文書質問 化学物質過敏症への対応について・他 尾崎あや子都議(北多摩第1選出)
2021年第4回定例会で、以下の文書質問を提出しました。
令和3年第四回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 尾崎あや子
質問事項
一 化学物質過敏症への対応について
二 新型コロナ感染症の営業時間短縮要請に関わる協力金について
一 化学物質過敏症への対応について
「入居している都営住宅の近くで始まった建物の外壁と屋上の改装工事に伴い、工事に使われる材料が化学物質過敏症で耐えられない。避難場所が欲しい」と相談があり、「どこに相談していいのかわからず困っていた」「市役所に相談しても解決の見通しが見えない」など寄せられました。
工事現場の人たちにお願いし、被害の少ない材料に変えていただくことができましたが、それでも影響は大きく工事中は、日中は自宅にいることができませんでした。
化学物質過敏症に悩んでいる方は、この間、増えており、推計患者数は1,000万人以上とも言われています。通常では、問題にならないような低濃度の化学物質に敏感に反応し、頭痛、めまい、気分不良、倦怠感、脱力、体の痛み、腹痛、下痢、うつ病、集中力低下などさまざまな症状を繰り返し起こし、重症化すると、日常生活はおろか仕事や学業など社会的活動が困難になるとされています。
私に相談があった方も、仕事ができない状況であり、人が多く乗る電車には乗れないということでした。換気が不十分な会議室なども使えない、住宅を探すのも容易でなかったといいます。
私も、化学物質過敏症という言葉は知っていましたが、重症な方が日常生活を送ることさえとても苦労していることを、初めて実感をしました。
そこで、いくつか質問します。
1 都民に化学物質過敏症の理解を深めるため、化学物質過敏症の原因と考えられるものに洗剤、柔軟剤、芳香剤、化粧品、農薬、塗料などがあることを知らせる。そして都民に「理解」と「配慮」を促す「チラシ」などが必要だと思いますが、いかがですか。
2 東京都に、化学物質過敏症の方たちが困りごとを相談できる窓口はありますか。
3 ある日、突然発症するのが、化学物質過敏症の特徴でもあります。都内の専門外来はどこにあるのかなど相談できる窓口が必要だと思いますが、いかがですか。
4 化学物質過敏症の方は、安心してすめる住宅の確保に困難を感じています。住宅確保要配慮者の対象として支援することが求められています。都営住宅などの公的住宅で、化学物質過敏症の方でも安心して入れられる安全な住戸を提供することが求められますが、いかがですか。
5 災害時などで避難が必要な時に、障害のある方たちが安心して過ごせる福祉避難所が必要です。その中に化学物質過敏症に対応できる避難所も位置づけるべきですが、都の対応について伺います。
6 化学物質過敏症の方から「都営住宅に入ることができて安心しているが、都営住宅の外壁工事などがある場合、他の都営住宅の空き住戸に一時避難などできるように支援してほしい」との声も上がっています。これまで、このような事例はありますか。都の支援が求められますが、いかがですか。
二 新型コロナ感染症の営業時間短縮要請に関わる協力金について
長引くコロナ禍で、飲食店の営業時間短縮要請を行い、協力してくれた事業者には「協力金」を支給してきました。3月の確定申告を控え、中小業者の方々からは「協力金を都からいただいたが、税金を申告する際、収入とみなされ支払う税金が大幅に増えてビックリした」「商売で得たものではないのに、なぜ税金の対象になるのか。納得がいかない」の声が寄せられています。
そこで、いくつか質問します。
1 2020年11月27日の経済港湾委員会で私は、「陳情2第53号 東京都理美容事業者の自主休業に係る給付金等の非課税を求める意見書に関する陳情」について質疑しました。その際、都は「新型コロナウイルス関連の補助金や助成金等については、事業効果を損なわぬよう、税務上においても特例的な取り扱いを講じていただきたい旨、要望を行っております」と答弁しました。都は、その後、国に対し都独自の給付金や協力金などを課税対象外にすべきだと要望していますか。
2 昨年度の中小企業・小規模企業の税金の申告は、国税庁の指導のもと、都の給付金や協力金などを課税対象にしています。事業者の税金の負担は大きく、特に零細事業者の所得税は、国民健康保険料(税)、子どもの保育料などに連動し、「負担が重い。協力金は都の自粛要請にこたえたものであり、商売で得たものではない」など不満の声や「払える見込みがない」「税金を払うために借り入れた。返せるのか、今後も見通しが見えない」など不安の声がありました。このような状況は「事業効果を損なっている」と思いますが、認識を伺います。
3 3月の確定申告が近づくなか、「ほぼ1年近く通常の商売ができずに、都の協力金があったから助かった。しかし、税金はいくらになるのか」と、昨年以上に不安の声が広がっています。都として「都の給付金や協力金を課税対象外にするよう国に要望」することを強く求めますが、いかがですか。
令和3年第四回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 化学物質過敏症への対応について
1 都民の化学物質過敏症の理解を深めるため、化学物質過敏症の原因と考えられるものに洗剤、柔軟剤、芳香剤、化粧品、農薬、塗料などがあることを知らせ、「理解」と「配慮」を促す「チラシ」などが必要だが、見解を伺う。
回答
都は、住宅建材や防虫剤、殺虫剤、柔軟剤等の家庭用品から様々な化学物質が発生すること、必要以上に使用しないよう心掛けることなどを、居住環境に関するガイドラインに盛り込むとともに、その内容を要約したパンフレットを保健所で配布するなどして、都民に周知しています。
また、国が作成した、柔軟剤等の香りのある製品を使用する場合の周囲の人への配慮等に関する啓発ポスターも、都のホームページで周知しています。
質問事項
一の2 都に、化学物質過敏症の方たちが相談できる窓口があるか伺う。
回答
都は、保健所等において、住居など建築物内の化学物質に関する相談に対応しています。
質問事項
一の3 ある日、突然発症するのが、化学物質過敏症の特徴でもあり、都内の専門外来はどこにあるのかなど相談できる窓口が必要だが、見解を伺う。
回答
都は、化学物質過敏症に対応できる医療機関の情報を、東京都医療機関案内サービス「ひまわり」で提供しています。
質問事項
一の4 都営住宅などの公的住宅で、化学物質過敏症の方でも安心して入れられる安全な住戸を提供することが求められるが、見解を伺う。
回答
都営住宅及び公社住宅では、建築基準法の改正を踏まえ、平成15年7月以降に建築した住宅の居室には、ホルムアルデヒドが発散しにくい建築材料を使用するとともに、常時換気が可能な機械換気設備を設置しています。
また、住棟の外部にも同等の建築材料を使用するなど、シックハウスの原因となる化学物質の濃度を下げる対策をしています。
質問事項
一の5 災害時などで避難が必要な時に、障害のある方たちが安心して過ごせる福祉避難所が必要であり、その中に化学物質過敏症に対応できる避難所も位置づけるべきだが、対応について伺う。
回答
国の福祉避難所の確保・運営ガイドラインでは、福祉避難所の受入れ対象者は、「高齢者、障害者の他、妊産婦、乳幼児、医療的ケアを必要とする者、病弱者等避難所での生活に支障をきたすため、避難所生活において何らかの特別な配慮を必要とする者、及びその家族」とされています。
化学物質過敏症と診断されている方など、健康上の理由から一般の避難所での生活に支障がある方も対象となります。
質問事項
一の6 化学物質過敏症の方から「都営住宅の外壁工事などがある場合、他の都営住宅の空き住戸に一時避難などできるように支援してほしい」との声も上がっているが、これまで、このような事例があるか伺う。また、都の支援が求められるが、見解を伺う。
回答
都営住宅の改修工事において、居住者から、医療機関からの化学物質過敏症の診断書を添えた一時的に移転したいとの申出を受け、工事実施に先立ち、空き住戸を提供し、御自身の費用負担で一時的に移転していただいた事例があります。
質問事項
二 新型コロナ感染症の営業時間短縮要請に関わる協力金について
1 2020年11月27日の経済港湾委員会で、都は「新型コロナウイルス関連の補助金や助成金等については、事業効果を損なわぬよう、税務上においても特例的な取り扱いを講じていただきたい旨、要望を行っております」と答弁したが、その後、国に対し都独自の給付金や協力金などを課税対象外にすべきだと要望しているか伺う。
回答
都は国に対して、感染拡大防止に向けた協力金を非課税所得とするとともに、新型コロナウイルス関連の補助金や助成金等については、事業効果を損なわぬよう、税務上における特例的な取扱いを要望しました。
こうした中、これら協力金や給付金等は、法令の規定により非課税とされるものに該当しないことから、原則どおり非課税とはならないとの見解となっています。
質問事項
二の2 昨年度の中小企業・小規模企業の税金の申告は、国税庁の指導のもと、都の給付金や協力金などを課税対象にしているが、事業者の税金の負担は大きく、このような状況は事業効果を損なっているが、見解を伺う。
回答
都は国に対して、感染拡大防止に向けた協力金を非課税所得とするとともに、新型コロナウイルス関連の補助金や助成金等については、事業効果を損なわぬよう、税務上における特例的な取扱いを要望しました。
質問事項
二の3 都の給付金や協力金を課税対象外にするよう国に要望すべきだが、見解を伺う。
回答
都は国に対して、感染拡大防止に向けた協力金を非課税所得とするとともに、新型コロナウイルス関連の補助金や助成金等については、事業効果を損なわぬよう、税務上における特例的な取扱いを要望しました。
こうした中、これら協力金や給付金等は、法令の規定により非課税とされるものに該当しないことから、原則どおり非課税とはならないとの見解となっています。