新型コロナウイルス感染症対策特別委員会での斉藤まりこ都議(足立区選出)の質疑
○斉藤委員
日本共産党の斉藤まりこです。よろしくお願いいたします。
コロナの感染が大きく広がっており、少なくとも一万五千人程度の感染者が毎日出ているという予測もされております。東京都医師会の尾崎治夫会長は十二日の記者会見で、第九波に入っていると述べました。新型コロナ感染症対策分科会の会長を務めてきた尾身茂氏も、十四日の記者会見で、第九波はピークに達していない、医療現場は、救急医療などを中心にかなり負荷がかかっていると懸念を示しました。
都は、今の感染状況が第九波だという認識はありますか。
○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務
都は、新型コロナウイルス感染症の五類移行後も、専門家によるモニタリング分析を継続しております。
今の感染状況ですが、五類移行後、定点医療機関当たりの患者報告数は、緩やかな増加傾向にあると認識しております。令和五年九月十四日公表のモニタリング分析では、十六・三六人に達しているということです。専門家からは、重症化リスクが高い高齢者等の感染拡大を警戒する必要があるとのコメントをいただいており、これを受けて、都は、特に換気には配慮し、場面に応じたマスク着用、手洗いなどの基本的な感染防止対策とともに、体調が悪いときは外出を控えるよう、注意喚起を行っております。
○斉藤委員
第九波だという認識があるのかどうかということについては答弁がなかった。その上、緩やかな増加傾向だということです。あまりに危機感が薄いのではないかと、これはいわざるを得ません。
国の加藤前厚労大臣も、十一日に行った演説で、第九波といわれるものが今回来ていると述べています。大きな感染拡大の波が来ているという明白な事実をきちんと認識し、対策を抜本的に強化することを強く求めます。
感染者が大きく増える中で、医療の逼迫も再び深刻化しています。私の地元の足立区医師会は、八月二十八日に、新型コロナウイルス感染症蔓延アラートを区内の会員の医療機関宛てに出しました。
コロナ禍で逼迫している医療状況を訴えていますけれども、都は、これをどう受け止めますか。医療は逼迫しているということを認めますか。
○加藤保健医療局感染症対策部長
都は、新型コロナウイルス感染症が五類に移行した後も、毎週のモニタリング分析を継続しておりまして、専門家によるモニタリング項目の分析結果のほか、数値の増加スピードや医療現場の実態などを総合的に勘案し、医療提供体制への負荷の状況を判断しております。
都が、九月十四日に公表いたしましたモニタリング分析におきまして、医療提供体制は、東京ルールの適用件数は引き続き高い水準で推移し、救急医療が逼迫する事態が一部で生じているとともに、入院患者数は高い水準が続いているとの分析結果となりました。
一方で、五類移行後の都による入院調整の状況は、ほぼ全員の受入れが決定をしております。また、約三千百の確保病床の使用状況は、最大で半数程度と、確保病床以外での患者の受入れが進んでおりまして、専門家との意見交換におきましても、医療現場が逼迫しているという意見は示されておりません。
こうしたことから、医療提供体制は確保されているものと認識しております。
○斉藤委員
今、いろんなことをおっしゃったんですけれども、足立区医師会のアラートへの受け止めは一言もない上、医療提供体制は確保されていると、医療が逼迫しているということを認めませんでした。現場の実態から、あまりにかけ離れた認識だといわざるを得ません。
入院先が見つからず、心肺蘇生を行わないという条件でなければ入院を受け入れられないといわれるという事態も発生しています。東京都医師会の土谷副会長は、十二日の記者会見で、第七波、第八波のときにあったようなコロナ患者の搬送先が見つからない状況が今も起きていると、現状を語りました。確保病床が空いているというようなことを今おっしゃいましたけれども、数字上病床が空いていても、実際には入院ができないということは、感染拡大のたびに何度も繰り返してきました。今も同じではないですか。
私は、足立区医師会の会長からも直接お話を聞きましたが、医療は逼迫している、入院できない人もいるとおっしゃっていました。この足立区医師会の文書にどう書いてあるか。入院先が必要な患者様がいても、救急車に連絡がつかず、搬送先が決まるまでに何時間もかかっている現状です。これを逼迫している医療状況といわずして何というのでしょうか。こう書いてあるんです。これが、現場の声です。
もう一度伺いますが、この医療逼迫しているという認識、危機感はないんでしょうか。
○加藤保健医療局感染症対策部長
都は、専門家によるモニタリング項目の分析の結果のほか、数値の増加スピードや医療現場の実態などを総合的に勘案し、医療提供体制の負荷の状況を判断しております。
○斉藤委員
本当に、現場の実態を見ない、声を聞かない、そういうことでは、都民の命と健康を守る責任を果たすことができません。
都が六月に組んだ補正予算には、感染拡大時に執行するものが七項目ありました。新型コロナの感染症患者や疑いのある患者を受け入れる医療機関への支援金や、休日に小児診療を行う医療機関への支援など、大事な事業です。現在、大きく感染が拡大しているのは明らかであり、年末年始などの期間の定めのないものについては、直ちに執行することを求めるものです。
今、感染が大きく広がっており、冬には、さらに第十波が起きる懸念も指摘されているにもかかわらず、国が、十月から、コロナ対策をさらに縮小しようとしていることは重大です。
その一つが、コロナの治療薬の公費負担です。国は、現在自己負担なしとなっているコロナ治療薬について、十月から、医療費の窓口負担の割合に応じて、上限三千円から九千円を患者が負担することを発表しました。このことに医療現場からは不安の声が上がっています。東京都医師会は十二日の記者会見で、コロナ治療薬の全額公費負担の延長を提言しました。足立区医師会も、現在の感染状況が継続中に抗ウイルス薬の公費助成が打ち切られれば、医療は崩壊すると述べています。経済的不安がある方が、治療薬をちゅうちょしないためにも、国に対して、強く全額公費負担の継続を求めるべきですが、いかがですか。
○加藤保健医療局感染症対策部長
国から新型コロナウイルス感染症の五類感染症への移行方針が示された際に、都は、高額な自己負担の発生により、治療薬の活用をためらうケースが生じないよう、薬価が一定程度の水準に引き下げられるまでの間、投薬医療費の公費負担を継続することを要望いたしました。
令和五年十月以降の取扱いにつきましても、全国知事会を通じまして、これまでと同等の公費支援を継続するとともに、国が責任を持って十分な周知を図り、国民の不安や医療現場における混乱を招かないよう丁寧に対応するよう、令和五年九月四日に要望したところでございます。
○斉藤委員
現場の感染症専門医の方からもお話を伺いましたが、患者にとっては、最大で九千円もするなら、薬を諦めてしまうという人もいるだろうと話していました。そうすると、重症化するおそれがあって、患者本人にとっても深刻なことですし、重症患者への対応で、医療もますます逼迫しますということです。また、治療薬は、ウイルスの喪失を早める効果がありますので、逆にいうと、治療薬を投与できないと、ウイルスを排出する期間が長くなり、感染がより広がる可能性もあり、そうなると、医療機関も大変になるということでした。
患者を守り、医療機関にも負担をかけないようにするためにも、この治療薬への財政的支援は重要です。全国知事会を通じて国に要望したということですが、東京都として直接国に求め、また、国がやらないなら、都として独自に財政支援を行うように求めます。
オミクロン株以降、基礎疾患の悪化や衰弱する高齢者が多くなり、生活面での支援や介護が必要な患者が大幅に増加しています。医療機関では、患者の体の向きを変えたり、食事の介助をするなどの介護が必要な患者が多くなったことで、これまで以上に多くの人手が必要になり、入院の受入れを制限せざるを得なくなりました。
そのため、都は、介護が必要な方を中心に受け入れる高齢者等医療支援型施設を設置し、昨年十二月には、八か所まで増やしました。
第八波での高齢者等医療支援型施設では、最高何%利用されていましたか。また、今回、第九波でのこの利用率の最高は幾つですか。
○小原保健医療局感染症対策調整担当部長
高齢者等医療支援型施設につきましては、八施設六百九十二床を設置いたしております。
八施設合計で、一日の滞在者数の設置病床数に占める割合は、第八波の最大で約六八・五%、五類移行後の最大で約五五・五%でございます。
○斉藤委員
特に介護の必要な方などの入院が難しいという話があるわけですけれども、五類移行後の利用率は、八波のときより下がっているということです。現在この施設に入所するためには、都の入院調整本部に依頼するか、もしくは救急隊が搬送するかの二つの経路しかありません。
コロナの患者を診察した医師が、直接、高齢者等医療支援型施設に申込みができるようにするべきですけれども、いかがですか。
○小原保健医療局感染症対策調整担当部長
都の入院調整本部が終了した十月以降において、診察した医師が、高齢者等医療支援型施設に申し込む場合、これまで同様に、患者の情報を入所調整のシステムに入力した上で、直接、各高齢者等医療支援型施設と調整することとなっております。
○斉藤委員
十月以降は直接入所調整ができるようになるとのことでした。現在でも、なかなか入院先が決まらないために自宅で酸素投与したという話もありますので、診察する医師に分かりやすくお知らせしていただくよう求めておきます。
医療の逼迫を緩和するためにも、少しでも感染拡大を抑えることが必要です。最初の質問への答弁で、換気、場面に応じたマスク着用、手洗いなどの基本的な感染防止対策について注意喚起を行っているというお話がありました。しかし、先週の知事の記者会見では、換気と手洗いについては言及がありましたが、なぜかマスクについては述べられませんでした。
そこで伺いますが、マスク着用は感染防止対策として有効と考えますが、見解を伺います。
○内藤保健医療局感染症対策調整担当部長
マスクは、せきやくしゃみによる飛沫やそこに含まれるウイルスなどの病原体が飛び散ることを防ぐことから、マスクの着用は、飛沫感染やエアロゾル感染に対する基本的な感染防止対策の一つとされております。
○斉藤委員
基本的な感染防止対策の一つという認識だということです。そうであれば、マスクが感染拡大防止に有効であることや、重症化リスクの高い方と接するときなどにマスクの着用が推奨されることについて、より積極的に知らせていくということを求めます。
障害者がコロナに感染したときに、安心できる入院先を確保することは引き続き重要な課題です。重症心身障害者の息子さんを持つお母さんからお話を伺いました。八月の初めに、息子さんが発熱し、ふだんお世話になっている病院に行ったところ、コロナに感染していたそうです。その病院は、コロナ患者の入院はできないので、都立病院に連絡をしたのですが、そのときは重症患者が多く、受入れ困難で入院ができなかったということです。その後、都立ではない別の病院が入院を引き受けてくれたのですが、障害者への理解が不十分で、誤嚥性肺炎を起こして入院が長期間になってしまったそうです。そして、退院するときに、医師から、大変でした、こういう子はといわれてしまったということです。
障害者がコロナに感染することは、これからも起こります。この医療機関での障害者への理解を広げていくということが重要ですが、同時に、障害に理解のある都立病院で受け入れてほしいというのが切実な願いです。
行政的医療は都立病院の役割であり、コロナに感染し、入院が必要になった障害者は、最大限、都立病院で受け入れられるようにするよう求めますが、いかがですか。
○谷田保健医療局次長理事兼務
都は、新型コロナの五類感染症への移行後、高齢者等のハイリスク層を守りつつ、より多くの医療機関が新型コロナ患者に対応できる平時の体制構築に取り組んでおります。
都立病院は、感染症医療などの行政的医療の提供を役割としており、新型コロナ対応では、重症、中等症の患者や、新型コロナによる症状が軽くても重い基礎疾患のある方、妊婦、小児、透析患者、障害のある方などを積極的に受け入れております。
引き続き、通常医療との両立を図りながら、医療を必要とする患者を受け入れてまいります。
○斉藤委員
ご答弁のとおり、感染症医療などの行政的医療は都立病院の重要な役割です。都立病院の体制を強化し、その役割をさらに積極的に果たしていけるようにすることを求めるものです。
九月に入ってから、都内の学校で学級閉鎖が相次いでいると報道されています。改めてですけれども、学級等閉鎖の状況について、都立学校での状況について伺います。
都立学校での新型コロナによる学級、学年、学校閉鎖について、夏休み明けの数字を学校種ごとに伺います。
○村西教育庁都立学校教育部長
二学期が始まってから九月十五日までの間に、臨時休業を行った都立学校は二十件であり、その内訳は、学級閉鎖十三件、学年閉鎖二件、学校閉鎖五件でございます。
また、校種ごとの内訳につきましては、高等学校十七件、中等教育学校一件、中学校二件となっております。
○斉藤委員
十五日までに合わせて二十件ということです。学校閉鎖が五件も起きているというのは深刻な状況だというふうに思います。
続けて、区市町村立の小中学校での学級、学年、学校閉鎖の件数について、夏休み明けの数字をそれぞれ学校種ごとに伺います。
○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務
都内の保健所に届出のあった小中学校の臨時休業については、実施した施設数を取りまとめて公表しており、二〇二三年第三十五週、八月二十八日から九月三日までには、小学校一件、中学校三件、そして、第三十六週、九月四日から九月十日までにおいては、小学校三十件、中学校十六件となっております。
○斉藤委員
区市町村立学校の新型コロナによる学級閉鎖等については、五類移行後は、都教育委員会では把握しなくなったということで、保健医療局からのお答えでした。
都の感染症情報センターが公表しているデータによると、夏休み前の状況よりも、九月以降に臨時休業が圧倒的に増えているということが分かります。
さらに、インフルエンザも例年より早く流行している状況です。インフルエンザは、流行開始の目安である定点医療機関当たり一・〇人を大きく超えて、九月四日から十日までの定点当たりの報告数は五・九五人となっています。インフルエンザによる学校の臨時休業も、十日までに五十三校に上っています。
九月十四日の都の感染症対策連絡会議では、専門家から、新型コロナとインフルエンザの同時流行について報告され、若い世代から上の世代に感染が広がっていくと懸念されると指摘されています。
都教委としても、こうした報告から、学校での対応について検討する必要があると考えますが、いかがですか。
○村西教育庁都立学校教育部長
都立学校では、五類感染症移行後の新型コロナウイルス感染症対策について、文部科学省の学校における衛生管理マニュアルを参考として、各学校の実情に応じた対応を行っております。
具体的には、新型コロナウイルス感染症の五類感染症への移行後においても、手洗い等の手指衛生や、せきエチケットの指導、適切な換気の確保といった対策を講じております。
また、地域や学校において感染が流行している場合などには、活動場面に応じて、近距離、対面、大声での発声や会話を控えることなどの対策を実施しております。
さらに、インフルエンザの予防対策につきましても、小まめな手洗い、せきエチケットの心がけ、室内の換気などが重要でございまして、新型コロナウイルス感染症に対する対応が有効と考えております。
○斉藤委員
新型コロナの予防対策をしていればインフルエンザの予防にもなるというお答えですが、それはそのとおりだと思うんですけれども、ご答弁いただいたマニュアルでも、平時から求められる感染症対策と感染流行時における感染症対策では内容が異なり、感染流行時の方が、より積極的な対策が求められているわけですから、きちんとコロナとインフルエンザが同時流行しているという事実を注意喚起し、ふさわしい対応をすることが必要だと思います。
インフルエンザ単体については、都教委は、九月十五日付で、インフルエンザに係る注意喚起についてという事務連絡を都立学校と区市町村教育委員会に通知しています。
新型コロナの感染症についての注意喚起は出していないのか、出していないならばなぜか伺います。
○村西教育庁都立学校教育部長
新型コロナウイルス感染症に係る注意喚起は発出しておりません。
都教育委員会は、五類感染症移行後の新型コロナウイルス感染症対策につきまして、文部科学省の学校における衛生管理マニュアルを参考として、各学校の実情に応じた対応を行うよう、都立学校等に既に通知しております。
当マニュアルには、平時においての基本的な感染対策に加えて、地域や学校において感染が流行している場合についても具体的な対策を示しておりまして、各学校において、マニュアルを参考に、実情に応じた対応を行うことができるものと考えております。
○斉藤委員
新型コロナに関する注意喚起は出していないということです。
インフルエンザに係る注意喚起、この通知は、対策を示しているというだけでなくて、流行が始まっているということを知らせる、そういう内容にもなっています。コロナについても、感染が流行している場合の対策をマニュアルで示していても、今流行しているということをきちんと知らせなければ、学校で適切な時期に対策を取るということができません。
インフルエンザの注意喚起は、大本は、保健医療局から、都立学校や区市町村の学校に周知してほしいと発出しているものです。現在の感染状況は、インフルエンザの定点当たりの数値は五・九五人、新型コロナは十六・三六人と、コロナの方が三倍近く感染が拡大しています。
保健医療局に伺います。
保健医療局は、九月十四日に、教育庁へインフルエンザの注意喚起を通知していますが、なぜ新型コロナは通知を出さないのでしょうか。
○西塚保健医療局感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務
インフルエンザについては、今シーズンに入り、流行開始の目安となる定点当たり患者報告数一・〇人を超えた時点で注意喚起の報道発表を行い、関係機関へ情報提供を行いました。
新型コロナにつきましては、五類移行後も、定点当たり患者報告数を含めモニタリング分析を毎週行い、専門家の助言に基づき、感染状況等に応じた必要な注意喚起を行っていると認識しております。
○斉藤委員
私は、なぜ出していないのかというふうに聞いたんですけれども、お答えになっていないんですね。専門家によるモニタリング分析で注意喚起をしているというふうにいいましたけれども、これは、一般的に発信しているだけで、直接学校現場に届く通知としては出していないわけです。
インフルエンザの方は、注意喚起の通知をしているのに、一医療機関当たりの感染者数が、インフルエンザの三倍近くに上る新型コロナについては通知を出さないのは、コロナ対策の軽視といわれても仕方がありません。流行していることをきちんと知らせなければ、学校で適切な対策を取ることができません。学校閉鎖まで起こっているという状況ですから、コロナが感染拡大していること、インフルエンザと同時流行していることを保健医療局と教育庁とが連携をして、学校に知らせ、注意喚起をしていくことを重ねて求めるものです。
新型コロナの後遺症について伺います。
都のiCDCでは、都立病院の外来を受診した患者を対象に症例分析を行っていて、この中で、症状は長期間継続する場合もあり、本人だけでなく、周囲の方の後遺症への理解が必要ですと指摘をしています。
我が党の吉良よし子参議院議員事務所で行ったコロナ後遺症のアンケート調査には、千百七十二人からの回答がありました。そのうち八六%もの方が、日常生活、社会生活に影響があると回答し、そのうち七割は、休業、休職、三割は退職、失業したと答えています。
コロナ後遺症では、一年以上も症状が続いたり、激しい倦怠感から、通学や就労が困難になったという声が多く寄せられています。
安定して暮らせるための生活支援の充実が必要だと思いますが、見解を伺います。
○内藤保健医療局感染症対策調整担当部長
都は、後遺症に悩む方が身近な医療機関で受診できるよう、後遺症に対応可能な医療機関をホームページなどで紹介しております。
また、就労や福祉など生活全般に関する各種相談窓口や公的支援制度などの情報につきまして、ホームページやリーフレット等において幅広く提供しております。
都では昨年度から、後遺症の理解促進に向け、オンライン研修会を開催しておりまして、今年六月には、就労者の職場復帰支援等を内容として実施しましたほか、来月には、教育現場における児童生徒への対応など、子供の後遺症をテーマに開催いたします。
○斉藤委員 今行っている取組のご紹介でしたけれども、そうしたことを行っていても、今困難を抱える方々がいるという現状です。支援の充実を重ねて求めます。
今ご答弁で、来月には子供の後遺症をテーマに研修会を開催するということですが、教育庁に伺います。
この都のiCDCでの後遺症の調査では、十代以下の子供が全体の二三%に上り、後遺症は、年齢やコロナ罹患時の重症度にかかわらず発症する可能性があるということが指摘をされています。
都教委としても、後遺症に苦しむ子供たちへのケアについて考える必要があると思いますが、いかがですか。
○小寺教育庁指導部長
都教育委員会は、都立学校において、いわゆる後遺症を含む体調不良などの子供に対して、個々の状況に応じ、適切に配慮するよう指導助言を行っているところでございます。
○斉藤委員
我が党のアンケート調査の回答では、千百七十二人のうち百一件が十代以下の子供からの回答でした。コロナ前は元気よく学校に通っていたのに、立っていることも座り続けることもできず、倒れてしまうようになってしまったという小学生や、バスケをやる元気な男子中学生が、二年間ほぼ寝たきりになり、楽しいはずの学校生活が奪われたというケースなど、深刻なケースが多く寄せられています。体調不良、一般への配慮ということにとどまらず、後遺症への認識を深めた上で対応する必要があると思います。
国会では、こうした子供たちを置き去りにしないように、文科省としてしっかり向き合い、取り組むべき課題だと思うがどうかという質問に対して、文科大臣は、教育活動の実施に当たりまして適切な配慮を行うこと、児童生徒間での差別、偏見等がないよう適切に指導することなどの対応を行うことがまずは重要と答弁をしています。
都教委としても同じ認識を持っていますか。
○小寺教育庁指導部長
都教育委員会といたしましても、当時の文部科学大臣の発言と同様の認識に立ち、各学校に対し、適切に配慮するよう指導助言を行っております。
○斉藤委員
適切な対応が重要という文科大臣のこの発言と同様の認識に立っているということは重要です。
我が党のアンケート調査には、後遺症で登校できないことを訴えても、心の問題ではないかといわれてしまったという声や、進学や進級に不利になってしまうのではないかという不安の声も届いています。適切に配慮するという認識を踏まえて、具体的な対応につなげていく必要があります。
後遺症を抱える児童生徒たちが学校に通えない状況が生じたときには、単純に欠席扱いにするのではなく、進学や進級に不利にならないように対応するべきですが、いかがですか。
○小寺教育庁指導部長
都教育委員会は、都立学校に対して、校長会等様々な機会を通じまして、いわゆる後遺症を含む新型コロナに関連して登校できない場合は、出席を要しない日と扱うなど、一人一人の状況に応じて配慮するよう指導助言を行ってまいりました。
また、区市町村教育委員会に対しましても、同様の内容を周知いたしております。
○斉藤委員
具体的に、どのように指導助言を行っているのか詳しく伺いましたけれども、区市町村教委の担当者を集めた会議では、出欠席の扱いを柔軟に判断することと記載された、後遺症の方への対応として、そう記載された資料を配って説明をしたということ、一方で、出欠席が、進級や卒業に影響する都立高校など都立学校に対しては、校長連絡会で口頭で説明をしたということで、まだまだこの周知の方法としては不十分なのではないかというふうに感じました。ぜひ、現場の先生たちが迷わず適切に対応ができるように、子供の後遺症への理解や柔軟な出欠席の扱いなど、全ての学校に周知できるようにしていただきたいというふうに思います。
都教育委員会として、後遺症に苦しむ子供の実態をつかみ、理解を深めると同時に、学校において適切な対応ができるように、方針を示す必要があると思いますが、いかがですか。
○小寺教育庁指導部長
都教育委員会は、本年五月八日から適用されている文部科学省の衛生管理マニュアルに基づきまして、適切に対応するよう都内公立学校に周知しております。
このマニュアルには、教職員によるきめ細かな健康観察を通した子供の状況把握、実態に応じた学校医による健康相談やスクールカウンセラーによる心理面からの支援、やむを得ず学校に登校できない場合の学習機会の確保などが示されておりまして、都教育委員会は、これらを踏まえ、いわゆる後遺症が見られる子供の対応につきましても、個々に学校への指導助言を行っているところでございます。
○斉藤委員 ご答弁されているこの文科省のマニュアルには、後遺症という言葉は一回も出てきていないんですね。そのマニュアルだけで後遺症について理解し、適切な対応をするというのはなかなか大変なんじゃないかというふうに思います。
先ほど、保健医療局からのご答弁でもありましたが、来月一日に保健医療局主催で行われる研修会、子供のコロナ後遺症の現状と対応というテーマですけれども、子供のコロナ後遺症について小児科医師による最新の知見や診療の実際とともに、教育庁指導部の堀口主任指導主事も教育現場での対応について発表されるというふうに聞いています。先ほど、心の問題ではないかといわれてしまったという声を紹介しましたけれども、適切な対応のために、学校現場が、後遺症への理解を深めることができる、学校に役立つ具体的なお話をしていただきたいというふうに思います。さらに、その内容をまとめて、学校に周知するなど学校に役立つ具体的な対応方針を示すことなど、ぜひ取り組んでいただくことを求めます。
今日は、一年八か月ぶりの新型コロナ感染症対策特別委員会の質疑でした。コロナ感染症が五類になり、感染者の実態が見えにくい状況になっています。その間、この感染者数は増えており、入院先が見つかっていないという事態も広がっている下で、都は、医療は逼迫しているとは認めませんでした。あまりに認識が甘いといわざるを得ません。
都医師会の尾崎会長は、九月十二日の定例会見で、まだまだコロナとの闘いは続く、五類だからもう考えなくてもいいのではない、予防も含め、改めてコロナにどう立ち向かうか考えていただければというふうに述べました。
コロナ感染症、後遺症などで苦しんでいる都民の実態をつかみ対策を講じていく、取組の検証を行い、都として何をやるべきなのか議論をする新型コロナ感染症対策特別委員会の役割は、ますます重要になっています。
今後、さらに質疑を重ねていくことが不可欠だということを訴え、質問を終わります。