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質問・条例提案

2024.06.12

文書質問 熱中症対策について 福手ゆう子(文京区選出)

2024年第二回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 福手ゆう子

質問事項
一 熱中症対策について

答弁
一 熱中症対策について

 


 

一 熱中症対策について

1 厚労省が昨年6月1日付で、都道府県に対して、生活保護世帯のエアコン購入費についての事務連絡を出していますが、これが出された経緯や趣旨をうかがいます。
 事務連絡にも記載されている「熱中症対策実行計画」は、熱中症による死亡者を現状から半分に減らすことを目標にしています。23区の屋内での熱中症死亡者は、使用状況不明の場合を除くと9割がエアコンを使用していません。また、エアコンを設置していない人が22年度では50人、23年度の速報値では38人いました。

2 エアコンの未使用・未設置の原因を解消していくことは、熱中症死亡者を無くしていくために不可欠ではありませんか。

3
 実行計画の中で「熱中症弱者のための熱中症対策」とありますが、「熱中症弱者」とはどういう人を対象にしていますか。

4 生活保護受給世帯の高齢者世帯、障害者世帯、母子世帯の割合をうかがいます。

5 環境省の「熱中症環境保健マニュアル2022」では、「高齢者、こども、持病のある方、障害者等は熱中症になりやすい方です」とされています。したがって高齢世帯や障害者世帯が多数を占める生活保護受給世帯は、熱中症のリスクが高い層が多く含まれていると考えますが、見解をうかがいます。

6 厚労省の事務連絡では、生活保護受給者は保護費のやりくりの中でエアコンを購入する、あるいは生活福祉資金の貸し付けを利用して購入することが原則になっています。しかし、現在の生活保護基準はあまりに低く、少ない保護費の中で「やりくり」しようとすれば、食費や光熱水費等を無理に削って節約せざるを得ません。貸し付けについても、返済の費用は生活費の中から捻出しなければならず、利用を躊躇する方は少なくありません。「やりくり」によってエアコンの購入費を確保するのは困難だと思いますが、どう認識していますか。
 熱中症リスクが高い人への対策として、生活保護世帯のエアコン購入費の支給要件の緩和は重要です。同時に、生活保護利用者だけでなく、低所得者へのエアコン購入・設置費を行政が補助することは、熱中症から命と健康を守るために必要です。そうした中、すでに自治体独自で補助を行っているところが増えています。

7 都は、区市町村が独自に生活困窮者対策や熱中症対策として、エアコン設置・購入費の補助を行っている状況をどう受け止めていますか。

8 都として、熱中症対策としてのエアコン設置・購入費の補助の必要性をどう考えていますか。

9
 都が区市町村が行う事業に対して補助する高齢者施策推進区市町村包括補助事業の中に高齢者の熱中症予防支援事業がありますが、熱中症予防支援の個別の補助にして、補助の対象を高齢者以外に拡充すること、補助の内容にエアコンの購入・設置費用を含めること、さらに補助率を引き上げることが必要ではありませんか。

10 電気代の負担軽減を求めた米倉都議の代表質問に対して都は「国の責任において実施すべきもの」と答えました。政府による電気料金の激変緩和措置が5月使用分で終了し、電気料金が値上がりすると言われています。負担軽減のために、改めて国に対し電気料金の補助を求めるべきです。併せて、生活保護世帯の熱中症対策として夏季加算を国へ要望するべきですが、いかがですか。

11
 監察医務院は熱中症で亡くなった方の年齢やエアコンの設置・使用の有無等を把握しています。都としてさらに、エアコンの未設置・未使用と経済的な背景との関係性等について、個人情報に配慮しながら、命と健康を守るために、分析し、その結果をもとに熱中症対策をとるべきと考えますが、見解をうかがいます。

 


 

2024年第二回都議会定例会
福手ゆう子議員の文書質問に対する答弁書


質問事項

一 熱中症対策について
1 厚労省が昨年6月1日付で、都道府県に対して、生活保護世帯のエアコン購入費についての事務連絡を出しているが、これが出された経緯や趣旨を伺う。

回答
 令和5年6月1日付けの事務連絡は、国が、熱中症対策実行計画の策定を踏まえ、生活保護世帯におけるエアコン購入費用に関する取扱いについて、都道府県等に対して周知するため発出したものです。

質問事項
一の2 エアコンの未使用・未設置の原因を解消していくことは、熱中症死亡者を無くしていくために不可欠と考えるが、見解を伺う。

回答
 都は、様々な媒体を活用して、適切なエアコン利用やクーリングシェルター・クールシェアスポットの活用等を周知しています。

質問事項
一の3 熱中症対策実行計画の中で「熱中症弱者のための熱中症対策」とあるが、「熱中症弱者」とはどういう人を対象にしているか伺う。

回答
 国の熱中症対策実行計画において、「熱中症弱者」とは、「高齢者やこども等」とされています。

質問事項
一の4 生活保護受給世帯の高齢者世帯、障害者世帯、母子世帯の割合を伺う。

回答
 令和4年度の都の福祉統計年報によると、生活保護受給世帯のうち、高齢者世帯の割合は54.3パーセント、傷病・障害者世帯は25.4パーセント、母子世帯は3.4パーセントとなっています。

質問事項
一の5 高齢世帯や障害者世帯が多数を占める生活保護受給世帯は、熱中症のリスクが高い層が多く含まれていると考えるが、見解を伺う。

回答
 国の通知によると、例えば高齢者、障害(児)者等は、体温の調節機能への配慮が必要であると考えられることから、熱中症予防が特に必要な者とされています。

質問事項
一の6 生活保護費などの「やりくり」によってエアコンの購入費を確保するのは困難だと考えるが、どう認識しているか伺う。

回答
 国の通知によると、エアコンも含め日常生活に必要な生活用品については、保護費のやりくりによって計画的に購入するものとされています。

質問事項
一の7 都は、区市町村が独自に生活困窮者対策や熱中症対策として、エアコン設置・購入費の補助を行っている状況をどう受け止めているか伺う。

回答
 区市町村が地域の実情に応じて行っているものと認識しています。

質問事項
一の8 都として、熱中症対策としてのエアコン設置・購入費の補助の必要性をどう考えているか伺う。

回答
 熱中症対策として、エアコンの適切な利用は有効とされており、都は、生活保護世帯等におけるエアコンの使い方等について区市町村に周知しています。
 なお、CO2削減対策として省エネ性能の高いリユースエアコンの購入を補助する区市町村等に対し、支援を実施しています。

質問事項
一の9 都が区市町村が行う事業に対して補助する高齢者施策推進区市町村包括補助事業の中に高齢者の熱中症予防支援事業があるが、熱中症予防支援の個別の補助にして、補助の対象を高齢者以外に拡充すること、補助の内容にエアコンの購入・設置費用を含めること、さらに補助率を引き上げることが必要と考えるが、見解を伺う。

回答
 高齢者の熱中症予防支援事業は、高齢者施策推進区市町村包括補助事業により、戸別訪問、普及啓発、日中猛暑時の避難場所の設置に要する経費を補助率2分の1で支援しており、令和5年度は、32区市町村が活用しています。
 このほか、多くの区市町村が高齢者の熱中症対策を、独自の取組等も含め実施しています。
 なお、区市町村との連携による環境政策加速化事業により、CO2削減対策として省エネ性能の高いリユースエアコンの購入を補助する区市町村等に対し、支援を実施しています。

質問事項
一の10 負担軽減のため、国に対し電気料金の補助を求めるべきだが、見解を伺う。併せて、生活保護世帯の熱中症対策として夏季加算を国へ要望すべきだが、見解を伺う。

回答
 電気料金等に対する支援については、全国的な課題であり、国の責任において実施すべきものです。都は国に対し、電気・エネルギー価格の高騰抑制対策を行うことを要求しています。
 また、都は、従来から生活保護基準について、大都市の生活実態を踏まえたものとするよう、国に要求しています。

質問事項
一の11 監察医務院は熱中症で亡くなった方の年齢やエアコンの設置・使用の有無等を把握している。都としてさらに、エアコンの未設置・未使用と経済的な背景との関係性等について、個人情報に配慮しながら、命と健康を守るために、分析し、その結果をもとに熱中症対策をとるべきと考えるが、見解をうかがう。

回答
 熱中症対策については、全庁的な推進体制の下、エアコンの適切な利用方法の周知等の取組を進めています。