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2024.03.07

小中学校の教員不足状況の調査結果について

★記者会見する(左から)斉藤まりこ、とや英津子、アオヤギ有希子、和泉なおみ、清水とし子、里吉ゆみ、藤田りょうこ、原のり子の各都議(2024.3.7)


小中学校の教員不足状況の調査結果について

2024年3月7日
日本共産党東京都議会議員団

 教員不足の解消は子どもたちに教育を保障するために急務です。東京都教育委員会は、今年度の都内公立小学校の教員不足数を4月の始業日で80人程度、9月1日で140人程度、3学期当初は160人程度と公表しています。しかし、この人数は実感と比べ少なすぎるという声が、教員や保護者などからあがっています。そのため日本共産党都議団は、小中学校の設置者である区市町村に対し、教員不足数の調査を行いました。

【調査の概要】

  • 調査対象:都内62区市町村に調査依頼し、60自治体より回答を得た
    (1自治体は回答せず、1自治体は一部のみ回答)
  • 調査期間:2023年11月28日~12月19日
  • 調査方法:不足数等を調査票に記入してもらう方式により調査

1、小学校の教員不足数は4月始業日で238人。都教委発表の3倍にのぼる

 都内60自治体から回答があり、教員不足数の合計は、4月の始業日で238人、9月1日で284人と、4月時点で都教委発表の3倍もの不足(教員がいない状態)が生じ、都教委が把握している以上に深刻な状況となっていることがわかりました。全62自治体合計の不足数は、さらに大きくなることは確実です。都教委は、学校の正確な状況を調査すべきです。

《都教委の数字には産休育休代替教員の不足が含まれていない》

 都教委が公表している数字が小さい主な原因は、産休育休代替教員が確保できなかったことによる不足が含まれていないことによるものです。概算すれば、238人の不足のうち約80人が退職や休職、急な学級増を補充できないことによる不足、残りの約160人が産休育休代替教員の不足ということになります。教員不足をなくすには、産休育休代替教員の不足の解消にもとりくむ必要があります。

《産休育休代替教員は正規で確保すべき》

 現在、東京都の産休育休代替教員は、全員が臨時的任用で、各学校が引き受け手を探さなければならず、あらゆるつてに当たるなど大変な苦労をしています。産休育休に入る教員は常にいるのですから、その分を多く見込んで正規教員を多く雇用する方式に転換すれば、産育休代替教員が安定的に配置でき、子どもたちへの影響も学校の苦労も軽減できます。
 そもそも、「地方公務員の育児休業等に関する法律」では、休業した職員の代替は正規を配置することが基本となっており、実際に行政職や公立保育園では、基本的に正規職員による対応がされています。

2、特別支援学級・教室の教員不足数は77人で、不足全体の3割を占める

 教員不足が生じた際、通常学級への教員配置が優先され、特別支援学級・特別支援教室が欠員になりがちだとの声も届いています。調査の結果、238人のうち77人、約3割が特別支援学級・教室の不足であることも明らかになりました。そのため保護者に授業の付き添いをお願いするなどの状況も生じています。特別支援教育が手薄になることは問題です。障害のある子どもたちの教育保障のためにも、一刻も早い教員不足解消が必要です。
 根本的には、新規採用教員の確保や、その前提としての教員1人あたりの授業時間数の削減や少人数学級の拡大に抜本的に踏み込むことも重要です。

《参 考》

● 都教委の教員不足には、産育休代替教員が確保できなかったことによる不足は含まれていない(2024.2.28アオヤギ有希子都議の本会議一般質問への教育長の答弁より)

「年度当初の教員配置についてでございますが、都教育委員会では、区市町村からの申請に基づき、前年度の退職や休職、学級数の増加により生じた年度当初に配置が必要な正規教員の数に対して、新規採用教員や臨時的任用教員等を配置できなかった数を不足数として把握しております。」

●「地方公務員の育児休業等に関する法律」より

第六条 任命権者は、第二条第二項又は第三条第一項の規定による請求があった場合において、当該請求に係る期間について職員の配置換えその他の方法により当該請求をした職員の業務を処理することが困難であると認めるときは、当該業務を処理するため、次の各号に掲げる任用のいずれかを行うものとする。この場合において、第二号に掲げる任用は、当該請求に係る期間について一年を超えて行うことができない。

 当該請求に係る期間を任期の限度として行う任期を定めた採用
 当該請求に係る期間を任期の限度として行う臨時的任用