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質問・条例提案

2023.09.27

本会議 原のり子都議(北多摩第4選出)の一般質問

2023年9月27日の本会議で、原のり子都議(北多摩第4選出)が一般質問を行いました。

動画(都議会ホームページです。令和5年第3回定例会 > 9月27日一般質問をご覧ください)

★質問全文(質問原稿です)

1、障害者雇用について
2、学校プールの廃止と水泳指導について
3、都市農業振興について

★答弁(議事録速記版より)

知事(小池百合子君)
教育長(浜佳葉子君)
産業労働局長(坂本雅彦君)
福祉局長(佐藤智秀君)
生活文化スポーツ局長(横山英樹君)

小中学校のプール廃止の検討状況と夏休み・地域への開放状況について(調査発表)


一、障害者雇用について

 最初に、一人ひとりの状況や思いを大事にした障害者雇用についてうかがいます。

 統合失調症で30代のAさんは、現在、東久留米市にある機械メーカーの工場で週3日、一日3時間働いています。Aさんの仕事は、機械部品の不要な突起物を取り除くバリ取りという作業です。今は、安定的に仕事をしていますが、ここに至るまでにはいろいろな苦労があったとうかがいました。

 大学卒業後、大手物流会社に就職しましたが、うつ病を発症します。その後、静養しながらもくりかえし、就労にチャレンジします。途中、統合失調症を発症し、障害者雇用で就職もしますが、心身ともに不調となって退職し、生活訓練事業所に通うことになります。

 生活訓練事業所で、日常の生活を大事にしながら、社会体験として、企業などの仕事を見学する会に参加します。これは、東久留米市商工会議所が都の地域人材確保総合支援事業を活用して、障害者やひきこもり経験者向けに実施したものです。そこで、バリ取りの作業をみて、ぜひやりたいと思い、3か月間の就業体験をします。それがきっかけで、その後も、働き続けることになったのです。

 Aさんに、仕事をしていて充実している、と感じるときはどういうときですか、とうかがうと、「私がバリ取りした部品が組み立てられている光景をみたとき。すごい仕事をしているんだとわかる」と話してくれました。社会に出て、たくさん苦労してきたAさんが、今やりがいを感じながら、社員の人たちと一緒に仕事をしていることに感動します。

 まず、
Q1 東京都の地域人材確保総合支援事業の目的と実績をうかがいます。

Q2 この事業を活用することにより、一人ひとりの状況や特性に応じた柔軟な働き方が可能になり、障害者やひきこもり経験者をはじめ、生きづらさを抱えた方たちの選択肢が増えていくことが望まれます。これからも事業を継続し、希望する自治体がもれなく活用できるようにしていくことを求めますがいかがですか。あわせて、好事例を積極的に自治体に紹介することを求めます、いかがですか。

Q3 Aさんの労働時間は週9時間です。障害者雇用率制度にもとづく来年度からの短時間労働者の基準からすると、あと1時間足りません。しかし、雇用率を上げるために、あと1時間無理して延ばす、としていないことは重要です。障害者雇用において大事なのは、時間の長さだけで評価するのでなく、障害特性に応じて生きいきと仕事ができているかだと思います。見解をうかがいます。

 Aさんの新たな挑戦を支えたのは、商工会、企業、就労支援相談室、生活訓練事業所などの連携の力。そして、生活訓練事業所の存在です。Aさんは、生活訓練事業所について、「今後の人生を歩む上での気づきをした場所」と話してくれました。一人ひとり違っていいんだと気づき、「早く働かなければ」という焦りから少しずつ解放され、生活を大事にする力をつけていきます。

Q4 生活訓練事業所は2年間、事情により3年間通うことが認められます。生活訓練事業所で、自分を見つめ、暮らしや就労について学び、体験することができる、その重要性について、どのように認識していますか。

Q5 就労したあとも大切です。仕事のあとに立ち寄ってほっとできる、仲間と過ごせる余暇支援の場は、孤立せず、日々の生活を豊かにするために必要です。都の補助を活用して余暇支援を実施している自治体は少しずつ増えて現在15自治体と聞いています。障害種別にかかわらず、余暇活動の場を確保するために都の補助を活用できることをもっと周知するとともに、補助率を引き上げて活用を広げるべきではないでしょうか。都の見解をうかがいます。

 戦後、日本では、障害者が働くことがあたりまえにならず、1960年代から、共同作業所が自主的に全国各地域につくられていきました。障害者の働きたいという願いの実現、そして、障害者を仕事に合わせるのでなく、その人にあった仕事をつくりだし、それを地域に根差して進める大事な役割を果たしてきました。こうした歴史もふまえ、
Q6 障害者雇用は、一人ひとりに応じた働き方、生き方を保障するという観点が大事です。一般就労もある、超短時間の雇用もあれば、福祉的就労もある。どれも大切にされ、選択できることが大事だと考えますが、知事の見解をうかがいます。

 そして、根本的には、働けるか働けないかという物差しではなく、一人ひとりの存在そのものに価値があり、だれもが「生きていていい」と思える社会にしていくことが必要だと強く述べたいと思います。

 

二、学校プールの廃止と水泳指導について

 次に、学校プールの廃止と水泳指導についてうかがいます。

 私は、子どものころから、地域の水泳クラブに参加し、子どもから大人まで、障害のある人もない人も一緒に泳いでいました。お互いに教えあい、遊び、交流した経験はとても大きなものです。指導員になって夏休みの学校プールへも行っていました。学校プールは地域の財産だと実感しています。

 しかし現在、都内も含め全国的に学校プールの廃止が進められ、水泳の授業は民間スポーツクラブにバスで行き、民間インストラクターの指導により実施するなどの状況が生まれています。その背景には、国がすすめる公共施設等総合管理計画があります。公共施設の統廃合などを推進し、経済効率性が最優先されています。
 学校プールを廃止することで、教育内容の後退につながらないか、心配です。

 私は、東日本大震災で津波に見舞われた、宮城県東松島市の中学校で保健体育の教師をされていた先生にお話を伺いました。「気づくと川の中にいた」という生徒が、水泳の授業で習ったことを思い出して、息をいっぱい肺にためてもぐり、がれきのないところで顔を出して助かったこと。一方、まだ泳げるようになっていない生徒が亡くなり、学校で泳ぎきらせたかった、教え子の命を守りきれなかった、もっと学校の水泳指導を大事にしなければと話してくださいました。

 学校での水泳指導は、呼吸法を身に付け、命を守れるようにすることが大事な目的で、競泳を中心とした民間のスイミングスクールとは目的が違います。
 学校プールをなくし、民間に指導も委託して、一人ひとりの泳ぐ力をきちんと把握できるのか。いざというときに命を守れるのか。臨海学校やキャンプ、川遊びなどの行事に支障をきたさないか心配です。私の地元、清瀬・東久留米では、子どもたちがたくさん川で遊んでいます。命をまもる水泳指導は欠かせないものです。

Q1 学習指導要領では、小学校5・6年生の水泳指導の内容について、どのように書かれていますか。また、都教委としては、川や海で気を付けることや、命を守るために必要なことを、どのように指導していますか。都立の学校では、着衣泳などは実施していますか。

Q2 また、水泳は、全身運動として、そして精神面でも、障害のある子どもたちにとっても重要です。特別支援学校の小学部における水泳指導の内容について、学習指導要領には、どのように書かれていますか。

 授業での水遊び、水泳は本来とても楽しいものです。どの子もたくさん経験できるようにすべきであり、学校プールの廃止で体験格差が生じてはなりません。学校プールを廃止し、指導を民間に委託した自治体のアンケートに「みんなでしていた遊びなどが消えてしまった」という子どもの声も寄せられていました。子どもの施設を子どもの声を聞かずに廃止してはならないのではないでしょうか。

 また、民間プールまでの移動に時間がかかり、子どもの負担になっていたり、ひとつの施設を複数の学校が使用するため、真冬に水泳授業をする学校があるなど、見過ごせない問題も生じています。

 日本共産党都議団で実施した都内区市町村に対する調査では、一部実施を含め学校プールの統合や廃止をすすめている自治体は11自治体。検討中は20自治体です。「老朽化が激しく、修繕のための財政的な負担が大きい」「維持管理の経費や人手の負担」などの声が聞かれます。

Q3 自治体が老朽化した学校プールを改築、新築しようとした場合、国が3分の1の補助を出しています。もっと拡充してほしいとの声があります。東京都としても、支援すべきではないでしょうか。
 学校プールは地域スポーツの場としても重要です。

 私たちが行った調査では、子どもたちへの夏のプール開放は32自治体、地域開放は25自治体が実施しています。学校プールが減少すればこうした場が減ってしまいます。学校のプール開放がなくなり、市民プールは遠いので気軽に行けず、子どもたちの楽しみが奪われた事例もあります。
 また、学校の子どもたちの授業が公営プールで行われるようになった自治体では、一般の方が入れる時間が制約され問題になるなど、様々な矛盾が出ています。

Q4 国際大会には力を入れる一方で、誰もがスポーツに参加できる環境が後退していくのでは本末転倒です。
 都として、スポーツ基本法にもとづく、都のスポーツ振興条例を制定し、障害の有無にかかわらず、だれもがスポーツを楽しめる環境をつくっていく必要があると思いますが、見解をうかがいます。

 学校プールは廃止するのでなく、管理などの教員の負担を軽減しながら、水泳授業の場、地域スポーツの場として充実することこそ求められていると主張します。

 

三、都市農業振興について

 最後に、都市農業振興についてうかがいます。

Q1 昨年度、東京都は、飼料価格高騰に伴う畜産経営緊急支援事業を実施しました。全国的にみても牛1頭50,400円を給付するなど、充実した内容で、「とても助かった」という声が寄せられています。
 私は、東京都酪農業協同組合、東京ビーフ生産流通協議会、また畜産農家にお話をうかがいました。「飼料代も電気代もコロナ前の倍になった」「事業を継続できるかどうか、これからが正念場。緊急対策を実施してほしい」との声をお聞きしました。
 今こそ再度の支援を実施すべきですが、いかがですか。

Q2 また畜産業のみならず、猛暑と物価高騰で都内農業は深刻な打撃を受けています。肥料や燃料代などへの支援が必要と考えますが、見解をうかがいます。

 都内の畜産農家は大きく減少し、乳牛は43戸、肉牛は23戸。東京ビーフ生産者は8軒です。厳しい中、畜産農家の方々が農業経営を続けています。この努力にこたえ、正真正銘の東京産である、
Q3 東京牛乳や東京ビーフについて、知事先頭に、もっと力を入れてPRするべきです。いかがですか。

Q4 東京の農業者の努力を次世代へつないでいくためにも、都市農業振興条例を策定することが必要です。見解を求め、質問をおわります。

 

【 答  弁 】

知事(小池百合子君) 原のり子議員の一般質問にお答えいたします。
 障害者雇用についてのお尋ねでございました。
 誰もが障害の有無にかかわらず、職場や地域の中で共に暮らし、支え合う共生社会の実現が大切であります。
 都は、障害のある方が自分らしく働き、希望する地域で安心して暮らせるよう、障害者の雇用促進や福祉施設におけます就労支援など、様々な施策に取り組んでいるところでございます。
 その他のご質問につきましては、教育長、関係局長から答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、水泳指導についてでございますが、学習指導要領では、小学校五、六年生の水泳指導の内容に、クロールと平泳ぎで長く泳ぐことや、安全確保につながる運動として、背浮きをしながら長く浮くことなどが示されています。
 また、都教育委員会は、安全な水泳指導のためのテキストを作成するとともに、水泳を担当する教員を対象とした講習会を毎年行っております。
 なお、着衣泳につきましては、各学校が実態に応じて実施をしております。
 次に、特別支援学校の小学部における水泳指導でございますが、学習指導要領では、発達の段階に応じて、水遊びを楽しくすることや水の中での基本的な動きを身につけることなどが示されています。
 次に、老朽化した学校プールについてでございますが、公立小中学校の施設整備の経費は、原則として設置者である区市町村が負担することとされております。
 なお、都は、区市町村に対し、国の補助制度を活用し施設整備が進められるよう支援するとともに、国に対し、補助率の引上げ等を要望しております。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域での中小企業の人材の確保と定着についてでございますが、都は、地域の実情に応じた区市町村による中小企業の人材の確保や定着に向けた取組に支援を行い、成果を上げているところでございます。
 次に、区市町村の雇用施策への支援についてでございますが、都は、地域の実情に応じ、中小企業の人材の確保や定着に向け取組を行う区市町村の希望に応じ支援を行っており、その事例はウェブで紹介をしております。
 次に、障害者の働き方についてでございますが、都は、職場で働く障害者の方が、その状況に応じ仕事を適切に進めることができるよう、専門家による支援を行っております。
 次に、畜産農家への支援についてでございますが、都は、畜産農家が生産性を高めるための設備を導入する経費への支援等を行っております。
 次に、農業者への支援についてでございますが、都は、化学肥料に代わり堆肥を活用し、コストを抑える取組を支援しております。
 また、経費負担が増加する農業者の資金繰りの支援を行っております。
 次に、東京産の畜産物のPRについてでございますが、都は、東京の畜産物の認知度を高めるため、ホームページによる紹介やPR映像の放映などを行っているところでございます。
 最後に、都市農業の振興についてでございますが、都は、都市農業振興基本法等に基づき、農業振興の方向と施策展開を示す東京農業振興プランを策定し、様々な取組を進めております。
 これによりまして、東京農業の振興を図ってまいります。
   〔福祉局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉局長(佐藤智秀君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、生活訓練事業所についてでございます。
 生活訓練事業所は、障害者が自立した日常生活または社会生活ができるよう、生活能力の向上のために必要な訓練、生活等に関する相談及び助言を行っておりまして、障害者の地域での生活を支える役割を担っております。
 続きまして、障害者の余暇活動支援についてのご質問でございます。
 都は、様々な障害を有する方が就労後や休日に地域の人々と交流できる余暇活動の場を確保する区市町村の取組を、包括補助により支援をしております。
 また、こうした地域の実践を事例集にまとめまして区市町村に紹介するとともに、引き続き、事業説明会等の場におきまして包括補助の活用を働きかけてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 都民のスポーツ振興についてでありますが、都はこれまでも、スポーツ基本法に基づき東京都スポーツ推進総合計画を策定するとともに、昨年には、スポーツを東京に一層根づかせるため、スポーツレガシービジョンを公表いたしました。
 こうした計画等に基づき、都立特別支援学校の体育館やグラウンドの活用なども含め、誰もが身近な地域でスポーツ活動ができるよう取り組んでまいりました。
 引き続き、都民のスポーツ振興を着実に進めてまいります。