文書質問 朝鮮学校の子どもたちの声に学び、差別や偏見をなくすとりくみを推進 ほか 原のり子(北多摩4区選出)
2023年第2回定例会で以下の文書質問を提出しました。
質問事項
一 朝鮮学校の子どもたちの声に学び、差別や偏見をなくすとりくみを推進することについて
二 清瀬特別支援学校の校舎建て替えに伴う課題について
答 弁
一 朝鮮学校の子どもたちの声に学び、差別や偏見をなくすとりくみを推進することについて
二 清瀬特別支援学校の校舎建て替えに伴う課題について
令和5年第二回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 原のり子
一 朝鮮学校の子どもたちの声に学び、差別や偏見をなくすとりくみを推進することについて
13年もの長い間、都内に10校ある朝鮮学校だけに「私立外国人学校教育運営費補助金」が停止されています。きっかけは2010年、当時の石原知事が、拉致問題などをあげ、朝鮮学校が日本に敵意をもつような教育を続けているなら、という趣旨の発言をし、都議会で議論することを求めたことです。そして、あっという間に補助金は停止されてしまいました。この状態をこのままにしておくわけにいかないと、都民の方々が都に働きかけを続けてきました。現在、こども基本条例の学習をしながら、いっそう働きかけを強めています。また、私たち都議会にも声がかかり、勉強会が超党派で行われています。共産党都議団としても、第1回定例会で質疑をおこなっています。
文教委員会でとや英津子議員が質疑を行い、朝鮮学校では反日教育はされていないことを確認しています。政治的な理由をもって子どもを差別することはあってはなりません。
東京都は2021年、議員提案により、全会一致で「こども基本条例」を制定しました。そこには、「誰一人取り残されることなく」と位置付け、子どもの権利条約にのっとり子どもに対するあらゆる差別を禁止することが明記されました。福手ゆう子議員は、総務委員会において、こども基本条例の「こども」に朝鮮学校の子どもたちも含まれているか質問しました。それに対し、「すべての子ども」だと子供政策連携室から答弁がありました。
また、人権部も、人権を守る取り組みにおける対象をたずねた私の質問に、「人権尊重条例の前文では、東京に集う多種多様な人々の人権が誰ひとり取り残されることなく尊重されるとしており、国籍は問いません」と答弁しました。
一日も早く補助金を復活すべきであることが、ますます鮮明になっています。
こうした中、朝鮮学校の子どもたちから都議や行政側に声が届けられています。子どもたちは、こども基本条例を学んで感じたことや、日本社会に生きていて感じていることを書いています。この声に学ぶことが大切であると考え、以下人権部に質問します。
1 朝鮮学校の子どもたちの声を、受け取っていますか。
中級部3年生の生徒の言葉を紹介します。
・「私たちが接する日本人の中には、私たちに対してイヤな感情を持っている人が多い」
・「現在も高校無償化や幼保無償化問題が続いていますし、スマホやネット上では、日本の人たちから私たち朝鮮学生に対する悪口や差別を受けている」
・「私たちは異国の地に生きながら、醜い偏見や冷たい視線、差別の嵐が吹きます。朝鮮だから、と日本の保育園、幼稚園でいじめられたり、道で朝鮮語で話しているだけで人々の目が鋭くなり、悪く言われるときもあります」
・「私はこれまで日本人というとあまりよくない偏見を抱いていました。試験期間、電車の中でハングルで書かれた教科書を使い勉強していたら、他の人からの視線を感じてしまったり、ミサイルの報道などで差別され心ない言葉を受けた生徒もいます」
・「私たちのまわりには、私たちに差別をしたり、私たちのウリマルを聞いて避ける人もいます」
・「ネット上では、私たちを差別する人が多いです」
人権尊重条例の前文では、「様々な人権に関する不当な差別を許さないこと」を明確にしています。それにも関わらず、朝鮮学校の子どもたちは、日常的に差別と偏見の中で生きているのです。胸が痛いです。そして、衝撃を受けたのは、都議会勉強会の都議のメッセージビデオを見て、自分たちのことを応援してくれる人もいるのだと一様に驚いていることです。こういう中で日々を過ごしているということは看過ごせません。日本社会において子どもたちの人権が保障され、のびのびと成長できるようにしていかなければなりません。「私たちを応援してくれる人もいるのだと知ってありがたかった。そして私は本当に幸せ者だと思ったし、朝鮮学校に通う朝鮮人として堂々と生きていかなければならないと思いました」…この声に向き合うことが私たちに問われています。
2 そこでうかがいますが、日本に生きていて日常的に子どもたちが受けている偏見や差別についての認識をうかがいます。
3 子どもたちが偏見や差別による被害を相談し、解決にとりくむための都の窓口はどこになりますか。
4 朝鮮学校の生徒、在日朝鮮人、ということで差別されることはあってはならないことですが、法や条例ではどのように規定していますか。
5 差別や偏見をなくしていくために、都としてはどのようなとりくみをしていますか。
6 アイデンティティを大事にすることは権利です。人権尊重条例でも、個人の人権が尊重されるべきことが明記されていますが、具体的にどのような規定になっているのかうかがいます。
補助金を停止したままでいることが、朝鮮学校を排除していることを正当化し、差別を助長しているのではないでしょうか。
7 差別をなくす、人権を守る立場から、都の事業・施策における都民への差別がないよう全庁でとりくんでいくことを求めますが、いかがですか。
二 清瀬特別支援学校の校舎建て替えに伴う課題について
清瀬特別支援学校の建て替えのため、9月から仮設校舎に移転します。仮設校舎は現在地からかなり離れた場所になるため、子どもたちが安心して通い、学べるように十分な配慮が必要です。今定例会の文教委員会でのアオヤギ有希子議員の質問で、事前見学会は実施するということがわかりました。保護者のみなさんからは、「場所に慣れることに時間のかかる子どもたちが少なくないので、事前見学会は必ずやってほしいと希望していた。よかった」と声が寄せられています。
同時に、まだ課題は多くあります。建て替え期間は4年間と言われているので、中学部3年間をずっと仮設校舎で過ごす子どもたちもいます。この3年間は子どもたちにとってかけがえのない時間です。仮設校舎だからということを理由に、今までできたことがやれない、ということのないようにしてほしいと保護者のみなさんは願っています。そこでうかがいます。
1 2021年1月に、保護者のみなさんは、都教委に対し、838名の署名を添えて、仮設校舎に関する要望書を提出しています。要望項目は二つで、運動や式典ができるスペースの確保、グラウンドの設置です。提出時に都教委の担当は、体育館やグラウンドまでは難しいが、多目的室の整備や運動できるスペースをどのぐらいとれるか今後設計を詰めていく中で、できる工夫をしていきたい、と話していました。これはどうなりましたか。
2 子どもも保護者も最も楽しみにしていて、成長が確認できる大事な行事である学習発表会や、夏期のプール指導など大事な教育活動は仮設校舎であっても、工夫して実施できるようにすべきと考えますがいかがですか。
3 慣れない場所のため、しばらくは子どもたちの緊張も高まると思われます。保護者が送り迎えしなければならない場合もでてくるかもしれません。そういう場合に対応できる駐車スペースなどは考えられていますか。
4 高等部進学に向け、路線バスに乗る練習をする子どももいます。しかし、バス停は車の通りの激しい小金井街道沿いにあり、歩道も、バス待ちをする場所も狭く安全対策が必要だと考えますが、いかがですか。
5 また、小金井街道から仮設校舎のある場所に入る部分は、しょっちゅう渋滞がおき、小金井街道全体の渋滞にもつながっています。現状のままでは、スクールバスの運行にも影響することが考えられます。子どもたちが長時間乗ったままにならないように、右折用の信号を設置することが必要だと思いますが、いかがですか。
6 新設される校舎についてもうかがいます。現在の校舎は、正門より車両を乗り入れる場合、歩道をまたいで一時停車し、車を降りて正門を開ける、という状況です。歩行者の妨げになっているだけでなく、大きな事故につながらないか保護者も近隣住民の方も心配されています。改善を求めますがいかがですか。
7 新設校舎の工事説明会はいつ開かれますか。また、保護者対象の説明会はいつ行われますか。
令和5年第二回都議会定例会
原のり子議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 朝鮮学校の子どもたちの声に学び、差別や偏見をなくすとりくみを推進することについて
1 朝鮮学校の子どもたちの声を受け取ったか伺う。
回答
「都議会勉強会」実行委員会から「36名のこどもたちの声」と題する文書を受領しています。
質問事項
一の2 そこでうかがうが、日本に生きていて日常的に子どもたちが受けている偏見や差別についての認識を伺う。
回答
人権尊重条例では、東京に集う多様な人々の人権が、誰一人取り残されることなく尊重され、人権尊重の理念が広く都民等に一層浸透していくこととしています。
質問事項
一の3 子どもたちが偏見や差別による被害を相談し、解決にとりくむための都の窓口はどこになるか伺う。
回答
都は、東京都人権プラザにおいて人権相談を実施しているほか、東京都教育相談センターなど、子供が相談できる窓口を設置しています。
質問事項
一の4 朝鮮学校の生徒、在日朝鮮人、ということで差別されることはあってはならないことだが、法や条例ではどのように規定しているか伺う。
回答
ヘイトスピーチ解消法では、本邦外出身者に対する不当な差別的言動は許されないこととされており、人権尊重条例においても同法律に基づき、都の実情に応じた施策を講ずることにより、不当な差別的言動の解消を図るものとしています。
質問事項
一の5 差別や偏見をなくしていくために、都としてはどのようなとりくみをしているか伺う。
回答
都は、人権尊重条例に基づき、都民等からの申出を受け、ヘイトスピーチと認められる表現活動の概要公表を行っているほか、啓発冊子や動画等を活用した広報、人権啓発イベントでの展示などを通じ、都民への啓発に取り組んでいます。
質問事項
一の6 アイデンティティを大事にすることは権利であると考える。人権尊重条例でも個人の人権が尊重されるべきことが明記されているが具体的にどのような規定になっているか伺う。
回答
人権尊重条例では、東京に集う多様な人々の人権が、誰一人取り残されることなく尊重され、人権尊重の理念が広く都民等に一層浸透していくこととしています。
質問事項
一の7 差別をなくす、人権を守る立場から、都の事業・施策における都民への差別がないよう全庁で取り組んでいくことを求めるが、見解を伺う。
回答
都は、平成30年に人権尊重条例を制定し、人権施策を実施してきました。
引き続き、同条例に基づく取組を進めていきます。
質問事項
二 清瀬特別支援学校の校舎建て替えに伴う課題について
1 2021年の1月の都教委に対する要望書の要望項目は二つで、提出時に都教委の担当は、体育館やグラウンドまでは難しいが、多目的室の整備や運動できるスペースをどのぐらいとれるか今後設計を詰めていく中で、できる工夫をしていきたい、と話していたが、これはどうなったか伺う。
回答
清瀬特別支援学校の仮設校舎では、約1,400平方メートルの運動場や屋内の運動スペースとして約300平方メートルの多目的室を設置しています。
質問事項
二の2 子どもも保護者も最も楽しみにしていて、成長が確認できる大事な行事である学習発表会や、夏期のプール指導など大事な教育活動は仮設校舎であっても、工夫して実施できるようにすべきだが見解を伺う。
回答
学習発表会等の学校行事の実施については、学校長が仮設校舎の状況等を踏まえ決定します。
また、令和6年度以降のプール指導については、近隣の施設を借りられるよう調整しています。
質問事項
二の3 慣れない場所のため、しばらくは子どもたちの緊張も高まると思われ、保護者が送り迎えしなければならない場合もでてくるかもしれないが、そういう場合に対応できる駐車スペースなどは考えられているか伺う。
回答
仮設校舎の敷地には、スクールバスの駐車場のほか、保護者の送迎用駐車場も設けています。
質問事項
二の4 高等部進学に向け、路線バスに乗る練習をする子どももいるが、バス停は車の通りの激しい小金井街道沿いにあり、歩道も、バス待ちをする場所も狭く安全対策が必要だが、見解を伺う。
回答
学校から具体的な要望があれば、小金井街道の安全対策について検討していきます。
質問事項
二の5 子どもたちが長時間乗ったままにならないように、右折用の信号を設置することが必要だが、見解を伺う。
回答
小金井街道が、朝の通学時間帯を中心に渋滞していることは承知していますが、御質問の場所については、小金井街道と清瀬特別支援学校の仮設校舎方向から交差点を通行する車両を制御する信号ではなく、同交差点の南側において、歩行者が小金井街道を横断するための信号として運用しているため、右折用の信号を設置することはできません。
質問事項
二の6 現在の校舎は、正門より車両を乗り入れる場合、歩道をまたいで一時停車し、車を降りて正門を開ける、という状況で、歩行者の妨げになっているだけでなく、大きな事故につながらないか保護者も近隣住民の方も心配されている。新設される校舎について、改善を求めるが見解を伺う。
回答
清瀬特別支援学校の正門は、児童生徒の登下校の時間帯には常時開けた状態とし、教員が歩行者や車の誘導を行うなど通行の安全管理を徹底しています。
登下校の時間帯以外では、正門は学校の安全管理上の理由から、常時閉じた状態としています。
引き続き、学校運営において歩行者等の通行の安全管理に配慮していきます。
質問事項
二の7 新設校舎の工事説明会はいつ開かれるか。また、保護者対象の説明会はいつ行われるか伺う。
回答
改築工事の着工前に近隣住民への工事説明会を開催し、また、保護者には工事説明会の前に学校から保護者会等で説明する予定です。