「2025年度東京都予算案」について(談話)
★「2025年度東京都予算案」について(談話)(PDF)
「2025年度東京都予算案」について(談話)
2025年1月31日
日本共産党東京都議会議員団
幹事長 和泉なおみ
都民の運動と日本共産党都議団が、ついに切り拓いたシルバーパスの負担軽減
本日発表された2025年度東京都予算案に、年間20,510円のシルバーパスを12,000円に4割値下げすることが盛り込まれました。都民の運動と日本共産党都議団が切り拓いた成果です。
高齢者のシルバーパスは、25年前に自民党、公明党などが賛成して全面有料化されました。日本共産党都議団はいっかんして、都民の運動と連携して負担軽減を求めてきました。2017年以降だけでも5回にわたって負担軽減の条例提案を行い、そのたびに自民党、公明党、都民ファーストの会などの反対で否決されてきました。
しかし日本共産党都議団が19議席、都議会野党第1党の力をもつ中で変化が生まれ、昨年12月の第4回定例会の条例提案は、自民党、公明党、都民ファーストの会、自由を守る会、東京維新の会などの反対で否決されたものの、わが党を含む5会派39人、都議会議員の3分の1が賛成するにいたりました。こうした変化のもとで、ついに重い扉をこじあけました。日本共産党都議団はさらなる負担軽減と、多摩モノレールやコミュニティバス、都県境バス路線などへの適用拡大を求めていきます。
都立・私立高校、都立大学などの授業料実質無償化につづき、昨年9月の補正予算では学校給食無償化への財政支援が拡充され、都内全区市町村で無償化が実現しました。これも、都民運動と日本共産党都議団がねばり強く取り組んできた画期的な成果です。
6月の都議会議員選挙で、さらに大きな変化をつくり出そうではありませんか。
1 物価高のもと都民のくらしを守り抜き、地域経済を立て直す予算が求められている
お米も野菜も驚くほどの値上げで、家賃も大学の学費も上がり、悲鳴の声が上がっています。賃上げは物価高騰に追いつかず、年金は目減りするなど、都民のくらしは深刻です。一方、本日発表された予算案は、都税収入が今年度当初予算にくらべて5,400億円以上増えて史上最高で、予算総額も過去最高を更新し、17兆8千億円を超えました。
スウェーデンの国家予算に匹敵する、この巨大な財政力を全面的に使って、都民のくらしを守り抜き、地域経済を立て直すために本気で取り組む予算編成が求められています。
2「財界ファースト」で、くらしに冷たい「2025年度東京都予算案」
ところが、自民党、公明党、都民ファーストの会が支える小池知事が発表した予算案は、最も光を当てるべき物価高騰対策はきわめて不十分なまま、今年度予算にくらべ3.2%、52億円しか増えていません。高すぎる国民健康保険料(税)の引き下げも、ひとり親家庭を支援する児童育成手当の増額も、改善を求める都民の運動が広がっている障害者福祉手当や障害者医療費助成の拡充もありません。
家賃高騰が深刻な中で、小池知事が公約した手ごろな家賃の「アフォーダブル住宅」は低所得者向けにはならず、供給の規模は微々たるものです。応募者が殺到する都営住宅の新規建設は、26年間連続ゼロがつづいています。家賃補助にも背を向けています。
中小企業の賃上げ支援の奨励金事業も、事業規模年間わずか1,400社と変わりません。商店街振興予算は51億円のまま9年連続増やさず、スタートアップ企業支援の予算は70億円増額の525億円と偏重しています。
都民の批判が広がるお台場の巨大噴水整備には26億円もの予算を計上し、都庁舎などに映像を流すプロジェクションマッピングに15億6千万円、一昨年度からの3年間で64億円もの税金投入となります。光を当てるところが違います。
中止を求める声が広がる中学生の英語スピーキングテストに38億円を計上する一方、知事が公約した中学校の35人学級の予算はなく、夜間定時制高校の廃止を推し進めています。都民の健康を守ってきた「東京都がん検診センター」、技術者育成の役割を果たしてきた「土木技術支援・人材育成センター」も廃止する予算となっています。
築地、新宿、港南・高輪、泉岳寺など、財界の目先の利益のための再開発に240億円、外環道や特定整備路線など大型道路建設に510億円など、「財界ファースト」の事業には巨額の予算がついています。神宮外苑は引き続き、予算案と同時に発表された都の基本計画「2050東京戦略」で、大手町や品川の巨大開発と並べて位置づけられています。IR・カジノの調査費も12年連続で計上されています。
東京オリンピックへの不明朗な巨額の公費投入への批判が広がりましたが、今年開催される世界陸上は、大会経費と気運醸成などの事業費で、112億円が東京都の負担とされています。
気候危機対策で、費用がかかりすぎる水素事業からの撤退が世界各地で進んでいるのに、「水素が切り札」などと言って181億円もの予算をつけているのは、化石燃料に固執する財界の要求にこたえるものです。温室効果ガスの削減目標は、世界の水準から大きく立ち遅れています。
ミサイル攻撃を受けることを前提にしたシェルター整備を、さらに進めようとしていることも重大です。
3 希望のもてる東京へ――都民とともに都政を動かす日本共産党都議団
保育料の第一子無償化、子どもの医療費助成の所得制限撤廃、地域医療の危機が広がるなか321億円の予算がついた民間医療機関等への支援など、日本共産党都議団と都民のみなさんの運動の力で予算案に盛り込まれた成果は、シルバーパス負担軽減のほかにも、たくさんあります。
補聴器購入補助は、都内52区市町村で実施できるよう予算が増額されています。公立・私立の新規採用教員などの奨学金返済支援も始まります。コロナ後遺症対策や、後期高齢者の歯科検診への支援が新規事業として予算計上され、オーバードーズなどの依存症対策は予算が倍増されています。
出産後の経済的支援が5万円増額され、国の基準を上回る都独自の基準でつくられる東京都認証学童クラブ事業に24億円の予算がつき、児童相談所の児童福祉司や児童心理司が増員されます。公衆浴場の後継者対策では、2つの新規事業が実施されます。ジェンダー平等では、痴漢対策、調査の予算が3年連続でつきました。
防災対策では、面的液状化対策とともに、避難所の簡易ベッドや屋内型仕切り・テント、トイレカーの配備などの予算が新たに計上されました。鉄道駅のホームドア整備を加速させる支援強化も新たに実施されます。気候危機対策で、既存の賃貸住宅への断熱改修予算が、新規事業として199億円計上されたことも重要です。
日本共産党都議団は、賃上げ応援助成金の創設、公契約条例の制定、家賃補助、都営住宅や特別養護老人ホームの増設、高齢者への医療費助成、子どもの国保料や出産費用の無料化、特別支援学校の充実・増設、交通費の負担軽減、地域公共交通の危機打開など、豊かな財源で都民を支え安心してくらせる、希望のもてる東京の実現をめざします。
都議会野党第1党、19議席の力を生かして、条例提案や予算組み替え提案をはじめ都民のみなさんの声を都政に届けて、住民福祉の増進という地方自治体本来の使命を大事にする新しい都政をつくるために全力をつくします。声をあげれば政治を動かすことができます。ご一緒に力を合わせましょう。
以上