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質問・条例提案

2024.12.18

文書質問 都営住宅入居の所得基準で特別区分にある「原子爆弾被爆者を含む世帯」の対象者を拡大すべきことについて 原 純子(江戸川区選出)

2024年第4回都議会定例会
文書質問趣意書
提出者  原 純子

質 問 事 項
一 都営住宅入居の所得基準で特別区分にある「原子爆弾被爆者を含む世帯」の対象者を拡大すべきことについて

答弁
一 都営住宅入居の所得基準で特別区分にある「原子爆弾被爆者を含む世帯」の対象者を拡大すべきことについて


一 都営住宅入居の所得基準で特別区分にある「原子爆弾被爆者を含む世帯」の対象者を拡大すべきことについて

 都営住宅の入居資格審査を通過する条件として、世帯の所得金額は、家族人数に応じた基準の範囲内であることが求められています。所得区分は、一般区分と特別区分に分けられています。
 Aさんは、都営住宅入居を希望し、10年前から20数回の申請の末に、今年、合格通知を受け取ることができ、資格審査書類の提出を行いました。
 2人世帯なので所得基準は、一般区分で0円から227万6千円であり、特別区分で0円から294万8千円です。特別区分の適用対象について説明書には、(1)心身障害者を含む世帯、(2)世帯全員が60歳以上または18歳未満の世帯、(3)高校修了までの子どもがいる世帯、(4)原子爆弾被爆者を含む世帯、(5)海外からの引揚者を含む世帯、(6)ハンセン病療養所入居者等を含む世帯の6項目が示されており、Aさんは、被爆者健康手帳を持ち、健康管理手当が支給されていることから、その中の(4)に該当すると解釈していました。Aさんが提出した前年度世帯所得は、一般区分の227万6千円を超えていましたが、特別区分の範囲内だったため、資格を通過すると考えていたのですが、結果通知には、「所得オーバーにて入居資格がない」と記され、長年希望してきた都営住宅入居の道が閉ざされてしまいました。
 「(4)原子爆弾被爆者を含む世帯」の説明文は、「申込者または同居親族に厚生労働大臣の認定書(被爆者健康手帳ではありません。)の交付を受けている原子爆弾被爆者がいること(過去に交付を受けていた方を含む。)。」と記されています。
 「厚生労働大臣の認定書の交付を受けている原子爆弾被爆者」とは、原爆放射線が原因で病気にかかり、またはけがを負い、現に医療を必要とする被爆者であるとして厚生労働大臣が「原爆症の認定」をした者を指し、医療特別手当及び医療を必要としなくなった後は特別手当が支給されます。他の資料では「認定被爆者」とも記載されています。
 Aさんに支給されている健康管理手当は、「一定の疾病にかかっている者(原爆の放射線の影響によるものでないことが明らかな場合は不支給)」を対象としており、原爆症認定を受けた方への手当とは別のものであるため、(4)に該当しないとの判断とされました。
 なぜ、健康管理手当受給者がこの特別区分から排除されることになるのか、理由が不明です。
 以下、伺います。
被爆者援護施策の中の健康管理手当は、一定の疾病にかかっている者が対象であり、「原爆の放射線の影響によるものでないことが明らかな場合は不支給」との規定もあります。「審査会」(認定委員会)の意見を聞いたうえで認定の手続きも経ます。申込者が、被爆者として戦後を生きてきた苦しみや困難の上に、発症という新たな困難を抱えている健康管理手当受給者である場合、特別区分の対象となる「特に居住の安定を図る必要がある場合」に十分含まれると考えますが、都の見解を伺います。
健康管理手当の受給者に特別区分を適用することは、都の判断でできることですが、早急に改善すべきではありませんか。
そもそも都は、被爆者健康手帳所持者に対し、申し込み段階での優遇措置を行っています。それならば、所得区分においても被爆者健康手帳所持者を特別区分の対象にすべきではないでしょうか。検討を求めます
が、見解を伺います。
 Aさんは、一般区分の所得上限を10数万円超えていたことで、長年希望し申請を重ねてきた都営住宅の入居を諦めざるを得ませんでした。いま、80歳です。戦後を、被爆者として生きざるを得なかった方々に対する優遇制度なら、当事者をがっかりさせないでほしいと思うのです。Aさんはその後、申請をやめましたが、私としては、制度は改善してほしいと強く願うものです。質問への誠実な答弁を求めます。


令和6年第四回都議会定例会
原純子議員の文書質問に対する答弁書 

質 問 事 項
一 都営住宅入居の所得基準で特別区分にある「原子爆弾被爆者を含む世帯」の対象者を拡大すべきことについて
被爆者援護施策の中の健康管理手当の申込者が、被爆者として戦後を生きてきた苦しみや困難の上に、発症という新たな困難を抱えている健康管理手当受給者である場合、特別区分の対象となる「特に居住の安定を図る必要がある場合」に十分含まれると考えるが、見解を伺う。
回答
 平成24年に「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」が施行されるまで、公営住宅法施行令により、「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」による厚生労働大臣の認定を受けている者は、公営住宅の所得基準において「特別区分」の対象者とされていました。法の施行に当たり、都は、従前の取扱いを継続することとしました。

質 問 事 項
一の2 健康管理手当の受給者に特別区分を適用することは、都の判断でできることだが、早急に改善すべきではないか伺う。
回答
 平成24年に「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」が施行されるまで、公営住宅法施行令により、「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」による厚生労働大臣の認定を受けている者は、公営住宅の所得基準において「特別区分」の対象者とされていました。法の施行に当たり、都は、従前の取扱いを継続することとしました。

質 問 事 項
一の3 都は、被爆者健康手帳所持者に対し、申し込み段階での優遇措置を行っている。それならば、所得区分においても被爆者健康手帳所持者を特別区分の対象にすべきではないか。検討を求めるが、見解を伺う。
回答
 平成24年の「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」の施行に当たり、都は、従前の取扱いを継続することとし、現在も同様としています。