命を軽視する東京五輪の観客上限1万人に抗議し大会中止を求める(談話)
命を軽視する東京五輪の観客上限1万人に抗議し大会中止を求める(談話)
2021年6月23日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 和泉なおみ
東京2020オリンピック・パラリンピックの観客数について、東京都、政府、大会組織委員会、IOC、IPCは5者会議を開き、定員の50%以内で1万人を上限とすることを決めました。全体のチケット数は272万枚となります。オリパラ期間中に都内で90万人とされている学校連携観戦も、海外などからの大会関係者も、上限1万人の枠外とされています。
新型コロナウイルス感染拡大防止のために最も重要な「人流抑制」とは正反対の決定に、多くの都民は驚きと怒りの声を上げています。
「観客あり」の開催に固執し、政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長ら専門家による、開催の場合でも「無観客が望ましい」との提言を無視した、5者会議の姿勢は重大です。東京都医師会は、五輪の開催は大会による感染拡大や医療圧迫がないことが必須条件だという意見書を送付していますが、これに対しても、条件をクリアできる根拠やリスク評価は示されていません。
学校連携観戦が1万人の枠外であることも大問題です。種目によっては子どもたちだけで1試合平均1万4千人、最多で1万6千人が参加予定のものもあり、これだけで上限1万人を上回り、一般観客や大会関係者と合わせると少なくとも2万人~3万人規模になります。子どもたちは公共交通機関を使って移動することになっています。ワクチン接種の対象外の子どもたちを危険にさらす行為は、ただちにやめるべきです。
緊急事態宣言が21日に解除されましたが新規感染者数は下げ止まり、増加傾向です。国や都はこの1年以上、都民に自粛や休業、営業時間短縮、酒類提供の制限、イベント規制などを強い、生活と営業に大きな打撃を与えながら、科学的な対策は不十分でコロナを抑え込めずに来ました。五輪だけを特別扱いし観客を入れて開催しようとする都や国に、都民は不信を募らせています。
中止や無観客を求める世論は6割にのぼり、9割の国民が、開催によって感染が再拡大する不安を感じると回答しています。ワクチン接種はまだ途上のうえ、感染力の強い変異株の脅威があるなかで、巨大スポーツイベントを観客ありで開催し、都道府県を超えた人の移動を大量に発生させれば、感染拡大リスクが極めて高くなることは、誰が考えても明らかです。
命より五輪を優先することは許されません。
日本共産党都議団は改めて、東京都および国が五輪中止を決断し、コロナ対策に集中することを厳しく求めるものです。
以 上