文書質問 中学校英語スピーキングテストについて アオヤギ有希子都議(八王子選出)
2023年第1回定例会で以下の文書質問を提出しました。
令和5年第一回都議会定例会
文書質問趣意書 提出者 アオヤギ有希子
質問事項 一 中学校英語スピーキングテストについて
答 弁 一 中学校英語スピーキングテストについて
一 中学校英語スピーキングテストについて
1 中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の試験結果の公開については、9月15日の文教委員会の質疑において、音声データと設問別の点数は公開するのか、という問いに、「音声あるいは付随する情報についても、なるべく生徒に還元できるように準備をしている」という答弁でした。しかし、2月の文書質問の答弁では、「音声データは公開する」と、設問別の点数については公開しないことが明らかになりました。
設問別の点数を公開しないと決めたのはいつですか。
2 設問別の点数がわからなければ、自分がどのパートでどういう点数だったかわからず、都立高校入試で行ってきた点数を公開し、得点疑義を照会するシステムがなくなってしまいます。また、アチーブメントテストとしても各パートがどのような結果だったのかわからないと成り立たないと思います。ESAT-Jは、なぜ設問別の点数が公開できないのでしょうか。それとも、元々、公開するシステムがなかったのですか。
3 8人の採点ミスにおいては、都は、「一定の機械音のみが録音されていると、解答音声が部分的に確認できない箇所があるというもので、受験者が無解答なのか、あるいは機器の不具合なのか判別が難しいという事象であったということが原因」と答弁しています。この採点のし直しでは、音声が欠落した部分は一部で、各パートで採点しなおしがあったと見受けられますが、各パート、設問ごとで採点結果が出せるのではないでしょうか。
4 入試に活用するつもりであるならば、なぜ募集時の募集要項で、音声データ、設問別データの公表を義務付けなかったのですか。
5 音声の開示ができることを学校から知らされないまま卒業したという声があります。生徒にはどのような案内をしたのですか。
6 都教委の音声提供の申請者数と、音声データの提供者数、個人情報保護条例に基づく保有個人情報の開示請求者数と開示された人数を、現在のところをそれぞれお示しください。
7 募集要項には、「スピーキングテスト実施後の検証」とかかれ「ア問題の内容に関すること。イ実施方法に関すること。ウ運営に関すること。エ経費に関すること」を事業者が毎年報告することになっていますが、これを公表し、また都教委自身も事業者に対して独自に調査をするのが事業主としての責務であり、実施をして公表すべきではないですか。
8 前回の文書質問において、ESAT-Jの試験監督業務を行うベネッセが、高校入試のノウハウがあるのか聞くと、「大学入試等に広く活用されている実績がある」と答弁しました。改めて伺いますが、8万人規模の生徒が一斉に各会場で、アルバイトで雇われた人が試験監督をし、実施をした実績があるのですか。また、解答に影響の与えないトラブルはあったのでしょうか。今回の試験監督の履行状況については、検証は行われるのですか。
9 都教委は試験実施後のトラブル報告については、試験直後の電話での聞き取り、実施事業者からの報告、都職員の報告で問題はないとしていますが、私ども英スピ議連と団体の皆さんと共同で行ったアンケート結果では、「後半組だったのですが、隣のクラスの声がちょこちょこ聞こえてきました。イヤホンの上から変なヘッドホン(?)をしたのですが、設定の時に片耳のイヤホン、ヘッドホンをつけた際に少し外れてしまっていて音を大きくしていました。設定が終わり試験開始までヘッドホンを外せと言われ外し、その際にイヤホンをしっかりとつけ直しました。試験が開始されヘッドホンをつけた時に設定の時の音のままで、大音量でうるさかったので音を下げようとしたのですが、ボタンを押しても全く下がらず頭に大きな音が響き渡り途中で頭が痛くなって泣いてしまいました。機材についてもイヤホンの先端のカバーを自分達で付けろと言われ付けたのですが、なかなか付けられずに説明だけが先に進んでしまい追いつけませんでした。試験監督も自習中に爆睡していて気分が悪かったです。」という中学3年生の声がありました。
これは、本人しかわからないトラブルであり、子どもたちから直接聞かなければ、わからないトラブルもあるのではないですか。子どもたちからの声を遮断する理由をお答えください。
10 会場のベネッセが集めたアルバイトに対し、試験会場に配置された東京都の職員は、偽装請負になるため、直接指示を出すことはできません。
都教委は「会場内を巡回した」と答弁されましたが、都の職員は試験中、教室内に入ったのですか。また、トラブルがあった時、直接、対応をしたのですか。
11 試験会場での音漏れ、問題の漏えい、採点ミスが報告されていますが、都教委はESAT-Jについて、どのような場合に、是正措置をするのですか。
【試験の等化について】
各民間試験会社では、試験が同じ問題の難しさになるようにIRT(項目応答理論)という技術を使っています。これまでの議会答弁で、ESAT-JもIRTを使い、プレテスト、今回のテスト、来年のテストも等化して、経年で比較ができると答弁されています。
12 3月17日の文教委員会で、都教委は「これからずっとIRTに基づいて絶対的な評価を出していくということに変わりがありません」と述べられました。しかし、等化、IRTというのは同一の仕様の各試験で行うものであり、試験会社が違う場合、等化は不可能になります。
今のESAT-Jはベネッセが制作し、著作権も持っていますが、その試験に等化すれば、ずっとベネッセと契約することを意味しますが、等化は試験実施事業者が違う場合でも行うということですか。それとも、契約が切れ、実施事業者が変わるところで、経年比較は一旦やめるということですか。
【中学1、2年生のスピーキングテストについて】
13 タブレット端末の購入費が、積算に入っていると聞いていますが、ギガスクール構想ですでに一人一台、端末がある中、タブレットを買う理由をお示しください。
14 タブレット端末を購入することになった場合、誰が購入し、誰の所有物になるのですか。スピーキングテスト以外での活用も可能にする予定ですか。
15 端末を買う理由は、中学3年生のスピーキングテストの実施事業者のタブレット端末と合わせる目的ですか。また、事業者が変わるごとに、スピーキングテストは、タブレットを購入しなければならないのですか。購入の目的を明確にお示しください。
16 試験は、中学校以外の外部施設で実施することを考えていますか。またその費用は予算案に盛り込まれていますか。
17 中学1、2年生のスピーキングテストも、今後、等化やCEFRとの関連付けを考えていますか。
18 ESAT-Jのような協定方式は、都庁内での手続きの決まりがなく、不透明さが生じやすくなります。中学1、2年生のスピーキングテストは、事業者とどのような方式での契約を予定しているのですか。契約の主体は都ですか、事業者との共同実施ですか。
令和5年第一回都議会定例会
アオヤギ有希子議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 中学校英語スピーキングテストについて
1 中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の試験結果の公開について、9月15日の文教委員会の質疑において、音声データと設問別の点数は公開するのか、という問いに、「音声あるいは付随する情報についても、なるべく生徒に還元できるように準備をしている」という答弁であった。しかし、2月の文書質問の答弁では、「音声データは公開する」と、設問別の点数については公開しないことが明らかになった。設問別の点数を公開しないと決めたのはいつか、伺う。
回答
スピーキングテストでは、外国語運用能力等の国際的な基準を踏まえ、その到達度を総括的に6段階で評価しており、設問ごとの採点結果の公表はしないこととしています。
令和5年1月に、スピーキングテストを受験した中学3年生に対して、今後の学習に役立つよう、必要なアドバイスが記載されたスコアレポートを返却するとともに、付随する情報として、設問ごとに多数の解答例を示し、コミュニケーションの達成度などの観点別の評価結果を記載した資料を提供しました。
質問事項
一の2 ESAT-Jは、なぜ設問別の点数が公開できないのか。それとも、元々、公開するシステムがなかったのか伺う。
回答
スピーキングテストでは、外国語運用能力等の国際的な基準を踏まえ、その到達度を総括的に6段階で評価しており、設問ごとの採点結果の公表はしないこととしています。
質問事項
一の3 8人の採点ミスにおける、採点のし直しでは、音声が欠落した部分は一部で、各パートで採点しなおしがあったと見受けられますが、各パート、設問ごとで採点結果が出せるのではないか伺う。
回答
スピーキングテストでは、外国語運用能力等の国際的な基準を踏まえ、その到達度を総括的に6段階で評価しており、設問ごとの採点結果の公表はしないこととしております。
質問事項
一の4 入試に活用するつもりであるならば、なぜ募集時の募集要項で、音声データ、設問別データの公表を義務付けなかったのか伺う。
回答
音声データは、生徒の学習改善により一層資するよう提供することとしたものです。
スピーキングテストでは、外国語運用能力等の国際的な基準を踏まえ、その到達度を総括的に6段階で評価しており、設問ごとの採点結果の公表はしないこととしております。
質問事項
一の5 音声の開示ができることを学校から知らされないまま卒業したという声があります。生徒にはどのような案内をしたのか伺う。
回答
都教育委員会は、音声データの提供に関する通知及び生徒・保護者向けの案内を区市町村教育委員会を通じて、中学校に周知しています。
あわせて、都教育委員会のホームページに音声データの提供に関する案内を掲載しています。
質問事項
一の6 音声提供の申請者数、音声データの提供者数、保有個人情報の開示請求者数、開示された人数を、現在のところをそれぞれ伺う。
回答
音声データの提供について、令和5年4月末現在の申請者数は88人、提供者数は38人です。
保有個人情報の開示請求について、同年4月末現在の請求者数は3人、開示・非開示等の決定をした人数は0人です。
質問事項
一の7 募集要項には、「スピーキングテスト実施後の検証」とかかれ「ア問題の内容に関すること。イ実施方法に関すること。ウ運営に関すること。エ経費に関すること」を事業者が毎年報告することになっているが、これを公表し、また都教委自身も事業者に対して独自に調査をするのが事業主としての責務であり、実施をして公表すべきではないか、見解を伺う。
回答
都教育委員会は、事業者から報告書の提出を受けて実施状況を確認し、令和5年4月13日に開催された第6回教育委員会定例会で報告しました。
なお、経費については、今後決算の中で確定します。
質問事項
一の8 8万人規模の生徒が一斉に各会場で、アルバイトで雇われた人が試験監督をし、実施をした実績があるか。また、解答に影響の与えないトラブルはあったか。今回の試験監督の履行状況については、検証は行われるのか伺う。
回答
都教育委員会は、令和3年度にプレテストを実施しましたが、公立中学3年生全員に対して、同一日に試験を実施したのは、令和4年度が初めてです。
欠席等の連絡を受ける電話回線が混雑し、一時つながりにくくなるなどの事象はありましたが、テストは、事業者及び配置した都職員からの報告、区市町村教育委員会への聞き取りなどにより、適切に実施されていることを確認しています。
質問事項
一の9 都教委は試験実施後のトラブル報告については、試験直後の電話での聞き取り、実施事業者からの報告、都職員の報告で問題はないとしているが、子どもたちから直接聞かなければ、わからないトラブルもあるのではないか。子どもたちからの声を遮断する理由について伺う。
回答
都教育委員会は、個別の施策内容や子供が置かれた環境などを勘案し、それにふさわしい方法で子供の意見を聞いています。
スピーキングテストの実施状況等については、区市町村教育委員会を通じて、日頃から生徒指導を行っている中学校からの報告を聞き取り、テストが適切に実施されたことを、都教育委員会として確認しました。
質問事項
一の10 会場のベネッセが集めたアルバイトに対し、試験会場に配置された東京都の職員は、偽装請負になるため、直接指示を出すことはできない。都教委は「会場内を巡回した」と答弁されたが、都の職員は試験中、教室内に入ったのか。また、トラブルがあった時、直接、対応をしたのか伺う。
回答
テスト当日、都職員は、受験状況の確認や生徒の携帯電話等通信機器に関する業務のほか、教室の中や廊下の巡回を行いました。
また、テストの実施は、協定に基づき事業者が行いました。
質問事項
一の11 試験会場での音漏れ、問題の漏えい、採点ミスが報告されているが、都教委はESAT-Jについて、どのような場合に、是正措置をするのか伺う。
回答
スピーキングテストは、事業者及び配置した都職員からの報告、区市町村教育委員会への聞き取りなどにより、適切に実施されていることを確認しており、テストの結果を都立高校入試で活用したところです。
評価の誤りについては、適切に対応しました。
質問事項
一の12 今のESAT-Jはベネッセが制作し、著作権も持っているが、その試験に等化すれば、ずっとベネッセと契約することを意味しますが、等化は試験実施事業者が違う場合でも行うということか。それとも、契約が切れ、実施事業者が変わるところで、経年比較は一旦やめるということか、見解を伺う。
回答
スピーキングテストは、国際的な基準であるCEFRを踏まえて、英語を使って何ができるかを示した到達度を、都独自のESAT-J GRADEにより総括的に評価するものであり、今後も同様に実施していきます。
質問事項
一の13 タブレット端末の購入費が、積算に入っていると聞いているが、ギガスクール構想ですでに一人一台、端末がある中、タブレットを買う理由について伺う。
回答
中学1、2年生を対象としたテストにおいて必要となる資材や機材については、募集要項等に基づき、事業者がテストを確実に実施できる方法を検討し、調達することになります。
質問事項
一の14 タブレット端末を購入することになった場合、誰が購入し、誰の所有物になるのか。スピーキングテスト以外での活用も可能にする予定か伺う。
回答
中学1、2年生を対象としたテストにおいて必要となる資材や機材については、募集要項等に基づき、事業者がテストを確実に実施できる方法を検討し、調達することになります。
質問事項
一の15 端末を買う理由は、中学3年生のスピーキングテストの実施事業者のタブレット端末と合わせる目的か。また、事業者が変わるごとに、スピーキングテストは、タブレットを購入しなければならないのか。購入の目的について伺う。
回答
中学1、2年生を対象としたテストにおいて必要となる資材や機材については、募集要項等に基づき、事業者がテストを確実に実施できる方法を検討し、調達することになります。
質問事項
一の16 試験は、中学校以外の外部施設で実施することを考えているか。またその費用は予算案に盛り込まれているか、伺う。
回答
予算には会場費を計上しています。1、2年生については、原則として中学校を会場とし、3年生については、昨年度と同様、外部会場等を使用する予定ですが、詳細については、検討中です。
質問事項
一の17 中学1、2年生のスピーキングテストも、今後、等化やCEFRとの関連付けを考えているか伺う。
回答
令和5年4月末現在、採点結果は等化処理を行うとともに、CEFRも踏まえて評価する予定です。
質問事項
一の18 ESAT-Jのような協定方式は、都庁内での手続きの決まりがなく、不透明さが生じやすくなる。中学1、2年生のスピーキングテストは、事業者とどのような方式での契約を予定しているのか。契約の主体は都か、事業者との共同実施か伺う。
回答
令和5年4月末現在、新たに共同で実施する事業者を公募し、技術審査委員会において選定後、都が協定を締結する予定です。
以上