#ESATJ実施状況調査2023 まとめ
★英語スピーキングテスト議員連盟と3つの都民団体は12月5日、#ESAT-J実施状況調査結果2023について記者会見で発表しました。
- 「#ESAT-J実施状況調査2023」まとめ(PDF)
- 記述の回答一覧(PDF)
「#ESAT-J実施状況調査2023」まとめ
2023年12月5日
入試改革を考える会
都立高校入試 英語スピーキングテストに反対する保護者の会
都立高校入試への英語スピーキングテスト導入の中止を求める会
中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の都立高等学校の
入学者選抜への活用を中止するための都議会議員連盟
11月26日(日)に実施された東京都中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の実施状況について、上記4団体は、中学3年生をはじめとする試験の当事者を対象に、インターネットでアンケート調査を行いましたので、ご報告します。
昨年の同様のアンケートには「まわりの生徒の解答音声が聞こえた」「前半組の解答音声が後半組の生徒に聞こえた」「前半組と後半組の生徒が接触できた」などの証言が多数寄せられました。私たちはこれでは公平・公正とは言えないと、ESAT-Jの入試活用中止を求め、社会的にも大問題となりましたが、都教委は「適切に行われた」と強弁し、入試活用を強行しました。
今年度の試験では、都教委は試験環境を変更し、私たちのアンケートでも改善が見られた項目もありました。しかし同時に、改善しがたく公平性・公正性が確保できない問題があること、生徒への人権侵害ともいうべき状況があることが、浮き彫りになりました。これらは、今年度のみならず、テストを請け負う民間事業者が変更になっても、現在のテスト形式を続ける限り付きまとう問題です。
私たちは改めて、ESAT-Jの都立高校入試への活用中止を強く求めるものです。
なお結果の分析にあたり、専門家のみなさまに多大なご協力をいただきました。この場を借りて感謝を申し上げます。
【調査の概要】
- アンケート期間:11月26日(日)17時 ~ 12月3日(日)21時(1週間)
- アンケート対象:中学校3年生や保護者、中学校教員、試験監督などESAT-Jに実際に関係した方
- インターネットによる調査を実施(GoogleフォームによるアンケートをX(旧Twitter)で拡散)
- 質問項目は末尾参照
【回答の状況】
- 回答総数は266件、うち中学3年生が198件(75%)、保護者が59件(22%)でした。
他に試験運営関係者(試験監督など)3件、都内中学校教員1件、塾講師2件、その他3件の回答を頂きました。 - 試験会場名の記載のあった回答は209件、会場数は102会場でした(全会場数227)。
【回答の概要】
1、イヤーマフが用途を果たさず、公平・公正な環境をつくれていない
(1)「まわりの生徒が何を言っているかがわかった」が引き続き多数(86件)
試験中に「まわりの生徒が(部分的にでも)何を言っているかがわかった」との回答が86件もありました。ESAT-Jでは一語(one word)で答えても正解になる問題が複数あるので、何を言っているかわかるということは、生徒の意図にかかわらず、カンニングができてしまう環境になっているということで、都教委は公平・公正な環境を保障できていません。
スピーキングテストでは、ある受験者が他の受験者の解答をまねたり、そこからヒントを得たりしても、そのことは本人にしかわかりません(外からは見えず、試験監督やまねられた受験者にはわかりません)。そのため、多くの民間試験では、大規模な一斉受験を避け、個別のブースで受験させる、席の近い受験者には異なる問題を配信するなどしています。ESAT-Jでは近距離で同じ問題を一斉に受験するため、イヤーマフで音を遮断する措置をとっていますが、イヤーマフがその用途を果たしていないことは、昨年度に続き今年度のアンケートからも明らかです。
【アンケートより】 |
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(2)しかも「イヤーマフが痛い・集中できない」など苦痛を与えている(76件)
しかも自由記述の中には「イヤーマフがきつくて痛かった」などイヤーマフに関することが76件もあり、多くの生徒がこの問題を指摘しました。生徒は苦痛があっても試験中はイヤーマフを直すこともできず、人権侵害といえる深刻な状況です。さらにヘッドホンの中のイヤホンが外れてもそのまま試験を受けなければならないことも問題です。
【アンケートより】 |
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2、単発アルバイトの試験監督による運営が、受験生に負担をかけ、公平・公正さにも影響(47件)
単発アルバイトの試験監督に起因する問題が47件も寄せられ、昨年から改善されていません。このアルバイトは、ネットで募集され、身元確認もなく、簡単なオンライン研修のみで当日現地集合となっています。そのため、経験ある教職員中心の通常の試験運営では考えられない負担を生徒にかけ、公平・公正さにも影響を与える事態が生じています(試験監督個人ではなく、構造を問題にしています)。
【アンケートより】 |
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開室が遅れて生徒が外で待たされた事例もありました。そのための時間調整で軽食を食べられなかったという記述もあり、不手際を受験生にしわ寄せしていることは強い非難に値します。
【アンケートより】 |
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テストを受ける手順の説明がタブレット上で行われるため、機械についていけない生徒がいたり、テスト開始のずれが発生したり、その影響で別室受験になる場合も生じています(11件←上記47件の外数)。説明がタブレット上で行われるのは、単発アルバイトの試験監督でテスト運営ができるようにするためですが、それが生徒に大きな精神的負担を強いるとともに、不公平を招いています。十分な研修を受け、経験のある監督者が、各受験者の理解や準備の進み具合を確認しながら説明すれば、防げることです。
【アンケートより】 |
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試験監督問題の深刻さは、試験当日のXに、「今日スピーキングテスト受験に来てた子、イヤホンのゴムの部分?なかなか付けれない子がいてクソ可愛かった」という試験監督と思われる人物からの投稿があったことにも表れています。このような人物が簡単に中学生の試験監督になれるやり方はやめるべきです。
3、試験を前半・後半に分けることが長時間拘束や不公平感を生んでいる(66件)
試験時間15分に対し拘束時間が3時間、移動も含めれば約5時間となり、長すぎるとの意見が55件ありました。また、前半組と後半組の間の不公平感に関する記述が11件ありました。
受験生を前半後半に分け、問題漏えい防止のために拘束し続けるのは、8万人に同一問題の試験を受けさせるのに、タブレットを4万台しか用意しないことによるものです。
【アンケートより】 |
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4、都教委からの情報不足、説明不足(42件)
試験当日以外のことでは、都教委からの情報・説明の不足を指摘する回答が42件あり、都教委は責任を果たしていません。申し込みに手間がかかる、個人情報登録が不安などの声も14件(42件の外数)ありました。
【アンケートより】 |
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5、都教委が改善しようとしてもできない問題が浮き彫りに。ESAT-Jの入試活用は中止しかない
都教委は今年度の試験では、前半組と後半組の教室が隣合わせにならないようにする(階を分けている会場が多かったようです)、教室の出入口のドアは開放しない、1教室の上限人数を30人から28人に減らす、試験会場で軽食を取れるようにするなどの改善をはかりました。これらの改善が必要であったことは、私たちが昨年のアンケート結果や、中学生自身の証言ビデオなどで繰り返し指摘してきたことを、都教委が認めたことに他なりません。
その結果、今年は、「後半組に前半組の解答するこえが聞こえ、何を言っているかもわかった」は15件、「前半組と後半組の接触があった」は13件と、問題は依然として残るものの、減少しているようです(昨年は回答総数478に対し自由記述で2点合わせて92件)。昨年度のESAT-Jに今年度以上の深刻な問題があったことを示すものであり、都教委はそのことを直視すべきです。
同時に、イヤーマフをしても周囲の解答が聞こえてしまう問題や、イヤーマフが子どもたちに苦痛を与えている問題、試験監督に起因する問題などは、解決していないことが明らかになりました。
この問題の根本には、スピーキングテストの技術が大規模一斉実施の入試に対応できるほど発展していないのに、イヤーマフを使うことで無理に行っていることや、テストを民間事業者に委託しているためコスト(試験監督やタブレットの費用)削減を重視せざるを得ないことがあります。今年度のみならず、テストを請け負う民間事業者が変更になっても、現在のテスト形式を続ける限り解決できる問題ではありません。
その犠牲になっているのが、生徒たちであり、試験の公平性・公正性です。都教委はこのことを真摯に受け止め、ESAT-Jの入試活用を中止することを改めて求めます。
また、実際の試験会場で周りの解答音声が聞こえたかどうかは受験した中学生にしかわからないことですから、都教委自体が中学生の声を聞く調査を行うことを強く求めます。
以 上
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(資料)
♯ESATJ実施状況調査2023 質問項目
(1のみ必須)
1、あなたの属性・お立場(どんな方ですか?)(選択式)
〇中学 3 年生、〇中学 3 年生の保護者、〇中学 3 年生の家族(祖父母や兄弟など)、〇試験運営関係者(試験監督、電話対応担当者など)、〇都内中学校教員、〇都立高校教員、〇都教委職員、〇塾講師、〇その他( )
2、受験した(関係した)試験会場はどこですか。(できるだけご回答をお願いします)(記述式)
3、スピーキングテストの状況について教えてください。(昨年も寄せられた声を元に設問を作成しています)
①まわりの生徒の解答する声が聞こえましたか。(選択式)
○声が聞こえて何を言っているかもわかった(部分的にでも)、○声は聞こえたが何を言っているかはわからなかった、○まわりの生徒の声は聞こえなかった
②前半組の生徒が解答する声が聞こえましたか。(選択式)
○声が聞こえて何を言っているかもわかった(部分的にでも)、○声は聞こえたが何を言っているかはわからなかった、○前半組の生徒の声は聞こえなかった、○前半組だった(気づいたことがあれば⑥に)
③イヤーマフ、イヤホンマイク、タブレットなど機器について困ったことはありましたか。(選択式)
○困ったことがあった、○困ったことはなかった
④自分の声の録音確認の際に、まわりの生徒の声が録音されていましたか。(選択式)
○録音されていた、○録音されていない
⑤前半組の試験が終了してから後半組の試験が始まるまでに、前半組と後半組の生徒の接触がありましたか。(選択式)
○接触があった、○接触はなかった、○わからない
⑥①から⑤の具体的な様子や気づいたこと、変だな、いやだなと思ったことなどをお書きください。(記述式)
4、試験日が11月26日という日程は適切だと思いますか。(選択式)
○試験日が早すぎる、○11月26日で適切だと思う、○試験日が遅すぎる
■4の理由を具体的にお書きください(記述式)
5、試験当日のことで情報提供したいことがあれば、番号を選択の上具体的にお書きください。(選択式・複数選択可)
○試験の内容について、○受験会場の様子や会場までの交通について、○試験監督について、○食事場所や健康に関することについて、○テスト中のトラブルについて
■5について、具体的にお書きください。(記述式)
6、試験当日以外のことで次の各項目について情報提供したいことがあれば、番号を選択の上、具体的にお書きください。(複数選択可)
○事前の学校や東京都教育委員会からの情報提供の時期や内容について、○申し込み方法について、○電話窓口の対応について、○その他
■6について、具体的にお書きください。(記述式)
7、その他、ご意見などをお書きください。(記述式)
8、もしよろしければ連絡先をお願いします(後から内容の確認のためにご連絡をさせて頂くことがあります)。
以 上