予算特別委員会 福手ゆう子都議(文京区選出)の一般総括質疑
★動画(都議会ホームページです。)
★議事録速報版より
1.ホームレスの方への支援、住まいの確保(ハウジングファースト)を優先に
2.仮放免者の命・人権を守る施策を
3.PFAS汚染対策・地域住民への血液検査を
4.子どもの権利について
○谷村副委員長 福手ゆう子委員の発言を許します。
〔谷村副委員長退席、委員長着席〕
1.ホームレスの方への支援、住まいの確保(ハウジングファースト)を優先に
○福手委員 よろしくお願いします。まず初めに、生活困窮者の支援について質問をします。
コロナ前までは何とか生活してきた人たちが、コロナをきっかけに収入が減り、国民健康保険料を滞納し、具合が悪くなっても受診せず我慢する、電気代やガス代を滞納して止められる。家賃を滞納し路上生活になるなど、生活困窮者が急増しました。
こちらをご覧ください(パネル1)。資料も同じものを配布しています。これは、今年一月に発表された都民生活に関する世論調査の結果です。暮らし向きの変化について、苦しくなったと答えた方が急増しています。
都庁下で毎週行われる食料配布の利用者の数は、コロナ前は五十人から七十人程度だったのが、コロナ禍から急増し、今では七百人前後、多いときは八百人近い人が並んでいます。各地の食料支援が同様の状況で、放置できません。
貧困と格差をなくすことは都政の重要課題だと思いますが、知事の認識を伺います。
○小池知事 東京の持続的な発展を支えるのは人でございます。私はこれまでも、東京に暮らす人々に寄り添いました政策を推進してまいりました。
「未来の東京」戦略におきましては、その策定当初より、子供の貧困対策やひとり親家庭への支援をはじめ、雇用対策、居場所づくりなどの施策を展開いたしております。
今後も引き続き、生活困窮者や高齢者、女性など、一人一人の悩みに応じた相談体制の充実、自立した安定的な生活への支援等を通じまして、誰もが個性を生かし、活躍できる社会を実現してまいります。
○福手委員 貧困と格差をなくしていく社会にしていくことは最も重要です。特に、家賃が高い東京では、困窮がすぐに住宅喪失につながります。
東京都が二〇一六年に行った住宅喪失不安定就労者等の実態調査、いわゆるネットカフェ調査では、住居を失い、ネットカフェなどで寝泊まりをしている人たちが、都内に約四千人いると推測されました。ネットカフェで寝泊まりしていた人たちが、コロナの緊急事態宣言でネットカフェが休業したことで一気に路上に出されました。そのときは、支援団体などからビジネスホテルの借り上げなどの緊急要請が出され、都は、ビジネスホテルを確保し、住まいがない人たちを受け入れました。
二〇二〇年四月以降、緊急事態宣言などでネットカフェにいられなくなったなどの相談件数やビジネスホテルの利用者数、ホテルから一時利用住宅へ移った人数、アパートなど居宅へ移行できた人数をそれぞれ伺います。
○佐藤福祉局長 コロナ禍に拡充して実施したTOKYOチャレンジネットの実績でございますが、令和二年度から令和四年度までで、窓口来所相談件数が延べ二万五千九百二十五件、ビジネスホテルの延べ利用者数が四千三百六十五人、ホテルから一時利用住宅への転居者数が二千三十人、アパートなどの住居を確保した人数が二千五百九十八人でございました。
○福手委員 ビジネスホテルを利用した人が延べ四千三百六十五人で、これだけ多くの人たちが住まいがない状態にあることが可視化されました。ネットカフェ調査で実態を把握していたからこそ、必要な対策を打てたことは重要です。
しかし、前回の調査から七年たちましたが、この間、コロナの影響もありましたし、物価高騰や都民の暮らしに大きな影響を与え、食料支援の利用が増え続けるなど、さらに状況は深刻です。改めて、ネットカフェ等の調査が必要ではありませんか。
○佐藤福祉局長 都は、住居喪失不安定就労者等を支援するTOKYOチャレンジネットやホームレスの就労自立を支援する自立支援センターなどを通じて、ネットカフェの利用者の状況の把握を行っているところでございます。
○福手委員 先ほどもいいましたが、七年たって状況は大きく変わっています。実態に沿った適切な対策を取るために、改めて実態を把握するべきだと強く求めておきます。
次に、貧困と格差が広がる中、住まいに困っている人が増えています。住まいを安定させることの重要性について、知事の認識を伺います。
○小池知事 住宅は生活の基盤でございます。成長と成熟が両立いたしました未来の東京の実現のためにも、都民の居住の安定を確保することは重要でございます。
都におきましては、都営住宅に加えて、民間賃貸住宅を活用した重層的な住宅セーフティーネット機能の強化を図っております。
○福手委員 答弁されたように、住まいは生活の基盤です。誰もが安心できる住まいを確保できることが必要です。
ホームレス支援に当たって、まず就労が優先されたり、施設で生活訓練をした上でアパートに移行するなどのように段階的に住まいを確保する支援方法に対し、まず、住まいを確保することを優先するとしたハウジングファーストの支援は重要と考えますが、見解を伺います。
○佐藤福祉局長 住まいの確保を優先せよというお尋ねにお答えいたします。
自立支援センターでは、ホームレスの方を一時的に保護し、まず、居住場所を確保した上で、心身の回復を図りながら支援方針を決定いたしまして、アパート確保のための相談も含めて就労自立を支援しているところでございます。
○福手委員 私は、ハウジングファースト支援に対する、重要だと思っているその見解を伺ったんですが、質問をきちんと聞いていただいたんでしょうか。
日本の行政は、ホームレスの人たちは一人暮らしが難しい人たちと見ていて、無料低額宿泊所などの施設に入れてしまうことが多いんです。しかし、むしろ実態は、劣悪な宿泊所の環境が耐えられずに再び路上に戻ってしまうケースが少なくありません。日本以外でも同様のことが起きていますが、それに対して欧米の国々で広がってきたのが、まず、住宅を提供することを最優先にするハウジングファーストの取組で、有効であるとも実証されています。
ニューヨークのホームレス支援団体が二〇〇〇年に報告した調査では、ハウジングファーストプログラムを提供された精神疾患を持つホームレス状態の人の五年後の住宅維持率八八%は、従来の支援を受けた方より高かったのです。その後も、様々な調査で有効性が実証されています。
また、この支援のそもそもの考え方は、住宅は、基本的人権であるということです。
実際に、日本の団体が行っている支援の中でも、路上と施設を二十回くらい行き来した人が、ハウジングファーストの支援とつながったことでアパートに入ることができ、自分の生活を取り戻すことができたという事例もあります。安心できる自分の家を確保できたことで、自分が尊重されていることを実感でき、次のステップに進むことができるんです。
人としての当たり前の権利である住まいを、まず先に確保すること、都としてもぜひ実施をしていただきたいと思います。
兵庫県尼崎市では、市営住宅の建て替えに当たって入居者募集を停止している空き住戸を支援団体に対して目的外使用を許可し、住宅確保など経済的に困難な人の支援に活用しています。
都は、都営住宅の募集停止住戸を支援団体に対して目的外使用を許可し、住宅支援に活用してもらうことは効果的と考えますが、見解を伺います。
○山口住宅政策本部長 都営住宅を良質なストックとして維持更新していくため、地域の特性や老朽化の度合い等を勘案しながら、計画的に建て替えを実施しております。
建て替えを円滑に進めるため、建て替えの事業化決定を行った住棟につきましては、公募を停止しております。
公募を停止した住戸につきましては、主に昭和四十年代以前に建設され、住棟の老朽化が進んでいるため、建て替え対象として近く除却を予定しているものであり、使用しないこととしております。
○福手委員 ではお聞きしますが、私の地元文京区内にある都営住宅で、募集停止住戸の戸数は幾つあるのか伺います。
○山口住宅政策本部長 文京区内の都営住宅における令和四年度末時点の募集停止の住戸数は、昭和三十年代に建設された後楽園第一アパートや第二後楽園アパートなど、三十九戸でございます。
○福手委員 答弁された三十九の空き住戸がある都営住宅は、公募停止をしてから、もう何年もたっています。居住されている方もいる住居ですから、老朽化を理由に、空き住戸を活用できないということにはならないはずです。
支援団体は、自らシェルターを運営しているところもありますが、福祉事務所などからも、空きがあるのかとそういう問合せが来ているようです。行政が必要性を自覚しているのであれば、責任を持って確保するべきです。
住まいを失うことがないように、都営住宅の新規建設や、借り上げでの都営住宅の実施、家賃補助制度の創設などに踏み出すことを求めます。
生活保護について伺います。
西多摩福祉事務所は、生活保護の電子申請を実施していますが、ネットでの申請を始めた理由と実績及び電子申請を可能にしたことの効果を併せて伺います。
○佐藤福祉局長 西多摩福祉事務所では、行政手続のデジタル化を推進するため、令和三年三月三十一日から生活保護の電子申請を開始しております。
令和四年度は、収入申告など百三十四件を受け付けておりまして、被保護者等の利便性向上に寄与をしております。
○福手委員 西多摩福祉事務所では、二〇二一年度から、新規申請も含めた生活保護の手続をスマホやパソコンからできるようになりました。申請をしやすくするための取組に生かすこともできると思います。ぜひ、周知を積極的にするとともに、都内の区市にも、参考にできるように情報提供していただきたいと思います。
今、貧困が特に深刻なのが仮放免者の方たちです。
日本では、難民申請が通らなかったなどで在留資格のない方は、原則として全員が、裁判もなしに、無期限で劣悪な環境の収容施設に収容されています。これが、ほかの主要国にはない全件収容主義です。一方、健康上の理由などで、一旦収容が解かれることもあります。その状態にある方を仮放免者といいます。この東京にも、仮放免者は生活しています。
仮放免者に対し、自国に帰ればいいという意見がありますが、実際には、仮放免者には、本来難民認定されるべき人など、帰ることのできない事情を抱えた方が含まれています。
日本の難民認定率は他国に比べて非常に低い状況ですが、そうした方々は、出身地で迫害を受けたり、政治的な弾圧を受けたり、目の前で家族や友人を殺されたといった壮絶な経験を経ている方など、命からがら日本に来る方もいます。また、日本で生まれて、日本以外の国では暮らしたことのない子供などもいます。こうした方々は、帰れといわれても帰ることはできません。
そして、この方々の生活実態はとても深刻です。パネルをご覧ください(パネル2)。これは、支援団体である北関東医療相談会が行った仮放免者の生活実態調査の結果の一部です。
仮放免者は、働くことが禁止されているため、無収入。年収ゼロが七〇%。生活がとても苦しい、苦しいという方が八九%。家賃の負担がとても苦しい、苦しいと答えた方が八二%。経済的問題により、医療機関を受診できないことがあるという方が八四%です。
子供のいる世帯も二割いました。生活費の見返りに性的関係を要求され続けているという非常に耐え難い状況に置かれている方もいました。
なぜ、これほど深刻かというと、仮放免者は働くことが認められておらず、生活保護や健康保険などの社会保障制度も適用されていないからです。収入が全くなく、住むところも不安定で、貧困に苦しみ、不安に襲われ、自殺未遂をする人も出ています。医療を受ければ、莫大な医療費が請求されます。
このような生活実態、知事はどう認識していますか。
○佐藤福祉局長 仮放免制度は、国の出入国残留管理制度の中で行われております。
したがいまして、この制度の運用につきましては、国が行うものと認識をしております。
○福手委員 命が守られない状況にある人が東京で生活をしているから、私は聞いたんです。答弁は全く他人事で、聞かれていないことにも答える、そういう答弁です。
しかし、知事自身が提案した東京都人権尊重条例の前文には、東京に集う多様な人々の人権が、誰一人取り残されることなく尊重され、東京が、持続可能なよりよい未来のために人権尊重の理念が実現した都市であり続けることは、都民全ての願いであると書いてあります。国際自由権規約委員会は、こうした仮放免者の不安定な状況を懸念し、日本に対し、必要な支援の提供などを勧告しています。
では、人権部を持つ総務局は、仮放免者の人権、どのように考えていますか。
○野間総務局長 人権は普遍的なものでございますが、仮放免は、出入国管理及び難民認定法に規定され、入国者収容所等の収容者について、病気、その他やむを得ない事情で一時的に収容を停止し、例外的に身柄の拘束を解くための措置でございます。
仮放免の許可の際には、入国者収容所長等が、住居や行動範囲の制限、就労活動の禁止を含むその他の条件とともに、仮放免の期間を定めることとされております。このように一定の制約が課されてございます。
仮放免につきましては、国の制度と認識しております。
○福手委員 人権は普遍的なものだといいながら、結局、具体的には何もしようとしないという答弁です。
多くのクルド人が住む埼玉県川口市の奥ノ木市長は、上川法務大臣に対して、仮放免者が最低限の生活維持ができるよう就労できる制度の構築や、健康保険などの行政サービスについての国の援助措置を要望しています。
東京都は、姿勢を改め、人の尊厳や命を守るためにできることを行うべきです。そして、実際にできることがあります。それは住宅についてです。
支援団体の調査では、多くの仮放免者が住宅の維持に不安を感じ、五人に一人が路上生活を経験しています。
二〇二一年夏、池袋の路上で、コンゴから逃げてきた妊婦を支援団体がホテルで保護しました。出身の村で、村人全員が殺される事件が起こり、子供を二人連れて日本に逃げてきたのです。シェルターにも入れず、最悪の場合は、ホテルで出産するかもしれないと思っていたところを寄附によって家が提供され、無事に出産したそうです。命に関わる本当に深刻な問題が放置され続けています。
都は、ウクライナ難民の受入れに都営住宅三百戸を提供していますが、目的外使用で受け入れているのか伺います。
○山口住宅政策本部長 ウクライナからの避難民への支援につきましては、避難民へ居住の場を確保することの緊急性に鑑み、公営住宅の適正かつ合理的な管理に支障のない範囲内で、避難民に公営住宅を目的外使用させることが可能な旨、国から通知がございました。
都では、ウクライナ避難民の都営住宅への受入れに当たりましては、この通知に基づき、目的外使用許可を行っております。
○福手委員 国の通知に基づきといいましたが、目的外使用は、基本的には都が判断するものです。住まいは人権です。仮放免者の方にも、都の判断で住まいを支援することを検討するよう強く求めます。
在留資格がない人が、緊急性のある医療で医療機関にかかった場合に限り、東京都は、未払いとなった医療費の補填を行う外国人未払医療費補てん事業を実施しています。
しかし、実績を問うと、二〇二〇年度は六十一施設で百七十七人から二〇二一年度は四十二施設で九十二人と、大幅に減少していました。これは補填の要件に、督促を複数の方法で行うこと、複数回行うことなどが加わり、より厳しい運用になったときと重なっています。
外国人未払医療費補てん事業は、緊急的な医療に限られていることや繰り返しの督促を要件にしていること、医療費の補填金の支給時期が遅いこと、補填金額などについて医療従事者から事業の見直しや拡充の声が寄せられています。医療機関の意見を聞き、運用の改善を求めますが、見解を伺います。
○雲田保健医療局長 外国人未払医療費補てん事業の実施に当たりまして、都は毎年度、東京都医師会と事業内容やスケジュールなどについて意見交換を行いますとともに、関係団体を通じて医療機関に周知を行っているところでございます。
○福手委員 東京都医師会と意見交換を毎年しているということですが、日本医師会の外国人医療対策委員会の報告書では、東京都の事業について、補填額の上限が二百万円ですが実際にかかった額が千二百万円を超えたため一千万円以上補填されない事例があったことや、申告が年一回で補填されるまでに時間がかかることが指摘されています。
そして、医師会は、上限額の引上げなど事業内容の見直しを要望していくことが求められるとしています。こうした意見も聞いて、制度を拡充することを改めて求めておきます。
受診の範囲が限定されないで安心して受診できるのが、無料低額診療事業です。無料低額診療事業は、生活困窮者の健康と福祉の増進に資する事業と考えますが、見解を伺います。
○佐藤福祉局長 無料低額診療事業は、社会福祉法で定める第二種社会福祉事業として、医療機関が低所得者等を対象に、無料または低額な料金で診療を行うものでございまして、低所得者等に対する医療を確保する上で一定の役割を果たしているところでございます。
○福手委員 無料低額診療事業は、医療費は医療機関が負担するため、無保険の方が受診すると十割がそのまま赤字になり、経営に大きな影響を与えます。そのため、仮放免者の受入れが難しくなっています。
無料低額診療事業は、外国人の命を守る最後のとりでです。実施する医療機関を増やし、都独自の財政支援を行うこと、都立病院で実施することを強く求めて、次の質問に移ります。
3.PFAS汚染対策・地域住民への血液検査を
PFASについてです。
有機フッ素化合物PFASが、全国各地で暫定指針値、暫定目標値を超える値で地下水や水道水から検出されています。
地下水から高濃度が検出された地域の住民からは、長年この地域で暮らし水道水を飲み水や料理に使ってきた、二年前までは孫も一緒に暮らしていたので、子供への影響も心配、多摩の水はおいしいと赤ちゃんのミルクに使って飲ませていたので、とても心配と、自分たちの体に何が起きるのかという不安が物すごく大きいです。
知事は、PFAS問題は、全国各地に広がる大問題だと受け止めていますか。伺います。
○栗岡環境局長 PFOS等の有機フッ素化合物は、様々な用途で使用されてございます。
都内では、複数の地点で検出されていることから、国に先んじて水道水における都独自の水質検査を行い、水道水の安全性を確保してございます。
また、地下水等の調査を継続して行い、暫定指針値を超える地下水を飲用しない取組を実施するなど、飲用水の安心・安全を高め、都民の不安払拭に努めてございます。
○福手委員 私は知事に認識を伺ったんですが、答弁されませんでした。そもそも知事は、PFASの問題には一度も答弁に立ちません。都民に不安が広がっている問題で、自らの言葉で一切語ろうとしないこと自体、知事としての責任を果たさないものといわざるを得ません。
では、PFASとPFOAは、なぜ製造、使用が原則禁止されているのか、理由を伺います。
○栗岡環境局長 PFOS及びPFOAは、有害性が指摘され、国際条約や法律によりまして、製造や輸入が禁止されてございます。
一方、どの程度の量が体に入ると影響が出るかにつきましては、いまだ確定的な知見はなく、現在も国際的に様々な知見に基づきまして、環境省が厚生労働省と連携して専門家による検討を進めているところでございます。
都としては、国に先んじて、水道水の安全性を確保するとともに、関係局と連携して、暫定指針値を超える地下水を飲用しない取組を実施してございます。
○福手委員 PFASは、有害性が指摘されているからこそ禁止されたという答弁です。
市民たちが、独自に血液検査を実施し、高濃度地域では、血中濃度が高い人が現に現れています。PFAS汚染の問題は、何より住民の命と健康に関わる問題です。まだ分かっていないことはありますが、放置するわけにはいかないからこそ、様々な対策が取られています。
都は、来年度、高濃度地域の追加調査の予算を新規で計上しています。環境モニタリング調査を実施する意義を伺います。
○栗岡環境局長 都は、飲用水の安心・安全を高めるため、水道水の安全性の確保と地下水の実態調査による飲用しない取組の徹底を図ってございます。
具体的には、今年度、地下水の前倒し調査や比較的高濃度のPFOS等が検出された地域で追加調査を行い、継続的なモニタリングを実施いたしました。
来年度は、都内全域の地下水調査、従来、四年間で二百六十か所をやってきたところでございますけれども、これを一年間で行うほか、都の追加調査を補完する調査を実施する区市町村に対しまして、費用の一部を負担してまいります。
○福手委員 分かりにくい答弁でしたが、要は、調査の強化を進めているということです。同時に、健康への影響を考える上で重要なのは、体の中にどれだけPFASを取り込んでいるかということです。
しかし、体の中にPFASが入るのは、飲む水から入ることも考えられますし、多くの種類の食べ物も考えられる、様々考えられる中で、全ての経路について把握して、摂取量をつかむというのは困難です。
そこで重要なのが血中濃度です。人がPFASを摂取する経路は様々考えられる中で、血中濃度は、それらの経路からどれだけPFASを体内に取り込んだかの総和を反映するものと思いますが、いかがですか。
○雲田保健医療局長 国の食品安全委員会が先月発表いたしました健康影響評価書案によりますと、人におけるPFOS及びPFOAの体内動態については不確実な点が多いため、測定された血中濃度の結果から、PFASの摂取量や暴露量、時期、期間等を推測することは、現時点の知見では困難であるとされております。
○福手委員 聞いたことには答えていないんですね。暴露量の把握のために血中濃度を指標として使うことは、国内や海外で広く行われています。血中濃度は、あくまでその時点の数字ですから、限界はありますが、指標として使うことはできると幅広く考えられているわけです。そのことも認めないんですか。
そして、今の時点の血中濃度の状況というのは、今把握しておかないと、将来把握しようとしてもできなくなってしまうんです。PFASの摂取を減らす対策として、実際に効果があったかを評価するにも役立てられます。
東京都は、都民の健康に対する責任があります。PFASの対策として、地域住民の血液検査を実施するべきです。血中濃度と健康被害の関係について知見を増やすために、疫学調査を実施するのも、とても重要です。
海外と比べ、日本における疫学調査は少ないことが指摘されています。日本における疫学調査を増やすこと、重要ではありませんか。
○雲田保健医療局長 国の専門家会議によりますと、国内外の健康影響に関する科学的知見及び対策技術等は常に更新されており、継続的な収集が必要であって、既存の知見の収集のみならず、国内において疫学研究などの関連する研究を推進すべきとされているところでございます。
○福手委員 否定されなかったということだと思います。国に強く求めるとともに、都としても実施を検討するよう求めておきます。
私は、以前病院で働いていたときに、水俣病検診に参加をしました。何十年たった今でも、被害者を苦しめる問題になっていることに、胸が詰まる思いをしました。
水俣病とPFASの問題とは、様々な違いはありますが、生かすべき重要な教訓があります。水俣病は、必要な調査などが行われず、経済が優先され、対策が遅れる間に被害が拡大しました。この教訓を生かす必要があります。
血液検査の実施を含め、対策の強化を強く求めて、次の質問に移ります。
4.子どもの権利について
子供の権利について伺います。
新年度予算案では、都立と私立の高校授業料の実質無償化の所得制限をなくし、私立中学に通う世帯への十万円補助実施の予算もついています。教育を受ける権利の保障や平等を求める都民の世論と運動が都政を動かしています。
そこで伺いますが、知事は、学校授業料の負担軽減が子供たちにどのような利益をもたらすと考えますか。また、所得制限を撤廃することの目的を伺います。
○浜教育長 教育は、子供の健全な育ちを支える重要な基盤であり、学校授業料の負担軽減は、保護者の所得にかかわらず子供たちが将来にわたって安心して学ぶことができる環境を早期に実現するために、国に先行して行うものでございます。
○福手委員 東京都こども基本条例は、子供の学ぶ権利の尊重を明記しています。その実践として、授業料負担軽減や所得制限撤廃で全員を対象にすることは非常に重要です。
東京都こども基本条例について質問します。
東京都こども基本条例は、子供の最善の利益を最優先にすることが子供にとって最も大切だとしていますが、その根拠をどう認識していますか。
○田中子供政策連携室長 東京都こども基本条例の前文におきましては、子どもの権利条約では、子供に対するあらゆる差別の禁止、子供の最善の利益の確保、生命、生存、発達への権利及び子供の意見の尊重を一般原則としていると規定されているものと認識しております。
○福手委員 子供の最善の利益を保障するためには、子供の意見表明権が大事だと思いますが、見解を伺います。
○田中子供政策連携室長 東京都こども基本条例第十条におきましては、都は、子供を権利の主体として尊重し、子供が社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されるよう環境の整備を図るものとすると規定されているものと認識しております。
○福手委員 こども基本条例第八条にある、学ぶ権利の尊重の対象となる子供は、どういう子供だと認識していますか。
○田中子供政策連携室長 東京都こども基本条例に規定されている子供とは、全ての子供であると認識しております。
○福手委員 確認しますが、子供に国籍は問わないということでいいですね。
○田中子供政策連携室長 施策の実施に当たりましては、東京都こども基本条例の理念と施策の性質を踏まえ判断されるべきものと考えてございます。
○福手委員 以前ですね、私、委員会で、国籍を問わないかという質問をして、今回も念のためと思って質問しました。そのときは、子供に国籍は問わないと答弁されたんです。なぜ、今そのことを答弁されないのでしょうか。
当然、国籍は問わないんです。全ての子供を誰一人取り残さずと条例には書いてあります。国籍を問わないと、前、ちゃんと答弁しましたが、もう一度伺います。
○田中子供政策連携室長 東京都こども基本条例に規定されている子供とは、全ての子供であると認識してございます。
なお、施策の実施に当たりましては、東京都こども基本条例の理念と政策の、施策の性質を踏まえ判断されるべきものと考えてございます。
○福手委員 では、以前、国籍は問わないといったのは何だったんですか。なぜここでそれをちゃんと、国籍は問わないといえないんでしょうか。こども基本条例は、子供の最善の利益の確保、子供の意見の尊重を一般原則としていること、学ぶ権利の尊重を含め、子供の基本条例は全ての子供が対象になっている、当然です。
しかし、実際にはそうではないと。全ての子供が対象といいますが、東京都は都内に十校ある朝鮮学校だけに、私立外国人学校教育運営費補助、これを停止して十四年経っています。条例に照らし合わせば、朝鮮学校の子供たちだけ排除するなどとは許されない。
補助金停止により学校経営が非常に厳しくなり、保護者負担も重くなる。それによって、家庭の経済状況により、朝鮮学校に行きたくても行けない子供がいる、こうした状況に一番悲しんでいるのは、朝鮮学校に通う子供たちです。猛暑の中、エアコンが故障し買い替える費用が用意できず寄附を募る、こういう状況で不利益を被っているのは子供たちなんです。
このきっかけは、石原都政のときに、拉致問題を理由にして排除を行ったからです。子供には関係のない政治的な大人の判断が、子供の利益、そして権利を侵害しているんです。
こども基本条例が成立し、この状態をこのままにできないと、都民の方々が都に働きかけを続けてきました。僕たちを仲間外れにしないでと集まった署名は、一万八千百二十七筆、二月に生活文化スポーツ局に提出した後も、どんどんと集まっています。四か月余りで、本当にこういう短い期間でこれだけの署名が集まったことは、多くの都民が朝鮮学校の子供たちを差別してはいけないと思い、東京都の対応、注目している証拠です。
教育長は、先ほど、学校授業料の負担軽減は、子供が将来にわたり安心して学べる環境をつくることにつながる、健全な育ちを支えるといいました。朝鮮学校も同じではありませんか。その権利を全ての子供誰一人取り残さず実施することが、東京都が条例に基づく責任です。
また、昨年三月には、朝鮮学校に通う子供たちが、自分たちの声を直接届けたいと、子供政策連携室と総務局人権部、そして生活文化スポーツ局に手渡しました。こども基本条例ができた下で、初めて子供の声を直接手渡すこととなり、都としても直接受け取った大事な機会になりました。
私は、その後、手渡した後に、質問で、その声は子供政策連携室でちゃんと読んでいただいているかということを聞いて、ちゃんと読んでいるということも確認しています。これ、知事もぜひ読んでいただきたいと思うんですね。手渡した子供の声の中には、子供たちが、自分たちは条例の対象外だ、私たちが接する日本人の中には、私たちに対して嫌な感情を持っている人が多い、ネット上では私たちを差別する人が多い、そういう声が載っています。子供たちは、日常的に差別や偏見の中で生活をしているんです。
一方で、こども基本条例ができたことについて、朝鮮学校の子供たちは、自分が住む東京ですばらしい条例ができたと、私たちが未来への希望を持って健やかに学び育っていくための条例ができて、とてもうれしく心強い気持ちになったという声もありました。これを読んでいるのに、先ほどのような答弁をするとはとんでもないと改めていいたいと思います。
東京都は、この子供たちの声を都政に反映させるべきです。同時に、全議員提案により全会一致で条例を制定した私たち都議会も責任があります。朝鮮学校に通う子供たちに補助金支給再開、強く求めて、質問を終わります。
〔田中子供政策連携室長発言を求む〕
〔発言する者多し〕
〔福手委員「質問していません」と呼ぶ〕
○内山委員長 端的に、端的に。静粛にお願いします。端的にお願いします。
○田中子供政策連携室長 施策の実施に当たっては、東京都こども基本条例の理念としての性質を踏まえ判断されるべきものと考えております。
〔福手委員「質問していませんから止めて……」と呼び、その他発言する者多し〕
○内山委員長 ご静粛にお願いします。
○田中子供政策連携室長 なお、朝鮮学校の運営等の実態を確認するため、過去に実施した調査結果やその後の状況などを総合的に勘案して、朝鮮学校に外国人学校教育運営費補助金を交付することは都民の理解が得られないと判断しております。
○内山委員長 福手ゆう子委員の発言は終わりました。
以上で本日予定しておりました質疑は全て終了いたしました。
なお、明日は午前十一時から理事会を控室一で、また、午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。