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質問・条例提案

2024.06.12

文書質問 第一種動物取扱業の登録について 尾崎あや子(北多摩第一選出)

2024年第二回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者 尾崎あや子

質問事項
一 第一種動物取扱業の登録について

答弁
一 第一種動物取扱業の登録について

 


 

一 第一種動物取扱業の登録について
 ブリーダーが飼っていた犬が逃げ出し、道路に飛び出し、避けられずに衝突したバイクに乗っていた父親が大怪我し、その後死亡しました。息子さんが裁判を起こしましたがブリーダーは、裁判中に自己破産しブリーダーとして事故の責任から逃げてしまいました。ブリーダーが入っていた個人の火災保険から損害賠償・補償金を請求しましたが、生活上のことではなく職務遂行上の事故であることから補償対象ではないという判決でした。
 私のところに父親を事故で亡くした息子さんから「こんなことがあっていいのか。事故の原因はハッキリしているのに、1円も補償金を出さないブリーダーの対応に納得できない。都の責任もあるのではないか」と相談がありました。
 ブリーダーは東京都の第一種動物取扱業に登録しています。そこで、いくつか質問します。

1 2005年に「動物の愛護及び管理に関する法律」が改正され、届出制から登録制になりました。登録制になることで、何が強化されたのですか。

2 「東京都動物の愛護及び管理に関する条例」の第29条(事故発生時の措置)に「飼い主は、その飼養し、又は保管する動物が人の生命又は身体に危害を加えたときは、……事故発生の時から24時間以内に、知事に届け出なければならない」となっています。届け出があった実績の推移を伺います。

3 同条例の30条(措置命令)に「知事は、動物が人の生命、身体若しくは財産を侵害した時は、…当該動物の飼い主に対し…措置を命じることができる」となっています。措置命令の実績について伺います。

4 第一種動物取扱業に登録者が「自己破産」した場合には、登録はどうなりますか。また、何か手続きが必要ですか。

5 第一種動物取扱業の登録をしているところの「立ち入り検査」の件数の実績と、指導した件数の実績について伺います。

6 「立ち入り検査」の項目はどのようなものか、伺います。また、逸走防止(動物が逃げないように)については、「フェンスの高さ」について、低いところや穴が開いている状況では、逸走防止にならないと思いますが、指導は行うのですか。

7 犬がフェンスを飛び越えて道路に飛び出し、バイクに乗っていた男性が転倒し、その後死亡するという事故がありました。裁判でも死亡の原因は犬が道路に飛び出したことだと認めています。飼い主は、保険に加入していませんでした。しかも、「自己破産」したことを理由に、入院費用や損害賠償などは1円も払っていません。このような事故も事故対応もあってはならないと思います。都の受け止めをお答えください。

8 第一種動物取扱業に登録した業者(飼い主)は、「動物が人の生命、身体若しくは財産を侵害した時」、業者として責任を負う必要があり、行っている事業の性質上、人に損害を与えることが想定される場合は、保険などで備えることが必要だと思います。都の認識を伺います。

9 第一種動物取扱業は都道府県への登録となっていますが、自治体独自の遵守事項を増やし規制強化ができるのですか。また、独自の遵守事項を設けている自治体はどこですか。

10 都の独自の遵守事項として「保険加入(業務用)」の義務を加えることについて、対象とする範囲等を含めて検討を行うべきですが、いかがですか。


 

2024年第二回都議会定例会
尾崎あや子議員の文書質問に対する答弁書

質問事項
一 第一種動物取扱業の登録について
1 2005年に「動物の愛護及び管理に関する法律」が改正され、届出制から登録制になったが、登録制になることで、何が強化されたのか伺う。

回答
  平成17年に動物の愛護及び管理に関する法律が改正され、動物取扱業が届出制から登録制に改められたことにより、都道府県知事等は、動物取扱業者が営業を開始する時に、飼養施設及び管理方法等について基準に適合していることを確認することや、悪質な業者に対して、業の登録の取消しや業務の停止を命ずることが可能となりました。

質問事項
一の2 「東京都動物の愛護及び管理に関する条例」の第29条に「飼い主は、その飼養し、又は保管する動物が人の生命又は身体に危害を加えたときは、…事故発生の時から24時間以内に、知事に届け出なければならない」となっているが、届け出があった実績の推移を伺う。

回答
 東京都動物の愛護及び管理に関する条例第29条第1項に基づく動物による事故発生時の届出について、東京都動物愛護相談センターが受理した件数は、令和2年度120件、令和3年度109件、令和4年度128件です。

質問事項
一の3 同条例の30条に「知事は、動物が人の生命、身体若しくは財産を侵害した時は、…当該動物の飼い主に対し…措置を命じることができる」となっているが、措置命令の実績について伺う。

回答
 都は、動物が人の生命、身体若しくは財産を侵害したとき、又は侵害するおそれがあると認めるときは、当該動物の飼い主に対して指導を行い、指導を重ねても改善が見込めない場合は、東京都動物の愛護及び管理に関する条例第30条に基づき措置命令を実施することとしています。
 令和4年度に措置命令を行った実績はありません。

質問事項
一の4 第一種動物取扱業に登録者が「自己破産」した場合には、登録はどうなるか。また、何か手続きが必要か伺う。

回答
 第一種動物取扱業者が破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当した場合、動物の愛護及び管理に関する法律に基づき、都道府県知事はその登録を取り消し、又は6月以内の期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができます。登録の取消し等に当たっては、行政手続法に基づき、聴聞等を実施します。

質問事項
一の5 第一種動物取扱業の登録をしているところの「立ち入り検査」の件数の実績と、指導した件数の実績について伺う。

回答
 第一種動物取扱業者に対する立入検査等の監視指導について、令和4年度の実績は延べ4,759件、このうち、注意指導書又は勧告書の交付による行政指導を16件行いました。

質問事項
一の6 「立ち入り検査」の項目はどのようなものか、伺う。また、逸走防止(動物が逃げないように)については、「フェンスの高さ」について、低いところや穴が開いている状況では、逸走防止にならないが、指導は行うのか伺う。

回答
 第一種動物取扱業者が遵守すべき事項は、動物の逸走防止のための飼養施設・設備、管理の基準を含め、動物の愛護及び管理に関する法律等により定められており、都は、立入検査等の際に、これらの基準に基づき指導を行っています。

質問事項
一の7 犬がフェンスを飛び越えて道路に飛び出し、バイクに乗っていた男性が転倒し、その後死亡するという事故があった。飼い主は、保険に加入しておらず、「自己破産」したことを理由に、入院費用や損害賠償などは1円も払っていない。このような事故も事故対応もあってはならないが、都の受け止めを伺う。

回答
 犬の飼い主の遵守事項として、東京都動物の愛護及び管理に関する条例第9条第1号に「犬を逸走させないため、犬をさく、おりその他囲いの中で、又は人の生命若しくは身体に危害を加えるおそれのない場所において固定した物に綱若しくは鎖で確実につないで、飼養又は保管をすること。」と規定されています。
 都は引き続き、法令等が遵守されるよう、動物の逸走防止を含めた動物の適正飼養に関して普及啓発するとともに、取扱業者に対し、適切に監視指導等を実施していきます。

質問事項
一の8 第一種動物取扱業に登録した業者は、「動物が人の生命、身体若しくは財産を侵害した時」、業者として責任を負う必要があり、行っている事業の性質上、人に損害を与えることが想定される場合は、保険などで備えるべきだが、都の認識を伺う。

回答
 第一種動物取扱業者は、取扱動物による事故等が発生しないよう関係法令を遵守することが求められます。

質問事項
一の9 第一種動物取扱業は都道府県への登録となっているが、自治体独自の遵守事項を増やし規制強化ができるのか、また、独自の遵守事項を設けている自治体はどこか伺う。

回答
 動物の愛護及び管理に関する法律第21条第4項では、都道府県又は指定都市は、動物の健康及び安全を保持するとともに、生活環境の保全上の支障が生ずることを防止するため、その自然的、社会的条件から判断して必要があると認めるときは、条例で、環境省令で定める基準に代えて第一種動物取扱業者が遵守すべき基準を定めることができるとしています。
 独自の基準を設けている自治体は把握していません。

質問事項
一の10 都の独自の遵守事項として「保険加入(業務用)」の義務を加えることについて、対象とする範囲等を含めて検討を行うべきだが、見解を伺う。

回答
 都は引き続き、法令等に基づき、第一種動物取扱業の登録や監視指導等を適切に行っていきます。