文書質問 不登校対策について 里吉ゆみ(世田谷区選出)
2023年第1回定例会で以下の文書質問を提出しました。
令和5年第一回都議会定例会
文書質問趣意書 提出者 里吉ゆみ
質問事項 一 不登校対策について
答 弁 一 不登校対策について
不登校対策について伺います。
文科省の報告によれば、小中学生の不登校は24万人余りと、前年度から4万9,000人近く、増えて過去最多を更新しました。東京都では21,536人、前年度比で、3,848人の増です。不登校やひきこもり問題に詳しい筑波大学の斎藤環教授は、少子化が進んでいる中で、教育現場になじめない子どもが毎年2万人ずつ増えるという異常事態は早急になんとかしなければいけない、原因は明らかに教育システムの制度疲労以外に考えられないと指摘しています。
都教委は、不登校の要因は、無気力、不安やいじめを除く友人関係をめぐる問題など様々な要因があり、その背景は多様かつ複合的であると考えている。生徒個人や家庭に責任があるという考えに立ったことはない、とわが党の代表質問に答弁しています。個人や家庭に責任はないものの、たとえば親や家族の中に介護の必要な人がいて、そのお世話のために学校に登校することが困難になるケースや、何らかの発達障害や学習障害のために、学校になじめず、不登校になるケースなど様々な要因はあるでしょう。同時に、斎藤教授が言及した「教育システムの制度疲労」ということについて、都教委として受け止める必要があるのではないでしょうか。
1 国連子どもの権利委員会からは、過度に競争的なシステムを含むストレスの多い学校環境から子どもを解放するための措置を求める勧告が繰り返し出されています。また、一部の小学校では、授業の最初の挨拶のお辞儀の角度や机の上のペンケースやノートの置き場まで決めるような指導に対して疑問の声が寄せられています。中学校では理不尽な校則に納得できないとの声も多く寄せられています。先生が忙しすぎることも大きな問題です。不登校の要因、背景は多様で複合的であるとしても、その一因に学校の現状があるのではないでしょうか。都教委の認識を伺います。
都教委の出した「教育委員会及び学校と民間施設・団体との連携検討委員会報告書」に記載の、日本財団が行った「不登校傾向にある子どもの実態調査」の結果によると、「学校に通いたくない、学校が嫌い」と感じる子どもは全国で約33万人いると推計されています。登校していても、不安を抱えていたり目標をみつけられず無気力になっている子どもが一定数いると考えられます。こうした現在学校に通っている子どもたちも含めてすべての子どもたちにとって、学校が安心できる安全な場所となることが重要です。
そのためにも、都内公立小・中学校で実施している、いじめに関するアンケートや学校評価書、既存の点検・評価の活用だけでなく、現在不登校になっている子ども、不登校を経験した子どもと保護者へのアンケートなどを行うべきです。特別支援学校に通う子どもの不登校相談も寄せられています。
2 「東京都こども基本条例」は、「都は、こどもを権利の主体として尊重し、こどもが社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう、環境の整備を図るものとする」と定めています。
都立学校在籍で、不登校を経験した子どもたちと保護者を対象に実態を把握して施策に生かすことが大切です。学校に行きづらい、休みたいと思った理由や、そのとき誰かに相談したか、相談できなかったとしたらなぜか、休んでいる間どこで過ごしたか、どのような場所があればよかったと思うか、どのような学校があれば、楽しく通えると思うか、などのアンケートを行うことを提案します。いかがですか。
現在、不登校の子どもの中で、フリースクール等に通っているのは数パーセントにすぎません。区市町村教育委員会の所管する教育支援センターもまだ少ないため、特に小学生低学年など、遠くて通えないとの相談も寄せられています。
3 各自治体での教育支援センターの配置については、さらに拡充するべきと考えますが、いかがですか。
不登校の子どもたちの居場所の確保のために、校内別室指導支援員は重要です。すでに世田谷区では、いくつかの学校で、不登校の子どものために部屋を用意しており、そこには支援員の方がいました。視察に伺い、お話を聞きました。学校の入り口に、イスと机を置き、ちょっとした本棚もあり、学校に来たところで、ゆっくりできる場所を作ったり、不登校の子どものための部屋も、1人になれる場所やボードゲームがあるなど工夫されていました。
このような居場所が、基本的にはどの学校にも必要ではないかと思いました。
4 都教委は、教室以外の居場所への支援員配置について、各教育委員会の要望に応えて、拡充も検討していただきたいと思いますがいかがですか。
令和5年第一回都議会定例会
里吉ゆみ議員の文書質問に対する答弁書
1 先生が忙しすぎることも大きな問題であり、不登校の要因、背景は多様で複合的であるとしても、その一因に学校の現状があるのではないか、都教委の認識を伺う。
回答
国の調査によると、都内公立小・中学校の不登校の要因としては、本人に係る状況や学校に係る状況など、様々な要因があり、その背景は、多様かつ複合的であると考えています。
質問事項
一の2 学校に行きづらい、休みたいと思った理由や、そのとき誰かに相談したか、相談できなかったとしたらなぜか、休んでいる間どこで過ごしたか、どのような場所があればよかったと思うか、どのような学校があれば、楽しく通えると思うか、などのアンケートを行うことを提案するが、見解を伺う。
回答
都教育委員会は、子供の状況を的確に把握するための「支援シート」の例を示すなど、各学校において、不登校の子供一人一人に応じた対応が適切に行われるよう、指導・助言を行っています。
質問事項
一の3 各自治体での教育支援センターの配置については、さらに拡充するべきだが、見解を伺う。
回答
都教育委員会は、不登校の子供の学びの機会を確保できるよう、区市町村に対し、教育支援センターの新規設置や、家庭訪問等を行う支援員の配置を行う場合の経費を補助するなど、教育支援センターにおける取組を支援しています。
質問事項
一の4 都教委は、教室以外の居場所への支援員配置について、各教育委員会の要望に応えて、拡充も検討していただきたいが、見解を伺う。
回答
都教育委員会は、別室であれば登校できる子供に対して、一人一人に応じた学びを保障できるよう、不登校の子供が多い小・中学校に、校内での別室指導支援員を配置しています。
以上