財政委員会 公文書館など都有施設のZEB化について 米倉春奈都議(豊島区選出)
〇米倉委員 私からは、まず公文書館の取組について伺います。気候危機への対応に関わって、このことを伺っていきたいと思っています。
今、この課題は世界や日本でも待ったなしの大問題となっております。既に世界や日本でも、異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災などに襲われる非常事態という状況です。既に世界の平均気温は一・一度から一・二度上がっていると指摘をされていますが、このまま必要な対策が取り組まれずに気温上昇を許してしまうと、気候変動による影響が連鎖をして悪化が止められなくなると、破局的な事態を怪異日しなければならないという状況です。
あと十年足らずで、そのためには二〇三〇年までに全世界のCO2排出量を半分近くにまで減らせるかどうかというところに人類の未来がかかっている状況になっています。
東京は、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、これ事務事業のときにも伺いましたが、そのときに都自らが省エネの推進や再エネの導入を率先して取り組むことが必要だと認識を述べられました。本当に大事だと思います。
財務局は、都有施設を管理して、特に大規模な建築物の新築改築、また改修などを行いますから、この分野で果たす役割は大きいと考えています。
まず伺いたいのが、都は公文書館を都有施設初のZEB化を実施する建物として改築をしていますが、その経緯や目的を伺います。
〇金子技術管理担当部長 公共建築物に係るZEB化の動きといたしまして、平成二十六年四月にエネルギー基本計画が閣議決定され、国におきましては二〇二〇年までに新築公共建築物等でZEBを実現することを目指すことが示されました。
都では、こうした動きを踏まえまして、一層の省エネ化と再エネ設備の導入を推進するため、建替えを検討中でございました東京都公文書館に最新の省エネ技術の導入等を図り、ZEB化実証建築として整備することといたしました。
あわせて、運用実績等の検証を行い、そこで得られた知見や省エネ機器の技術開発等の動向を踏まえながら、省エネ化や再エネ設備導入の取組をさらに進めていくことといたしました。
〇米倉委員 では、公文書館はどういう水準の建物として建築しているのか、また費用は通常の水準と比べてどのくらい多くかかっているのでしょうか。
〇金子技術管理担当部長 ZEBの分類といたしましては四つございます。エネルギー消費量を基準となる建築物より四〇%以上削減したZEBオリエンテッド、五〇%以上七五%未満まで削減したZEBレディ、さらに再生可能エネルギーと合わせ七五%以上一〇〇%未満まで削減したニアリーZEB、一〇〇%以上削減した、いわゆる真のZEBとなっております。
東京都公文書館につきましては、ニアリーZEBを目指して整備いたしました。屋根や外壁などの二重化による高断熱化、高効率空調機器の採用、大容量の太陽光発電設備など、ZEB化に伴う省エネ化や再エネ設備の導入に係る費用は、全体工事費約六十五億円のうち約一割となっております。
〇米倉委員 今ZEBの分類のところから説明していただきました。なかなか耳で聞くだけだと分かりにくいかなと思って、環境省のホームページの一部をコピーして、資料として配らせていただきました。
今のご説明のとおり、ZEBの今定義として四つあるということで、このお配りした資料でいいますと、右下の青いZEBオリエンテッドが一番省エネで減らすエネルギー量が従来の建物と比べて少ない、四割だとか、ホテルだとか病院については三割の省エネというふうになります。その次に、省エネをさらに引き上げて、五〇%以下まで削減するというのがZEBレディ、左側ですね。その上、右側赤で囲まれているニアリーZEBというところが、従来のエネルギーと比べて二五%以下に省エネと再エネで削減すると。そして、真のZEBとおっしゃいましたが、省エネ創エネでエネルギーをゼロ%以下にするのが、そのZEBということでした。
公文書館はニアリーZEBということで、右上の二五%以下の水準でつくられたということです。
東京都の情報を見ますと、この公文書館ですが、屋根は二重床スラブとして、その間に五十センチの断熱材を入れて、外壁も断熱材を取り付けた二重の壁となっているということです。いわば建物全体を魔法瓶のような構造としているということで、設計段階では基準となるエネルギー消費量に比べて、約九〇%の削減が行われているということです。
公文書館は二〇二〇年四月に開館しましたが、開館後、公文書館のエネルギー消費量はどうなっているのか、改築後にエネルギー消費の状況について、どのように分析しているんでしょうか。
〇金子技術管理担当部長 現在検証中でございますが、直近一年間の実績では、約八割のエネルギーを削減いたしました。
再生可能エネルギーである太陽光発電につきましては、令和三年度の数値は暫定でございますが年間三十万キロワット以上発電しております。
令和二年四月の開館以降、空調設備などの効率的な運転を目指して、データの分析や空調システムの設定調整など、省エネチューニング等を実施しております。
〇米倉委員 今まだ空調システムの設定調整などを行っている最中ということですが、既に約八割のエネルギーを削減しているということです。
私、総務局に太陽光発電のこの状況についても詳しく伺ってみました。公文書館の電力使用量との関係で、もちろん館で使いきれなくて売電している部分はあるんですが、そういうところを含めると、全体の電気の電力使用量の四割以上の分を太陽光で発電しているというぐらいの発電をされているということで、やはり可能な限りパネルつけていくということも非常に重要だなと思いました。
公文書館のこの実証を今後の第三次十か年維持更新計画にどう生かしていくんでしょうか。
〇飯泉施設整備担当部長 現在策定中の大惨事計画では、環境負荷の一層の提言を取組の一つとして掲げてございます。
今の維持更新にあたりましては、公文書館で得られた知見も活用し、施設の用途や特性を十分踏まえたうえで検討を行ってまいります。
〇米倉委員 得られた知見を活用していくということ、大切だと思います。この得られた知見や情報についてですが、これは財務局内だけでなく、都庁内でも共有していただきたいと思っています。
あわせて、都民も見られる形で共有していただきたいと思っています。広くこの実証が、知見が生かされるようにしていただきたいと要望しておきます。
この第三次計画についてなんですが、環境負荷の一層の提言を盛り込んでいまして、省エネ・再エネ東京仕様を適用して省エネと再エネを進めるとしています。
また、ゼロエミッション都庁行動計画に基づき、ZEBレディ、省エネで五〇%まで減らす、またZEBオリエンテッド、四〇%以上の省エネ、そしてさらなる省エネを導入していくということを、それ以上の削減を目指すとしています。
第二次計画には示されていない省エネなどの目標が今回盛り込まれたことは需要です。
この第三次計画で改築改修することで、エネルギーの使用量は現状の対象になっている建物から比べて、どのくらい減ると見込んでいるのか、現在のエネルギーの使用量と改築改修後の見込みについて伺います。
〇飯泉施設整備担当部長 第三次計画で予定している各施設につきましては、現時点では、改築改修後の規模などが決まっていないことから、計画ではエネルギー削減量を見込んではございません。
なお、各施設の設計では、基準となる建物のエネルギー消費量と比較し、削減量の検討を進めていくこととしてございます。
〇米倉委員 今の時点で、この第三次計画で改築改修する施設のエネルギー使用量を把握されていないということだと思うんですが、ただ、予算規模は出していらっしゃるわけですよね。だから、具体的に、どの施設のどの建物を改修するというような大まかな見込みは持っていらっしゃるわけで、ぜひエネルギーについても公表していただきたいなと思っています。
今のご答弁の段階で、各施設は設計の段階ではエネルギー削減量がどの程度になるか把握すると、削減量を検討するということですから、今後、各施設の改築改修の具体化が進むとエネルギーの削減がどのくらいの量になるか分かってくるということだと思うんです。
今、気候危機への対応として、建築物の対策が公の施設でも民間施設でも重要になっていますから、都が具体的にこうした努力を進めているということをお知らせしていくというのは非常に重要だと思います。
今後、今の状況でエネルギーの使用量どうなっているかというところも把握していただいて、同時に、十か年のこの計画を通して、都有施設のエネルギー使用量がどの程度減っていくのかということも都民に向けて示していただきたいと要望しておきます。
都は、十か年維持更新計画で、改築改修した建物について六十五年使えるようにするということです。気候危機の対応を考えたときに、二〇三〇年のカーボンハーフ、二〇五〇年ニュートラルを踏まえた可能な限り努力を高めていくということが求められています。
この第三次計画では、エネルギーについて、都がこれまで取り組んできた省エネ・再エネ東京仕様と、そしてゼロエミッション都庁行動計画で掲げている目標、一次エネルギーを原則三〇から五〇%以上削減するということが盛り込まれています。
この省エネ・再エネ東京仕様ですが、ここ二つ掲げられているんですよね、エネルギーについて。この東京仕様の方ですが、これは省エネと再エネのそれぞれの技術項目について、建物の用途や規模別に、この建物だとこの技術は原則導入ですよと。一方でこの技術は、施設の特性、立地状況等に応じて導入してくださいねというようなものになっています。
ですから、各国が、この仕様を参考に、施設の改修改築時に導入をけんとうするとなりますが、これは掲げたエネルギー削減の目標を達成するというための性質のものではもともとないと思うんですね。
それで、この目標に、東京仕様のこととゼロエミ都庁行動計画、二つのことが目標として書いているんですが、この省エネ・再エネ東京仕様とゼロエミッション都庁行動計画、ここで掲げる目標はどう関係しているのか伺います。
〇金子技術管理担当部長 令和三年三月に策定されましたゼロエミッション都庁行動計画におきましては、都有施設の整備に当たり、ZEBレディや、規模用途によってはZEBオリエンテッドとなる水準相当を目指した上で、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの利用を推進し、ゼロエミッション化を目指した建築物の実現に取組むこととしております。
一方、省エネ・再エネ東京仕様は、東京都建築物環境計画書制度の省エネ評価などにおいて、最高評価であるエネルギー消費量三〇%削減を目指して策定しております。
これまでも、この東京仕様につきましては、省エネ技術の動向を踏まえ見直しをしてございまして、引き続き、都有施設のZEB化に取り組んでまいります。
〇米倉委員 ゼロエミ都庁行動計画では、一次エネルギーが原則三割から五割以上削減ということで、今のご答弁だと、省エネ・再エネ東京仕様は三〇%削減だよということです。東京仕様については、省エネ技術の動向を踏まえて、見直しは今後もされるということだと思うんですが、やはり、この都庁行動計画との関係でも、この東京仕様のバージョンアップ自体必要だと考えます。そこはいかがですか。
〇金子技術管理担当部長 現行の省エネ・再エネ東京仕様におきましては、三千平米の庁舎間取りについてでございますが、令和二年の改定により、既に六〇%程度の削減を見込んでおります。
また、学校モデルにつきましては、既に見直しに取りかかっているところでございます。
〇米倉委員 ぜひ、これ都庁行動計画との関係でも積極的な見直し進めていただきたいと要望します。
計画では、ZEBレディやZEBオリエンテッド以上の省エネを目指すとしています。それぞれの建物を改築改修するときに、この基準を達成するために、どういう技術の導入をするかなどの検討はどう行われていますか。
〇飯泉施設整備担当部長 都有施設の改築改修に当たりましては、省エネ・再エネ東京仕様を適用し、環境負荷の低減に向けて今後も取組を進めてまいります。
具体的には、改築では、設計時に、施設の用途や特性などを踏まえ、建物配置などの工夫や高効率空調機器、コジェネレーションシステムの導入などについて検討を行ってまいりますが、導入する技術とエネルギーの削減効果との兼ね合いなどを確認しながら検討を進め、ZEB化にむけて取り組んでまいります。
〇米倉委員 基本的に、ZEB化に向けて、つまり目標を達成するために、具体的な設計の工夫や技術を入れていくと。その際、省エネ・再エネ東京仕様で示している技術項目も参考に踏まえていくということだと思います。
意欲的なエネルギー消費量の削減をしていくときに、今後、各局で都有施設の建築や管理に関わる職員の皆さんが、この分野、省エネ再エネについて高い専門性を持つということは不可欠です。
改築改修の際に、省エネや再エネの観点で専門性を持ち助言できる役割を持つ職員が、財務局をはじめ各局に必要ではありませんか。
〇飯泉施設整備担当部長 都有施設の維持更新を進めていく上では、様々な観点での技術的な専門知識が必要でございます。
省エネ再エネの観点につきましては、環境局などと連携し、省エネ・再エネ東京仕様の活用方法などについて各局と共有するととともに、技術的支援を実施してまいります。
〇米倉委員 省エネ再エネは、二〇三〇年カーボンハーフの目標との関係でも特に急がれる課題です。財務局としても、省エネ・再エネ東京仕様の共有とともに、技術的支援をしていくということです。
これですが、ぜひ新たな技術についての研修の場を設けるなど、支援を強化していただきたいと要望します。
都庁全体での省エネ再エネの取組の引上げとしては、今回目標を示されたということは重要ですが、同時に、やはりこれは目標を上回る取組も必要だと思っています。
公文書館だけでなく、ほかの規模、また用途の建物でも、意欲的なZEB化の実証的、積極的な取組を進める必要があると思いますが、いかがですか。
〇飯泉施設整備担当部長 今後、公文書館で得られた知見も活用し、施設の用途や特性を十分踏まえた上で検討を行い、都有施設のZEB化に取り組んでまいります。
〇米倉委員 施設の用途、特性を踏まえた、意欲的なZEB化を進めるという内容だと受け止めました。
資料でいいますと、今、東京都が取り組まれている、目標として持たれているのは下の方のZEBオリエンテッド、ZEBレディですが、ZEB化進めていくというのはその上の段階で取り組んでいくということです。大事な答弁だと思います。
ぜひ、都としての取組は、都民に公表しながら進めていただきたいと要望します。
第三次計画期間は十年ですから、一期の段階から様々な用途、規模の建物で意欲的な取組にしていただきたいと思います。
その知見を、ほかの建物にも、この十年間の間でも生かしていくというふうにしていただきたいと要望しておきます。
十か年維持更新計画では、新たな建物のエネルギー消費量を減らすことは、目標として盛り込まれていますが、あわせて、建築する際に使うエネルギー消費量や、またCO2についても把握することが必要ですし、削減することが重要です。
建材そのものをつくる際のエネルギーにつていも考えていく必要があります。
そこで伺いたいのですが、建築時や建材生産過程においてのCO2排出量の抑制や削減に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
〇飯泉施設整備担当部長 これまでも、東京都建設リサイクルガイドラインなどに基づき策定された東京都環境物品等調達方針により、温室効果ガスの削減に資する建設機械の使用や、環境負荷を低減できる機材を選定するなど、CO2排出量の削減をはかることとしており、引き続き取り組んでまいります。
〇米倉委員 都内のある構想ビルで研究者の方が試算されたところによると、既存のビルを壊して新築のまた新たな区層ビルを建て替えるというときに発生するCO2排出量というのは、その後のビルの年間の排出量、高効率の機器なんか入れるわけですが、それでも十数年分に匹敵するという試算も出ています。
大量の建築部材、そしてエネルギーが投入されることによってのCO2の量も多いということで、環境負荷として放置できない量だと指摘されています。
都としても、維持更新計画の中でも、この観点でもさらなる取り組みを求めて、質問を終わります。