都市整備委員会 事務事業質疑 神宮外苑再開発について 原田あきら都議(杉並区選出)
(2022年度事務事業質疑) *速記録より作成
〇原田委員
事務事業概要質疑に当たり、市街地再開発事業に関わって神宮外苑再開発についてお聞きします。
再開発等促進区の活用はどのようにして決められたのか
事務事業概要九五ページを見ますれば、市街地再開発事業とは、こう書いてあるんです。
木造密集市街地や住宅、店舗、工場等が混在して、環境の悪化した市街地において、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図ることを目的としているとあるわけです。
神宮外苑再開発は、この出だしの地点で疑問が湧くわけですよね。市街地再開発事業における土地の高度利用は、環境破壊にもつながるとしてでも、それでも解消したいほどの、 高度利用ですから超高層ビルを建てたりとかするわけですよ、高層ビルを。そして環境に悪いんだけれども、それをしてでも改修したい悪化した市街地がある場合、こういうときに市街地再開発事業が行われるわけですよ。
現在、外苑のどこを見れば木造密集市街地や住宅、工場等が混在する環境の悪化した地域と見ることができるのかと。
ここに二〇一一年九月十五日付の都市整備局資料、「国立霞ヶ丘競技場建替えに関する都有地を活用した手法検討について」という資料を持ってまいりました。ここには、これ情報公開請求でかつて得た資料ですけれども、神宮外苑地区で再開発等促進区を定める地区計画を適用する場合は、国において都市計画運用指針の改定等が必要となり、ハードルは高い、そう記されているんですね。
今回、神宮外苑地区における再開発でも、手法として用いられている再開発等促進区を定める地区計画は、地区内の既存施設を取り払って、土地の高度利用や容積の移転を行うことが可能となる再開発手法ですが、この都市計画手法が適用される悪化した市街地の例というものが示されているんです。それはこれです。工場、倉庫、鉄道操車場、または港湾施設の跡地等の相当規模の低未利用地、次が埋立地と、次が住宅専用地域内の農地、低未利用地、あるいは老朽化した住宅団地、木造密集市街地、この五つが例示されているわけです。
つまり、この事例のどこにも外苑地区は当たりません。そのため、この資料がつくられました二〇一一年九月の段階では、国において都市計画運用指針の改定が必要になっていると。この五つの例だけだったら、外苑は再開発等促進区に定められないといっているわけですね。
ところが、こうした国における指針の改定が行われることもなく、今年三月十六日の本委員会における質疑で、こういったわけですね、都市整備局は。先ほど委員から挙げられた五つの事例というのは、あくまで事例でございましてと強弁し、外苑再開発に再開発等促進区を適用しても都市計画上、何ら問題はないと考えておりますと一八〇度の法解釈を変化させたわけです。
そこで、三月のときとは聞き方を変えてお聞きします。
二〇一一年九月十五日付の都市整備局資料、国立霞ヶ丘競技場建替えに関する都有地を活用した手法検討についてで、再開発等促進区を定める地区計画を適用する場合は、国において都市計画運用指針の改定等が必要となり、ハードルは高いと判断していた都市整備局が、五つの事例というのはあくまで事例でございまして、都市計画上、何ら問題はないと考えておりますという判断に変化し、外苑地区に再開発等促進区を定める地区計画を適用したのは、どのような経緯をたどったのか。できれば何年頃、どのようなやり取りが誰とあったのかお示しください。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
都市計画運用指針によれば、再開発等促進区を定める地区計画の目的は、まとまった艇未利用地などにおける土地利用転換を円滑に推進するため、都市の良好な資産の形成に資するプロジェクト等を誘導することにより、都市環境の整備改善などに寄与しつつ、土地の高度利用と都市機能の増進を図ることでございます。
指針に示されております五つの場合は、あくまでも例示でありまして、二〇一三年の神宮外苑地区地区計画の決定に当たり、都として改めてこの趣旨を踏まえて再開発等促進区の指定について判断したものでございます。
〇原田委員
なるほど。もう二〇一一年の九月の段階でハードルは高いと、この開発手法を取り入れるのはといっていたのが、二〇一三年の頃には、そうですよね。地区計画が決定されますから、がらっと変わっていったと。
国が動かない限り、再開発足進区は外苑には難しいと考えていた二〇一一年の九月から、二年後の二〇一三年、神宮外苑地区地区計画では、再開発等促進区を定める地区計画が再開発手法として採用されています。この二年間に何があったのか。既に様々な場で紹介させていただいておりますが、森喜朗当時衆議院議員と佐藤副知事と安井技監がやり取りする様子が生々しいメモとして残されるなど、都が国会議員や国の職員と活発にやり取りしていた様子がうかがえる二年間でした。
(資料を示す)この一二年五月の森喜朗氏とのやり取りのメモは、秩父宮ラグビー場と 神宮球場の土地の入替えなどが示された最後に、森喜朗氏が佐藤副知事に、あと十五年長生きしないとなと語る資料です。
このメモですが、実は神宮外苑の再整備についてという資料名なんです。岸記念体育会館の裏話かと思っている人多いんですけれども、これ神宮外苑の再整備についてのメモなんです。
そして気になる言葉が、このメモの中で飛び出します。都営住宅の廃止など強引な計画を進めるため、佐藤副知事は森氏に対し、国策として計画を進めていくことが必要と訴えているんです。国策として進めてほしいと。さらに副知事は、隣接する都立明治公園も敷地に使い、高さ等の規制緩和が必要とも述べ、国の協力を仰ぎ、都有地の再開発への活用を勝手に話しているわけです。
また、これに先立つ一二年二月には、当時の安井技監が都議会自民党の控室で、萩生田当時元衆議院議員と接触し、萩生田氏から、当時は国の特殊法人だったNAASH、現在 JSC、その理事の藤原氏を紹介された際、都市計画決定まで継続的に調整できるか。調整できる技術職員はいないかというふうに述べています。
本来、無理なはずだった外苑への再開発促進区を定める地区計画の適用、都市計画公園内の超高層ビルの建設が、東京都と政治家、そして国のどのような協力関係で築かれてきたのか、こうしたメモの数々からも早急に解明が求められるわけです。
三井不動産はいつから計画に関わっているのか
こうした神宮外苑再開発にあからさまに登場する政治家、約千本の樹木の伐採などへの国民や専門家の批判を受け、東京都は八月十八日、ファクトシートなる文書を公表しました。
まずお聞きしますが、このファクトシートなんですけど、前書きが一切ないんですね。東京都が公表したファクトシートには、なぜこのシートが必要なのか示されていないので、東京都がこのファクトシートを作成し、公表した意図を教えてください。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
お尋ねのファクトシートは、神宮外苑地区のまちづくりの経緯や民間事業者による計画の概要、環境影響評価審議会答申の主な内容などを分かりやすくメディア等に説明し、都民などにも広く情報提供するために作成、公表したものでございます。
〇原田委員
今、まちづくりの経緯を分かりやすく説明するためという答弁がありました。それではお聞きします。ファクトシートに示された神宮外苑地区におけるまちづくりの経緯、(資料を示す)これは二〇一五年から協議が始まったかのように記載されていますが、今も指摘しましたし、我が党都議団の情報公開請求によって、二〇一五年以前から森喜朗氏や三井不動産とのやり取りがあったことが分かっています。
これらは、なぜまちづくりの経緯に含まれていないんですか。ファクトシートで示されていないんですか。
なお、答弁を分かりやすくするため、今後は全て西暦でお願いします。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
ファクトシートでは、都と関係者によるまちづくりの協議において節目となりました二〇一五年四月の基本覚書の締結、二〇一六年八月の合意書の締結、二〇一八年三月の確認書の取り交わしについて掲載したものでございます。
なお、都はこれまでも都市整備局のホームページに、より詳細な経緯についても掲載し、広く都民に情報提供を行っております。
〇原田委員
先ほどお示ししたような森喜朗氏に佐藤副知事が会いに行ったときのメモの資料名、神宮外苑の再整備についてですよ。これ二〇一二年です。(資料を示す)この資料は、そもそも現在、岸記念体育会館の移転等に関する主な経緯についてという都市整備局が公表している資料群に掲載されているわけなんですね。
公文書で、二〇一五年よりもっと前から外苑のまちづくりの話は始まっているんじゃないですか。それを答えてもらおうかな。二〇一五年より前に、まちづくりは始まっている じゃないですか。話が始まっちゃっているじゃないですか。それについてどうされるんですか。どう思っているんですか。まちづくりの経緯じゃないんですか、これは。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
神宮外苑地区のまちづくりにつきましては、二〇一〇年だったと記憶していますけども、その当時の長期計画に、神宮外苑地区を世界に誇れるスポーックラスターにしていくというような位置づけの下、都として、まちづくりを検討した、始めていったという経緯がございます。
〇原田委員
この神宮外苑の経緯でいったら、本当にいろんな、一五年から説明が始まるファクトシートおかしいと思うんですよね。今も部長自ら二〇一〇年にはもう始まっているという答弁もあったのに、何で一五年にしなきゃいけないのかと。外苑まちづくりの経緯にとって、一番大事な再開発の議論のスタートラインが記されていない、これをファクトと呼べるのかと甚だ疑問です。
確かに二〇一五年以前に、いろいろあったと書きたくない気持ちは分かります。この神宮外苑再開発事業は、都市計画公園を削除したい。都市計画公園の削除です。建物の高さを十五メートルから百八十五メートル、百九十メートルと緩和するもので、そこに行政だけでなく、政治家や大企業が加わって都市計画をゆがめていたとしたら、これは重大問題です。
あくまでも一部の利権のためでなく、極めて高い公共性が求められている再開発なわけですから、そこでお聞きします。森喜朗氏もさることながら、この再開発で直接利害関係を有する三井不動産が、いつからこの計画の議論に加わっていたのか、これ重大です。
そこでお聞きしますが、二〇一五年の覚書以前に、三井不動産と東京都は話合いの場は持っていないということか、はっきりお答えください。
〇吉野まちづくり推進担当部長
都は二〇一五年四月に、三井不動産を含む関係権利者と神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書を締結しております。二〇一五年四月以前に関係権利者である三井不動産と協議等を行った記録は見当たりません。
〇原田委員
ものすごく微妙な答弁をしたと思っています。二〇一五年覚書協定、この覚書によって、こういう極めて公共生の高い神宮外苑再開発に企業が入ってきても、いろいろとあれこれいわれなくて済むと。ところが、私がいっているのは、その覚書以前から、もっと前から森喜朗氏も三井不動産も関わっていたんじゃないですかって聞いたところ、 二〇一五年以前に、三井不動産と協議は行っていないときっぱりいうのではなく、協議を行ったという記録は見当たらないと。まるで偽証を恐れるかのようないい方ですよね。
都が外苑再開発のイメージ図を森喜朗氏に説明した次の年の二〇一三年、神宮外苑地区地区計画が決定されています。今年三月九日の予算特別委員会では、そのときから、二〇一三年から、地権者等と調整を進めてきたと答弁しました。さらに、 ここでいう地権者等の等には何が含まれているんですかと当時聞いたところ、地元自治体等という回答をいただいています。
なので、今日はその先を聞いてみたいと思うんですけれども、それではお聞きしますが、 地元自治体等の等には、何が含まれているんですか。三井不動産は含まれていないといえますか。
〇吉野まちづくり推進担当部長
一般的に関係地権者等といった場合には、地元区、地権者などのほか、今回の三井不動産ですが、青山OM-SQUAREビルの権利を有する関係者として三井不動産も含まれます。
ご質問の二〇一三年に地区計画を決定した後、当時の関係地権者等との調整において、三井不動産が含まれるかについては、記録が見当たらないということでございます。
〇原田委員
さっき、二〇一五年より前に三井不動産と話し合ったことはないという答弁があったのに、二〇一三年、地元自治体等の等に三井不動産は含まれていないといえますかといったら、入っていますと。
記録は見当たらないといいながらも、結局、少なくとも二〇一三年の時点でちゃんと三井不動産も再開発の関係者に入っているんじゃないですか。そのことを初めて認める答弁なんです、これ。めちゃくちや大事な答弁です。
この次の年には、三井が関係地権者等に入った次の年には、サプトラック設置方針がなくなり、現在の百八十五メートルの超高層ビルが建っている場所に事務所棟を建設する方針が決まるわけです。
そうしたまちづくりの調整の場に、三井不動産がいたというわけですよね。これとんでもないことなんですけれども、答弁はいじましくも地権者等との調整において、三井不動産がいたかは記録が見当たらないと。確かに、その場に三井不動産はいたけれども、調整までしていたかどうかは記録がない。すごい疑念が膨らみます。
さらにお聞きしますが、三井不動産は二〇一三年の神宮外苑地区地区計画決定のもっと以前からまちづくり携わっていたんじゃありませんか。
〇吉野まちづくり推進担当部長
繰り返しになりますけども、関係地権者等といった場合には、そのエリアの中に建物があるとすると、それに関する権利を有する関係者というのが一般的に含まれると考えております。
ただ、その以前に当時、関係地権者等と調整したというような記録はないということでございます。
〔発言する者あり〕
〇藤井委員長
原田委員、挙手の上、ご発言ください。
〇原田委員
もう一度聞きます。二〇一三年に三井が関わっていたことが今分かりました。もっと前から関わっていたということはありませんか。ないといえますか。
〇吉野まちづくり推進担当部長
先ほども答弁しましたけども、二〇一三年に地区計画を決定した当時の調整、またそれ以前においても、三井不動産と調整したという記録は見当たらないということでございます。
〇原田委員
(資料を示す) 党都議団が情報公開請求で得た資料があります。この資料には、地区計画決定の前の年の、前の年ですよ、地区計画の。二〇一二年、森喜朗氏に副知事らが会って長生きしなよといわれる、さらに四か月前、一月、地権者等による再整備の検討会をスタートと書いてあります。
地権者による再整備の検討会をスタート。この地権者は何て書いてあるかというと、明治神宮、日本スポーッセンター、オラクル、伊藤商事、TEP I Aまで分かりますけど、三井不動産、書いてあるんです。どういうことでしようか。
ここには地元自治体の名前も入っていません。情報公開請求で何度も何度もやって、やっと出てきた資料の一枚です。
神宮外苑の都市計画公園を区域を削っちゃうわけですよ、もう一度いいますけど。そこに超高層ビルを建てて、しかもその超高層ビルに都市計画公園内の余った容積を移転するなんていう前代未聞の再開発計画を地区計画決定の前から、もしかして企業まで入り込んで画策していたとすれば、大問題なわけですよ。
この資料に出てくる三井不動産、何を話し合っていたんですか。
〇吉野まちづくり推進担当部長
今お話しの地権者等による検討会ということは、そういう検討会が民間で検討されるチームとして結成されたということだと思います。
〇原田委員
まさにこの時期ですよ、皆さんの態度ががらっと変わったのは。その前の年までは、外苑に再開発等促進区なんて入れるのはハードルが高いよね。そういっていたのが、一年後の二〇一三年にはがらっと変わって、ほいほいと入れて、何か法に触れていますかという態度に変わる。
そのときに、まさに二〇一二年に、森さんと会ったり、あるいは地権者等という名の企業が、あるいは日本スポーツ振興センター、J S Cなどが入って、国の独立行政法人ですけれども、入って、神宮外苑について話合いが始まる。
その次の年には、もう再開発等促進区なんて何だって適用したって構いはしない。そういう強気に変わっているわけですね、東京都が。
(資料を示す)これ、我々も資料請求してからこんなに最近見つけたといいますかね。これ局長、この二〇一二年一月の再整備の検討会スタート、これどういう資料なのか、さらに何が話されていたのか、示していただきたいと思うんですけど、どうですか。
〇吉野まちづくり推進担当部長
その資料については、民間地権者による検討をしていたということは、東京都としても把握していたと思うんですが、そのときの資料は、東京都としては把握しておりません。どのような検討がなされていたかというのは把握しておりません。
〇原田委員
これ以上聞いても、確かに部長も分からないと思いますし、局長には、ちょっと調査するぐらいいってほしかったですけれども、ぜひこの後、この二年、大事な二年ですから、皆さんの態度が豹変する、再開発に対する。ですので、この資料は引き続き注目をしていきたいなというふうに思っています。
この話合い、日本スポーッセンター、J S Cも入っているんですよね。資料が見当たらないというのであれば、二〇一二年一月の再整備の検討会の内容について、J S Cに資料の提供を都としても求めてもいいんじゃないかなと思いますけれども、今後の課題としたいと思います。
都のファクトシートは・・ 、あ、これ聞いておこうかな。J S Cに資料の提供を求めてみたらどうですか、部長。
〇吉野まちづくり推進担当部長
現段階で、当時のJ SCに、当時の資料を求める必要性が分かりませんので、そのような考えはございません。
〇原田委員
ますますこれから追及をしていきたいと思っています。
開発で緑の体積は減る
都のファクトシートは、 こうしたまちづくりの経緯については一切語らないわけです。
これで本当に何を分かりやすく都民に伝えたかったのかが、もう見えてこないわけですよね。
神宮外苑再開発をめぐる世論は日増しに高まりを見せています。アメリカ人実業家のロッシェル・カップさんが始めたチェンジオルグでのネット署名、十万七千筆に達し、国会でも真正面からこの開発の在り方を問う質疑が出始めました。
十月二十六日、何と自民党の船田元衆議院議員が、イチョウ並木の文化財指定についてただしました。独自の資料を作られまして、私も見させていただきましたが、(資料を示す) 非常に立派なモンタージュ写真を、画像を作られまして、これ皆さんに見せたいぐらいです。神宮外苑がどのように変貌してしまうのかというのを、これを使って私たちに教えてくれました。立憲民主党の牧義夫衆議院議員も同様に質疑するなど機運が国会でも高まっています。
やっと都議会から国会に場が移ったなという感じがしていますけれども、都のファクトシートでは、こうした世論の高まりに対し様々に言い訳を行っています。
緑とオープンスペースの方針として、創建当初の趣旨を踏まえ、イチョウ並木から聖徳記念絵画館を臨むビスタ景に配慮するため、絵画館の前庭部分は創建時の芝生の姿を基調とし、憩いの広場として再整備というふうに示されています。しかし、創建当初の絵画館の前庭部、前庭部分と比べれば、テニス場や屋内テニス場の施設が今回の計画で建設されるため、広さ三分の一に減っちゃうんですね。樹木も大量に伐採されるんで、創建当初の趣旨を踏みにじる計画となっているのが実態なんです。
さらに、ファクトシートでは、再開発前のオープンスペース、 二一%が、再開発後四四%に増えるとあるんですけれども、再開発後のオープンスペース、巨大施設の脇の通路までオープンスペースとされていましてね、まさに市民が利用してきたような軟式野球場とか第二球場とか、オープンスペースに数えられていないんですよ、そもそも現状のが。
再開発の従前従後のまちづくりを正確に、このオープンスペースの表というのは表せていません。市民が利用してきた第二球場や軟式野球場、テニス場、バッティングセンターなどを市民活用スペースとして面積で算出した場合、再開発従前従後の比率は、こんな再開発前が二一%で再開後が四四%なんていう数字にはなりません。むしろ現在の方が、もっと住民が使える場所が広大にあったといえるような状況が出てくる。
中でも指摘しなければいけない記載があります。ファクトシートで、緑の割合という指標が登場しますが、これは昨年十二月の私の質疑で答弁がありましたが、緑の割合というのは、分かりやすいように、今回の計画の従前従後の屋外における樹木や芝生等の占める割合を参考として示したものとのことでしたが、実はこの緑の割合という指標は、これまで都市計画の説明で使用されたことありませんでした。初登場の指標なんです。
緑の割合は、樹齢百年の大木の樹間、枝の広がりですね、樹間も、芝生や屋上の植栽みたいなものも、同じ面積で表すものです。全く緑の量が、体積がはかられない指標なんですね、面積だけで見て。
改めてお聞きしますが、緑の体積という指標で見れば、今回の計画で緑の体積、減ることは間違いありませんね。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
緑の体積につきましては、昨年七月に事業者が都に提出した環境影響評価書案において、工事完了時点では現況を下回るが、適切に管理育成を行う計画としており、緑の量の変化の内容及び程度は小さいと示されております。
〇原田委員
要は現況を下回るわけです。そのことをファクトシートに書いてないじゃないですか。適切に管理育成を行うといいますけれども、三メートルの新植樹木が樹齢百年の大木並みに樹間を広げるまでどれだけの歳月がかかるというんですか。
ファクトシートも紹介している環境影響評価審議会答申というのにはこう書いているんです。緑の質の観点も含めた具体的な環境保全のための措置を徹底し、影響の低減に努めることと。緑の質についてはっきりと答申は言及しているわけです。にもかかわらず、緑の割合という、外苑でしか使ったことのない指標を持ち出して、緑の質を全く無視した指標をつくり出して、あたかも緑が増えるかのように示しているわけです。
もう一度いいますけど、緑の質は変化することを隠して、あたかも緑の量が低減しないかのようにファクトシートには記載されているということが今の質疑で分かったわけです。
イチョウ並木の景観に野球場のフェンスやパネルが
多くの都民が気にされているイチョウ並木についてもお聞きします。
本日イチョウ並木が危機に瀕していると日本ICOMS国内委員会が記者会見を行ったというふうに聞いておりましたけど、どうなったでしょうか。
巨大建築群がイチョウ並木に迫り、その存亡を脅かすことは目に見えていますが、そうした危機感がこのファクトシートには一切記載されていません。まるで東京都ではなく、事業者が作ったかのようになっているわけですね。それどころか、怪しい記載やイメージ図がたくさんあるんですね。
まず改めて確認したいと思いますけど、これまでイチョウ並木から八メートルのところに新球場の壁面が造られるといわれてきたんですが、ファクトシートにあるように、よくよく見ると、それイチョウ並木の道路境界線からと書いてありまして、四列のイチョウ並木の一番西の幹からは何メートルですか。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
四列のイチョウ並木の幹から新野球場の壁面までの距離は、六・五メートル程度であると事業者からは聞いております。
〇原田委員
今まで八メートルといっていましたけど、少し細かったりずれているやつは六メートルぐらいと、六メートルから六メートル五十センチと。そうなんですよね。
さらに深刻な影響を受けるということが分かってまいります。予想されます。景観被害も甚大と思っています。
ファクトシートでは、ビスタ景の保全及び風致地区の配慮を踏まえ、イチョウ並木沿道の建築物においては、視点場から見たときにイチョウの高さを突出しないように配慮とあるんですけれども、つまりイチョウ並木の途中から見たら、新神宮球場の壁やフェンス、さらには巨大なパネル、地上六十五メートルに位置する球場、ホテルや超高層ビルも全て目の当たりにすることになるということなんですよね。と思うんですけど、どうでしよう。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
お話しのイチョウ並木の途中というのが、どの位置を指しているのかは分かりませんけれども、イチョウ並木からの見え方につきましては、見る位置によって様々であると思います。
〇原田委員
イチョウ並木からの見え方は見る位置によって様々ということなんですけど、当たり前ですよね。ただし、眺望点以外の景色には、必ずといっていいほど巨大建築群が目に飛び込んでくることになるんです。
逆にいえば、眺望点に立って絵画館の前を向く、右も左もちょっとも首を動かしちゃいけないと。このときでない限り、神宮外苑の再開発後は、目に必ず巨大建築群が入ってきちゃうんですよ。そういうことなんです。
船田元衆議院議員が出してくれたモンタージュ写真、こうやってばっと見せたいですけど、見せられないんですけど、すさまじいものです。イチョウ並木の横から球場を見ると、もう壁でイチョウ並木が押し潰されそうになって、見上げるようなモニター、スクリーンがそびえると。 こういうイチョウ並木で誰が喜ぶんだろうなと本当思うんですよね。
あと、これだけどうしてもいいたかったんですけれども、ファクトシートの二三ページ、パネルで見せられればよかったんですけど、言葉でいいますね。四列イチョウ並木の保全に向けた取組例のイメージ図では、球場の上に立つ人物が施設からして巨大に描かれておりまして、イチョウ並木の中を歩く人物が異様に小さく描かれているんですね。
これ、ファクトシートとして問題がないのか、またどのような効果を狙って、こんな人間が大きく描かれ、同じ絵の中で、巨人と小人みたいに描かれたイメージ図になっているのかお示しください。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
お尋ねのイメージ図につきましては、四別のイチョウ並木の保全に向けた取組例について、事業者が環境影響評価審議会に示した資料を基に、具体的な取組を分かりやすく説明するために作成したものでございます。
〇原田委員
だから、全く分かりやすくないんですよ。人の縮尺とかイチョウ並木の大きさとか、もうめちゃくちやじゃないですか。球場の上の人なんて、球場の下のショッピングモールの天井に頭がつくくらい大きく描かれているんですよね。球場がその分小さく見えますね。
一方で、イチョウ並木を歩く人は、並木の高さに対して恐ろしいほど小さく描かれておりまして、イチョウ並木と野球場との距離の切迫感を和らげる印象があります。そういうイメージ図なんですけれども。
イチョウ並木の名勝指定へ都の積極的なとりくみを
さて、日本ICOMOS国内委員会が、この間、重要な調査や提言を繰り返し発表するなど頼もしい存在、活躍を示してくれていると同時に、どれだけ外苑が破壊される危険性が迫っているのかを感じさせてくれるわけです。
そこでお聞きしますけれども、日本ICOMOS国内委員会について、その存在意義や社会的権威について都市整備局の見解を伺います。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
日本ICOMOS国内委員会は、文化遺産に関する調査研究や世界文化遺産の価値評価及び保存、活用に関する支援などを行う団体と承知しております。
〇原田委員
まさに、日本ICOMOSの提言というのは、文化遺産に対する専門性と重大な権威があり、その推薦がやがて世界遺産の指定につながるというものでもあります。
その目本ICOMOS国内委員会が、絵画館前の広場を抜いた市街地再開発事業において、外苑創建時に献木、植樹され、今もその地にそびえている歴史的樹木についての調査を行いました。その結果、何と二百九十九本の外苑創建時の歴史的樹木が今も生育していることが確認されましたが、同時に、その歴史的樹木の二百九十九本のうち、何と百七十本が伐採されるということが分かったわけです。
新神宮球場の建設や移植により衰退を余儀なくされる樹木を合わせると、実に歴史的樹木の八一%が、伐採もしくは衰退、枯損の危機に瀕していることが明らかにされました。
東京都は、三メートル以上の植樹は伐採数より多く行うから、環境は保全されるといってきましたが、明らかに外苑の歴史的景観を脅かす開発といえます。
また、日本I COMOSの指摘に驚きました。二〇一二年六月、文化庁が行った全国的調査により、近代の庭園、公園等に関する調査研究報告書が公表されました。そこには名勝指定または登録記念物、名勝地関係の候補となり得る重要事例に、神宮外苑のイチョウ並木が今後特に保護措置を充実させる必要が高いと認められるものとして挙げられていたんです。
また、さらなる価値評価及び保護に向けた調査の実施を積極的に行い、そのような調査の結果に基づき、国または地方公共団体による指定登録の作業を速やかに進めることが必要であると書かれていたわけです。
その後、十年たちましたが、東京都はそうした指定、登録の作業どころか、価値評価及び保護に向けた調査の実施も行っていません。外苑再開発計画が進行する中、文化庁から速やかな実施が必要と指摘されてきた外苑やイチョウ並木の価値評価及び保護に向けた調査を未実施であるのは、今外苑が再開発されようとしている中で、この調査未実施という状況自体が大問題です。
都市整備委員会ですので質問は別の場所に譲りますけれども、本来は都市整備局からも文化財指定を促すべきであって、これまで指摘してきたように 一部の政治家や企業とともに、この文化遺産の破壊の道をひた走るなどというのは本当に許されないと指摘するものです。
事業者は樹木の伐採本数をごまかしている
事業者は、環境影響評価審議会において、伐採本数九百七十一本のうち四割を減らして五百五十六本の樹木伐採数を減らしたと公表したわけですけれども、日本ICOMOSは記者会見を開き、事業者が伐採数から抜いた三百十一本の枯損木について、日本ICOMOSは全くデータが示されていないと当時指摘をしました。
この指摘を受けて、事業者はようや十月二十八日にホームページに、枯損木の内訳というものについて説明を掲載しました。
事業者は、神宮外苑地区の緑についての中で、枯損木三百十一本の説明として、樹勢不良とされた活力度C及びDの保存、移植樹木全てと、樹勢良好な活力度A及びBの保存、移植樹木の約三割を合計して算出したと、この枯損木三百十一本について述べています。
それはそれぞれ何本になるのか教えてください。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
枯損木三百十一本の内訳につきましては、環境影響評価審議会の部会に提出された補足資料から算出することができまして、活力度Aが五十五本、活力度Bが百三十七本、活力度Cが百五本、活力度Dが十四本でございます。
〇原田委員
ということですが、これはホームページを見ても、一体これらの枯損木が市街地再開発事業の区域内の樹木のことなのか、それとも外苑全体の樹木も対象としたものなのか分かりません。
結論からいうと、市街地再開発事業の区域内の樹木だということなんですね。(パネルを示す)枯損木三百十一本というのは、この市街地再開発のこの区域、緑交流ゾーンというのが、緑交流ゾーンは含まれてない。絵画館前、芝生広場は含まれてないということが分かってくると。
そこでお聞きしますが、三百十一本の枯損木は、第一種市街地再開発敷地内において、いつ伐採数に計上されたんですか。(発言する者あり)ちょっと委員長、ちょっと少し計測を止めていただいて、理事、集まってもらえませんか。
〔発言する者あり〕
〇藤井委員長
ご静粛にお願いいたします。質疑を続けてください。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
昨年七月に事業者から提出された環境影響評価書において、伐採が九百七十本計上されております。本年四月の環境影響評価審議会の際に事業者から提出された補足資料において、九百七十一本の内訳に 枯損木三百十一本が含まれていることが示されたと環境局から聞いております。
〇原田委員
伐採の全体像が全く見えないということで、データを求めたところ、枯損木という存在が浮き彫りになったと。示されたのは今年四月だというんですね。
しかし、もともとこれは伐採数には含まれていたということなんです。ずっと不思議だったんですよね。環境影響評価書案の対象は、第一種市街地再開発の範囲に限られる。つまり絵画館前の芝生広場は含まれていないにもかかわらず、九百七十一本の伐採数。しかし、絵画館前広場を含む地区全体の区域では八百九十二本と、逆に少ない伐採数が報告されてまいりました。
絵画館前、芝生広場を含めたこの地区計画全体の伐採数には、三百十一本の枯損木は含まれていないのではありませんか。だとすれば、それはなぜでしようか。
〔発言する者あり〕
〇藤井委員長
ご静粛にお願いいたします。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
絵画館前広場を含む地区全体の伐採本数八百九十二本には枯損木は含まれておりません。
地区全体の伐採本数を八百九十二本とした資料は、本年一月に開催された新宿区都市計画審議会に提出されたもので、枯損木を含めなかったことは事業者の判断によるものと承知しております。
〇原田委員
八百九十二本という伐採数は、新宿区の都市計画審議会に出された数字で、ここにはやはり枯損木は含まれていなかったわけですね。でも、なぜ枯損木を含めなかったのかというのについては、答えになりませんでした。事業者の判断だと。
事業者は、地区計画区域の伐採数は、枯損木を入れて千二百三本だったと考えていたということか、 こういう聞き方だったらどうでしよう。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
地区全体の枯損木を含めた伐採本数については、算出していないと事業者から聞いております。
〇原田委員
不思議なんですよね。事業者は、市街地再開発地域の伐採には枯損木を見込んでいる。でも、外苑エリア全体で伐採数を足し算するときには、この枯損木をわざわざ抜く。
市街地再開発地域と絵画館前芝生広場で何が違うかというと、これ、環境アセスが作動するかしないかです。アセスのある市街地再開発では、伐採数をごまかすわけにいかない。
環境影響評価書に書いてあることと違う事業を行った場合、最悪、環境アセスのやり直しだって考えられるわけですよね。しかし、都市計画審議会では、樹木の伐採本数まで厳密に問われるわけではないから、石川教授の調査に基づく約千本伐採の指摘に対して、少しでも数を少なく見せようとして、枯損木三百十一本の数を抜いたエリア全体で八百九十二本を報告したというのが、事の真相なんじゃないのかなと思ったりもすると。
事業者の実に不誠実な対応だと思うんですね。この枯損木をアセスの場では見込んでみたり、アセスが適用されない市街地再開発から抜けた絵画館前芝生広場では枯損木は考慮しなかったり。
都も樹木の伐採本数を小さく見せかけている
問題なのは事業者だけではありません。事業者は結局、「神宮外苑地区の緑について」を公表して、二〇一九年にエリア全体で八百九十二本を伐採対象としていたものを追加調査により百四十九本を保存、移植とし、エリア全体の伐採数を七百四十三本としました。
この文書は、今年八月十八日に公表されたんですけれども、同じ日に東京都が公表した先ほどのファクトシートでは、枯損木を含めた九百七十一本から、事業者による伐採数の見直しで五百五十六本まで伐採数を減少させたというふうに発表しているわけです。
ファクトシートが、神宮外苑地区のまちづくりと書いたファクトシートがなぜエリア全体の伐採数を示さずに再開発エリアの伐採数だけを示したのか、教えてください。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
ファクトシートにおける樹木の伐採本数については、環境影響評価審議会の内容を説明したものでございます。
絵画館前広場の整備を含め、エリア全体の伐採本数につきましては事業者のホームページにおいて公表されております。
〇原田委員
お聞きしますけど、都がいう神宮外苑地区というのは、どのことを指すんですか、じゃ。神宮外苑地区っていったら、芝生広場入るんでしょう。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
神宮外苑地区につきましては、今お話しの絵画館前広場も含むエリア全体でございますけれども、ファクトシートにおける樹木の伐採本数につきましては、環境影響評価審議会の内容を説明したものであるということでございます。
〇原田委員
だから、それじゃファクトシートにならないじゃないですか。一体、樹木の伐採は何本なんですかってみんな気になっているところに、芝生広場で二百三十数本、軟式野球場のところで二百三十数本切られるわけですよ。それをわざわざ抜いて五百五十六本だっていって、一部の地域だけの伐採数だけ示すなんて、ファクトシートじゃないじゃないですか、これ。これ見て五百五十六本に伐採数が減ったって報道しちゃったテレビ番組もあるんですよ。とんでもないことですよ。ミスリードというより、私はもうこれに至っては虚偽に近いなというふうに指摘をしたいと思います。
東京都は、三百十一本の枯損木を伐採数から抜いた事業者の計画修正を、再開発における伐採本数を減らしたとして評価しているんですか。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
環境影響評価書案では、事業期間中に立ち枯れ等により危険となった枯損木について、道路通行車両や歩行者の安全管理のために除去する可能性があることから、事業者の判断で過去の実績を参考に、一定割合を伐採本数に計上していたとのことでございます。
しかしながら、枯損木の除去措置は、開発による伐採とは異なるものであることから、改めて本数の精査を行ったものであると環境局から聞いております。
なお、事業者は枯損木三百十一本に加えまして、ラグビー場に向かうイチョウ並木十九本も移植を検討するとともに、本年四月から新たに実施した樹木の詳細調査の結果を反映し、伐採するとしていた樹木八十五本を移植することとしておりまして、伐採本数を九百七十一本から五百五十六本に削減したものでございます。
〇原田委員
改めてお聞きしたいんですけど、そうすると枯損木というのは、今回伐採数から抜かれましたけれども、今後十五年の工事期間中に伐採を免れたわけじゃないということは、そういうことですね。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
枯損木につきましては、いわゆる再開発の影響で伐採をする、再開発により伐採をすると、開発による伐採とは異なるということでございます。
〇原田委員
一事が万事、これまで本当に不誠実な態度であった事業者ですが、この枯損木の問題も含めて、さすがに日本イコモスも十月初めの記者会見で憤りを隠しませんでした。毎木調査など必要なデータが公表されておらず、日本イコモス国内委員会から、社会的責務に反する重大な事項が含まれているとまで指摘されたことについて、都市整備局としてはどのように受け止めていますか。
〇山崎都市づくり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
事業者は、神宮外苑地区におけるまちづくりのコンセプトや既存樹木の取扱い等につきまして、ホームページを通じて情報発信を行っております。
お話しの毎木調査のデータにつきましても、既に事業者のホームページで公表されております。
〇原田委員
ですから、まさにイコモスから社会的な責務に反するとまでいわれて、やっと十月末に毎木調査を出したわけですよね。そういうところがまさに社会的責務に反するといわれてしまうわけです。これは、事業者だけでなく都民の見えないところで暗躍して、前代未聞の都市計画を進めてきた東京都にも向けられた言葉なんじゃないでしようか。
しかも、都が八月に出したファクトシートは、意図的に伐採本数が少なく見えるように構成されていたことも明らかになった。外苑再開発に関心のある都民の間では、もはやフェイクシートと呼ばれているありさまです。いま一度立ち止まって、本当にこの巨大開発は明治神宮にとって必要不可欠な事業なのか、東京都の支援や、それこそー〇〇年前の創建時のように国民みんなの支援で回避するということも考えられないのかとか、そういうことをいま一度問わねばならないと思ってお聞きするんですけれども、神宮外苑再開発は、神宮球場と秩父宮ラグビー場の位置を移設することと、超高層ビル群を建設することによって、大量の樹木伐採など環境破壊が引き起こされます。これらが本当にやむを得ない開発なのか、利潤の最大化を目的とした再開発なのかは、都民や専門家の関心事でもあるわけですね。都は、積極的かつ早急に、事業者間の土地の交換、返還や容積率の移転に伴う資金計画について、把握する必要があるんじゃないかと考えますし、できる限り市民に公表するよう求める責務が生じていると考えますが、いかがでしようか。
〇山崎都市づぐり政策部長景観・プロジェクト担当部長兼務
神宮外苑地区では、都が定めたまちづくり指針等を踏まえ、大規模スポーツ施設の連鎖的な建て替えに合わせて、中央広場の整備やバリアフリーの歩行者ネットワークの形成を図るとともに、既存樹木の保存、保全に加え、新たな緑も創出し、それらを適切に維持管理しながら樹木を育成することで、従来よりも緑の量を増加させ、緑空間の充実を図ることとしております。
絵画館やイチョウ並木の周辺では、眺望景観や風致を保全しつつ、青山通り沿道等におきましては、土地の高度利用やにぎわいの創出等を図ることとしておりまして、こうした 地域の将来像を実現するため、容積の適正配分を行う計画としております。
資金計画などにつきましては、都市再開発法に基づき、事業者が適切に対応することでございます。
〇原田委員
都市再開発法に基づき、資金計画などは出すとおっしゃいますが、そのときはもう手遅れなんですね。建物の解体が始まり、行くも地獄戻るも地獄という状態になっちゃっています。そうなる前に、何とか事業者や明治神宮と協議すべきときなんじゃないですかっていっているんですね。
今後、外苑再開発と東京都との関係でいうと、資金計画など示さなければならない事業認可申請があります。そしてその後は、権利変換計画認可と続きます。このときにはもう手遅れです。
本来、その手続は今頃済んでいたはずでしたが、広範な都民の運動、日本イコモスや環境影響評価審議会など、委員の皆さんなど、専門家の方々の奮闘で、議会では日本共産党先頭を切って、この問題で頑張りまして、今はそうした手続が遅れてきているところですけれども、世界に誇る神宮外苑の景観を守る重大な岐路だなと。そのことを都市整備局並びに各会派、委員の皆さん、そして広く都民の皆さんに、これ呼びかけさせていただきたいなと。何とかして国民みんなのカで、東京都も頑張って、一部の企業が最大限に環境を破壊して、外苑を破壊するんじゃなくて、本当にみんなが求めている外苑づくりに、今度こそ東京都が頑張ってもらいたいなというふうに思って、最後の質問を手短に終わらせていただきたいと思います。