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質問・条例提案

2024.10.04

本会議 アオヤギ有希子都議(八王子市選出)の討論

2024年10月4日の本会議で、アオヤギ有希子都議(八王子市選出)が討論を行いました。

 

★討論全文(原稿)です。
動画(都議会ホームページです。令和6年第3回定例会 > 10月4日議案議決などをご覧ください)


 日本共産党都議団を代表して、討論を行います。

 わが党は、2017年以来、学校給食費の負担軽減や無償化の条例を4度にわたり提出し、都民の運動と力を合わせて実現を求めてきました。その中で都は、今年度から2分の1補助を始めました。
 しかし、財政力が弱い市町村は無償化できないため、わが党は新たな多摩格差が生じないよう、さらなる財政支援を求めてきました。今回、市町村総合交付金を増額し、すべての自治体での学校給食の無償化を後押しすることは、わが党と都民、市町村の要望にこたえるものであり重要です。

 小池知事は都知事選挙で、シルバーパスの改善・多摩モノレールへの対象拡大、大学生向け給付型奨学金の創設、子育て世帯の家賃負担軽減、介護職員の昇給制度、中学校の35人学級、熱中症から都民の命を守る取り組み、などを公約しました。
 わが党は15の公約について質問しましたが、知事または局長が「検討していく」など前向き答弁をしたのは、7つにとどまります。なぜ公約したのか、どう具体化するのか、知事自らの言葉で積極的に説明する姿勢ではありませんでした。
 知事はこれまで何度も公約違反を重ねてきました。わが党は、都民要求にこたえる公約は、誠実に具体化することを強く求めるものです。

 知事は、都民の批判が集中したプロジェクションマッピングを反省することなく、今度は世界最大級の噴水を、お台場に作ると突如発表しました。
 しかし費用は精査中、経済効果があると言うが算出中という、お粗末な答弁でした。作ることだけ発表して既成事実にすることなど、とうてい許されません。計画の撤回を強く求めます。

 都議選まで9カ月、日本共産党都議団は、都政を根本から変える「4つのチェンジ」を求めました。
1つ目は、都民の暮らしを守り抜き、地域経済を立て直すことを最優先課題とする都政へのチェンジです。
 それが小池都政最大の弱点であることは、補正予算の物価高騰対策にも表われています。
補正予算の中心はQR決済によるポイント還元です。この事業は、多く消費する人ほど大きな恩恵を受けます。QRコードを使わなければ何の恩恵もありません。最も支援しなければならない、低所得者や生活が苦しい人は取り残されます。都が実施している福祉手当の増額や
医療費助成の拡充、国保料の負担軽減、中小企業の賃上げ支援などを、改めて求めるものです。

 わが党は、ひとり親家庭と障害児のいる家庭に対する児童育成手当の引き上げ、および所得制限撤廃の条例案を提出しました。
児童育成手当の拡充を求めたわが党の質問に対する都の答弁は、国の児童扶養手当が増額されたから拡充の必要はないというものでした。
しかし、ひとり親家庭の貧困率は、今なお44.5%と深刻です。
 わが党提出の条例案への、みなさんのご賛同を心から呼びかけます。

 地方自治体が最低賃金を上回る賃金を支払うよう公契約条例で定めることは最低賃金法上、問題となるものではないとの見解を、都が初めて示したことは重要です。
 都道府県では全国初となる賃金条項をもつ公契約条例を制定し、地域経済や労働条件の底上げを図ることが必要です。

 2つ目のチェンジは、財界ファーストの「まち壊し」でなく、東京の歴史、文化、伝統、環境と都民の暮らしを大事にする持続可能な「まちづくり」を住民参加で進めることです。

 神宮外苑再開発の見直し案について、三井不動産ら事業者による住民説明会が開かれましたが、終了時刻になっても質問がやまず、延長を求める声が上がる中、打ち切られました。事業者は日本イコモスとの対話についても引き続き拒みました。
 住民の理解を全く得られていない見直し案に対し、厳しい態度で臨むべきです。知事は、今後の行政手続きにおいて、このような見直し案に基づく申請を認可すべきではありません。
 世界の都市が目標をもって増やしている、樹冠被覆率の拡大に取り組むことも求めておきます。

 わが党が提出した気候都民会議条例案に、若者団体や自治体首長から熱い期待の声が寄せられています。
幅広い都民が気候変動対策、脱炭素について議論し、知事に答申・建議することができる会議を設置する条例制定は、公正で持続可能な社会を確かなものにする力になると確信します。ご賛同を呼びかけるものです。

 私たちが進める3つ目のチェンジは、都民の命と健康を守り抜く都政への転換です。

 知事は都民の命を守ると公約しましたが、知事が強行した都立病院独法化の下で、休止病床数は590床におよぶことが、わが党の質問で明らかになりました。
 またわが党は、東京都病院協会の調査で、赤字と答えた病院が半数にも上ることを示し、都独自の財政支援の実施を求めました。これに対し都は、都内の病院の経営が困難な状況だという認識すら示しませんでした。
 危機にある地域医療の現実を直視し、民間病院および都立病院への財政支援を拡充強化して、医療提供体制の確保に全力を尽くすことを強く求めるものです。

 PFAS汚染対策の質問に、知事は、またしても答弁に立ちませんでした。都民の健康をおびやかす深刻な問題です。住民の血液検査など積極的取り組みを厳しく求めておきます。

 4つ目のチェンジは、人権と平和を大事にする都政への転換です。

 都教委は、7校の夜間定時制の廃止計画案を発表しました。最大の問題は、生徒・子どもの意見を聞かずに廃止案を作成したことです。
夜間定時制に通う生徒や、保護者、教員から寄せられている声は、自宅から近いから通えた、先生の授業がわかりやすい、大きな集団が苦手な子でも少人数の学校だから通えて成長することができた、というものです。
こうした声を受け止めずに廃止しようとすることは、学ぶ権利を蹂躙するものであり許されません。廃止計画案の撤回を求めます。

 知事が押し進める英語スピーキングテストでは、生徒の情報が他校のサイトに表示されたり、生年月日の入力・確認ができないなど、杜撰な個人情報の扱いが次々発覚しています。11月のテスト実施を控え、そのほかにも深刻なトラブル続きで、破綻は明らかです。
生徒や保護者、学校に過大な負担をかけ、多額の税金をつぎ込み、公平性・公正性もない英語スピーキングテストは、きっぱり中止すべきです。

 小池知事が関東大震災における朝鮮人虐殺被害者に対する追悼文の送付を中止して以来、史実をゆがめ他民族を冒涜する団体が、追悼式典と同時刻に隣接した場所で集会を開催し、都は東京都人権条例に基づいたヘイト行為だということを2度も認定しています。
そのうえ今年9月1日には、慰霊碑を破壊すると叫ぶなど、ヘイト行為がエスカレートしています。
 知事の追悼文送付中止が、ヘイトを助長しているのは明らかです。東京都人権条例に照らしても、知事がヘイト行為を助長することなど決して許されません。

 最後に、カスタマー・ハラスメント防止条例です。
ハラスメントは命にかかわる人権侵害であり、カスハラを含め、すべてのハラスメントは禁止すべきです。同時に、カスハラの定義や範囲を明確にするとともに、被害を受けた就業者の救済を重視すること、消費者の権利が不当に侵害されないよう万全を期すことが求められます。
 また本条例案は、都民の権利に深くかかわるものですが、これまで一度も議会に報告されたことがなく、パブリックコメントの結果の全容も公表されていません。カスハラ防止の具体的中身を定める指針が、無限定に都に委任されていることは、とりわけ大きな問題です。
今後、指針を定める際には、都議会へ報告するよう厳しく求めて、討論を終わります。

以上