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申し入れ・談話

2017.02.14

都知事の発言を受けた東日本大震災・福島第一原発事故による福島県からの自主避難者の居住支援の申し入れ

東京都知事 小池百合子殿

都知事の発言を受けた東日本大震災・福島第一原発事故による福島県からの自主避難者の居住支援の申し入れ

2017年2月13日
日本共産党東京都議会議員団

 今年3月末をもって、福島県の避難指示区域外からの避難者(自主避難者)に対する住宅支援が打ち切られることに対し、現在、お住まいの方の不安が大きく広がっています。
 東京都が昨年、二度にわたり、計300戸の都営住宅を自主避難者向けの優先入居として募集したことは、重要です。しかし、この応募資格は、非常に厳しい世帯要件・収入要件が課されており(※)、多くの自主避難者世帯が応募する権利も得られませんでした。

※ひとり親世帯、高齢者世帯、心身障害者世帯、多子世帯、小さな子どもがいる世帯で、かつ所得が月額15万8千円以下(※二次募集では特別区分の方は月額21万4千円以下)という低所得世帯。それ以外の世帯では、同居家族のいる世帯で月額6万5千円以下、単身世帯で生活保護を受給しているという極度に低所得の世帯。

 例えば、震災・原発事故時は小・中学生だった子どもも、5年経った現在では、高校・大学生となっており、これからますます教育費負担が重くのしかかるにもかかわらず、小さな子どもがいないからなどの理由で応募資格を得られなかった世帯があります。
 こうしたことから、自主避難者717世帯のうち、優先枠に当選された方は3割弱の191世帯にとどまりました。
 また、都営住宅に当選した世帯で、現在住んでいる団地に当選した場合に、そのまま住み続けることができるようにしたことは前進ですが、多くの方は、現在住んでいる団地の募集枠が少なかったため、当たっても、別の団地への転居が迫られています。この中には、週3度の人工透析や心臓病の治療を受け、医師から転居は止めるよう言われている方もいます。
 数多くの世帯が、退去の不安、高い家賃の負担、引越しの負担、この五年間の避難生活でようやく築いてきたコミュニティや学校生活を失う不安など、困難にさらされています。
 こうしたなか、小池知事が、昨年12月20日に内堀雅雄福島県知事と会談した際、「引き続きできるだけ多くの方々がお住まいいただけるような制度にしたい」と語ったことが多くのメディアで報じられており、自主避難者の方々に希望をもたらしています。
 東京都は、復興五輪をかかげる立場からも、福島県にある原発の電気を大量に消費してきた立場からも、首都直下地震が発生したときには多くの都民を全国の道府県に避難者として受け入れてもらわなければならない立場からも、東日本大震災・福島原発事故の被災者に、できうるかぎりの支援を行うことが求められています。
 日本共産党都議団は、昨年10月28日、小池知事に「原発事故による福島県の区域外避難者への住宅継続についての申し入れ」を行いましたが、自主避難者への都の支援策として、改めて以下のことを求めるものです。

一、都として、現在、避難している住居での無償提供を継続するための措置を行うこと

 鳥取県では、「被災県の復興の遅れや被災者が最も不安感を持っている住まいに対して安心感を与え」るため、独自の支援策を決定しています。公営住宅では、地方自治法第238条の4第7項(「行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる」)に基づく「目的外使用」の制度を活用して、県独自で、2018年度末までの無償提供延長を決めています。また、民間賃貸住宅の借り上げも、県独自の施策として、延長を同じく2018年度末まで決めています。都の決断でこうした措置に踏み出せば、自主避難者の居住継続は可能であり、引越しの不安や家賃の負担はなくなります。

二、一の措置が困難であっても、都営住宅の優先枠について、世帯要件や収入要件を大幅に緩和したうえで再度募集を行うこと。自主避難者に対し、家賃や引越し代の補助を行うなど、可能なかぎりの負担軽減の措置を行うこと
 埼玉県や神奈川県、新潟県などでは、県営住宅の一般募集と応募要件を同一にしています。そのため、月額の所得が15万8千円以下であれば、同居家族のいる世帯や、年齢など一定の条件を満たす単身世帯には、県営住宅では応募することができます。
 また、新潟県では、月額所得21万4千円以下で小学生、中学生の子どもがいる世帯に、福島県からの家賃補助にさらに1万円の家賃補助を上乗せして、民間賃貸住宅の家賃負担を軽減しています。公営住宅に移転する自主避難者へは5万円を上限とした引越し費用の助成も行っています。

三、福島県による応急仮設住宅の打ち切り期限である3月31日が過ぎても、自主避難者の方々を強制的に退去させるようなことはしないこと。また、都や都の委託業者が、自主避難者の住居や生活の相談を行う際、調査や訪問を強要しないこと。以上の姿勢を、都として公に表明すること

四、一から三のことを進めるためにも、小池知事が、東日本大震災・福島原発事故による避難者の声を直接聞く機会を早急にもうけること

五、国に対して、国家公務員宿舎の無償提供を継続するよう求めること
 都内の自主避難者の3分の1以上を占める国家公務員宿舎については、昨年12月22日に所得21万4千円以下の世帯が2年間の限定で居住継続ができることになりましたが、条件が厳しく、家賃も駐車代も全額負担となるため、避難者からは「結局、出ていかなければならない」という声が出されています。無償提供継続のための必要な措置をとるよう国に申し入れてください。

以上