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質問・条例提案

2017.06.07

豊洲移転問題調査特別委員会 偽証告発への賛成討論 尾崎あや子都議(北多摩第1選出)

7日の本会議で尾崎あや子議員(北多摩第一選出)が、濱渦氏の虚偽陳述の告発の議決を求める動議への賛成討論をおこないました。

 

2017年6月7日 濱渦氏の虚偽陳述の告発の議決を求める動議への賛成討論   

尾崎あや子(北多摩第一選出)

  告発動議を提案した会派を代表し、元東京都副知事濱渦武生氏が虚偽の陳述をしたものと認め、本会議において告発の議決を求める動議に賛成の立場から討論を行います。

 本動議で虚偽と認定する陳述は、平成13年・2001年7月6日の東京ガスとの築地市場の豊洲移転に関する基本合意以降は、豊洲開発に関して一切相談にあずかっていない、報告も受けていない旨の陳述。及び、都と東京ガスとの「確認書」いわゆる2者間合意はまったく知らないという陳述です。

 自民党は、先の特別委員会すなわち百条委員会での本動議採決に先立って反対意見を展開しました。その最大の理由としたのは、そもそも濱渦氏は個々の指示や報告の記憶がなかったから、その記憶にもとづいて一切知らない旨、証言したものだという主張です。この主張は、濱渦氏の陳述自体を捻じ曲げ、さらに虚偽と認定した根拠を記憶の有無にすりかえるものです。

 しかし濱渦陳述は、関与し、報告をうけた記憶がないと主張したのではなく、豊洲移転に関しては基本合意以降、関与や報告をうけたことは一切ないと、くりかえし断言したものです。その根拠として自民党の訊問にたいし濱渦氏は「外れたのは、石原知事の指示でありましたから」と陳述しているではありませんか。勝手に陳述をねじまげ、虚偽陳述をすり替え、偽証告発反対の根拠とすることは許されません。

 自民党は、「証言全体を見ずに、証言中の一部だけを殊更に取り上げ、偽証を論じること自体に無理がある」と百条委員会で主張しましたが、それは自民党にこそ言えることではありませんか。

 濱渦氏が、基本合意以降は、豊洲移転に関して一切相談にあずからず、報告も受けていない旨の陳述が、明かに偽証であることは、百条委員会に提出された数々の記録によって明白です。

 その一つが、わが党が百条委員会で示した、平成15年2003年5月22日付けの知事本局など3局部長連名による「濱渦副知事様 豊洲地区土壌汚染対策について」という文書です。これは明らかに、東京ガスとの交渉にのぞむ方針についてお伺いをし、指示を求める文書です。

 自民党はこの書類について、実際受け取ったか不明とか、受け取っても失念したとしても不自然ではないなどと主張しましたが、文書を作成した3部長は、3月に報告をし、その際に指示があったと書いています。そして今後「必要な指示を仰ぎたい」と書いています。これは、濱渦氏の記憶の有無にかかわらず、濱渦氏が交渉に関与し、相談をうけ、報告をうけていたことを示す客観的根拠ではありませんか。

 さらに根拠として示した平成15年2003年2月10日付けの「豊洲新市場関係濱渦副知事ブリーフィング状況」についても、自民党は「記憶に残っていなかったとしても、おかしくありません」と弁解しましたが、逆にこの記録によっても、報告をうけ、指示を出していたことは明白です。

 また、中央卸売市場当局が作成した文書「築地市場豊洲移転 これまでの経緯」のなかに、基本合意後の2001年8月7日に「濱渦副知事 江東区を訪問し、協力要請」と記載されていることは、基本合意以降も関与した有力な根拠です。自民党は、「特別区との間において、やり取りがあったことを持って、濱渦氏の証言が偽証であると評価することは困難」などと発言しましたが、移転への協力要請に地元区である江東区に行ったことは、濱渦氏自身が自民党に答えているではありませんか。

 このように、虚偽陳述の根拠を無理やり否定しようとする自民党の主張は、まったく道理の通らないものです。

 さらに、知事本局長をつとめた前川氏の証人訊問での陳述は、濱渦陳述が虚偽であることを、記録とともに補完するものです。

 前川氏は、濱渦氏が副知事在任中は一貫して市場を所管し、且つ濱渦氏に「お手紙」を出して了承を求める状況があったことも陳述しました。これは、記録にあった東ガスとの交渉にあたって3部長がお伺いの文書を出していたことの現実性を示すものです。また前川氏は、濱渦氏が主張した基本合意をもって豊洲問題から外れる指示があったことを否定しました。さらに濱渦氏が知事本部に預けたという発言に関して、そもそも知事本部は副知事として濱渦氏が担当しており、豊洲問題の実際の責任者だったと陳述しました。

 こうした前川陳述を、前川氏の個人的認識であり、一般論だとして、退けようとする自民党の主張は成り立ちません。そもそも、記録でも他の証人の陳述でも濱渦氏が基本合意をもって豊洲担当から排除されたことを示す事実はまったくありません。しかも、濱渦氏は、基本合意後は誰に預けたのかという自民党の質問に、ただ知事本局というだけで、役職も氏名も陳述できなかったではありませんか。

 次に、基本合意と一体の確認書を知らない、かかわってないという濱渦陳述についてです。

 濱渦氏は、確認書について「まったくわかりません」「都が隠してたのは不愉快」とまで陳述しましたが、記録と陳述全体の流れをみれば、虚偽陳述は明白です。濱渦氏は、自分は東京ガスから用地取得の了解を得るまでで、具体的な話はその先の話で係わってないと陳述しました。

 しかし根拠でしめした平成13年2001年2月21日の覚書直後の「協議事項」(確認)という文書では、移転の合意をするうえでの協議課題として、例えば「現行土壌処理汚染計画・水準・方法等の合意」が記載され、協議が整った場合に「確認書」を締結すると明記されています。

 したがって東京ガスにとっては、どのような汚染処理計画で都が了解するのかは移転合意の重要な課題の一つだったことは明白です。それは都と東京ガスとの協議記録でも示されています。

 そして、基本合意に向けて、こうした課題一つ一つの協議がすすめられ、その合意の到達点が確認書でまさに確認されているのです。だからこそ、確認書の表題は「基本合意にあたっての確認書」であり、直接の当事者である野村証人も基本合意と一体だと強調しているのです。こうした記録と陳述全体を見れば、濱渦陳述がなりたたないことは明らかです。

 また記録のなかに、本合意直前の基本合意の案文があり、この案分では、土地区画整理事業の事業費について、原案では基本合意本体に添付する予定だったが、これを本体から外したことがわかります。そしてこの事業費は、「確認書」に移行したのです。

 自民党は、本体から外す修正加筆は都によるものでなく東京ガス側によるものと考えられるから根拠にならないと発言しましたが、例えそうだとしても、濱渦氏は、基本合意に添付する予定だった事業費削減一覧を、基本合意本体からは外し「確認書」で処理することを知り、了承していたことになるではありませんか。

 以上、濱渦陳述がいかに虚偽であるかを、紹介してきました。同時に注目すべきは、濱渦氏は、4月10日の記者会見で、報告の有無にかかわって「市場が私に説明に来るということは職務上あると思うんです」と発言。さらに指示はしてないがといいつつ「聞かれれば答えていました」と発言したことです。これは、相談も報告も一切なかったという自らの陳述を訂正するものであり、この点でも、偽証告発にあたることを示すものです。

 最後に、自民党は、「濱渦氏があえて虚偽の証言をしてまで、みずからの責任回避を図らなければならない理由はない」と強調しました。しかし、記録と訊問を通じて明らかになった確認書は、汚染処理計画でいえば売買時に汚染が残る計画を都として了承するものです。また、防潮護岸の負担を求めないなど東京ガスの負担を総額486億円削減することを確認するものでした。このように、土地取得の合意を引き出すために都が東京ガスに譲歩したことが、その後の交渉のレールを敷く結果になったのです。

 濱渦氏が、基本合意以降は一切相談にあずからず、報告もなかったと何度も強調したのは、こうした結果を招いた自らの責任を逃れようとする意図があったことは、誰が見ても明かです。

 自民党は濱渦氏への訊問のなかで、「間違いなく、濱渦副知事がいらっしゃらなければなし得なかった大事業だと思っております。非常に困難な中、世界1の市場豊洲を完成したと私たちは考えています」と驚くべき大讃美を送りました。こうした立場にたって、偽証告発を捻じ曲げ、否定する自民党の態度は都民の厳しい批判はまぬがれないことを強く指摘し、賛成討論を終わります。

以上