文書質問 公衆浴場振興と、地域住民の利用機会の確保について 和泉なおみ(葛飾区選出)
2023年第1回定例会で以下の文書質問を提出しました。
令和5年第一回都議会定例会
文書質問趣意書 提出者 和泉なおみ
質問事項
一 公衆浴場振興と、地域住民の利用機会の確保について
答弁
一 公衆浴場振興と、地域住民の利用機会の確保について
一 公衆浴場振興と、地域住民の利用機会の確保について
公衆浴場は、内湯のない人々にとって、日常生活に欠くことのできない施設です。また、ヒートショックや入浴中の転倒によるケガなどの心配から、内湯があっても公衆浴場を利用する一人暮らしの高齢者も増えています。
こうした人々にとっての、交流の場ともなっており、社会福祉としても大きな役割を担っています。
しかし、経営困難や後継者不足により、その数は年々減少し、加えて燃料高が廃業に拍車をかけています。都内でも平成18年に963軒あった公衆浴場が令和4年には、462軒と、半分以下に減っています。
葛飾区にも、銭湯が著しく少ない地域があり、住民の方たちは銭湯に行くためにバスを利用したり、隣の江戸川区や足立区にある公衆浴場を利用したりしています。しかし、一回500円の入浴料と、往復のバス代を入れると1,000円近い出費となり、物価高騰の中で、入浴の回数を控えざるを得ない状況も生じています。
近くの銭湯が2軒とも廃業して利用できなくなった60代の女性は、しかたなく江戸川区の銭湯に通っていますが、「足腰が痛く、遠いし、風呂道具を持ってなのであまり行けない。夏は台所で洗髪している。何回かもらい湯をしたが、気を使うので断っている」と言います。「今は家で身体を拭くだけで我慢している。」「知り合いの車に乗せてもらって他の地域の銭湯に行っている。」といった高齢者の声も寄せられており、対策が急がれます。
「公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律」は、「公衆浴場が住民の日常生活において欠くことのできない施設であるとともに、住民の健康の増進等に関し重要な役割を担っているにもかかわらず著しく減少しつつある状況」に対して、特別措置を講じ、住民の利用の機会の確保を図ることで、公衆衛生の向上及び増進並びに住民の福祉の向上に寄与することを目的に制定されました。
そして、地方公共団体の任務を、「公衆浴場の経営の安定を図る等必要な措置を講ずることにより、住民の公衆浴場の利用の機会の確保」としています。
しかし、都の公衆浴場支援は改築や耐震化、クリーンエネルギー化推進などへの助成や貸付はあるものの、経営そのものを支援する仕組みや、都民の利用機会を拡充する取り組みなどはありません。
燃料費高騰緊急対策事業も46万円を上限とした一度きりの補助事業となっています。
1 都は、「公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律」にもとづく、住民の公衆浴場の利用の機会を確保し、公衆衛生の向上及び増進並びに住民の福祉の向上に寄与するための、今後の取り組みについて伺います。
2 23区は、それぞれに高齢者への入浴無料券、低料金の入浴券などの入浴補助制度を実施していますが、「補助対象となる年齢が区によって違う」、「同区内でしか利用できない」など、公衆浴場が減少している下で他区の公衆浴場を利用せざるを得ない現状に合ったものとなっていません。都として入浴券の基準を設けて区市町村補助を行い、近隣区市の相互で利用できるようにするべきですが、いかがですか。
3 区市町村が公衆浴場の巡回バスを実施する場合、都として補助するべきですが、いかがですか。
4 都は、「公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律」にもとづき、公衆浴場の経営の安定を図るために必要な措置を、積極的に進めるべきですが、今後の取り組みについて伺います。
5 公衆浴場は、親子入浴券や、薬湯、ハーブ湯、ミニ音楽会の開催など、さまざまなイベントなどを行って広い年代への利用促進のための工夫や努力を行っています。公衆浴場が行うこのような取り組みに支援を行い、経営の安定を支援することは重要だと思いますが、都の見解を伺います。
6 公衆浴場の後継者不足による廃業を防ぐために、改めて最近の状況について実態調査を行い、対策を講じることが必要ですが、都の見解を伺います。
令和5年第一回都議会定例会
和泉なおみ議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 公衆浴場振興と、地域住民の利用機会の確保について
1 都は、「公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律」にもとづく、住民の公衆浴場の利用の機会を確保し、公衆衛生の向上及び増進並びに住民の福祉の向上に寄与するための、今後の取り組みについて伺う。
回答
公衆浴場は、都民への入浴機会の提供とともに、健康づくりや地域住民の交流の場としての役割を果たしています。 こうした役割の重要性を踏まえ、都は、公衆浴場が行う健康増進のための改修・改築やクリーンエネルギー化などへの補助を行うとともに、地域交流拠点事業など利用促進に向けた補助を行っており、今後も引き続き支援していきます。
質問事項
一の2 都として入浴券の基準を設けて区市町村補助を行い、近隣区市の相互で利用できるようにするべきですが、見解を伺う。
回答
入浴券の配布については各区市がそれぞれの事業として行っており、相互利用についても、当該区市間で調整するものですが、高齢者等の利便性を高める相互利用の仕組みづくりについて、都は毎年度、区市の公衆浴場担当者が参加する連絡会において、働きかけを行っています。
質問事項
一の3 区市町村が公衆浴場の巡回バスを実施する場合、都として補助するべきだが、見解を伺う。
回答
住民の利用機会の確保に係る区市町村の取組については、区市町村がそれぞれの地域の実情に応じて検討し、実施するものと考えます。
質問事項
一の4 都は、「公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律」にもとづき、公衆浴場の経営の安定を図るために必要な措置を、積極的に進めるべきだが、今後の取り組みについて伺う。
回答
公衆浴場は、都民への入浴機会の提供とともに、健康づくりや地域住民の交流の場としての役割を果たしています。
こうした役割の重要性を踏まえ、都は、公衆浴場が行う健康増進のための改修・改築やクリーンエネルギー化などへの補助を行うとともに、地域交流拠点事業など利用促進に向けた補助を行っており、今後も引き続き支援していきます。
質問事項
一の5 公衆浴場は、親子入浴券や、薬湯、ハーブ湯、ミニ音楽会の開催など、さまざまなイベントなどを行って広い年代への利用促進のための工夫や努力を行っており、公衆浴場が行うこのような取り組みに支援を行い、経営の安定を支援することは重要だが、都の見解を伺う。
回答
幅広い年代への利用促進を図り、新たな利用者を開拓することは、長期的な視点に立った経営の安定に向けて重要であり、各浴場が継続して取り組んでいく必要があります。
都としては、利用促進のための事業について、浴場組合を通じて補助を実施しています。
質問事項
一の6 公衆浴場の後継者不足による廃業を防ぐために、改めて最近の状況について実態調査を行い、対策を講じるべきだが、都の見解を伺う。
回答
都は各浴場の施設の状況などの基本情報について調査を行うとともに、廃業した浴場については、その理由を浴場組合を通じて把握しています。
また、浴場組合が実施する、公衆浴場の担い手育成のための事業を支援しています。
以上