤看護師の配置に必要な予算を確保しております。
 また、特別支援学校で勤務する非常勤看護師は、学校で採用する前の経験にばらつきがあることから、最新の医療技術や学校における看護師の役割についての研修等を実施しています。
 引き続き、必要な看護師を配置するとともに、専門性向上のための研修等に努めてまいります。
〔東京都技監邊見隆士君登壇〕

○東京都技監(邊見隆士君) 五点の質問にお答えをいたします。
 まず、住宅耐震化への補助対象の拡充についてでございます。
 これまで都は、整備地域内において区の取り組みを後押しするため、耐震改修等への助成を行うとともに、整備地域外においても国費を活用して耐震化を促進し、今年度からは、区市町村が行う戸建て住宅への全戸訪問に対する支援を拡充するなど、取り組みを進めてございます。
 今後、整備地域外においても、所有者への積極的な働きかけなどを行う区市町村を対象に、改修等に対する助成を検討するなど、耐震化を加速させてまいります。
 次に、都市計画道路の見直しについてでございます。
 名古屋市では、お話の事業化された一路線について、廃止に向けた検討が進められている一方、市内の都市計画道路の整備率は九割を超え、残る未着手の計画についても整備プログラムを策定したと聞いてございます。
 都は、全国に先駆けて整備プログラムを策定し、優先的に整備に取り組む路線を選定する一方で、適宜見直しを行ってきておりまして、昨年三月に策定した第四次の計画でも廃止や縮小など都市計画を見直すべき路線として九路線、五キロメートルを示してございます。
 加えて、今年度からは、事業中路線や優先整備路線、これらを除く都市計画道路のあり方について、地元区市町とともに検討を開始してございます。
 今後とも、見直すべきものは見直し、地元の理解を得ながら、必要な都市計画道路の整備を着実に進めてまいります。
 次に、選手村の敷地譲渡予定価格の算定に係る調査報告書の開示についてでございます。
 当該文書の開示については、東京都情報公開条例に基づき適正に行ってございます。
 具体的には、民間事業者の自由な契約の妨げとなる情報や関係機関との検討、協議の適正な遂行を妨げるおそれのある情報などを除き、全て開示してございます。
 引き続き、積極的な情報公開とともに、わかりやすい情報の発信に努めてまいります。
 次に、オスプレイの事故率上昇についてでございます。
 安全保障に関することは国の専管事項であり、米軍機の安全確保は国が責任を持って行うべきことでございます。
 国は、事故率については、機体以外の要因で発生する事故もあることから、あくまで目安の一つであるが、しっかり受けとめる必要があるとしてございます。
 その上で国は、米軍の運用に際しては、安全面の確保が大前提であり、引き続き、米側に対し、運航面で最大限配慮するよう求めていくとしており、都としても、こうした国の考え方を受けとめてございます。
 都は、国への提案要求などにおいて、オスプレイを含む米軍機の運用について、安全対策の徹底、地元への情報提供などを要請しており、今後も必要な働きかけを行ってまいります。
 最後に、横田基地での訓練中の事故についてでございます。
 国からは、物料投下訓練中に、貨物の一つがパラシュートから外れて基地内の滑走路中央付近に落下した、基地の外に被害等はない旨の連絡がございました。
 都は、国に対し、詳しい情報提供を求めるとともに、今回の事象に照らして、訓練を含む米軍の運用について、安全対策の徹底、地元への情報提供などを行うよう、改めて国に伝えるという対応を行ってございます。
 なお、本件については、日ごろから都と連絡調整を行っている横田基地周辺市町が、国及び米軍に対し要請を実施してございます。
 米軍の運用に当たっては、安全面に最大限配慮するよう、今後とも、周辺市町と連携を図りつつ、国や米軍に対し必要な働きかけを行ってまいります。
〔中央卸売市場長村松明典君登壇〕

○中央卸売市場長(村松明典君) 専門家による追加対策工事の確認についてでございますが、昨年九月の設置以降、専門家会議の委員の皆様には、豊洲市場の空気や地下水等につきまして、さまざまな検証を行っていただいた上で、専門的、科学的な見地に立って追加対策の提言をまとめていただいたところでございます。
 こうした提言に基づく追加対策の有効性等の確認につきましては、専門家会議により、具体的な方法を検討した上で実施していただくこととしております。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 七点のご質問にお答えをいたします。
 まず、国民健康保険料の負担軽減への財政支援についてでありますが、今般の制度改革により、都道府県は財政運営の責任主体として、医療費水準や所得水準を考慮して、区市町村ごとに納付金の額を決定するとともに、保険給付に必要な費用を全額区市町村に支払うこととなります。
 こうした役割を果たし、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、都は今後とも、法令等に基づき財政支援を行ってまいります。
 次に、子供の保険料の軽減についてでありますが、国民健康保険は、法に基づく全国統一の制度であり、その制度上の課題については、制度設計者である国が責任を持って対応すべきものでございます。
 都は、全国知事会を通じて、子育て支援の観点から、子供にかかる均等割保険料を軽減する制度を設けるよう、国に対して要望しております。
 次に、制度改革に向けた検討経緯についてでありますが、都は、昨年度から区市町村と協議を重ね、本年十一月、国民健康保険運営方針案を取りまとめました。
 これは、都と区市町村が一体となって保険者の事務を共通認識のもとで実施するための統一的な方針として定めるものであり、行政手続法のパブリックコメントの規定は適用されず、パブリックコメントを実施する必要はないと考えております。国の策定要領にもその旨が明記されております。
 運営方針案や納付金、標準保険料率の算定結果は、被保険者代表や公益代表等で構成される東京都国民健康保険運営協議会に説明し、審議の結果、方針案を適当と認めるとの答申をいただきました。
 本協議会は公開で行われ、会議資料や議事録は全てホームページで掲載することとしております。
 次に、保育サービスの整備目標についてでありますが、保育サービスは、保育の実施主体である区市町村が認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育など、地域のさまざまな保育資源を活用して整備するものであることから、都は、保育サービス全体として整備目標を設定しております。
 次に、待機児童解消に向けた取り組みについてでありますが、都はこれまで、保育サービスの拡充に向け、区市町村や事業者の整備費の負担軽減や、都有地の減額貸付、国有地、民有地の賃借料補助など、さまざまな整備促進策を実施してまいりました。
 今後とも、待機児童の解消に向け、多様な保育サービスを整備する区市町村を支援してまいります。
 次に、福祉施設整備のための都有地貸付料減額制度についてでありますが、都は、福祉施設整備を促進するため、平成十五年度から都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業により、未利用の都有地を五〇%減額して、運営事業者に貸し付けてまいりました。
 平成二十六年八月からは、都内公示地価平均を超える部分について、減額率を九〇%にまで拡大しております。
 この取り扱いは平成二十九年度末までの時限措置であり、来年度以降については、現在検討を行っております。
 最後に、心身障害者医療費助成制度の精神障害者への拡大についてでありますが、現在、議会での議論や現行制度の趣旨を踏まえ、精神障害者への対象拡大に向け、窓口業務を行う区市町村と協議を行いながら検討を進めております。
〔産業労働局長藤田裕司君登壇〕

○産業労働局長(藤田裕司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、介護と仕事の両立についてでございますが、介護離職は、労働者、企業経営者双方にとって深刻な問題であり、その防止に向けては、企業における職場環境の整備と労働者の個々の実情に応じた適切な支援が必要でございます。
 このため、都は、介護休業の延長など介護と仕事の両立に資する制度の整備や、社内相談窓口の設置等、企業みずからの取り組みを促す奨励金を支給しております。
 また、十月からは介護と仕事の両立応援デスクを開設し、労働者や企業の人事担当者等からの相談に対して、専門家が電話とメールで助言や情報提供を行うなど、介護離職の防止に努めているところでございます。
 労働者が介護に直面しても、離職することなく安心して働き続けられる職場環境の整備を推進してまいります。
 次に、中小企業振興条例等についてでございますが、他の道府県の中小企業等の振興に関する条例は、各地域の実情に応じて定められたものであるというふうに考えてございます。
 都においては、中小零細企業を取り巻く状況に適切に対応し、経営、技術、資金繰り等の面から幅広い支援を柔軟に展開しているところでございます。
 引き続き、こうした取り組みにより、東京の産業振興を効果的に進めてまいります。
〔建設局長西倉鉄也君登壇〕

○建設局長(西倉鉄也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、減災協議会の設置についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、河川整備等のハード対策に加えまして、ソフト対策を進めることが重要でございます。
 都は、平成二十九年六月に施行されました改正水防法を受け、区市町村など関係機関と連携いたしまして、東京都管理河川の氾濫に関する減災協議会を今月中に設置いたします。
 本協議会では、洪水氾濫による被害の軽減に向けまして、河川情報の迅速な提供や住民の避難に資する情報の周知等について検討してまいります。
 次に、道路整備の効果検証と事業費についてでございますが、国などが整備を進める首都圏三環状道路のうち、現在事業を行っている箇所につきましては、事業評価の際に、渋滞緩和等による便益や防災性の向上など、整備効果を検証しております。
 また、骨格幹線道路につきましては、第四次事業化計画の策定の際に、交通処理機能の確保や緊急輸送道路の拡充等の検証項目を設けまして、必要性を確認しております。
 これらの事業費は、道路構造や用地取得面積等を踏まえまして、個々の路線の事業化ごとに算出しております。
 整備効果や事業費につきましては、報道発表いたしますとともに、ホームページに掲載するなど、広く都民に公表しております。
〔オリンピック・パラリンピック準備局長潮田勉君登壇〕

○オリンピック・パラリンピック準備局長(潮田勉君) IOCに対する経費縮減への要請についてでありますが、都はこれまでも、組織委員会を通じ、IOCが基準としている電力設備の二重化や放送用回線の二重化、地中化などについて、その要件緩和を求めてまいりました。
 本年十月に行われましたIOCプロジェクトレビューにおきましても、改めてこうした要件緩和を組織委員会から提示するなど、大会経費縮減に向けた議論を行ったところであります。
 引き続き、組織委員会と連携し、大会経費縮減に向けて、IOCに対し、必要な要件の見直し、緩和などを求めまいります。

 

再質問、答弁

○八十番(米倉春奈君) 知事に再質問します。
 豊洲新市場追加対策工事の入札不調の問題で、特命随意契約への切りかえが検討されていると報道されていますが、事実ですか。知事、正直にお答えください。
 特命随意契約では、ゼネコンに全面屈服し、ゼネコンがいうとおりの高値で契約することになるのは明らかです。知事が強調している透明性や競争性の確保、賢い支出と逆行するのではありませんか。
 事実かどうか、そして知事の基本姿勢と逆行するのではないかという二問について、知事、お答えください。
 次に、国民健康保険について、知事は、相互扶助の考えに立つ制度だと答弁しました。東京都国保運営方針案でも相互扶助が基本だと位置づけています。これは大きな間違いです。
 一九六一年以前の旧国民健康保険法では、国保制度は任意加入で、加入者同士で助け合う相互扶助の位置づけでした。しかし、この年の全面改正で、助け合いの制度だという内容は法文から完全に削除され、社会保障の重要な一環だという立場が明確にされたのです。
 四十七都道府県の運営方針案を見ても、基本的事項の中に相互扶助等の文言があるのは、東京都のほかには四カ所しかありません。
 知事、国保制度は、公が責任を持つ社会保障の重要な一環だという立場に立つことが重要ではありませんか。知事の答弁を求めます。
 以上、市場問題二問、国保で一問、知事、お答えください。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 米倉議員の再質問にお答えをいたします。
 まず、現在、入札不調となっている豊洲の追加工事に関しましての案件でございますが、現在、法令上の原因を分析した上で適切に予定価格の再積算を行うなど、速やかに再発注の手続を進めているところでございます。今後、追加対策工事を着実に実施をして、将来のリスクにも備えた安全・安心な市場として豊洲市場を開場していくための手続でございます。
 私は、知事としてやるべきことを、ステップを一つずつ踏みながらクリアに行っていると、このことを私の答弁とさせていただきます。
 そして、その他のご質問につきましては、担当局長よりの答弁とさせていただきます。
〔福祉保健局長梶原洋君登壇〕

○福祉保健局長(梶原洋君) 国民健康保険制度の位置づけのご質問だったかというふうに理解をしております。
 社会保障法の解釈でいきますと、社会保障制度というのは、大きくいって公的扶助と社会福祉と社会保険というものに分かれております。
 社会保障制度というのは国によって分かれておりますけれども、全額公費でやる部分、それから、保険料と公費でやる部分、それから、保険料でやっている部分、これは国によって全く違うものであります。
 社会福祉学者、社会保障学者にとっては、これが通説であります。したがいまして、今回の運営協議会の中でも委員長からご指摘があったように、この国民健康保険制度は社会保険制度の一つとして相互扶助の考え方に立った制度であるというふうに認識をしております。