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質問・条例提案

2017.06.07

本会議 豊洲市場問題調査特別委員会報告に対する賛成討論 曽根はじめ都議(北区選出)

7日の本会議で、豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会調査報告書にたいする賛成討論を曽根はじめ議員(北区選出)がおこないました。

 

2017年6月7日 豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会調査報告書にたいする賛成討論

曽根 はじめ(北区選出)

 日本共産党都議団を代表して豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会調査報告書にたいし賛成の立場から討論を行います。

 豊洲市場移転問題に関する調査特別委員会、いわゆる百条委員会は、時間的な制約もあり、残された課題もありますが、東京ガス豊洲工場への築地市場移転の経過、交渉及び土地売買に関する経緯などで重要な事実を明らかにし、責任の所在も明らかにできたことは重要と考えます。この事実を「報告書」として都議会と都民に報告することが特別委員会の責務です。

 以下報告書でとくに重要と思われる点についてのべます。

 まず、報告書が、豊洲市場が移転先として選定された経緯に関して、「最高責任者として交渉の状況や結果についての報告を受け、適時適切に判断を下すべき立場にあった、石原元知事の責任は重いものであると考える」と記載したことは重要です。

 自民党はこの記述にたいし、「豊洲移転が誤りであったことを前提とした一方的かつ不適切な表現であり」「全く不明な記載であり、削除すべき」と特別委員会で発言しましたが、記録と陳述は、具体的事実をもって石原元知事の責任を明確にしたものです。

 そもそも石原氏は、昨年10月、小池知事からの質問状にたいし、豊洲移転は既定路線だった、移転予定地が東京ガス工場跡地とは聞いてない、契約にあたり汚染対策の東京ガス負担が78億円だったことや、瑕疵担保責任を免責することは、「判断を求められること」はありませんでしたと回答しました。これは自らの責任を逃れようとするものです。

 しかし特別委員会に提出された記録と尋問は、こうした回答が偽りであることを浮き彫りにしました。既定路線という点では、石原氏が根拠にした青島元知事との引継ぎ事項に移転の記載はなく、尋問のなかで石原氏自身自らが決裁したと認めました。

 土壌汚染と、ガス工場跡地だったことは聞いていなかったという主張についても、わが党が明らかにした記録によって、石原氏は1999年11月17日、「豊洲地区の土壌汚染について」という報告を受けていたことが確認されました。自らも豊洲移転の決裁にあたり「土壌の汚染の問題もあるけども」と当時発言した陳述しました。明らかに汚染を知りながら移転を判断したのです。

 さらに売買契約にあたり、汚染処理費の東京ガス負担がわずか78億円であることや、今後瑕疵担保責任を求めないことも、「判断を求められない」どころか、当時の市場長らが説明し、了解を得ていたことが、記録と陳述で明らかになったのです。

石原氏は、特別委員会ではわずか1時間の訊問のなかで「記憶にありません」を連発しましたが、この「記憶にない」陳述は明らかに、小池知事にたいする「知らなかった」「判断を求められなかった」という回答とはことなるもので、虚偽陳述です。

 石原氏は、私が訊問のなかで78億円について知事に説明した記録を示したのに対し、「それがなんですか」と居直るという驚くべき態度でした。虚偽と居直りで、汚染が深刻な東京ガス豊洲工場跡地への移転決断、そして東京ガス優遇の売買契約の了承という自らの重大責任を逃れようとすることは絶対に許せません。

 また、いまだに石原元知事を擁護しつづけようとする自民党の態度は都民から厳しい批判を受けることはまぬがれません。

 次に汚染軽視の問題です。自民党は委員会報告書の「安全を軽視した交渉姿勢」という記載は載せるべきではないと主張し、その根拠として元市場長が「専門家の意見も聞いた上で対策が可能だと判断していたと証言した」と強調しました。

 しかし、この元市場長は、わが党が、対策が可能だといった専門家が誰か、可能だという根拠はなにかと訊問したのにたいし、確認していない旨、陳述したのです。そのうえ、元市場長は「東ガスが売ってくれるかどうかが最大の戦略目標」だったとし、汚染問題について「安易な判断だといわれりゃあそれまで」と陳述しています。

 陳述を通じて、濱渦氏も石原氏も、汚染対応については、この元市場長の、対策をとれば可能との安易な判断を精査することもなく鵜呑みにして、移転可能との判断をしているのです。石原氏にいたっては自らの責任を逃れるために、汚染について知らなかったという態度をとっていました。

 このように、移転判断にあたって、移転優先で汚染問題を軽視したことは明白です。多くの都民が、深刻な土壌汚染地であるガス工場跡地についてどう検討したのか疑問に思っており、この点でも特別委員会として報告することは重要です。

  次に、特別委員会の調査、尋問によって、はじめて都と東京ガスとの基本合意文書とは別にこれと一体となった「確認書」の存在が明らかになったことは重要です。

 2001年7月6日に都と東京ガスで結んだ基本合意は、はじめて東京ガスが築地市場の豊洲移転に協力を表明したものですが、そのための具体的条件は記載されず、もっぱら「確認書」に委ねていたことがわかりました。そして「確認書」では、東京ガスの防潮護岸負担をゼロにするなど東京ガスの事業費負担を486億円も削減すること、汚染処理についても汚染はすべて除去せずに、残される「計画」で了承するというものでした。

 このように「確認書」が、移転の了解を得ることを優先し、汚染対策でも費用軽減でも東京ガスに譲歩をしたものであることは明らかです。

 にもかかわらず自民党が、不十分な汚染対策も、防潮護岸負担を無しにしたことも、特別委員会で何ら問題ではない旨の主張をしました。

 都と東京ガスの協議記録でも、当時環境局は東京ガスの汚染処理計画では汚染が残るので不十分だと見直しを求めましたが、東京ガスは、「不満なら合意は白紙」だとまで居直りました。訊問でも東京ガスの担当者は、汚染問題は「非常に大きな課題だという認識」であり、土地売却の判断をする「一つの要因だった」と陳述しているのです。

 また、そして防潮護岸負担と事業費の軽減は、基本合意締結にむけて最後まで東京ガスが強く要望しつづけ、基本合意直前の6月28日の時点でも課題として残されていたことが、記録によって確認できます。

 このように「確認書」は、東京ガスから移転への協力を得るために、東京ガスの要求を受け入れ、確認事項としたものであり、その後の売買契約における東京ガスへの譲歩へのレールを敷いたともいえるものです。だからこそ、「確認書」は、特別委員会によって明らかにされるまで隠されていたのです。

 基本合意と「確認書」にかかわった赤星証人、野村証人は、「確認書」について、誰の指示、了解のもとで作成し、誰が最終決済をしたのか、そして文書はどこで管理されたのか、まったく陳述しませんでした。

 しかも「確認書」は、東京ガスからは提出されながら、都から提出されず、その後委員会に提出された文書は、ファックスで送付されたものでした。

 報告書が指摘した文書管理の問題について「事実を隠蔽するような意図は見つけられない」という自民党の主張は成り立ちません。

 報告書のあり方に関して自民党は、議論がわかれた場合、均衡を図るよう両論併記をすべきだが、報告書では記載内容に偏りがあると主張しました。

 しかし百条委員会の報告書は、調査課題にもとづく調査結果の事実にもとづいて報告書をまとめるものです。単に各党の見解を併記すべきものではありません。しかも各党の見解については、報告書に各々の意見開陳が全文紹介されています。自民党が委員長をつとめた12年前の百条委員会でも、当時の民主党は報告書に対して見解の違いを主張した結果、最終的には委員会として採決したものです。

 最後に、特別委員会では、石原氏や濱渦氏の責任が明らかにされ、確認書の存在が明らかにされるなど、これまで隠されていた闇ともいえる部分の一部が明らかにされました。また都における決定手続きや、重要記録の保管のあり方についても問題点を浮き彫りにすることができました。

 小池知事は、報告書の指摘をうけとめ、知事として真相解明と必要な改善にとりくむことを求めるものです。

 また、特別委員会は、調査事項のすべてについて調査が行われたものではありません。部分的な解明にとどまりさらに全面的解明が求められる課題はのこされました。とりわけ調査事項の第4、豊洲市場建設工事における契約事項についてはまったく調査されていません。大手ゼネコンによる談合で建設費が3倍に引きあがって疑惑が強いことから、この問題の調査、解明は必要不可欠です。

 本日をもって特別委員会は終了となります。わが党は引き続き独自の調査をすすめる決意ですが、改選後の都議会においても引き続き百条委員会を設置し、都民の期待にこえ真相解明をすすめることをよびかけ、調査報告書にたいする賛成討論を終わります。

以上