予算特別委員会 清水とし子都議(日野市選出)の討論
2023年3月22日の予算特別委員会で、清水とし子都議(日野市選出)が討論を行いました。
日本共産党都議団を代表して、第1号議案、一般会計予算ほか8議案に反対し、わが党提出の第1号議案及び第13号議案に対する編成替えを求める動議に賛成の立場から討論を行います。
来年度の都税収入は過去最高の6兆2010億円、一般会計予算は初めて8兆円を超えました。コロナと物価高騰のもとでも一部の大企業や富裕層が莫大な利益を手にし、貧困と格差が一層広がっています。
だからこそ、新年度予算案は「住民の福祉の増進」という地方自治体の本旨に立って、疲弊した都民のくらしと生業に寄り添い、支えるものでなければなりません。
「電気代が2倍以上になり生活が苦しい」「原材料や光熱費の値上げを転嫁できない」「賃上げをしたくても余裕はない」といった都民や中小業者の声に、知事は耳を傾けるべきです。
しかし新年度予算案は、高齢者福祉予算を減額し、高すぎる国保料・国保税への都としての新たな負担軽減もありません。都営住宅の新規建設は24年間ゼロ、障害者福祉手当は27年間1円も上がっていません。
教育施策は、経済界が求める「人材育成」が重視され、中小企業支援は、急成長が見込める一部企業への支援に偏重しています。
化石燃料由来の水素供給や、富裕層向け観光プロモーション、民間で行うべきプロジェクションマッピングなどに、莫大な予算が投入されようとしていることも問題です。
IRカジノの調査費は10年連続で計上されています。人の不幸の上にもうけをあげるカジノはきっぱりと断念すべきです。
国際金融都市の実現・外国企業誘致をはじめとした「世界をけん引する都市の実現」に4800億円、住民犠牲を強いる外環道など大型道路整備は1000億円を超えています。
いま、緊急に思い切って力を入れなければならないのは、すべての都民のくらしを支えることです。
0歳から18歳まで一人月5千円の給付を所得制限なしでおこなう018サポートの実施をはじめ、子ども・子育て支援を拡充したことは歓迎するものです。
同時に、18歳までの医療費助成制度でも、多摩、島しょ地域で残る所得制限と自己負担をなくし、全ての子どもたちの医療費を無料とするよう都として支援することを求めます。
教育費の負担軽減策として、学校給食の無償化が広がっています。都教委も自治体が給食費に対して補助することができることを認めました。都内どの自治体でも無償化が実施できるようにするには都の支援が必要です。
年金が減らされ、物価高騰がつづくなかで、高齢者への支援が求められています。
シルバーパスの拡充、費用負担の軽減は、都が直接実施できる経済的支援です。特に多摩地域では多摩モノレールへの適用を求める声が強く、小学生の割引制度だけでなく、高齢者に対しても支援すべきです。
聞こえの支援も切実です。日本共産党の質問に対して「区市町村や専門家など関係者の意見も聞きながら、効果的な施策を検討する」という答弁がありました。補聴器への支援を包括補助から取り出して独自の補助制度をつくり拡充することや、早期発見のための健診や相談支援、購入後の調整などを行う仕組みづくりなどを検討することを求めます。
また、こうしたくらしを支える制度や保健所、学校体育館のエアコン整備が、多摩地域で取り組みに遅れがあることも明らかになりました。命や教育条件に係る施策が都内どの自治体でも同じように実施できるよう、都としての支援の拡充を求めます。
英語スピーキングテストは、実施前から公平性、公正性に疑問が出され、実施後には生徒たちから「周りの声が聞こえた」などの証言が多数出されました。都教委が回答に影響する事例はなかった根拠として提出した資料は、肝心な部分がすべて黒塗りにされ、都民の疑いはいっそう深まっています。
入試は、公平、公正であることが担保されて初めて信頼され、たとえ不合格であっても、その結果を受け入れることができます。
日本共産党都議団の質問に対して、都教委が「子どもは大人と同様に、一人の人間としての人権が認められている」との認識を示したことは重要です。その認識に立てば、子どもたちの声を聴き、英語スピーキングテストは中止するしかありません。
東京五輪をめぐり、受託収賄に続いて、テストイベントに係る談合疑惑が明らかになりました。
公正取引委員会によると、談合は組織委員会事務所で面談等により行われたとされています。組織委員会には、吉村財務局長をはじめ、多くの都の職員が派遣されていました。誰一人談合に気づかなかったということがあり得るのか、多くの都民が疑問を感じています。
質疑で都は「捜査に関わることことであり、お答えは差し控えさせていただく」とくり返し、都民の前に真実を明らかにしようという姿勢は全く見られませんでした。
知事は「外部有識者の下で調査をすすめている」と言いますが、その実態は、副知事をトップとする内部調査です。しかも、調査チームが行った都職員への聞き取り調査の結果も、いまだに公表されていません。
都民の信頼回復には、内部調査ではなく、外部有識者による第三者機関の設置、徹底調査と検証、そして公表こそ必要です。知事は開催都市の長として、積極的に事実を明らかにすべきです。
違法・不法行為をくり返し、深刻な被害を生み出している統一協会が、多摩市永山に約6300㎡の土地を昨年4月に購入していたことが明らかになりました。知事は、国土利用計画法に基づいて、一定面積以上の土地について公共の福祉を優先させ、土地利用を調整するための措置を講じることができます。
統一協会の進出に対して、都としてとりうる対策を先手先手で打っていくことを求めます。
コロナ禍の下、知事が都立・公社病院の独立行政法人化を強行して8カ月が経ちました。知事は、独法化は行政的医療を将来にわたって提供するためだとか、コロナ対策を強化するためだと説明してきました。
ところが、多摩総合医療センターでは独法化されたその日に、感染症内科の医師が退職し常勤医師がいなくなったことや、診療報酬の加算を取って収益を上げるために、夜間の救急医療体制で重要な役割を果たしているER病棟を閉鎖しようとしていたことが明らかになりました。
まさに、私達が指摘してきた行政的医療を後退させ、経営効率を優先する独法化の本質が浮き彫りになりました。独法化した病院を直営に戻し、拡充していくことを求めます。
コロナ対策の補正予算案・第110号議案は、政府が5月8日に新型コロナ感染症を5類に引き下げるのに合わせて、無料検査、食料配布などを終了するもので、政府の医療費負担増や病床確保料の削減もそのまま受け入れるものとなっているため、反対です。
5類になってもウイルスの感染力や病原性は変わりません。都民のいのちを守るために必要な対策を継続、拡充すべきです。
最後に
日本共産党都議団は、一国の財政規模に匹敵する、東京都の巨大な財政力を思い切って都民のくらしに使うこと、不要不急の事業については、大胆に見直しを図ることによって、「都民に寄り添う予算」にするための組み替え提案を提出いたしました。
区市町村立小中学校、都立学校の学校給食無償化や英語スピーキングテストの中止なども盛り込みました。各会派のみなさんの賛同を心から呼びかけて、討論を終わります。
以上