予算特別委員会 和泉なおみ都議(葛飾区選出)の総括質疑
2017年第1回定例会 予算特別委員会総括質疑 3月15日
和泉なおみ(葛飾区選出)
和泉委員 私からは、まず、国民健康保険の問題でお尋ねしたいと思います。
一九六一年四月に新国民健康保険法が実施されて、国民皆保険が確立しました。旧国保法は、相扶共済、相互扶助共済という精神で運営されている任意の保険でしたが、一九五九年に施行された新国保法は、日本の公的医療保険制度の中で唯一、その第一条に社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とすると明文化されました。国保制度が皆保険制度の確立のために社会保障として位置づけられているということは、とても大きな意味があることだと思います。
この国民健康保険に加入している世帯主は、その多くが非正規雇用や年金生活者、無職の方たちです。たとえ所得が低くても、全ての国民が安心して医療が受けられるようにする。だからこそ、社会保障として位置づけられているんだと思いますが、公的医療保険のセーフティーネットとしての役割を果たしている国民健康保険法の重要性について、まず、知事の認識をお伺いいたします。
小池知事 ご指摘のように、我が国は、誰もが安心して医療を受けることができる国民皆保険制度を通じまして、世界最長の平均寿命、そして高い保健医療水準を実現してきたものと考えます。
国民健康保険制度は、国民皆保険の基礎となっておりまして、大きな役割を果たしております。そして、現在進められております国民健康保険制度改革も、こうした観点から、将来にわたって制度を持続可能なものとするための改革というふうに捉えております。
和泉委員 知事がただいまおっしゃったとおり、国保は皆保険の基礎ですけれども、健康保険や共済などの被用者保険と違って事業主負担がなく、しかも低所得で医療費が多くかかる方が加入している、そういう構造的問題を持っているということを全国知事会も指摘しています。
この点について、知事の認識をお伺いいたします。
小池知事 委員ご指摘のように、現在の国民健康保険制度は医療費が高い、どうしても医療にかかる回数、頻度も多くなる高齢者、それから失業者などの低所得者、この占める割合が高いものがございまして、保険料の確保が困難であるなど構造的な問題がございます。そこで国は、今回の制度改革で、財政上の構造的な課題の解決に向けて、財政基盤の強化のための追加的な公費投入を行うこととしたと聞いております。
都といたしましては、これまで国に対して、構造的な問題の抜本的な解決を図るように強く求めてまいっております。そして、今後も、安定的で持続可能な制度とするように、しっかりと国に要望してまいりたいと思います。
和泉委員 全国知事会が指摘したとおり、構造的矛盾を解消するためには国庫負担を引き上げていく必要があると思います。
もちろん、国に対して強く求めていくことは重要です。しかし、社会保障制度として位置づけられていながら、その保険料が高過ぎて払えない人が都内にも多くいること、滞納して保険証が取り上げられ、医療が受けられない人が大勢生まれていることに対して、都としてどうするのかということも、また問われているんじゃないでしょうか。
とりわけ、加入している人の人数に応じて賦課される均等割額は、所得のない子供にまで賦課されています。所得に応じて賦課されるという税の原則からも逸脱していると私は思いますが、この均等割が、家族の多い低所得世帯にとって重過ぎる負担になっています。しかも、この均等割は毎年上がり続けています。
伺いますが、一九九九年度と二〇一五年度の国保加入者一人当たりの所得額と、特別区の均等割額はそれぞれどうなっているでしょうか。
梶原福祉保健局長 国が実施をしております国民健康保険実態調査によれば、東京における、被保険者の年収から法定の控除額を引いた所得の一人当たりの額は、平成十一年度は約百十六万八千円、平成二十七年度は約百万八千円でございます。
また、特別区の国民健康保険の保険料のうち、均等割保険料額は、平成十一年度は二万六千百円、平成二十七年度は四万四千七百円でございます。
和泉委員 今、答弁のありました数字をパネルにしました。所得は年額十六万も下がっているんです。それなのに均等割は一人当たり一万八千六百円、七一%も上がっているんです。さらに、統一保険料になっている二十三区は、来年度の均等割額を四万九千五百円まで一人当たり上げるということを区長会で確認し、今、各区で条例提案がされているはずです。
所得割が賦課されていない低所得の人でも、均等割はかかるんです。それがこんなに上がっているわけですから、高過ぎて保険料を払えない人が多くいるのは当然だと思います。
現に東京は、平成二十五年度、二十六年度でいずれもその収納率は全国最下位です。私の知っている自営業者は、七千九百万もの借金を抱えて、それと一緒に親が始めた商売を引き継ぎました。一時期は家族で緊急避難しなければならないほどの取り立てを受けながら、頑張ってこつこつと、今も借金を返し続けています。ようやく売り上げも伸びてきて、営業所得は三百七十万ほどになりましたが、国民健康保険料は、年間六十万円も賦課されています。余りにも高いと思いますが、知事、いかがでしょうか。
梶原福祉保健局長 国保制度というのは、国全体としての制度として決められている制度でございます。その上で、国保の保険料については、低所得者に対しては保険料から所得に応じた判定基準により七割、五割、二割に相当する額が減額されております。また、そういう国保加入世帯のうち、約四割の世帯が軽減対象に該当をしています。
社会保障制度というお話がありましたけれども、国保制度として、当然滞納しているという状況があるわけですけれども、負担という面から考えても、国保全体の問題として、先ほど、さまざまな構造的問題があるということを解決する中で、そういう問題も論じるべきだというふうに思っております。
和泉委員 私は今、国保料の実態を示して、この国保料が高いとは思いませんかと知事に伺いました。局長の認識と知事の認識が同一ということでよろしいんでしょうか。知事、もう一度お伺いいたします。
梶原福祉保健局長 国民健康保険制度は全国統一の制度であります。その保険料率を決めているのは各区市町村であります。それぞれの議会の中でさまざまな議論を経て決定されているというふうに認識してございます。
和泉委員 負担しなければいけないのは国保税だけじゃないんです。この方でいうと住民税二十六万円、ほかにも夫婦二人分の国民年金三十八万四千円、それだけで所得の三分の一に上ります。保険料が高い分だけ医者に行く回数を減らさなければいけない、そんな事態が広がっているんです。高過ぎる国民健康保険料、税、この負担を減らすために、都としてもできることはあります。
我が党は、高過ぎる国民健康保険料、税の軽減のために、条例の提案も行ってきました。所得が低い世帯には、その所得に応じて均等割保険料、先ほど局長からも答弁がありましたが、減免されています。けれども、均等割保険料自体が大幅に上がっているわけですから、減免された後の保険料も高くなっているわけです。
私たちの提案は、この減免の率をさらに引き上げて、国民健康保険料、税の軽減を行う、そういう区市町村に都が財政支援を行うというものでした。想定した予算額は七十億円です。命を守る国民健康保険の保険料、税を払えるものにして、都民の暮らしを支えていくことは重要ではないでしょうか。今度は知事、お答えください。
梶原福祉保健局長 先ほどから申し上げていますように、国民健康保険制度というのは国民健康保険法に基づく全国統一の制度でございます。さまざまな制度上の問題については、制度設計者である国が責任を持って検討すべきものと考えております。
和泉委員 知事は、初登庁の際に、やれない理由を考えるのではなく、どうすればやれるかを考えていただきたいと職員に語られました。私は高過ぎる国保料についても、都民の負担をどうすれば軽くすることができるのか、都として何ができるのか、本気で考えていただきたいと思います。
せめて、所得のない子供に賦課されている均等割保険料は、都として減免することを強く求めておきたいと思います。
これだけ保険料が高くて、払いたくても払えない、そんな状態になって滞納したら一体何が待っているか。まずは通常の保険証よりも期限の短い短期証が交付されて、やがて病院の窓口で一旦十割全額を払わなければならない資格証明書が交付され、財産や預金の差し押さえが行われます。
先ほど来、制度設計は国の責任だ、実施主体は区市町村だ、東京都は繰り返しこのような答弁をなさいますけれども、しかしながら、徴収を強化することや差し押さえをするときには、東京都はとても積極的にかかわっている、そのことを指摘しなければいけないと思います。
都の国民健康保険特別調整交付金で、収納率向上にかかわる取り組み成績に応じて交付されている交付金のうち、滞納処分に関するものの内容とはどのようなものになっているでしょうか。
梶原福祉保健局長 都道府県の国民健康保険特別調整交付金は、地域の実情に応じた区市町村の国保財政安定化のために必要な取り組み等に対して交付するとされておりまして、国のガイドラインでは、保険者の取り組みが収納率の向上などに資した結果に対して、都道府県ごとの基準により交付することなどが例示されております。
これを踏まえまして、都では、収納率向上の実績を上げた保険者や収納率向上のための対策を実施した保険者に特別調整交付金を交付し、保険料の収入確保の取り組みを支援しております。
このうち、滞納処分に関するものについては、新規差し押さえ件数、滞納世帯数に占める新規差し押さえ件数の割合及び被保険者資格証明書の発行割合に応じて交付を行っております。
和泉委員 今のご答弁にありましたとおり、差し押さえ件数に応じて都が交付金を出しているんです。国保に加入している被保険者数に応じて四段階に分かれていますが、十万人以上国保に加入している自治体であれば、百件以上新規差し押さえをすれば一千万円、三百件以上新規差し押さえをすれば二千万円、そして五百件以上やれば四千万円、差し押さえ件数に応じて交付金を出しているんです。
先ほど福祉保健局長は、区市町村の国保財政安定化に必要な取り組みに対して交付しているんだとおっしゃいました。国保財政安定化に必要な取り組みを進めるのに、差し押さえで都民の暮らしを窮迫させる、これっておかしくないですか。(パネルを示す)ご丁寧に、滞納世帯に占める新規差し押さえ件数の割合に対してまで交付金を出すという念の入れようです。そこにどれほどの税金が使われているんでしょうか。
適正な保険料、税の収納確保に関する事業とされているうち、滞納処分の取り組み促進として、差し押さえ件数に応じて交付しているもの、差し押さえ割合に対して交付しているもの、資格証明書の発行割合に対して交付しているものの金額について、直近三年間の交付実績をお伺いいたします。
梶原福祉保健局長 まず、今、滞納でというお話がありました。国民健康保険制度というのは、被保険者間の相互扶助を基本とした社会保険制度であり、その財源となる保険料の収納確保は制度を維持していく上の前提であります。
こうしたことを踏まえて、都は健全かつ安定的な運営の確保に向けて、収納率向上についても保険者である区市町村に指導助言を行っている。
あたかも何もしないで滞納処分を進めているというふうにおっしゃいましたが、区市町村は滞納者に対して督促や催告を行うほか(和泉委員「聞いたことに答えてください」と呼ぶ)納付相談により……
高橋副委員長 静粛にお願いいたします。
梶原福祉保健局長 生活状況を把握し、必要に応じて保険料の分割納付を案内するなど、きめ細かな対応を行っており、その上で財産があるにもかかわらず保険料を納付しない場合は、被保険者間の公平性を確保する観点からも……
高橋副委員長 答弁者に申し上げます。できるだけ簡潔に、聞いたことだけを答弁願います。
梶原福祉保健局長 法令に基づいて差し押さえを行っております。平成二十七年度における適正な保険料、税の収納確保事業に係る交付額は約四十一億二千三百万円であり、このうち差し押さえ件数に応じた交付額は八億二千五百万円、差し押さえ割合に応じた交付額は一億三千五百万、被保険者資格証明書の発行割合に応じた交付額は九千四百三十万円となっております。
和泉委員 平成二十七年度で十億円を超える税金がここに使われているんです。
この交付金が、区市町村をしゃにむに差し押さえや強引な徴収へと駆り立てています。居酒屋を経営しているある方は、国民健康保険料を払えずに滞納してしまった。そうしたらアルバイトに払う給料を預けていた口座が差し押さえられてしまった。アルバイトの給料分しか入っていない口座だそうです。
また、滞納で口座を差し押さえられ、慌てて区に行って相談をして、五千円ずつ毎月分納してきた方、この方は、区の担当者がかわった途端に、これまでの対応が変わって、住宅ローンを払って資産形成しているんだから、その住宅ローンと同額を分納額に回せと、分納額をふやせと責められたそうです。住宅ローンを滞納して自宅が競売にかけられたら、この方は住むところを失います。それでも区は滞納分の支払いを優先することを迫っているんです。このように、突然、分納額をふやせといわれたケースは一区だけではありません。ほかにもあります。
我が党が、都内五十三の区市町の調査を行った結果、給与、年金が振り込まれる口座と知っていても預金の差し押さえをしているという区市町は四十四に上っています。そのうち最低生活費を残さず差し押さえを行っているところも二十八あります。
国民健康保険の滞納処分は、国税徴収法の例に従って行われていますが、国税徴収法では、最低生活費を差し押さえてはならないこととなっているはずです。さらに、徴収すれば生活が困窮する可能性が高い場合には徴収を停止する、納税を猶予することもできることとなっています。
こうしたことを考えれば、国保料滞納に対する区市町村の今の対応は決して是認できません。都民の暮らしが困窮することがわかっていても、給与や年金を情け容赦なく差し押さえすることを、よりによって都があおるように差し押さえに応じた交付金を出していることを、知事はどう思われますか。ぜひ、調べていただけませんか。
高橋副委員長 答弁どうぞ。
〔和泉委員「知事にお願いします」と呼ぶ〕
梶原福祉保健局長 そのような事例があれば、まず区市町村の方に申し入れをしていただきたいというふうに思います。
私どもの理解をしている滞納処分とは、先ほども申しましたけれども、区市町村は滞納者に対して督促や催告を行って、納付相談により生活状況を把握して、必要に応じて保険料の分割納付を案内してきめ細かな対応を行っているというふうに私どもは認識をしています。差し押さえがあたかも悪いという、つまり、何もかも差し押さえは悪いということになるわけではないんじゃないですか。(発言する者あり)つまり、それぞれの生活……
高橋副委員長 簡潔にお願いいたします。
梶原福祉保健局長 生活実態に対して必要なものをやるということが必要だというふうに思っています。
和泉委員 知事はお答えにならないということでよろしいんでしょうか。私はこういった実態、知事、どう思われますかというふうに伺いました。もう一度伺います。
高橋副委員長 理事者に申し上げます。質疑の持ち時間に限りがありますので、答弁は質疑者の質問から逸脱しないように発言願います。
小池知事 ただいまの委員と、そして局長のやりとりなど、しっかり聞かせていただきました。
そもそもは国の制度でございます。そして、それぞれ都、そして、区市町村等々、それぞれの役割で、この持続可能な制度の確保ということに、それぞれが一生懸命取り組んでいるところでございます。
しかし、そこに全く、何というんでしょうかね、魂なくやっていると私は考えておりません。
和泉委員 これだけじゃないんです。我が党は、都が区市町村に対して行っている収納率向上対策説明会の資料を開示請求で入手しました。今でも、かなりの部分がノリ弁の状態になっています。ぜひ、私、このノリ弁の部分をコピーをとってきましたので、ぜひ知事にもお渡しをして、ごらんいただきたいというふうに思います。
〔小池知事「置いといてください、あちらに」と呼ぶ〕
高橋副委員長 ちょっと待ってください。発言席から出ないようにお願いいたします。
続けてください。
和泉委員 ごらんのように、今、示しましたように、まだかなりの部分がノリ弁の状態です。
滞納整理の進め方という資料では、収納率が低迷して財源不足が発生し、その補填として一般会計から繰り入れている。それが恒常化しているためか、それとも諦めか、その関係職員の問題意識が薄く、解決努力が足らないように見受けられるという記載があります。
そして、収納率の目標を達成できないのは、係長の勉強不足、現状認識の誤り、意思薄弱、指導力不足の場合がほとんどだとして、徴収強化を強めて収納率の目標を達成することを求めているんです。
さらに、滞納者が転出したら、提出先住所の居住を確認し、財産調査をすること、滞納繰越分の収納率が二〇%未満の保険者は、預貯金、給与、生命保険解約返戻金等の差し押さえを行うとともに、国税還付金の差し押さえの準備もすることなどとも記載されています。これ、都がやっているんです。行き過ぎた指導だとは思いませんか。
梶原福祉保健局長 必要な指導を行っているものと認識しております。
和泉委員 この開示請求した資料の中に、先ほどの特別調整交付金の説明資料も入っているんです。区市町村の徴収が、都民の暮らしを顧みないほど苛酷なものになっている、その背景には、こうした都の指導と交付金に原因があるということが想定されるんです。
このノリ弁の部分に一体何が記載されているのか、ちゃんと公開していただきたいというふうに思いますが、知事、いかがですか。
梶原福祉保健局長 国民健康保険、二十三区の場合、料でありますけれども、市部の場合は、当然、税なんですね。税の滞納整理、税をどのように取るかというのは、そういうノウハウがあるということで、黒塗りになっていると、こういうことであります。
和泉委員 ぜひとも、この黒塗りの部分、せっかく情報公開ということが一丁目一番地というふうに知事はお話しされているわけですから、この部分も含めて公開をしていただきたいというふうに思います。
全国には、税や国民健康保険料の滞納を住民の困窮の最初のサイン、そういうふうに捉えて生活を再建することを第一に考え、市民生活支援を行っている自治体があります。滋賀県野洲市では、税財源は市民生活を支えるための財源だ、市民生活を壊してまでは回収しない、滞納を生活状況のシグナルと捉えて市民生活支援を行っています。
そして、都のように隠したりせず、滞納整理事務基準や債権管理マニュアルもネット上で公開しています。滞納整理が取ることを第一の目的にしているのではなく、市民の生活を立て直すことを第一の目的にしていることが、こうした違いになってあらわれてくると思います。
滞納が発生すると、市民生活支援課に情報を集めて、そこからアウトリーチも行って、市民の生活困窮にいち早く対応し、さまざまな専門家の力もかりて、生活を安定させるための取り組みを行っています。国保料の滞納が続いた場合に交付されている資格証明書も、市独自に交付しないこととしている対象を広げています。
市の債権管理条例の中で、債務者が著しい生活困窮状態にあり、徴収することが著しく困難または不適当であると認める場合には、徴収停止や債権放棄ができると明確に位置づけています。
交付金を使って収納率を上げるなら、このような自治体の例に学んで、研修や視察を行うこと、そういう体制をつくること、生活再建のための相談窓口の専門員の人件費、協力してくれる弁護士やさまざまな専門分野の方たちにかかる費用などにこそ、交付金を出すべきじゃないんでしょうか。知事、検討していただけませんか。
小池知事 先ほど、突然この用紙を渡されました。ぜひ、委員長におかれましては、しっかりと議場整理をお願いいたします。
そしてまた、この中身につきましては、まだ拝見しておりませんが、基本的には個人情報にかかわる問題については、これはしっかりと守るということで、中のノリ弁云々とおっしゃっておられますけれども、それについては精査すべきだと、このように考えております。
また、先ほどから申し上げておりますように、国の制度でございます。今そのために改革が行われているところであり、それを都、そしてそれぞれの区市町村等々で、その事務に当たっているということでございます。
ご指摘の地方自治で のさまざまな例については、今、お聞かせをいただいたところでございます。ありがとうございます。
和泉委員 この野洲市だけじゃなくて、全国でも生活再建型の滞納整理に取り組んでいるところが幾つかあります。多重債務の返還金などを滞納税額に充当する、そういう取り組みが幾つもの自治体で行われてきました。
しかし、多重債務による過払い金の返還が法律の施行とともに減っていく、その中で取り組んでいる自治体の実績も少なくなっているようですけれども、生活再建を第一の目的にして取り組んだところでは、職員が丁寧に聞き取りをする中で、払う気がない悪質な滞納者、そう思っていたようなケースでも、払えない事情がある、本当に悪質な滞納者というのはごくわずかだということに気づいていくという点が共通しています。
そして、市民と向き合い、適切に専門家につなぎ、生活再建を図る支援を行うことで、市民の信頼を得て感謝され、それが自治体職員としての喜びや誇りにもつながっています。自治体のあり方の問題として、都は、全国のこうしたすぐれた事例にも学んでいただくよう、強く要望しておきます。
和泉委員 続いて、高齢者福祉についてです。
本会議の代表質問で、知事は我が党の質問に対し、低所得で暮らす高齢者の方も安心して暮らせるまちにしていきたいという趣旨の答弁をなさいました。重要な答弁だったというふうに思います。
高齢となっていく親たちの世代が、その高齢期を健やかに安心して暮らせることは、現役世代が生き生きと働き、安心して子育てをするためにも重要です。どの世代も、どんな状況であっても、その暮らしを支えることができる東京であってほしいと、私も強く願っています。
保育に関しては、この間、都もさまざまな補助拡充を行ってきました。知事も就任後すぐに緊急対策を打ち出し、補正予算もつけて対応されてきました。
しかし、高齢者施設でいえば、二〇一七年度予算案では、特別養護老人ホームで、今年度比三十七億円の減額を初めとして、ショートステイ整備費補助、認知症高齢者グループホーム緊急整備、地域密着型施設など、さまざまな施設整備費補助が減額されています。
高齢化が急速に進行するといわれる東京都における高齢者施設の整備のおくれは深刻だというふうに思いますが、知事の認識と対応についてお聞かせください。
小池知事 今ご指摘の高齢者施策でございますけれども、多くの高齢者、さまざまな世論調査などございますが、たとえ介護が必要となっても、できる限り住みなれた地域の中で暮らしたいと望む数は大変多うございます。
そういう中で、私はこうした都民の気持ちに応えられる、そんな東京にしていきたいと考えております。
そのためには、特別養護老人ホームなどの介護サービス基盤の整備を進める、そしてまた、住まい、医療、介護、生活支援サービスを地域の中で一体的に提供していくという、いわゆる地域包括ケアシステムの構築が必要だと、このように考えております。
昨年策定いたしました二〇二〇年に向けた実行プランの中にも、高齢者の人口の将来推計、そしてまた、区市町村のサービス見込み量を踏まえまして、平成三十七年度末までに、特別養護老人ホームの定員を六万人分確保するという具体的な目標を掲げたところでございます。
その実現に向けましては、都は独自に、施設整備費の補助、そして土地賃借料の負担軽減など、さまざまな工夫、取り組みを実施いたしておりまして、来年度は、広域的に利用できる特別養護老人ホームの整備のための交付金制度を創設するところでございます。
和泉委員 ところが、このパネルを見ていただきたいと思うんですが、東京の介護老人施設の定員数です。特養ホームが四十一位、小規模特養、老健施設、グループホーム、小規模多機能の事業所はいずれも四十七位、全国最下位です。
これは打開が強く求められていると思いますけれども、知事、いかがでしょうか。
梶原福祉保健局長 今、そこに全国四十七位というふうにありますけれども、介護基盤を議論する場合については、在宅サービスも議論しなきゃいけない、それから、サービスつき高齢者も議論しなきゃいけない、それから、いわゆる介護つき有料も議論しなきゃいけない、介護つき有料というのは全国トップなんですね。それから、在宅ケアも全国のベスト十位以内に全て基本的には入っています。
ですから、我々、介護基盤を進めていくには、在宅サービスと、それから、施設サービスをバランスよく整備していくことが必要だというふうに認識しております。
和泉委員 私は、施設整備がおくれている実態を示すために、この表をお示ししました。例えばホームヘルプサービスが上位だよというようなことであっても、それで施設整備の四十七位が相殺されるわけではないと思うんですね。
年金の削減や保険料の値上げ、医療費負担の増大など、高齢者の暮らし向きは本当に年々厳しいものになってます。知事がおっしゃるとおり、高齢者が可能な限り住みなれた地域の中で暮らす、そのためにも、ショートステイや地域包括支援センターなどが併設できる特養ホームというのは、介護の拠点として非常に重要だと思います。
在宅でという方も、ぎりぎりまで頑張って在宅で過ごしても、介護する側も多くは高齢ですから、支え切れなくなるケースが多いです。
これからもっと多くなっていきます。そんなとき、区部だと住んでいる地域で入所したいと思ってもなかなか順番は回ってきません。電車で一時間、二時間のところだと比較的スムーズに入所できますが、そうなると家族は行きたくても、おいそれとは行けません。
一方、妻が区内の特養ホームに入所できた方は、私の知り合いの二夫婦とも、毎日妻のところに通っています。その方々は、特養ホームに入所する以前は、同じ特養のショートステイを利用したり、小規模多機能を利用していましたから、知っている施設、知っている職員のところにそのまま入所できました。日常生活の継続性が切れない、これは、高齢者にとってとても重要なことだと思います。
住みなれたところに特養ホームを整備することが重要だと思いますが、知事、いかがでしょうか。
小池知事 地域包括ケアシステム、そして高齢者施策についてのご質問でございました。
まず、地域包括ケアシステムの構築を進めるためには、ショートステイ、そして地域密着型サービスなど、身近な地域で整備していくことは重要でございます。
そのために東京都として、特別養護老人ホームに、こうしたサービスを併設する場合に、整備費補助を加算しているところでございます。
また、高齢者の人口に比べて整備状況が十分でない地域への重点的な支援も行っております。
来年度からは、区市町村の所有地を活用して施設整備への支援を開始するなど、さまざまな施策の充実を図っているところでございます。
先ほど申し上げましたように、実行プランにおいては、これからの区市町村のサービス見込み、それから、高齢者人口の将来推計などを踏まえて二〇二〇年の実行プランを組み、そして特別養護老人ホームの定員を六万人分確保するという目標を掲げていると申し述べたところでございます。
広域的に利用できる特別養護老人ホームの整備のために交付金制度も創設すると、このような対応をする考えでございます。
和泉委員 ぜひ、地域に特養ホーム増設ができるように大いに支援していただきたいと思うんですが、そのためには、土地の確保が非常に引き続き重要な課題だと思います。
私の地元の葛飾区には、広大な都営高砂団地の建てかえ跡地があります。この地域に特別養護老人ホームをつくってほしいと多くの区民から声が上がっています。
これを受けて、区は都に対して、二〇〇八年、二〇一一年と要望書を出しています。昨年十月二十五日、高砂地区センターで開催された区民と区長の意見交換会では、三人の区民からの質問に区長が、特養も含めて順次整備を進めていくと答えました。区の担当課にも確認しましたが、創出用地の利用計画の中に特養ホームの増設を盛り込んでいくつもりだということです。
今後、区から計画が上がってきたときには、ぜひ都として計画が具体化するように進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
邊見東京都技監 都営住宅の建てかえによる創出用地は、都民共有の財産でありまして、まちづくりに効果的に活用し、都の政策目的の実現や地域の課題解決を図ることが重要でございます。
このような用地を活用し、これまでも道路や公園、福祉施設の整備など、地元区市の要望も踏まえ、さまざまな取り組みを進めてきてございます。
今後とも、都営住宅の建てかえにおいては、地元区市と連携し、地域の特性や個々の土地の状況などを勘案しながら創出用地の活用を図ってまいります。
和泉委員 地元区市と連携して創出用地を活用するという答弁ですから、葛飾区と連携して進めていただけるというふうに受けとめたいと思います。長年、住民の皆さんが切望してきたわけですから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
待機児童緊急対策で、都有地活用推進本部及びとうきょう保育ほうれんそうが設置されて、利用可能な都有地の洗い出しや区市町村、事業者への情報提供が行われています。大変大事な取り組みだというふうに思います。
知事に伺いますが、この取り組みを特別養護老人ホームにも広げて、都有地活用による整備促進について検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。都有地活用は、保育園とともに、特別養護老人ホームの整備促進にも大きな力になると思いますが、知事に伺います。
梶原福祉保健局長 都は現在、地域の福祉インフラ整備を促進するため、保育所を初め、福祉施設の運営事業者に対して、未利用の都有地を減額して貸し付けております。
保育所のほか、高齢者や障害者の施設も当然、貸し付けの対象としており、区市町村の意向によって、それらの施設を整備することも可能となっております。
今後とも、区市町村が地域のニーズを踏まえて福祉インフラの整備を進められるよう、都有地の有効活用を図ってまいります。
和泉委員 人材確保も、各施設とも本当に苦労しているんです。一昨年、介護職員が確保できずにショートステイを休止せざるを得なかった、そういう特養ホームは、現在は何とか職員を確保していますが、常時職員を募集しているような状態です。
特養ホームを増設するためには、保育士と同様に、介護職員の処遇改善が急務だと思いますが、知事の所見を伺います。
小池知事 今後、ますます高齢化は進展することでありましょう。そして、介護ニーズの増大も見込まれることでありましょう。介護人材の確保、定着というのは、まさしく大きな課題、東京の、そして日本の課題だと考えております。
そのため、東京都といたしまして、来年度、キャリアパスを導入する事業者への支援を充実いたしまして、職責に応じた処遇の実現につなげてまいりたい、このような措置をとります。また、介護職員の宿舎の借り上げを支援する事業も拡充をいたしてまいります。
それから、介護保険サービスと保険外サービスの一体的な提供を可能とすることによりまして、利用者の利便性の向上、そして職員の処遇改善が期待されます選択的介護の実現に向けまして、国家戦略特区を活用したモデル事業の準備も進めているところであります。
和泉委員 そうはいっても、キャリアパスは十七億円です。保育士の方は、一方、二百四十四億円計上しているんです。やっぱり実質的に人件費総額が大きくならなければ、なかなか処遇改善が行き届かないということになるだろうというふうに思います。
介護職員の処遇改善はまさしく急務です。この問題の改善が今後の増設計画にも大きな影響を及ぼすと思います。都としての取り組みを求めて、終わります。
以上