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質問・条例提案

2024.10.04

文書質問 地域や盲学校の歩行訓練 藤田りょうこ(大田区選出)

2024年第3回定例会で以下の文書質問を提出しました。

令和6年第三回都議会定例会
文 書 質 問 趣 意 書
提出者 藤田りょうこ

質 問 事 項
 視覚に障害のある方が地域で安心して生活できるよう、身近に歩行訓練が受けられる環境の整備について

答弁
一  視覚に障害のある方が地域で安心して生活できるよう、身近に歩行訓練が受けられる環境の整備について

文書質問PDF


視覚に障害のある方が地域で安心して生活できるよう、身近に歩行訓練が受けられる環境の整備について

 視覚に障害がある方にとって、ニーズに応じた移動が安全にできることは権利であり、そのための支援は、国や行政が責任を持って行う必要があります。

  生まれつき視覚に障害のある方は、日常生活を通じて空間等を認識していきますが、どのような手順・アプローチで指導を行うことが効果的なのか、考えながら訓練を進めているのが、歩行訓練士です。
 歩行訓練士は生活訓練のみならず、見えにくさからくる困りごとに対する相談対応や情報提供、必要な支援といった視覚障害リハビリテーションも実施しています。
 視覚に障害のある方からは、「自己流で外を歩くのは危ないので、歩行訓練士からきちんとした歩き方の指導を受けるのは大事なこと」、と伺っています。

 都は、視覚障害者が歩行訓練士による訓練を受けることの重要性について、どう認識していますか。

 都は、在宅視覚障害者福祉事業により、視覚障害者に対して歩行訓練を行っていますが、現在、この事業を実施している身体障害者福祉団体はいくつですか。直近3年間の予算と、執行状況を伺います。

 都事業にある中途失明者緊急生活訓練事業は、先天性の視覚障害者も訓練を受けることはできますか。

 中途失明者緊急生活訓練事業は、現在何人の歩行訓練士によって実施されていますか。合わせて、昨年1年間に利用された人数と、延べ実施回数を伺います。また、利用の多い訓練内容の上位3つについても合わせて伺います。

 現在、都の補助事業を実施している東京都盲人福祉協会では、今年度、新たに歩行訓練士を募集したところ、応募が無く新採用がなかったと伺いました。多くの事業所では、人手不足に対して賃上げを行って人の確保を行っているのが現状です。歩行訓練士の専門性に見合った人件費が支払えるよう、都の補助を増やすことを求めますが、いかがですか。

  福島県では、県内に歩行訓練士を採用している事業所が無く、県で直接、歩行訓練士を採用・養成し、県民に必要な在宅生活訓練を行っています。
 都内の視覚障害者は約39,000人であり、誰もが安心して生活できるよう、身近に歩行訓練が受けられる環境の整備をすること、そのための歩行訓練士の養成等を強化することを求めます。
 
 教育現場では、先天的に視覚に障害のある児童生徒への歩行訓練を行うため、より、専門的で特性に合わせて効率的に指導できるスキルが求められます。しかし、4つの盲学校のうち、2校は、歩行訓練士が配属されていません。

 都立盲学校に配属されている歩行訓練士は、現在何人ですか。配属されている学校名も伺います。

 都立盲学校に配属されている歩行訓練士は、どのように資格を取得されているのですか。その際、都として何か援助を行うことはあるのですか。また、有資格者に対する異動の考え方についても伺います。

  都内に4校ある都立盲学校には、それぞれ寄宿舎があります。  寄宿舎で生活する児童生徒は、寮生活の中で生活訓練も受けることになるため、生活習慣や特性に応じた指導や訓練を、適宜受けることができるよう環境整備することが大切です。

 都立盲学校の視覚部門に在籍している児童生徒数と、そのうち寄宿舎生の人数、寄宿舎の定員を学校ごとに伺います。また、寄宿舎で生活指導を行う指導員のうち、歩行訓練士の資格を有している指導員が配属されているかについても伺います。

  視覚に障害のある児童生徒に対し、日常生活や外出について訓練を行うことは、安全に生活できる基盤を作るとともに、卒業後の進路の選択肢を増やすことにもつながります。
 東京都盲学校PTA連合会の令和7年度予算要望書には、久我山青光学園について、「本校では現在歩行訓練士の資格を有する教員は在籍しておらず、保護者向けの歩行講習研修の機会や、個別で白杖選択や歩行に関する相談ができる教員がいない状況です。」と記載されています。
  また、懇談の際には、歩行訓練士がいない学校では、夏休みなどを使って保護者が研修を受けているというお話も伺いました。

   現在、歩行訓練士がいない盲学校では、どのように生活訓練や歩行訓練を行っているのですか。また、保護者からの相談はどのように受けているのですか。その時間はどのように確保しているのですか。

10 都立盲学校で、児童生徒に対して行う歩行訓練に必要なスキルについて、学校の教員にはどのように研修を行っているのですか。

11 歩行訓練士のいない都立盲学校では、職員研修のための外部講師や、都立盲学校に配属されている歩行訓練士の派遣を、昨年度1年間に何回受けましたか。また、その時期についても伺います。

  ある視覚に障害のある方は、遠方の大学に通うために、歩行訓練士による歩行訓練を受けました。その方は、歩行訓練士から訓練を受けることについて、「個々に合わせてくれたため、分かりやすかった。盲学校の先生との違いは、個々のニーズに合わせて指導してくれるところ。」と話していました。

12 都立盲学校の教員から、歩行訓練士の資格を取りたい旨の要望はありますか。4つの盲学校全てに歩行訓練士を配置することで、子どもの成長や発達に対して、丁寧に訓練を行うことができると考えますが、いかがですか。

  PTA連合会との懇談では、「歩行訓練士の資格のある教員はじめ盲教育の専門性のある教員が他の障害種に異動してしまうのが困る」というお話も伺いました。

13 歩行訓練をはじめ、盲教育の専門性を持つ教員が他の障害種の学校に異動してしまうと、教育の低下に繋がりかねないとのご意見をいただいています。障害に応じた教育の向上のため、異動のルールを見直すことを求めますが、いかがですか。

 2023年2月から3月に実施された、「盲学校に在籍する歩行訓練士に係る実態アンケート調査」によると、全国盲学校校長会に所属する67校のうち54校が回答し、31校に歩行訓練士が在籍していることが分かりました。
  また、3校が養成施設への派遣が認められていると回答しました。教育庁として、歩行訓練士の養成についても位置付け、学校長が必要と認めた場合には、その間の職員確保についても保障することを求めます。

和6年第三回都議会定例会
藤田りょうこ議員の文書質問に対する答弁書

一 視覚に障害のある方が地域で安心して生活できるよう、身近に歩行訓練が受けられる環境の整備について

  都は、視覚障害者が歩行訓練士による訓練を受けることの重要性について、どう認識しているか伺う。

回   答

  都は、在宅の視覚障害者の福祉の向上を図ることを目的に、視覚障害者に歩行訓練のほか日常生活上の訓練などを行う、在宅視覚障害者福祉事業を実施しています。

質 問 事 項

 一の2 都は、在宅視覚障害者福祉事業により、視覚障害者に対して歩行訓練を行っているが、現在、この事業を実施している身体障害者福祉団体はいくつか。直近3年間の予算と、執行状況を伺う。

回   答

 現在、都の補助を受けて在宅視覚障害者福祉事業を行っている団体は1団体です。
 令和3年度から令和5年度までの各年度の予算額は、いずれも27,321千円であり、決算額は、令和3年度は26,784千円、令和4年度及び令和5年度はいずれも27,321千円です。

一の3 都事業にある中途失明者緊急生活訓練事業は、先天性の視覚障害者も訓練を受けることはできるか、見解を伺う。

回   答

  本事業は、原則として18歳以上の視覚障害者で、身体障害者手帳を所持する方を対象としており、訓練を受ける方は、実施団体が選定しています。

質 問 事 項

 一の4 中途失明者緊急生活訓練事業は、現在何人の歩行訓練士によって実施されているか。合わせて、昨年1年間に利用された人数と、延べ実施回数を伺う。また、利用の多い訓練内容の上位3つについても合わせて伺う。

回   答

  中途失明者緊急生活訓練事業に従事する指導員は、令和6年4月1日現在、6人配置されており、そのうち4人が視覚障害生活訓練等指導者養成課程等を修了した歩行訓練士です。
  令和5年度は、386人の利用者に対し、延べ1,831回の訓練を実施しました。

  実施回数が多かった訓練内容は、回数の多い順に、歩行、スマートフォンやパソコンの操作、調理等生活の訓練となっています。

一の5 歩行訓練士の専門性に見合った人件費が支払えるよう、都の補助を増やすことを求めるが、見解を伺う。

回   答

  東京都在宅視覚障害者福祉事業は、都が定める補助金交付要綱に掲げる事業を行う団体に対し、必要な経費の一部を補助するものです。

質 問 事 項

 一の6 都立盲学校に配属されている歩行訓練士は、現在何人か。配属されている学校名も伺う。

回   答

  都立視覚障害特別支援学校に在籍する教員のうち歩行訓練士の有資格者は、文京盲学校に一人、八王子盲学校に二人の計三人です。

質 問 事 項

 一の7 都立盲学校に配属されている歩行訓練士は、どのように資格を取得されているのか。その際、都として何か援助を行うことはあるのか。また、有資格者に対する異動の考え方についても伺う。

回   答  
 歩行訓練士の資格を有する三人は、いずれも教員採用以前に養成機関による課程を修了し、資格を取得しています。なお、歩行訓練士の資格取得に向けた支援制度はありません。

  都教育委員会は、都全体の教育水準の向上とともに、教員に多様な経験を積ませることにより、教員の資質能力の向上と人材育成を図るため、定期異動実施要綱を定め、教員の異動を実施しています。
  異動に当たっては、都立学校等とのヒアリング等を通じ、各学校の実情や教員の専門性等を把握の上、適材適所の配置を行っています。

質 問 事 項
 一の8
都立盲学校の視覚部門に在籍している児童生徒数と、そのうち寄宿舎生の人数、寄宿舎の定員を学校ごとに伺う。また、寄宿舎で生活指導を行う指導員のうち、歩行訓練士の資格を有している指導員が配属されているかについても伺う。

回   答
 令和6年5月1日現在の数字は以下のとおりです。

学校名

在学者数

(視覚部門)

うち寄宿舎生

寄宿舎定員

文京盲学校

45人

23人

34人

葛飾盲学校

29人

12人

40人

八王子盲学校

47人

25人

70人

久我山青光学園

71人

30人

30人

  寄宿舎指導員の中に、歩行訓練士の資格を有している者はいません。

質 問 事 項

 一の9 現在、歩行訓練士がいない盲学校では、どのように生活訓練や歩行訓練を行っているのか。また、保護者からの相談はどのように受けているのか。その時間はどのように確保しているのか、伺う。

回   答
 全ての都立視覚障害特別支援学校では、歩行技術等の知識・経験を有する専門性の高い教員が主に自立活動の時間において、その指導を適切に実施しています。
  保護者からの相談は、教員が日常的に連絡帳や電話で受けているほか、個人面談及び保護者会等でも受けています。

質 問 事 項

 一の10 都立盲学校で、児童生徒に対して行う歩行訓練に必要なスキルについて、学校の教員にはどのように研修を行っているのか、伺う。

回   答
  都立視覚障害特別支援学校では、外部講師や専門性の高い教員が講師となり、放課後などに校内で研修を行っています。

質 問 事 項

 一の11 歩行訓練士のいない都立盲学校では、職員研修のための外部講師や、都立盲学校に配属されている歩行訓練士の派遣を、昨年度1年間に何回受けたか。また、その時期についても伺う。

回   答
 全ての都立視覚障害特別支援学校では、歩行技術等の知識・経験を有する専門性の高い教員が中心となり、研修を適切に実施しています。
  外部講師等による歩行に関する研修について、久我山青光学園では令和5年度には、4月、7月、令和6年2月に各1回、3月に2回の計5回実施しています。葛飾盲学校では、令和5年度において外部講師等を活用した研修の実施はありません。

質 問 事 項

 一の12 都立盲学校の教員から、歩行訓練士の資格を取りたい旨の要望はあるか。4つの盲学校全てに歩行訓練士を配置することで、子どもの成長や発達に対して、丁寧に訓練を行うことができると考えるが、見解を伺う。

回   答
  全ての都立視覚障害特別支援学校では、歩行技術等の指導を適切に実施できるよう、知識・経験を有する専門性の高い教員等による研修を実施しています。 教員からの資格取得に関する要望については把握していません。

質 問 事 項  一の13 歩行訓練をはじめ、盲教育の専門性を持つ教員が他の障害種の学校に異動してしまうと、教育の低下に繋がりかねないとのご意見をいただいている。障害に応じた教育の向上のため、異動のルールを見直すことを求めるが、見解を伺う。

回   答
  都教育委員会は、都全体の教育水準の向上とともに、教員に多様な経験を積ませることにより、教員の資質能力の向上と人材育成を図るため、定期異動実施要綱を定め、教員の異動を実施しています。
 異動に当たっては、都立学校等とのヒアリング等を通じ、各学校の実情や教員の専門性等を把握の上、適材適所の配置を行っています。

以上