文書質問 都有施設などのトイレの改善について 池川友一(町田市選出)
2023年第3回定例会で以下の文書質問を提出しました。
令和5年第三回都議会定例会
文書質問趣意書 提出者 池川友一
質問事項
一 都有施設などのトイレの改善について
一 都有施設などのトイレの改善について
SDGsの目標6は「安全な水とトイレを世界中に」となっています。これは、トイレの問題が生きていく上で必要なものであることを示しています。
トイレへのアクセスは、私たちの日常生活には不可欠なものです。トイレについて、国務大臣も国会で「トイレは、男女問わず全ての人にとって欠かせないものでありまして、使用したいときに使用できるということは当然重要であると考えております」と述べています。トイレにアクセスすることは人権に関わる重要な問題です。
以下、トイレに関わる課題について質問します。
まず、男女のトイレ格差について伺います。
1 都有施設、都営交通の駅、多摩都市モノレールの駅、ゆりかもめの駅におけるトイレの数(男性は小便器と個室、女性は個室)はどうなっていますか。施設ごとにお示しください。
都内在住の女性が、2022年から公共交通機関の便器数の男女比をトイレ案内板で調査しています。全国各地の300カ所以上を調べたところ、駅や空港などの男性トイレの小便器と個室の合計は平均で女性個室の1.76倍という結果でした。
2 都有施設における、トイレの設置については、どのような基準で行なっているのですか。
3 国交省が2016年に行った調査では、駅のトイレの不満で「行列に並ばなければいけない」が女性は44%で、男性の31.3%を上回っています。
翌年に発表した「女性が輝く社会づくりにつながるトイレ等の環境整備・利用のあり方に関する取りまとめ」では、女性トイレの行列の原因は「利用者数に見合った個室便房数となっていない」として、「個室便房の数を増やすことが最も効果的」と明記しました。
中日本高速道路(ネクスコ中日本)が2014年度に行った調査によると、男性が小便器を利用する時間が平均37.7秒であったのに対し、女性の個室トイレの平均利用時間は約93.1秒で、男性の約2.5倍の時間がかかっていました。その後、同社は待ち時間が男女とも2分未満になるよう計算し、女性用個室を2倍以上に増やしました。
都は、利用時間に差があることについてどう認識していますか。都としても、利用の実態を把握し、計画的に改善をすすめていく必要がありますがいかがですか。
4 災害時の避難所については、内閣府の男女共同参画局が2020年に出した防災・復興ガイドラインで、女性用トイレの数は男性用トイレの数に比べて多くするとしています。
また、国際赤十字やNGO団体などが「人道憲章と人道対応に関する最低基準」、通称「スフィア基準」(スフィアハンドブック)では、男性トイレと女性トイレの割合を1対3とすることが推奨されています。
避難所におけるトイレ設置の考え方について、こうした基準も踏まえて対応する必要がありますがいかがですか。
次にトイレの洋式化について伺います。
5 都有施設、都営交通の駅、多摩都市モノレールの駅、ゆりかもめの駅、都立学校のトイレの和式と洋式の数及び割合はどうなっていますか。施設ごとにお示しください。
6 和式トイレには人が並ばず、洋式トイレには長蛇の列ができるということも起こっています。トイレを洋式化することについて基本的な認識を伺います。
7 それぞれの施設において、洋式化に向けた計画を策定し、早期に洋式化を行うべきと考えますが、いかがですか。
令和5年第三回都議会定例会
池川友一議員の文書質問に対する答弁書
質問事項
一 都有施設などのトイレの改善について
1 都有施設、都営交通の駅、多摩都市モノレールの駅、ゆりかもめの駅におけるトイレの数(男性は小便器と個室、女性は個室)はどうなっているか、施設ごとに伺う。
回答
都有施設等におけるトイレの数は以下のとおりです。
小便器数 個室数
男性 女性
都庁舎 636 432 480
都営交通 469 319 409
都営地下鉄 435 300 378
浅草線 75 52 63
三田線 95 63 77
新宿線 94 59 87
大江戸線 171 126 151
日暮里・舎人ライナー 34 19 31
多摩都市モノレール 47 43 65
ゆりかもめ 45 36 43
質問事項
一の2 都有施設における、トイレの設置は、どのような基準で行なっているか伺う。
回答
空気調和・衛生工学会が定めた規準を用いて、施設の用途を踏まえた上で設置しています。
質問事項
一の3 男女でトイレの利用時間に差があることについてどう認識しているか。都も、利用実態を把握し、計画的に改善をすすめていくべきだが、見解を伺う。
回答
トイレの設置に当たっては、空気調和・衛生工学会の規準におけるトイレの利用時間や施設の用途などを踏まえて、設定しています。
質問事項
一の4 災害時の避難所について、内閣府の男女共同参画局が2020年に出した防災・復興ガイドラインで、女性用トイレの数は男性用トイレの数に比べて多くするとしている。また、国際赤十字などが「人道憲章と人道対応に関する最低基準」で、男性トイレと女性トイレの割合を1対3とすることを推奨しており、避難所におけるトイレ設置の考え方について、こうした基準も踏まえて対応するべきだが、見解を伺う。
回答
都は、区市町村の避難所運営の在り方について示した避難所管理運営指針で、避難所において設置するトイレの女性用対男性用の割合は、3対1が理想的といわれていることを記載しています。
質問事項
一の5 都有施設、都営交通の駅、多摩都市モノレールの駅、ゆりかもめの駅、都立学校のトイレの和式と洋式の数及び割合はどうなっているか、施設ごとに伺う。
回答
都有施設等におけるトイレの和式と洋式の数及び割合は以下のとおりです。
和式トイレ 洋式トイレ
数量 割合 数量 割合
都庁舎 118 13% 821 87%
都営交通 103 14% 625 86%
都営地下鉄 86 13% 592 87%
浅草線 30 26% 85 74%
三田線 28 20% 112 80%
新宿線 28 19% 118 81%
大江戸線 0 0% 277 100%
日暮里・舎人ライナー 17 34% 33 66%
多摩都市モノレール 48 38% 79 62%
ゆりかもめ 6 8% 73 92%
都立学校 3,012 14% 18,674 86%
都立高校 2,811 17% 14,048 83%
特別支援学校 201 4% 4,626 96%
質問事項
一の6 和式トイレには人が並ばず、洋式トイレには長蛇の列ができるということも起こっている。トイレを洋式化することについて基本的な認識を伺う。
回答
東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルにおいて、高齢者など下肢機能が低下している人にとって、和式トイレの利用は困難を伴うとされています。
また、都内において、和式トイレに慣れていない外国人旅行者が増加しています。
こうしたことを踏まえ、都庁舎ではトイレの洋式化を進めています。
多摩都市モノレール株式会社では、トイレの改修については、中期経営計画に定めています。
ゆりかもめでは、駅のトイレを、全てのお客様に安心かつ快適に御利用いただけるよう、トイレの洋式化を計画的に進めています。
交通局では、お客様が駅のトイレを快適にご利用いただけるよう、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、洋式化を含むトイレの改修を計画的に進めています。
都教育委員会は、これまで都立学校のトイレの洋式化率80パーセントを目標に計画的に整備を進め、既に目標を達成していますが、引き続き洋式化を推進しています。
質問事項
一の7 それぞれの施設において、洋式化に向けた計画を策定し、早期に洋式化を行うべきだが、見解を伺う。
回答
都庁舎においては、トイレ改修時に洋式化を行っています。
多摩都市モノレール株式会社では、トイレの改修については、中期経営計画に定めています。
ゆりかもめでは、これまでも各駅におけるトイレの洋式化を進めており、令和8年度までに全てのトイレの洋式化を完了させる予定です。
交通局では、洋式化を含むトイレの改修を計画的に進めています。
都教育委員会は、これまで都立学校のトイレの洋式化率80パーセントを目標に計画的に整備を進め、既に目標を達成していますが、引き続き洋式化を推進しています。