本会議 とくとめ道信都議(板橋区選出)の中途議決討論
3月8日、都議会第1回定例会の中途議決討論をとくとめ道信議員(板橋区選出)がおこないました。
討論全文は以下のとおりです。
2017年 都議会第1回定例会 中途議決討論
3月8日 徳留道信(板橋区選出)
日本共産党都議団を代表して、第70号議案の平成28年度13号地・新客船の埠頭岸壁・駐車場等用地の、建設工事請負契約には反対し、その他の議案は、全て賛成する立場から討論を行います。
第70号議案は、世界最大級の大型客船の埠頭整備に関連した、岸壁駐車場などの建設工事の請負契約ですが、わが党は横浜港をはじめ全国各地に、豪華客船の埠頭がある中で、さらなる埠頭整備を進めることは、再検討すべきとの立場から反対です。
次に第48号議案、「東京都イノベーション創出基金条例」について、意見を述べておきます。条例文に「中小企業」という文字がありませんが、今後の予算編成の中で、中小企業が事業を継続、発展させることに役立つよう、この基金が積極的に活用できるようにすることを、強く求めておきます。
さて、3月4日の豊洲市場移転問題の特別委員会で行われた参考人質疑について申し述べます。質疑の中で、地下水モニタリング調査の内、土壌汚染対策や豊洲市場建設を実施したゼネコンが担当した調査に、疑惑が浮かびあがりました。
そもそも土壌汚染対策法のガイドラインなどによれば、地下水を採水する場合には採水井戸に溜(た)まった水をパージ、すなわち排水した後に、湧き出した水を採水することになっています。ベンゼンなどは揮発しやすく、ヒ素などは沈澱しやすいため、余り時間をおかずに採水することが必要とのことです。
ところが1回目から3回目の採水を担当した日水コンは、パージ作業を、それぞれの街区の土壌汚染対策工事を行ったゼネコンJVに委託し、パージした後、24時間前後の時間が経過してから、日水コンが採水をしたことが質疑の中で明らかになりました。
4回目から8回目のモニタリング調査は建設工事を行ったゼネコンJVが行いましたが、こちらもパージ作業から1日から2日も時間が経過してから採水していたことが明らかになりました。1回目から8回目の採水は明らかに時間をかけ過ぎであり、ベンゼンなどは揮発し、ヒ素などは沈澱によって、数値に影響があったのではないかという疑いが生じます。
しかも、日水コンは、採水した試料を会社に持ち帰り、その後、都に持ち込んで都職員の確認を得てから、分析会社に送付するという不可解な行動をとっているのです。
そもそも、1回目から8回目までのモニタリング調査に、豊洲市場予定地の土壌汚染対策を行った企業が、関わっていたことも重大な問題です。自ら行った土壌汚染対策の検証を、自らが行うということでは、客観性が保てるかどうか、はなはだ疑問だと言わなければなりません。
これに対して、9回目のモニタリング調査を行った湘南分析センターの参考人は、都の立ち合いのもとに都職員の指示に従って採水を行い、土壌汚染対策法のガイドラインに即して、サンプリングを行ったと発言しています。
器材は常に新しいものを用いて、他の試料からの汚染を避ける配慮をしたとのことです。水没や破損などがあった59ヵ所のモニタリングポスト、即ち採水井戸についても、都にその事実を確認して、対策後に都の了承のもと採水を行ったとのことです。パージ後も当日中に採水し、試料の揮発や沈澱を防ぐ配慮がなされています。
また分析についても、揮発性の高いベンゼンは当日のうちに、定められた方法に基づき速やかに分析したとしています。さらに、分析の機械も複数台を使って、同様の結果を得たことも明らかにしています。
さらに、東京都環境科学研究所が湘南分析センターに残っていた試料のシアンを分析し、湘南分析センターと同様の分析結果が得られた事実も明らかにされました。
にもかかわらず、なぜ都は9回目の結果については、仮の値である「暫定値」として扱ったのでしょうか。その一方で1回目から8回目までは、計量証明書のみでなぜ確定値としたのでしょうか。あまりにも、不可解だと言わざるを得ません。
日本共産党東京都議団は、1回目から8回目までの地下水モニタリングのあり方について、東京都としても、都議会としても厳しく検証して真相究明を行うべきだということを、強く申し述べ、討論を終わります。
以上