ご意見・ご要望
ページトップヘ

質問・条例提案

予算特別委員会 和泉なおみ都議(葛飾区選出)のしめくくり総括質疑

動画(都議会ホームページです。)

  1. 新型コロナウイルス感染症対策について
  2. 平和について
  3. 気候危機対策について
  4. プロジェクションマッピングについて
  5. 英語スピーキングテストについて
  6. 神宮外苑再開発について

1、新型コロナウイルス感染症対策について

○和泉委員 日本共産党都議団を代表して、締めくくり総括質疑を行います。
 まず、コロナ対策です。
 知事が編成した来年度予算案では、コロナ対策はほとんど終了になります。まるでコロナは終わったといわんばかりの予算案です。
 まず、確認ですが、知事は昨年一月の記者会見で、新型コロナについて大事なことは何かと申しますと、法的な位置づけが変わっても、ウイルスの病原性や感染力そのものは変化するものではないということと述べました。知事、この認識は今も変わりませんか。

○雲田保健医療局長 新型コロナウイルス感染症の位置づけが五類に移行しても、それに伴いウイルス自体が変化するものではなく、このため、都は、都民の不安や医療現場等の混乱を招かないよう、ハイリスク層を守る取組を継続しながら、医療提供体制など段階的に移行を進めてまいりました。
 現在、より多くの医療機関でコロナ患者に対応できる体制が構築されたことや、本年四月から通常の医療提供体制による対応に完全移行するという国の方針を踏まえ、新型コロナに対応する特別な体制は今年度末をもって終了することといたしました。
 来年度は、新たな変異株の発生を監視するためゲノム解析を引き続き行うとともに、必要に応じ、専門家の意見を伺いながら、感染状況等の分析を実施してまいります。
 また、ワクチンの副反応の相談に専門的な助言等ができるよう、副反応相談センターの運営を継続いたします。
 さらに、後遺症に悩む都民が身近な地域で受診できますよう、後遺症対応医療機関のマップやリストについて引き続き公開するとともに、後遺症診療に係る最新の知見等を共有する医療従事者向けのオンライン研修会を開催いたします。

○和泉委員 知事の認識を問いました。知事の認識を問うたのに、全然違うことを長々答弁する。答弁は明瞭簡潔にお願いいたします。
 こうした基本的なことも知事が自ら答弁しない。本当に重大だと思います。しかも、ウイルス自体が変化するものではないと認めるのであれば、ますますほとんどの対策を終了する道理はありません。

(資料1)

 終了する主な対策を資料でお配りしています。本当にたくさんあるんですけれども、これで全部じゃありません。福祉施設での感染拡大を防ぐためのPCR検査、コロナ治療薬などの医療費の自己負担の軽減などをはじめ、主な対策が軒並み終了になります。
 では、ウイルスの性質は変わらないのに、福祉施設でクラスターが起きてもよくなったのか、治療薬の費用が払えない人がいてもよくなったのか、そんなはずありません。
 知事は先週の記者会見で、コロナについて、昨年の五月八日の五類移行まで千二百日の闘いでございましたと、あたかも昨年五月でコロナとの闘いが終わったかのように語りました。これにも私は本当にびっくりしました。
 コロナとの闘いは今なお続いています。今もコロナで亡くなられる方は多くいらっしゃいます。コロナの後遺症に苦しんでいる方もたくさんいます。そして、医療や介護、福祉の職場で感染を広げないために、緊張しながら必死に働いている方々もたくさんいます。

(資料2)

(資料3)

 先週、東京都自身が公表した都民一万人が回答したアンケート、資料〔3〕でお配りしました。ご覧ください。新型コロナに関して、収束していない、こう答えた方の割合は約四五%、収束したの約一〇%を大きく上回りました。
 知事にお聞きします。コロナとの闘いは終わったかのような知事の姿勢は、都民の意識にも沿っていないんじゃないですか。

○雲田保健医療局長 新型コロナウイルス感染症の位置づけが五類に移行いたしましても、それに伴いウイルス自体が変化するものではなく、都はこれまで、より多くの医療機関が新型コロナに対応できる体制を構築するため、医療機関向けの研修や設備整備支援などを実施してまいりました。
 その結果、健診センターなどを除く一般の外来医療を行っている都内約八千の医療機関のうち、八割以上が新型コロナに対応しております。また、入院医療につきましては、都内の約六百三十病院のうち、ほぼ全ての病院で患者の受入れが可能となっております。
 通常の医療提供体制に完全移行した後も、新たな変異株の発生を監視するためゲノム解析を引き続き行いますとともに、必要に応じ、専門家の意見を伺いながら、感染状況等の分析を実施してまいります。
 また、医療機関や高齢者施設等に対する専門知識を持つ医師や看護師等から成る感染対策支援チームの派遣事業を継続いたしまして、保健所と連携して具体的な対策の指導助言を行ってまいります。
 また、新型コロナワクチンの副反応相談センターの運営を継続するほか、後遺症に悩む都民が身近な地域で受診できますよう、後遺症対応医療機関のマップやリストについて引き続き公開してまいります。
 こうした取組を都としてしっかりと行うこととしておりまして、ご指摘は当たりません。

○和泉委員 自らがしたアンケート調査の意識と違うんじゃないですかということを申し上げました。しかもですよ、やはり知事、答弁に立たれない。コロナは終わったことにしたいという知事の姿勢の表れなんでしょう。

(資料4)

 しかし、知事、これだけじゃありませんよ。資料〔4〕をご覧ください。同じアンケートで、コロナはこわいと思う、感染が再び拡大する不安があるについて、あてはまる、ややあてはまると回答した割合は約七〇%に上りました。
 知事は先日の施政方針表明で、明るい未来への道筋が見えないことに対する人々が感じる不安、これに目をつぶり、何も手を打たないことは政治の責任放棄といえましょうと述べましたが、コロナ対策のほとんどを終了してしまう知事の姿勢は、まさに政治の責任放棄じゃありませんか。
 特に福祉職場で働いている方々は、重症化リスクの高い方々と日々接しており、本当に緊張して生活されています。私たちがお聞きしている声の一部を紹介します。
 会食や飲み会はやっていない。職員の歓送迎会も飲食はなしにしている。毎日の通勤電車は、椅子が空いていても座らずに端っこの方に立っている。定期的なPCR検査で時々職員に陽性者が出る。でも、それですぐ手を打てるから利用者さんに広げずに済んでいる。コロナは終わっていないと実感する。検査がなくなったらどうなるのか今から心配。
 こうした声を聞かないことにするんじゃなくて、きちんと向き合っていく、それこそが政治の責任です。コロナを終わったことにせず、必要な対策をしっかり行うことを強く求めます。
 そして、重要なのが後遺症対策です。コロナ後遺症で、仕事や学校に行けない、起き上がるのも困難など、深刻な影響が出ています。コロナ後遺症対策の重要性を知事はどう認識しているでしょうか。

○小池知事 お尋ねでございます新型コロナの後遺症についてであります。
 新型コロナの後遺症は、年齢や基礎疾患の有無などにかかわらず、感染した全ての方に起こる可能性がございます。そのことから、診断、そして治療などの知見を集積して的確に情報発信をしていく必要がございます。
 このため、都は、東京iCDCの専門家のご協力を得まして、後遺症のリーフレットの作成に当たり、また、医療従事者向けには、後遺症診療の最新の知見、また、国内外の研究内容などを共有する研修会を定期的に開催をいたしております。
 また、本年の二月末現在の数字でございますが、後遺症に対応する五百六十四の医療機関が登録されておりまして、後遺症に悩む都民の皆様方、身近な医療機関で受診できるように、都のホームページの方で公表させていただいております。

○和泉委員 誰でもなり得るという認識を示されたのは重要だと思います。
 しかし、大変心配しているのは、都立病院における取組です。お配りした資料〔1〕では、都立病院の新型コロナ後遺症相談は三月末で終了予定になっています。継続しないんですか。

○雲田保健医療局長 都立病院のコロナ後遺症相談窓口は、本年四月の通常の医療提供体制への完全移行という国の方針を踏まえ、今年度末をもって終了することとしております。
 後遺症に対応する医療機関につきましては、先ほど知事が答弁されたとおり、本年二月末現在で五百六十四の医療機関が登録されており、都のホームページでマップやリストを引き続き公開することとしております。
 都立病院におきましては、通常の相談窓口で対応するほか、後遺症診療につきましても、通常の医療提供体制の中で、地域の医療機関との適切な役割分担に基づき、引き続き対応してまいります。

○和泉委員 都立病院のコロナ後遺症相談窓口は終了してしまうという答弁です。
 先ほどの都民一万人アンケートでも、後遺症になって日常生活においてどんなことに困ったか、どんな影響があったか、そういう質問に対して最も多いのは、どこに相談すればよいか分からなかったということでした。本来、もっと窓口を広げて拡充することこそ必要です。そのことを強く求めて、次の質問に移ります。

2、平和について

 平和についてです。
 昨年十一月二十九日に横田基地所属のCV22オスプレイが鹿児島県屋久島沖合で墜落し、飛行を中止していましたが、三月十四日から普天間基地をオスプレイ十三機が離陸した、このことが明らかになりました。
 住民の命を守ることが知事の役割だからこそ、沖縄の玉城知事は、在沖縄米軍のトップに直接飛行停止を求めました。都民の命がかかった重大な問題です。小池知事も直ちに飛行中止を直接米軍に申し入れるべきです。このことを初めに厳しく求めておきます。
 さて、今必要なことは、平和を守っていく、つくっていく努力です。
 私の母は広島で被爆しました。ですから、私は被爆二世です。そして、父は仙台で空襲を経験しています。花火の上がる音を聞くと空襲を思い出すといって、七夕の前夜祭に上がる花火は一度も連れていってもらったことがありません。祖母からも戦争の話を繰り返し聞いて育ちました。父も祖母も他界し、戦争の話を聞かせてくれる人は身近にいなくなりました。過去の戦争を未来に語り伝え、平和のためにたゆまぬ努力を続けることは、戦争を伝え聞いて育った私たちの責務であると思います。
 今年の平和の日をめぐる行事では、二月二十八日から三月十四日まで、四か所の会場で東京空襲資料展が開かれました。今年の大きな変化は、何といっても、百二十二人分の証言ビデオの公開です。
 都は、一九九〇年代に東京都平和祈念館での展示、公開のために三百三十人もの方々から証言を収録しましたが、これまでは九人分しか公開されていませんでした。公開を望む声は大きく、東京都はとうとう公開することを前提にデジタル化をし、そのうち、まずは本人や親族の了解が取れた百二十二人分の証言を編集し、公開しました。
 東京空襲資料展には、昨年の二倍近い五千五人の来場者があり、証言ビデオがよかった、実際に体験者の語る言葉が胸に迫った、体験者の方の生の声で体験談を聞くというのは大変貴重など、証言ビデオの公開を高く評価する感想が多く寄せられました。
 知事、これらをどう受け止めますか。

○小池知事 戦争の記憶を風化させることなく、次の世代に語り継ぎ、平和の大切さを伝えていくことは重要でございます。
 そのため、今回新たに同意を得ました百二十二名の方の証言映像をデジタル化いたしまして、資料展で公開したところでございます。そして、昨年度の約二倍となります五千人以上の方にご来場いただきました。
 平和につきまして考えるきっかけとしていただけたと、このように考えております。

○和泉委員 多くの方々に平和について考えるきっかけとしていただくことは、平和を守っていくためにも重要です。
 空襲被害者の方々は、ウクライナやガザの悲劇を自分の体験と重ね、心を痛めています。平和について考えることは、まずは、戦争の現実を知ることであり、東京空襲をはじめとした戦争の惨禍を後世に伝え、平和への決意を固め合うことがますます重要になっています。
 貴重な証言映像や資料などをより広く活用するためには、資料展の充実や、三月十日の東京都平和の日前後だけでなく、年間を通して都内で巡回空襲展にするとか、まずは東京都がホームページなどで公開して、いつでも、誰でも、何度でも見ることができるようにすることが重要ではありませんか。

○横山生活文化スポーツ局長 証言映像をはじめ空襲関連資料につきましては、資料展の実施箇所を増やすなど、企画検討委員会の意見も聞きながら、資料のより広い活用方法の検討を進めまして、資料展の充実を図っていくこととしております。

○和泉委員 資料展の充実を図る上で、常設展示も重要だと思いますが、いかがですか。

○横山生活文化スポーツ局長 証言映像をはじめ空襲関連資料の今後の活用方法につきましては、企画検討委員会の意見も聞きながら検討を進めてまいります。

○和泉委員 企画検討委員会の意見、で、常設展も含めて検討すると答弁されたことはとても重要だと思います。
 巡回空襲展やホームページでの公開と併せて、東京に平和祈念館をつくってほしいという声に今こそ応えるときです。そうすれば、遺品や資料などの現物を見ることができます。いつでも都民は行くことができます。東京を訪れた方たちにも知っていただくことができます。
 東京都平和祈念館については、一九九九年第一回定例会で、平和祈念館の建設に当たっては、都の厳しい財政状況と従来の経過を十分踏まえ、展示内容のうち、いまだ議論の不十分な事実については、今後さらに検討を加え、都議会の合意を得た上で実施すること、こういう付帯決議がつけられました。
 付帯決議は、都がさらに検討を加えて都議会の合意を得ることを求めています。前に進めるために、そのボールは都側にあるんです。多くの都民の皆さんの要望に応え、都として平和祈念館設置のための提案を行うことは、この付帯決議に応えるものです。平和祈念館の検討に踏み出すことを求めますが、いかがですか。

○横山生活文化スポーツ局長 平和に対する意識が高まっている今、戦争の記憶を風化させないためにも、同意を得た方の証言映像を都民の方々にご覧いただけるよう、今回、資料展で公開することにいたしました。
 なお、常設展ということでおっしゃいましたけれども、証言映像をはじめとした空襲関連資料の今後の活用方法につきましては、あくまでも企画検討委員会の意見も聞きながら検討を進めるという立場でございます。
 なお、平和祈念館(仮称)の建設につきましては、平成十一年の予算審議におきまして、都議会の合意を得た上で実施することとの付帯決議がなされた経緯がございますので、都議会での一定の審議と合意が必要であると考えております。

○和泉委員 企画検討委員会の意見があれば検討していくということだと思います。

(パネル)

 知事、付帯決議、本当にちゃんと読んでいただきたいんですが、パネル、今示しました。ご覧ください。資料も併せて皆さんのお手元にお配りしてあります。
 付帯決議は、展示内容などについて、さらに調査も議論もして、都議会でも議論し、合意して実施してくださいということを求めているんです。
 九〇年代、都が東京都平和祈念館(仮称)建設委員会を設置して、学者、文化人、公募委員、各会派の都議会議員も入って調査もし、議論も重ね、一九九四年五月には東京都平和祈念館(仮称)基本計画も出されました。
 九九年の付帯決議をつけた時代の財政状況は、今はクリアしています。幅広い皆さんと検討委員会などもつくり、展示内容など、さらに調査検討し、よりよいものにしていくことができます。
 昨年の第一回定例会のときには、五会派共同で平和祈念館(仮称)の建設に向けた検討を開始することを強く求める共同声明を発表したように、議会の中でも認識は広がっています。
 今年は戦後八十年、空襲を体験した方々は八十代以上のご高齢です。今後、戦争を知らない世代が、空襲や戦争の現実、二度と戦争はやってはいけないということをさらに次の世代へと伝えていくことがますます重要です。これは大事な東京都の役割であり、その拠点として東京都平和祈念館の検討に踏み出すことを求めて、次の質問に移ります。

3、気候危機対策について

 深刻な気候変動を回避するために、気温上昇一・五度以内に抑え、化石燃料依存から脱却し、急速な温室効果ガスの排出削減を進めなければなりません。
 知事は施政方針演説で、脱炭素化の切り札は水素であると断言し、水素を社会で当たり前のように使う東京を実現すると公言しています。
 しかし、水素を製造方法で大きく分けると、再生可能エネルギーを使用してつくるグリーン水素と、石油や天然ガスなどの化石燃料を燃焼させてつくるグレー水素に分かれます。現在の水素製造量のうち、グレー水素が占める割合は九割以上です。いうまでもありませんが、グレー水素はCO2の排出削減に全く貢献しません。

(資料1)

(資料2)

 知事は、オーストラリアのニューサウスウェールズ州と水素活用等に向けて合意書を交わしました。皆さんのお手元にも配ってあります。この合意書のどこにもグリーン水素と書かれていません。
 知事、合意書は化石燃料由来のグレー水素を含む合意ではないのですか。

○坂本産業労働局長 東京の脱炭素化に向け、グリーン水素について、海外からの供給を確保し、都内に確実に提供をする仕組みをつくり上げることは重要でございます。
 このため、都は、国際会議を開き、海外からの水素の確保に向けたきっかけづくりを行いました。これによりまして、都と同様にグリーン水素の普及を目指すオーストラリア・ニューサウスウェールズ州と供給の仕組みをつくることで合意をいたしました。
 その合意書はグリーン水素に係るものであることが前提でございまして、そうした表記をあえて行っておりません。

○和泉委員 グリーン水素が前提だとおっしゃいましたね。

(資料3)

(資料4)

(資料5・パネル)

 パネルと資料をご覧いただきたいと思いますが、ニューサウスウェールズ州の公式資料です。水素製造から販売の流れを図解で日本向けに公表しています。皆さんのお手元にも製造部分だけ拡大したものを、パネルと同じもの、お手元に配ってあります。
 これを見ると、石炭や石油から製造される水素があることが明記されています。グレー水素が含まれているじゃありませんか。これでどうしてグリーン水素が前提などといえるんですか。

○坂本産業労働局長 ただいまパネルでお示しいただいた資料は、私の手元にありますこのNSW州水素戦略、ここの一七ページからの抜粋と思われます。ここの下の、今あえて割愛してあるようですけれども、水素サプライチェーンの図であるという、そういうような説明が行われているページでございます。
 このページにつきましては、NSW州、ニューサウスウェールズ州の水素戦略の中で、水素の背景として、今水素がこのようにつくられて利用されているという一般論を示したものでございます。
 したがいまして、これをこれからどういうような形でグリーン水素として戦略的に展開をしようとしているのか、これを申し述べているのがニューサウスウェールズ州の水素戦略にほかなりません。
 なお、この冒頭のところをお読みいただきますと、これを策定した冒頭の大臣のところで、私どもの水素戦略は、ニューサウスウェールズ州のグリーン水素の規模拡大と競争力強化を急速に実現するための行動計画ですというふうに、グリーン水素のことであるというふうに申し上げているところであります。
 さらに、この後に戦略というのが出てきます。これが具体的にニューサウスウェールズ州が何をやるかということなんですけれども、この中でニューサウスウェールズ州は、グリーン水素の輸出拠点とすることを目標に三つの取組を設定しているというふうに明確にいっております。これ全てグリーン水素に関わることでございます。
 こうしたことから、NSW州の水素戦略を踏まえ、今回の合意書はグリーン水素を前提に締結をしたものでございます。

○和泉委員 私ね、サプライチェーンの話なんかしていないんですよ。製造過程の話をしているんです。製造の過程の話をしているんですよ。
 大体ね、水素になったら、グレーでつくられたのか、グリーンでつくられたのかなんていう確認はできないんですよ。水素になってしまったら何由来の水素かなんていう確認をすることはできないんです。確認すらしないと。
 仮にグリーン水素であったとしても、その水素を運搬する船の燃料は化石燃料です。グリーン水素を化石燃料で運ぶなんて笑い話にもならないじゃないですか。本末転倒な話ですよ。
 しかも、グリーン水素の製造、利用は、エネルギー効率が悪く、コストも高いため、脱炭素化が難しい分野で代替手段がない用途に限って利用する、これが世界の共通認識です。
 日本も参加する国際再生可能エネルギー機関、IRENAは、水素の用途は限定的であり、無差別的な使用はエネルギー転換を遅らせるとともに、脱炭素化を鈍らせると警告を発しています。
 知事が水素を社会で当たり前のように使う東京を実現するというのは誤りです。間違った方針は即時撤回するべきです。
 あらゆる分野で水素が利活用される社会の実現という間違った方針によって、一日平均九台の実績しかない水素ステーション整備など需要も必要性もない分野に、今年度と来年度を合わせて八十億円近くの巨額の税金を投入しようとしているんです。
 知事は、経済界が強く求める水素活用を新たな成長分野と位置づけて、人も予算も注ぎ込む、まさに経済界ファーストです。
 世界気象機関、WMOは、二〇二三年の世界の気温上昇は、産業革命前と比べて約一・四度になったとしました。残された期間も猶与ありません。間違った気候危機対策でこのまま突き進めば、後戻りできない重大事態になります。そうなれば取り返しはつきません。
 水素偏重の気候危機対策は即時撤回し、再エネ、省エネの普及に本気で取り組む都政へと転換しなければならないと厳しく指摘し、次の質問に移ります。

4、プロジェクションマッピングについて

 プロジェクションマッピングについて質問します。
 都庁のプロジェクションマッピングを含めた来年度の予算総額は二十五億六千万円です。二年間で四十八億五千万円の税金を惜しみなく使うことに、都民から疑問や怒りの声が出されています。巨額の税金を使うわけですから、都民や議会に対し説明責任を果たすことは当然です。
 ところが、我が党の代表総括質疑で産労局長は、答弁を差し控えるといったと思ったら、電通ライブと博報堂プロダクツが入札に参加したと明かしたり、そうかと思えば、実行委員会の資料は、実行委員会は都とは別の主体だから、都として資料は公表できないと公開を拒み続け、説明は二転三転しました。
 その後の経済・港湾委員会では、実行委員会は設立当時から情報公開の規定があり、情報公開ができると突然いい出しました。あたかも最初から情報公開ができたかのように述べるなど、疑問は深まるばかりです。
 産労局の説明は、実行委員会の事務処理規程に書いていないことは東京都のルールに準じていると説明を繰り返しています。解釈はそのようにできても、都とは別の団体なわけですから、実行委員会としての情報公開規定が必ず必要です。
 そこで、伺います。実行委員会としての情報公開規定はいつできたんですか。それとも規定は策定中なんですか。どちらでしょうか。

○坂本産業労働局長 都庁舎に投影するプロジェクションマッピングに係る実行委員会の情報公開は、その委員会の責任と判断において行うことが基本でございます。
 こうした中、実行委員会に情報の公開を求めた場合、委員会は都のルールに準じ、参加団体の合意に基づき対応を進める仕組みとなっております。
 実行委員会では、既に昨年三月から問合せに対応する連絡先をウェブサイトで公開をしております。今後は、この連絡先で対応できる具体的な内容が分かるような改善に取り組むとしております。
 そうした中で、実行委員会では、令和五年二月に策定した事務規程に基づきまして、都のルールに準じ情報公開を行うというのは今申し上げたとおりです。
 具体的には、その内容は、東京プロジェクションマッピング実行委員会事務規程の第十六条に、この規程に定めのない委員会の事務処理は、その都度その取扱いにおいて定める、もしくは東京都に準じて行うこととするとされております。
 この規定に基づきまして、今年三月十九日に情報開示の求めに応じ、請求書として必要な形式を整えて、ご要望に応じて提供はしております。
 先ほど申し上げたとおりでございますけれども、このような実行委員会のルールになっておりますので、それに応じて適切な対応を行っているところでございます。

○和泉委員 いつできたのか、具体的な中身、別に答えてくれっていっていないんですよ。あたかも規定があるかのように今答弁されましたけれども、お聞きしますけど、我が党は、先週の金曜日に東京プロジェクションマッピング実行委員会に情報開示請求を行いました。皆さんにお配りしている、お手元にある資料〔1〕と資料〔2〕を併せてご覧ください。

(資料1)


(資料2)

 資料〔2〕の住宅供給公社の情報開示請求書にはきちんと根拠規定が記載されていますが、資料〔1〕の実行委員会の開示請求書には根拠となる規定がありません。根拠規定の記載がないのはなぜですか。そして、開示請求書に何号様式というはっきりとした規定がないのはなぜですか。

○坂本産業労働局長 実行委員会では、令和五年二月に策定をした事務規程によりまして、都のルールに準じ−−これは準用してという意味にもなります、情報公開を行うこととしております。
 具体的には、先ほど申し上げました事務規程の第十六条に、この規程に定めのない委員会の事務処理は、その都度その取扱いにおいて定める、もしくは東京都に準じて行うこととするとされております。この規定に基づき、先ほど申し上げた対応を行ったところでございます。
 準用でございますので、必要に応じた変更は可能であると考えてございます。

○和泉委員 事は情報公開ですよ。そんな規定もなく、その都度その都度判断するなんておかしいでしょう。情報公開、加えて、実行委員会として受け付ける受領印すら存在していないんです。手書きのサインになっているのが、皆さんご覧いただければ分かると思います。
 しかも、資料〔1〕の枠の中の1と書いてあるところを見てください。公文書と書かれちゃっているんですよ。都と別団体であるはずの実行委員会が公文書を作成して、情報開示するということができるんですか。

○坂本産業労働局長 実行委員会では、先ほど申し上げたように、令和五年二月に策定した事務規程により、都のルールに準じ、いわゆる中身を準用して情報公開を行うこととしております。準じてという言葉の中には、必要な変更を加えることもできると、このように解釈をしております。

○和泉委員 開示請求書の中に公文書って書いちゃっているんですよ。公文書が交付できるのか、実行委員会が公文書を作成し交付できるんですかと私は聞きました。全然質問に答えていないじゃないですか。
 実行委員会が公文書を作成して交付できるとしたら、東京都の公文書管理条例違反になるんじゃないですか。公文書条例に何て書いてあるか。作成し、交付できるのは実施機関とは書いてあります。そして実施機関は、東京都の執行機関、これが限定列挙されています。いうまでもない話ですけれども、プロジェクションマッピング実行委員会はこの実施機関の中に含まれていませんよ。
 先ほども申し上げましたけど、実行委員会として受け付ける受領印すら存在していないため、その受領印は手書きのサインになっています。情報公開の案内も、情報開示請求の様式も、ホームページにはどこにも存在していません。情報公開なのに、都民にも議会にも公開しない。実行委員会の窓口もなければ、受領印もない。実際には、情報公開の運用実態などなかったんじゃありませんか。これ、重大な問題だと厳しく指摘しておきます。
 さらに、実行委員会がどのような運営がされていたのかについても質問を進めます。実行委員会はこれまでに、どこで、いつ、誰が参加して、何回開催したんでしょうか。

○坂本産業労働局長 実行委員会の開催等に対するご質問でございます。
 実行委員会は、令和五年二月に二回、令和五年三月、五月、六月、九月、十二月にそれぞれ一回ずつ、合計七回を書面により開催し、いずれも全ての委員が出席をしております。
 なお、書面による開催についてでございますけれども、実行委員会では、プロジェクションマッピングの実施の予算や計画などに関し、事前に事務局が説明と情報提供を行い、円滑な合意形成の見込まれる状況がございまして、委員は書面で同意を示しております。こうした決定にのっとりまして、具体的な準備の作業などが現場で適切に進められております。
 なお、実行委員会の要綱におきましては、議決事項を事務局が提案し、委員の全員が書面により同意の意思表示をした場合、その内容は可決として取り扱うルールとしているところでございます。

○和泉委員 つまり、一度も集まっていないということなんですよ。いろいろお答えになりましたけど、一度も集まっていないんです。都庁や渋谷は今年からの開催ですけれども、実行委員会は今年に入ってからは一度も開催されていないんです。ほとんど実態がないといわれても否定できないじゃないですか。
 都庁のプロジェクションマッピングについて、産労局は、調査検討費はこれまでに一円も計上されていないということは確認しています。このことを委員会で追及したら、突然、建物などの調査は財務局が行ったと、調査結果は財務局が保管していると産労局は説明しました。ところが、その委員会の最中に、勘違いだったとして答弁を撤回しています。
 実際に財務局が調査を行ったのか、私たちの聞き取りによれば、プロジェクションマッピング事業について、産業労働局への技術協力として、現場調査への同行や図面資料の提供等を行ったと。機器の設置場所として選定された議事堂屋上の荷重制限、電気の接続、音響設備の設置などについても確認を行ったということです。

(資料3)

 資料〔3〕、ご覧いただきたいと思いますが、昨年の十月十二日、産労局長が財務局長に宛てた技術支援の依頼書です。この依頼を端的にいうと、プロジェクターや音響設備の設置ができるかを技術的に判断してほしいという依頼です。依頼を受けて、プロジェクターなどを議事堂に設置できるかどうかについて財務局が調査を行ったということなんです。
 なぜこれ、委員会で撤回する必要があったのか。自ら依頼したのに、なぜ財務局が調査したという答弁を撤回する必要があったんでしょうか。はっきりいって本当に意味不明です。こんなこと許されませんよ。
 財務局に伺いますが、プロジェクターなどの機材設置工事を承認したのはいつですか。

○山下財務局長 産業労働局に対しまして、プロジェクターなどの機材設置工事の承認につきましては、昨年の十二月二日付で承認の回答を行ったところでございます。

○和泉委員 都庁のプロジェクションマッピングの映像コンテンツなどの契約を電通ライブと結んだのは昨年の九月です。プロジェクターなどの機材はパナソニックコネクトに特命随意契約していますけれども、それは十月です。

(資料4)

 一方で、産労局長が財務局長に設置できるかどうかの依頼をしたのは十月十二日、財務局が機材などの設置工事を承認したのが十二月二日です。
 つまり、設置できるかどうかも分からない、工事の承認も得ていない、それなのに電通ライブともパナソニックコネクトとも契約を済ませたんです。本来の手続を後回しにして、異例の早さで進められてきたということです。
 なぜそこまで急ぐ必要があったのか。今年度の予算を局が要求する段階では、都庁のプロジェクションマッピング事業は明記されていませんでした。ところが、知事が編成し発表した予算案では、今までなかった都庁のプロジェクションマッピングが特出しされ、予算も大幅に増やされました。このことによって、今年度中に必ず実施しなければいけなくなったんです。
 産労局は、とにかく急いで物事を進めることを迫られる中で、都の契約のルールでは今年度中にはできないから、それを擦り抜けるために、形ばかりの実行委員会を設置して突き進んだんではありませんか。産労局長、いかがですか。

○坂本産業労働局長 都庁舎にプロジェクションマッピングを投影するに当たりまして、その実施に係る知識や観光資源としての活用の効果、こうしたものを高めるノウハウを持つ主体や、地元の状況に詳しく、地域の経済の活性化を目指す団体の力を効果的に活用するため、連携をした対応を行うため、実行委員会方式としたところでございます。
 なお、先ほどお話がありました経済・港湾委員会における部長の発言の撤回ということでございますが、これは、質疑の中で正確な記憶でないことを発言してしまったために撤回をしたという、そういった内容でございます。決して何かを違うものにすり替えたとか、そういうことではないと考えております。
 それと、技術支援は私どもお願いはしておりますが、技術支援、すなわち全てこれは調査ということではないというふうに考えているところでございます。
 そして、調査費の計上がないということにつきまして、我々は、都庁舎にプロジェクションマッピングを実施するに当たって、有識者会議の議論、さらには審議会の意見などを踏まえ、観光産業の振興に向けたプランを取りまとめて、その中で、プロジェクションマッピングの活用について検討を行ってきております。
 また、国際大会イベントの開催などによりまして、警察など関係機関との調整に係るノウハウも蓄えてまいりました。
 さらに、国際的な大会を数多く手がけた団体などにヒアリングを行い、様々な知識の確保を着実に進めたところでございます。
 これらに加えまして、都庁舎に投影する機器の設置の場所や方法について、関係部署から技術的な助言を受けたところでございます。
 これによりまして、プロジェクションマッピングの実施に向けた準備を行っており、検討や調査に係る経費は計上していないと、こういうことでございます。

○和泉委員 自ら出した調査依頼をですよ、局がそろいもそろってみんな忘れちゃったんですか。そんな話が通用すると思いますか。通常の手続を飛ばして、無理に無理を重ねてやらなければならなかったのはなぜか。それは、知事の肝煎りだったからじゃありませんか。どうしても今年中にやらなければいけなかったからじゃないんですか。都政の私物化だといわれても仕方ありませんよ。
 都庁のプロジェクションマッピングだけでも、来年度は九・五億円ですよ。九・五億円あれば、都立看護学校も、職業能力開発センターも授業料無償化できるんです。朝鮮学校の補助金復活だってできるんです。
 プロジェクションマッピングは中止し、都民の暮らしを温かく照らすためにこそ予算は使うべきだということを強く求めて、次の質問に移ります。

5、英語スピーキングテストについて

 入札契約制度について、先日の財政委員会での質疑を踏まえて財務局に質問します。英語スピーキングテストの契約の在り方についてです。
 今年度、ベネッセに代わる新たな事業者が公募されました。応募したのは一者だけで、事業者選定の結果、六年間で二百十億円の事業費を示したブリティッシュ・カウンシルに決まりました。事業者選定は、地方自治法第二百三十四条が原則とする競争入札などの制度が適用されませんでした。
 都教委と事業者は、六年間で二百十億円の事業を実施する基本協定その一、その二を締結しています。その後、都が事業者に支払う一年分の分担金などを定める実施協定が結ばれ、都が提出した予算案には、新年度のテストだけで四十三億円が計上されました。
 新年度だけで四十三億円、六年間で二百十億円という巨額の予算を伴う事業ですから、その契約の在り方は厳しく問われなければなりません。
 財務局長に伺います。地方自治体が、地方自治法第二百三十四条によらない契約を結ぶことはできるんでしょうか。

○山下財務局長 地方自治法第二百三十四条第一項には、売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約または競り売りの方法により締結するものとすると定められております。
 このため、契約に関し公告をし、不特定多数の者をして入札の方法によって競争をさせ、最も有利な条件を提供する者と契約を締結する一般競争入札、そして、入札者を指名して、特定多数の者をして入札の方法により競争をさせ、最も有利な条件を提供する者と契約を締結する指名競争入札、さらには、契約の相手方を競争の方法によらないで選択して契約を締結する随意契約、買受け者に入札の方法によらず口頭で価格の競争をさせ、最も有利な条件を提供する者と契約を締結する競り売りのいずれかの方法で契約を締結する必要がございます。
 なお、先ほどお話がありましたが、契約の制度によりというくだりがありましたけれども、あくまでも契約をする場合は、これらの方法によるとされているものでございます。

○和泉委員 東京都が契約を締結する場合、今ご答弁いただいたようないずれかの方法でなければ契約の締結はできないと、地方自治法二百三十四条第一項でそのように規定されているというご答弁でした。
 税金の支出を伴う地方自治体の契約は、よりよいものをより安く、しかも高度な透明性、公正性が求められる、その中でも一般競争入札が原則だとされています。
 ところが、財務局は先日の財政委員会で、六年間で二百十億を上限とする支出を予定する基本協定について、都の債務が確定していないから契約に当たらないのだと答弁をされました。
 それでは、この英語スピーキングテストの事業において、契約に該当するものは何なのか、財務局長の答弁を求めます。

○山下財務局長 令和五年度中学校英語スピーキングテスト実施協定が東京都教育委員会が事業者に対して分担金の支払いを約する内容となっておりますことから、地方自治法第二百三十四条第一項に規定する契約であるというふうに認識しております。

○和泉委員 実施協定は契約に該当するものだというご答弁でした。
 では、この実施協定ですけれども、この実施協定が契約なのだとすれば、地方自治法が定める一般競争入札、指名競争入札、随意契約、競り売り、いずれの方法によって契約が締結されたんでしょうか、伺います。

○山下財務局長 地方自治法第二百三十四条に規定される随意契約の手法により、実施協定を締結したものと考えております。
 この随意契約は、地方自治法施行令第百六十七条の二第一項第二号を根拠とするものでございまして、法令上の随意契約の要件を満たしております。

○和泉委員 随意契約により締結をされたと。随意契約に基づく手続がきちんと踏まれているという財務局の認識だというふうに思います。
 私が財政委員会で質問を行ったときには、この実施協定というのが随意契約だというご答弁はありませんでした。そして、そのときには、実施協定については契約事務規則の契約がなじまない契約だと、このように答弁をされました。そして、この締結は、都教委の所掌事務の予算に係ることとして、教育長の権限の下で行われていることとしてございますと、このように答弁されました。間違いないですね。(山下財務局長発言を求む)

○内山委員長 山下……

○和泉委員 教育長の権限の下で行った、今、財務局長、うんうんとうなずかれました。
 財務局長は、地方自治法第二百三十四条第一項により、東京都の契約は一般競争入札、指名競争入札、随意契約、競り売り、いずれかの方法でなければならないと答弁をされましたが、実施協定は地方自治法の契約に当たる、それは随意契約に基づくものなんだという認識を示されました。
 この随意契約に至る経過というのが実に不明解です。教育庁からも、随意契約に係る手続がどのように踏まれたのかということに関しては一切資料の公表がありません。
 そして、実施協定だけじゃないんです。財務局は財政委員会で、六年間で二百十億円もの支出を予定する基本協定について、都の債務が確定していないから契約に当たらないんだと、契約に当たらないから事業者選定は競争入札などの方法によらなくても構わないんだという答弁をされました。
 しかし、基本協定その二第二十四条には、この協定は契約としての効力を有するとはっきり書いてあります。実施協定だけでなく基本協定も契約であることは明確だと思います。
 事業者選定についても、本来、一般競争入札を原則としなければならなかったのに、都教委が定めた独自ルールで事業者選定が行われた、これも地方自治法違反だと私は思います。
 六年間で二百十億を上限とする支払いが生じるのに、予算案に債務負担行為が設定されていない、これも私は地方自治法違反じゃないかと思います。
 初代事業者のベネッセには、当初、五年間で五億円と見込んでいたのに、結果的には、何と三倍の十五億円もの分担金を払うことになりました。同じことが生じる懸念があるんです。
 二重三重に自治法違反の契約に基づく英語スピーキングテストの予算は削除するほかありません。
 英スピ議連と都民団体が取り組んだ実施状況アンケートでは、昨年同様、イヤーマフ越しの音漏れ、装着時の痛みや苦痛、未経験、単発アルバイトの試験監督の不適切な対応などの声が生徒や保護者などから寄せられました。外部の事業者に委託し、大勢が一斉に同じ部屋で同じ問題を解く形式では、公平、公正な入試は担保できません。
 年間で四十三億円の予算があれば、英語の教員を七百五十人、新規採用することができます。都内公立中学六百校全てに一人以上の増配置ができます。
 子どもたちを犠牲にし、教育の自律性を阻害するようなテストはきっぱりと中止し、子どもの人格の完成、教育条件整備にこそ力を注ぐことを厳しく求めておきます。

6、神宮外苑再開発について

 続いて、神宮外苑開発について伺います。
 神宮外苑の自然と歴史、文化を守れという都民の運動は一層広がっています。多くの著名人や専門家の方々も声を上げています。
 昨年九月には、世界遺産の登録の審査を行うイコモスが、神宮外苑再開発に対し、文化遺産の危機を警告するヘリテージアラートを発しました。
 国際イコモスによるヘリテージアラートとはどういうものですか。どういう場合に出されるんですか。過去、どういうヘリテージアラートが出されていますか。

○浜教育長 ヘリテージアラートは、文化資産の保全と継承に向け、国際記念物遺跡会議、イコモスが発する声明でございます。
 都内では、高輪築堤の遺跡保存と神宮外苑の再開発に関してヘリテージアラートが発出されております。

○和泉委員 今、声明というふうにいわれましたけれども、アラートですから、文化遺産の保全が脅かされているときに緊急対策を求める警告です。
 日本の文化遺産に対してヘリテージアラートが出されたのは、これまでに三回しかありません。そのうちの一つはおととし一月の高輪築堤、そしてもう一つが昨年九月の神宮外苑、いずれも小池知事になってから、小池知事が進める再開発に対して出されたものです。
 神宮外苑再開発の中止、撤回を求めるヘリテージアラートは、ユネスコの諮問機関、イコモスの約四十人の各国代表委員の全員一致で出されました。イコモスのエリザベス委員長は、世界の主要都市で、公園の土地を再開発に回すというのは聞いたことがない、全員がショックを受けたと述べました。
 知事、神宮外苑再開発は、世界の標準から見ればそれぐらい非常識な開発だという認識はありますか。どうぞ、いいたいことがあるんだったら答弁席でお答えになってください。

○谷崎都市整備局長 神宮外苑のまちづくりは、神宮外苑の歴史や文化を適切に継承しながら、にぎわいあふれる緑豊かなスポーツの拠点としてさらに発展させていくため、明治神宮などの民間事業者が自らの所有地において実施するものでございます。
 事業者は、広域避難場所としてまとまった規模の広場の整備、絵画館を望む眺望景観、中央広場の景観形成を図る観点から、イチョウ並木周辺や新野球場等の容積を低く抑え、スタジアム通り沿いについては土地の高度利用によるにぎわいの創出を図る計画としております。
 さらに、既存樹木の保全に加え、新たな緑も創出し、それらを適切に維持管理しながら樹木を育成することで、従来よりも樹木の本数や緑の割合を増加させ緑空間の充実を図ることとしておりまして、世界の非常識であるというご指摘は当たりません。

○和泉委員 環境アセスメントの世界的な学会である国際影響評価学会、IAIAの日本支部は、昨年六月、小池知事に対して、神宮外苑の工事の中止を事業者に命じるよう求める勧告を出しました。
 この勧告は、神宮外苑再開発の環境アセスについて、日本イコモスが三井不動産など事業者によるデータの不備、誤り、虚偽の記載などを繰り返し指摘しているにもかかわらず、科学的な議論が行われないまま再開発計画が進められることへの懸念を表明し、日本イコモスを招いて公開の議論を行うことを小池知事に求めています。異議申立てに対してきちんと対応するのは、環境アセスでは当然のことなんです。
 IAIA日本支部代表の原科幸彦千葉商科大学学長は、専門家の声を聞かない姿勢はSDGsを求める世界の標準からかけ離れていると厳しく指摘しています。知事は、この指摘を重く受け止めるべきです。
 イコモスの石川幹子東大名誉教授は、八本のイチョウに衰退、枯損の危険があるというふうに指摘しています。知事は、イチョウ並木の状態をどのように認識しているでしょうか。

○栗岡環境局長 事業者は、日常管理の中で、ほかに比べて落葉時期が早いイチョウがあることを確認しており、その後、春先から新芽が出て、葉が生育している状況を確認してございます。
 昨年においては、一部のイチョウで、六、七月頃から葉の色づきが早いものがあることを確認してございます。
 そのため、事業者は、樹木医等とも相談の上、樹勢回復措置として、施肥やかん水、地被植物の除去等を実施してございます。

○和泉委員 現場でイチョウを守るために必死の努力がされているということは、私も何度も現地に行って確認しています。けれども今の答弁は、イチョウ並木の衰退、枯損の危険は否定できないというものです。
 加えて、知事は、神宮外苑の再開発による影響を確かめるための現地調査をしているんでしょうか。知事、いかがですか。しょっちゅう−−あ、しょっちゅう行っていらっしゃる。ということは、神宮外苑の再開発による影響もよく知っていらっしゃるということだと思います。
 それなのに、これまで神宮外苑再開発に異議申立てをする都民や専門家の意見に対して、ネガティブキャンペーンだとかプロパガンダだ、一方的な情報しか入っていないと切り捨ててきました。
 しかし−−絵画館のプロジェクションマッピングや神宮球場の始球式、これにはしょっちゅう行かれているのを私たちも知っています。そして、今、自分の自席から、再開発に影響あるかどうか、それを確かめるための現地調査もしていると、何度も行っているというふうにおっしゃいました。
 それだったら知事、多くの皆さんが神宮外苑の再開発は止めるべきだ、その声に今正面から向き合うべきじゃないんですか。
 東京の未来は都民と決める、知事は二期目の選挙でそう公約されました。今、何度も行っているというふうにお答えになりながら、そして、神宮外苑再開発の中止を求める、そういう都民の声が大きく広がっているということを承知しながら、それを行おうとしない。もう今や、都民ファーストというのは見る影を潜め、開発ファーストだということじゃないですか。
 音楽家の坂本龍一さんが亡くなる直前、知事に宛てた手紙は、神宮外苑の開発は持続可能とはいえない、こう訴えて、あなたのリーダーシップに期待しますと、このように結んでいます。
 知事に勧告を出したIAIA代表の原科氏は、環境アセスメントは事業ありきではなく、重大な問題がある場合は、都知事が中止できる仕組みになっていると指摘をして、どう対応するかは知事の大きな責任だと、このように訴えています。
 都市計画の手続においても、再開発の権利変換計画を提出できる条件などありません。知事の名前で事業者に再開発の中止を要請することを強く求めるものです。
 今、世界の都市で、公園や街路の樹木に熱い注目が寄せられています。
 ニューヨーク、パリなど欧米の都市で樹冠被覆率が重視されていることを、知事はどう認識しているでしょうか。

○古谷政策企画局長 緑には、人々の安らぎや潤い、防災、都市の風格、都市環境の改善に加え、鳥や虫といった生物の生存基盤など多面的な機能があり、豊かな都民生活のためには、緑を広く捉えることが重要でございます。
 緑を測る指標は様々でございまして、面的に緑を測る緑被率や、樹木に着目した樹冠被覆率などがあることは承知しております。
 都では、樹木の面積を捉えるだけではなく、草地や農地、宅地内の緑などに加え、河川等の水面も含め、気候変動への適応や生物多様性の保全、災害時の延焼防止、潤いのある生活環境の形成など、多様な緑の機能に着目したみどり率を用いております。

○和泉委員 樹齢を経た樹木が大きく枝を広げて豊かに葉っぱを実らせる、そのことによってどんな影響があるか、樹冠被覆率がどれほど大事か、これは私の出身地である夏の仙台市の定禅寺通を訪れていただければよく分かります。
 近年、この樹冠被覆率に大きな注目が集まっています。その背景はいうまでもなく気候危機やそれに伴う災害の激甚化です。
 オーストラリア・メルボルンでは、二〇〇九年に史上最高の摂氏四十六・四度を観測し、森林火災と熱波で五百人以上が亡くなったことをきっかけに、アーバンフォレスト戦略を確立しました。当時二〇%だった樹冠被覆率を最低三〇%、二〇四〇年までに四〇%にする目標を掲げています。
 都として樹冠被覆率の数値目標を持ち、樹木の保全と樹冠の拡大に積極的に取り組むことを求めて、質問を終わります。(拍手)