築地市場の豊洲新市場移転計画を中止し、 現在地再整備の本格的な検討を求める申し入れ
東京都知事 小池百合子殿
築地市場の豊洲新市場移転計画を中止し、
現在地再整備の本格的な検討を求める申し入れ
2017年3月24日
日本共産党東京都議会議員団
日本共産党都議団は、かねてから築地市場の東京ガス豊洲工場跡地への移転について、中止を含む抜本的再検討を求めてきました。
今日の事態は、豊洲移転はきっぱり中止するとともに、築地市場再整備の本格的な検討が必要になっていると考えます。
第1に、地下水汚染が深刻なことがいっそう明らかになったことです。
今年1月には、豊洲新市場の土壌汚染対策工事の適否を確認するための第9回モニタリング調査で、環境基準の79倍のベンゼンが検出されたことをはじめ、測定井戸の3分の1を超える全街区のモニタリングポストでベンゼン、ヒ素、シアンが基準値を超えて検出されました。
3月19日には、この結果を受けた専門家会議による再調査で、環境基準の100倍のベンゼンそして環境基準を上回るヒ素、シアンなどが27の再調査地点のうち25地点で検出されたことです。
東京都は、都民に対し、市場の安全・安心を確保するため、地上も地下も環境基準以下にすることを都民に約束してきましたが、まさにいま、豊洲新市場は安全・安心が保証できない致命的な欠陥があることが明らかになりました。
第2に、豊洲新市場の汚染は、築地市場の汚染とは質的に全く違うことです。
東京都が4年前に行った築地市場の調査によって、有害物質が検出されているとのことですが、その内容は、有害物質は環状2号線の整備に向けた調査で、ヒ素が環境基準の2・4倍、フッ素と他の元素との化合物が環境基準の1・8倍検出されたというものです。現場は、隅田川と築地市場の境で、昭和初期に埋め立てられた場所であり、現在は環状2号線の橋の基礎が整備されているところです。
米軍に接収されていた時代の洗濯工場で使われていた溶剤は、現在使われている有害化学物質ではありません。また、ガソリンスタンドも、ベンゼン汚染源になりうるものですが、専門家は東京ガス豊洲工場跡地のように大量のタールに含まれたものとは違うため、その揮発性により、土壌中に残留しているものは少ないと考えられるとしています。また、現存するアスベストは、飛散しないよう封じ込められています。
これに対し、豊洲新市場は、東ガス工場時代に垂れ流した大量のタールなどが土壌、地下水中に残留したものであり、全域的に高濃度のベンゼンなどで汚染されていた地域であり、環境への重大な影響を今日もなお及ぼしているものです。
第3に、都民と市場業者の多数が、豊洲新市場移転に反対していることです。
最近のマスコミ調査では、豊洲移転に反対が43%、賛成が29%で、その後移転反対はさらに増えています。「築地おかみさんの会」が作られ、移転反対の賛同署名に取り組んだ結果、水産仲卸業者の7割が「移転反対」という結果になっています。
第4に、築地市場の再整備は十分可能です。
すでに現在地再整備のあり方について、ローリング方式や耐震補強とリフォームを組み合わせた方式など様々な提案がされています。どのような工法をとるにしろ、築地再整備は、費用の面でも、工事期間の面でも十分可能です。
よって、日本共産党都議団は以下のことを小池知事に強く申し入れるものです。
- 築地市場の豊洲新市場への移転をきっぱり中止するとともに、現在地での再整備について、都民、専門家の英知を集め、市場関係者の合意を得ながら、本格的に踏み出すこと。
- 石原都政以来、18年の長きにわたり、必要な修繕・補修を怠ってきた築地市場の本格的改修、補修を急ぎ、衛生面の対策を強化することが必要です。また、築地市場については、環状2号線仮設工事を中断すること、汚染状況の調査を直ちに行い、必要な対策を講じること。
なお、日本共産党都議団は、築地市場の東京ガス豊洲工場跡地への移転に一貫して反対してきた党として、豊洲新市場への移転をめぐる闇をただすために、ひきつづき全力をつくすものです。
以上