公営企業会計決算特別委員会 和泉なおみ都議(葛飾区選出) 全局質疑
★動画 (都議会ホームページ)
★議事録速記録より
1. 世界最大級の噴水:ODAIBAファウンテンについて
2. 困窮する都民の暮らしと給水停止について
3. 子どもの交通費負担の軽減について
○和泉委員 日本共産党都議団を代表して、全局質疑を行います。
初めに、世界最大級の噴水についてです。
知事がこれまでに見た噴水の中で、感動し、もう1度見たいと思うのはどういう噴水ですか。感動し、もう1度見たいと思った理由も併せてお答えください。
○松川港湾局長 国内外には様々な噴水があり、それぞれの魅力でにぎわいを創出していると認識しております。
臨海副都心におきましては、コロナ禍以降、来訪者数の減少やオフィス需要の変動など、社会経済活動の変化により、地域の活力が低下しておりました。また、エリアの多くの事業者や団体等からは、にぎわいのあるまちづくりの推進について要望を受けてまいりました。
こうした状況を受けまして、港湾局では、一層のにぎわいを創出するため、令和4年度にTOKYO SPARKLE PAGEANTを開催し、これが好評を博したことを踏まえまして、海外の様々な事例等も参考にしながら、お台場海浜公園に新たなランドマークとなる噴水の整備を行うことといたしました。
○和泉委員 私はね、知事に聞いたんですよ。しかも、国内外に様々な噴水がありって何ですか。知事が答弁しないから、全くかみ合わないことを局長が長々答弁することになるんです。知事にしか答えられない質問になぜお答えにならないのか、全く理解できません。
知事、伺いますが、この噴水で世界最大級にこだわったのはなぜですか。
○松川港湾局長 都は、都全体としての魅力と活力を高めるため、多様な施策を展開しており、臨海副都心におきましても、積極的ににぎわいの創出に取り組んでおります。
令和4年度には、先ほど申し上げましたお台場海浜公園でTOKYO SPARKLE PAGEANTを開催し、好評を博したことも踏まえまして、委託を活用しつつ、海外の様々な事例等も参考にしながら、臨海副都心のプレゼンス向上とさらなる発展に向け、一層のにぎわいを創出するため、局内で十分に検討を行った結果、臨海副都心の新たなランドマークとしてふさわしい噴水を整備することといたしました。
○和泉委員 ですから、そのランドマークがなぜ世界最大級でなければならないのかということを聞きたいんです。聞いたことに答えてください。かみ合わないことを長々答弁するのをやめてください。答弁は明瞭に、簡潔にと、この委員会が始まる冒頭に委員長がそうおっしゃったはずです。
知事、知事の念頭にあるのは、高さ150メートル、長さ275メートルのドバイファウンテンだという報道がありました。率直に伺います。これは事実でしょうか。お台場の噴水について、知事の念頭にあるのは、高さ150メートル、長さ275メートルのドバイファウンテンなんですか。いかがですか。
○松川港湾局長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、海外の事例等も研究しながら、私ども港湾局におきまして、さらなるにぎわいにふさわしい噴水を検討し、整備することといたしました。
○和泉委員 どうしてもお答えになりたくないようですけれども、報道を否定はされませんでした。
この事業の検討に当たって、令和5年度に民間の会社に委託していることが分かっています。設置の検討委託について、令和5年9月27日から株式会社ドゥサイエンスに、そして、令和5年11月15日から株式会社ウォーターデザインに対し委託していますが、時期をずらして2件の検討委託をしたのは、どういう理由によるものなんでしょうか、伺います。
○松川港湾局長 先ほども申し上げましたとおり、令和5年9月に行った委託では、令和4年度にお台場海浜公園で開催した噴水イベントが好評でありましたことを受け、同公園に噴水を設置することについて検討委託を行ったものでございます。
同年11月にも委託を行っておりますが、これは、お台場海浜公園に噴水を設置することが、他の海上公園に設置することよりも有効かつ効果的であることを確認するため、他の海上公園も含めた検討委託を行ったものでございます。
○和泉委員 時期をずらして2度目の検討委託を出したのはなぜかということなんですけれども、お台場海浜公園に限定した検討委託から僅か2か月後に、他の海上公園まで対象を広げて別の事業者に再度検討委託を行った。それは、お台場海上公園に設置するのと、それから、それ以外のところに設置をするのと、何がどう違ってくるのかということを検討するためだという、今の局長のご答弁でした。
そして、この2件の委託では、合わせて6案が提出をされたと経済・港湾委員会でご答弁がありました。この6案の中に、現在、都が発表しているような世界最大級の規模の案があったんでしょうか、伺います。
○松川港湾局長 噴水の整備に関する2件の検討委託におきまして、合計で6つの案が提出されております。これらの案を受けまして、港湾局内におきまして、まちのにぎわい創出につながる噴水とはどのようなものかについて検討を行いまして、案の中で示されていた要素を組み合わせ、結果として、臨海副都心の新たなランドマークとしてふさわしい噴水としたものでございます。
○和泉委員 2つの案の要素を組み合わせたんだと。これは初めての答弁だと思います。
そもそも、検討委託を出すに当たって、株式会社ドゥサイエンス、株式会社ウォーターデザインに、世界最大級という条件で委託していたんでしょうか、いかがですか。
○松川港湾局長 噴水の整備に関しましては、2件の検討委託を発注しておりますが、世界最大級という条件は付しておりません。
○和泉委員 もう1度伺います。では、どういうオーダーだったんですか。
○松川港湾局長 委託の特記仕様書の記載でございますが、要求水準として、最大噴出時に国内最大級の高さであること、照明設備による夜間演出が可能であることを条件として掲げてございます。
○和泉委員 2件の検討委託をした令和5年9月と11月時点では、東京都は、世界最大級ではなく、国内最大級の噴水をつくる考えだったということです。
ところが、その後、僅か1か月の間に、都が噴水のデザイン案を決定して知事に報告した令和5年12月には、国内最大級ではなく世界最大級の噴水に東京都が突然方針を変えたということが明らかになりました。高さ150メートルだけでは世界最大級になりません。幅250メートルだけでも世界最大級になりません。2つの案を組み合わせて、ドバイファウンテンとほぼ同じ世界最大級にすることが、令和5年12月に突然決まったわけです。その名も、ODAIBAファウンテン。世界最大級に膨らませたために、26億円という巨額の費用が投じられることになりました。
知事は、ちょうどそのとき、COP28のためにドバイに出張をされています。先ほど、知事の念頭にあるのはドバイファウンテンではないかという質問に対して、知事はお答えになりませんでしたが、ここまでの経緯を振り返ってみますと、やはり世界最大級の規模というのは、知事の強い意向が働いたんではないでしょうか。
海上公園は、噴水が設置される予定のお台場海浜公園を含め、公園計画も管理運営も、都民参加で進めることが基本的な考えとして示されています。東京都海上公園条例にも、都民の意向を反映させることが基本原則の1つに掲げられています。ところが、この噴水については、広く都民の意向は反映されていません。東京都海上公園条例に照らしても、重大な問題があります。都民の意向を反映させる必要があるのは、海上公園が都民共有の財産だからです。
臨海地域開発事業会計が所管する土地の売却益で噴水を建設するとのことですけれども、臨海地域開発事業会計で所管する土地や財産も、都民の共有の財産だと思いますが、都の認識を伺います。
○松川港湾局長 臨海地域開発事業会計は、臨海地域における埋立地の造成、整備及び開発を目的とする東京都の特別会計でありまして、本会計が所管する土地等の財産についても、会計の目的に基づき取り扱っております。
○和泉委員 都有地だとはっきりお答えになりたくないんでしょうか。臨海地域開発事業会計の性質など聞いていません。
臨海地域の埋立地は都有地であり、その売却益は都民の財産です。都民のため、公共の福祉のために使うのが当然のことです。知事がつくりたい世界最大級の噴水整備のために26億円、維持管理費で毎年2億円もの都財政を投入することは許されません。計画の中止を厳しく求めておきます。
パネルをご覧ください。(パネルを示す)知事が令和5年度の予算案について記者会見を行ったときの説明資料です。光り輝く都市へと確実に進化し続ける予算と知事は説明しました。この予算案に、プロジェクションマッピングや噴水設置が新規予算として計上されました。知事がいう光り輝く都市とは、都庁や海上公園を光り輝かせることではないはずです。光を当てるところが違っています。都民の暮らしと営業にこそ光を当てるべきです。しかし、実際にそうなっているでしょうか。
2. 困窮する都民の暮らしと給水停止について
次に、水道事業について質問を行います。
私は、2022年の全局質疑で、それまで水道料金が払えない方たちのお宅を訪問して生活状況や健康状態などもつかみつつ、必要に応じて福祉部局へとつないできた訪問催告をやめて、郵送による催告にしてしまったために、給水停止が急激に増えているという実態を取り上げました。
大変重大だと思うのは、知事も水道局も、命の水を止めることにちゅうちょがなく、一片の痛みも感じていないということです。知事の意向でプロジェクションマッピングや巨大噴水を進めるのと同様、生活に困窮する都民の暮らしには寄せる思いがありません。
この訪問催告をやめたことで、10万件前後だった給水停止は、令和4年度に17万9千件まで激増しました。令和5年度の給水停止は何件になっていますか。
○西山水道局長 令和5年度の給水停止件数は、約16万6千件でございます。
○和泉委員 令和4年度に続き、令和5年度も大幅に増えているという状況です。この状況をどう考えているんでしょうか。
○西山水道局長 給水停止件数は、令和4年度に区部における催告方法を多摩地区の手法に合わせたことにより増加をいたしましたが、5年度には減少してございます。
水道局では、安全なおいしい水を安定的に供給することが使命であり、その対価として、お客様から水道料金をお支払いいただいてございます。
初回請求でお支払いのないお客様に対しては、複数回にわたり催告を行い、その上でもなおお支払いいただけない場合は、やむを得ず給水を停止してございます。
また、料金のお支払いが困難なお客様には、個別の事情により、支払期限の延長や分割払いに応じるなど、丁寧な対応を行ってございます。
○和泉委員 2年前の質疑で、水道局長は、訪問催告をやめたことによる過渡期であるため、一時的に給水停止件数が増加していると考えており、今後の推移を見守りたいと、このように答弁しました。しかし、一時的な増加でなかったことは、もはや明らかです。今後の推移を見守りたいといっていたのですから、この2年間の状況をきちんと分析して検証するべきです。
答弁で複数にわたる催告といわれたのは、郵送催告のことです。それではつかむことができない実態があるんだということを分科会でもご紹介しましたが、知事にもぜひとも聞いていただきたい。
徘回していた高齢女性の様子に気づいた警察が、都内救急医療機関につないだところ、認知症と軽度の熱中症でした。医療相談員が在宅支援に入ると、1人暮らしのその方の家は、ライフラインが、水、電気、ガス、全て止められていたそうです。熱中症ですから水をたくさん飲むようにという医師の指示に対して、嫌がらせされていて水が止められていると答えたこの女性は、水道料金を滞納して給水停止になったことが、認知症のために理解できていなかったんです。
滞納している原因や暮らし向き、個別の状況は、そこに行ってみなければ分かりません。徘回しているところを運よく警察が見つけてくれなかったら、ライフラインを全て止められたこの部屋の中で、この女性が一体どうなっていたか、想像するに難くありません。
知事、このような実態を聞いて胸が痛みませんか。いかがですか。
○西山水道局長 水道局では、平成26年度の包括外部監査の意見を踏まえ、区部と多摩地区の料金徴収システムを統合する際、業務の効率化と料金負担の公平性を実現するため、多摩地区で行っていた手法に合わせる形で、区部の催告方法を変更したものでございます。
局では、区市町との協定に基づき、訪問の際、明らかな異変が感じられた場合、各区市町の福祉部署に情報提供をしてございます。また、生活にお困りの方へ福祉部署への相談を呼びかける案内を催告文書に記載するなど、相談しやすくするための取組も実施してございます。
区市町への情報提供については、引き続き、水道事業者としての業務を行っていく中で、可能な限り取り組んでまいります。
○和泉委員 これほど深刻な実態をお話ししても、それに対して知事が語る言葉を持たないというのは本当に残念です。
水道局は、ただいま答弁のあったその理由によって訪問催告をやめました。包括外部監査の意見を踏まえてと答弁にありましたけれども、多摩地区の手法に合わせたと併せて答弁されましたが、包括外部監査人は、訪問催告が非効率だ、公平性がないなどとはいっていませんよ。水道局が実施する水道事業にはライフラインとしての側面もあるから、画一的な運用は現実的でない、料金の回収が困難な状況に至るまでには兆候があるから、訪問徴収、訪問催告、または電話催告など、定期的な接触が重要だと述べています。生活困窮者に対する措置は、慎重な判断を継続して実施しつつ、滞納者に対する接触頻度を増やすよう求めているんですよ。
実際に、訪問催告をやめてから、福祉につなぐ件数は減っているじゃありませんか。そして、その減っている件数の中でも、大部分は検針員が訪問したときに異変に気づいたものです。訪問催告をやめて、命の水の給水停止を急増させた知事と水道局の責任は重大だといわなければなりません。
生活が困窮しているかどうかの実態にお構いなく給水停止を増やしながら、その一方で、水道局の営業業務を受託している東京水道株式会社は、収益を急激に伸ばしています。
パネルをご覧ください。(パネルを示す)棒グラフは都からの委託料です。折れ線グラフは、この間、東京水道株式会社が増やしている収益の金額です。都からの委託料に大きな変化はないのに、収益は大きく伸びているのが分かります。
東京水道株式会社の令和5年度の営業利益は、前年度比で2倍、令和2年度比では10倍です。営業利益から諸経費を引いて実際に手元に残った当期純利益も、前年度比で2倍、令和2年度比では、何と122倍に急増しています。これは、どういう理由によるものでしょうか。
○西山水道局長 株式会社である政策連携団体に対しては、弾力的かつ効率的に事業の推進を図ることや、常に経営基盤の強化に努めることが、都の指導監督基準に定められてございます。
令和2年度に発足した東京水道株式会社は、当初は会社統合に伴う費用等の発生により、当期純利益が低い水準にとどまりました。それ以降は、原因分析やプロジェクト別収支管理の徹底により、業務の平準化や外部発注の見直しなど費用の圧縮に努め、経営基盤の強化に向けた不断の取組を重ねてございます。
引き続き、東京水道グループとして、将来にわたり安定的な事業運営を継続するため、効率的な経営を行ってまいります。
○和泉委員 いろいろお答え聞きましたけれども、なぜこんなに急激に増えるのかというのは、今のお答え聞いても、正直、聞いていらっしゃる都民も分からないと思います。
東京水道株式会社のホームページに掲載されている事業報告書では、損益計算書の売上原価、そして販売費及び管理費、この内訳が全く記載されていません。ですから、急激な収益の伸びがなぜなのか分かりません。これでは決算審議に堪えません。東京都が80%を出資し、その売上げの93%を占めている政策連携団体なんですから、公開するべきです。
この東京水道株式会社の労働組合の方のアンケート調査も、私、見ました。営業担当の人数が減らされてから電話の応答率がかなり悪くなった、イベントも訓練も増えて苛酷過ぎる、そういった声が上がっています。局の仕事を続々と受託している社員の待遇も局並みにしてほしいと訴えています。
水道局の委託事業が収入の9割を超える東京水道株式会社が増やした収益というのは、本来、そこで働く人や都民に還元されるべき貴重な財源となるものではないんですか。
○西山水道局長 水道局では、将来的に労働力人口の減少が見込まれる中、広域水道としての一体性と責任を確保しつつ、持続可能な東京水道を実現するため、東京水道株式会社とのグループ経営を推進しており、同社へ業務を順次移転してございます。これにより、局が培ってきた技術を確実に継承するとともに、柔軟な人員配置や民間ならではの経営ノウハウの活用を通じて、業務の効率化やさらなるお客様サービスの向上が図られます。
また、同社では、これまでも事業運営の要となる人材の確保、育成に重点的に取り組んでおり、業務執行体制の充実を図ってございます。
○和泉委員 働いている人たちからは、とてもじゃないが今の給料で賄えない、野菜さえぜいたくに感じる、今の賃金では親から独立できない、家族を養えない、節約のため風呂は週1回、トイレも極力外で済ませている、この労苦地獄を会社はどう考えているのかと悲鳴が上がっているんです。現場は、局が今答弁されたこととはかけ離れた実態にあるということを、知事はご存じなんでしょうか。
知事、水道局からの委託料が収入の9割を超えるこの東京水道株式会社、ここが莫大な利益をため込むことは、公共の福祉の増進を本来の目的とする公営企業の業務の在り方として間違っているんじゃありませんか。いかがですか。
○西山水道局長 繰り返しのご答弁になりますが、今、社員の処遇に関するお話がありましたけれども、東京水道株式会社では、これまでも事業運営の要となる人材の確保、育成に重点的に取り組んでございます。
例えば、就職情報サイトや広告媒体の効果的な活用や幹部による学校訪問など多彩な採用活動を実施して社員を積極的に採用し、人事福利制度の充実を行いながら社員の定着を図っています。
また、人事制度については、社員のモチベーション向上のため、キャリア形成の考え方の明確化や、社員の希望に配慮した配置管理などの取組を進めるとともに、昇任試験における要件の内容の見直しなども行ってまいりました。
給与の改定や奨学金の返済支援、そうした福利厚生の見直しに加えて、社員の執務環境の改善なども行ってございます。
さらに、次代を担う人材を計画的に育成するため、東京水道グループ人材育成方針に基づき、グループ一体となって、組織的なOJTのほか、局、当社との共同研修や相互派遣などの取組を実施してございます。
○和泉委員 私が話したのは賃金の話なんですよ。人材確保の、育成の話じゃないんです。そして、福利厚生の話も聞いていません。そういった努力をしてもなおこういう声が上がっているっていうことを、なぜ正面から受け止めないんですか。
医療関係者の話では、認知機能の低下や精神疾患が疑われていて、電気、水道料の支払いができなくなり、ごみ屋敷のような中で暮らしていたり、福祉やサービスにつながっておらず、ライフラインが止められていることを入院するまで誰にも気づかれないという方も増えているそうです。
ある区の介護保険に関わる会議では、給水停止に至る前に行政間で連絡して防げないかと意見が出ましたが、結局、水道は東京なのでできないという結論になったとのことでした。病気や障害があっても、安心して地域で暮らせるようにと、福祉の現場は困難な状況を改善し、生活が成り立つように懸命に取り組んでいる。その一方で、東京が給水停止して徴収しようとしているやり方に、現場は本当に落胆する思いでいるんです。
こういう介護や福祉の現場の方たちの声、落胆しているその思いを、知事はどのように受け止めますか。
○西山水道局長 これも繰り返しのご答弁になりますけれども、局では、区市町との協定に基づいて、訪問の際、明らかな異変が生じていた場合、各区市町の福祉部署に情報提供をしてございます。区市町への情報提供については、引き続き、水道事業者としての業務を行っていく中で、可能な限り取り組んでまいります。
また、社員の人材の確保、育成、人への投資については、引き続き重点的に取り組んでまいります。
○和泉委員 答えにならない答弁をするんだったら、質問時間奪わないでください。
厚生労働省は、重層的支援体制整備事業と水道事業との連携についてという通知を、都道府県、指定都市、中核市に対して出しています。そこでは、水道事業者は、業務の遂行に当たって生活困窮者を把握した場合には、料金未払いによる機械的な給水停止を回避するための柔軟な対応を行うとともに、福祉部局との連絡、連携体制を構築しているものだという認識を示した上で、地域住民の課題が深刻化する前に必要な支援を円滑に行う観点から、水道事業との重層的な連携を求めるという内容になっています。
困っている方は相談に乗ってつなぎますよと、先ほど局長は答弁なさいましたけど、厚生労働省からこういう通知が出ていてもなお、知事と水道局は、令和3年3月29日のこの通知が出たのにもかかわらず、翌年度から訪問催告をやめて、給水停止を大幅に増やしたんです。その上、働いている人たちから悲鳴が上がっていても、東京水道株式会社が利益を優先している体質を、経営基盤強化の不断の努力だと評価する。
知事は、人が輝く東京、人に着目した予算だと繰り返してこられました。しかし、給水停止の実態も、都の水道事業に従事する人々の処遇も、人を大事にしているとは到底いえません。
給水停止を極力回避し、住民の生活実態をいち早くつかんで福祉部局につないできた訪問催告業務は、単にコストではかることができない重要な役割を果たしてきました。
水道局は、訪問催告の復活をはじめ、公共の福祉の増進という公営企業の本来の目的に立ち返るべきです。利益をため込むことにつながっている今の東京水道株式会社への包括委託は、改めて検討し直すべきです。そこで働く人たちの生活を支えるに足る賃金水準、働き方へ、都が積極的に関与して改善させるべきです。そして、東京水道株式会社の株主配当金や納税、利益としてため込まれることに都のお金を使うのではなくて、何より物価高騰に苦しむ都民の暮らしを支えるために、水道料金の値下げこそ行うべきだと強く求めて、次の質問に移ります。
3. 子どもの交通費負担の軽減について
子供の交通費負担の軽減についてです。
知事は、都知事選で子育てと教育にお金のかからない東京へと公約しました。子育て世帯の負担軽減は、その世帯にとってだけでなく、子供の育つ権利、学ぶ権利を保障する点でも重要です。保育料や教育費とともに、移動のための交通費の負担軽減も必要だと思いますが、知事の認識を伺います。
○久我交通局長 都営地下鉄では、通学定期の金額を、普通運賃で乗車した場合と比較して約3割と低廉な額に設定してございます。
また、小児運賃につきましては、東京都地下高速電車条例に基づき、12歳未満の方の運賃を5割の額と低廉なものにしております。
○和泉委員 子育てと教育にお金のかからない東京へと公約しながら、交通費については負担があってもいいんだという認識が今示されました。
私の知人のシングルマザーは、娘2人の通学定期を3か月ずつ、それぞれ買っていたそうです。6か月定期の方が割引率は高いけれども、夏休みや冬休みなどの時期がもったいないし、何よりまとまったお金が出ていくのがきつかったからだと話してくれました。
正規雇用で働いていても、ひとり親世帯にとって、子育て中の経済状況は厳しいものにならざるを得ません。ましてや、非正規雇用のひとり親世帯では、様々な経験を子供にさせてあげたいと思っても制限せざるを得ないほど、交通費の負担もまた重いんです。子育てと教育にお金のかからない東京を実現するためにも、都営交通の通学定期や小児運賃の負担軽減は意義のあることだと思いますが、知事、いかがですか。
○久我交通局長 運賃は、ご利用の対価としていただいているものであるとともに、交通事業における基幹的な収入でございまして、経営状況や事業を取り巻く環境などを踏まえ設定するものと考えております。
○和泉委員 そうおっしゃいましたけれども、東京都こども基本条例は、18歳に満たない者を子供としているんです。ところが、小児運賃というのは12歳までです。つまり、子供にも大人と同じ運賃を払わせているということなんですよ。小児運賃の値下げとともに、中学生以上は大人料金というのを改めて、小児運賃の対象年齢を18歳まで広げることも必要だと思います。
私の地元葛飾区から品川の都立産業技術高等専門学校に通っている生徒に話を聞きました。祖父の代から続く金属金型の小さな町工場は、現在、2代目に当たる父が継いでいますが、大変厳しい経営状況です。授業料が無償になったから、遠いけどここで学びたいと思ったけれども、通学の交通費が高く、親に申し訳ない気持ちになると語ってくれました。親に申し訳ない気持ちを抱かせたまま学んでいる状況をほっておけないと思いませんか。知事、いかがですか。
○久我交通局長 繰り返しでございますけれども、運賃は、ご利用の対価としていただいているものであるとともに、交通事業におけます基幹的な収入でございまして、経営状況や事業を取り巻く環境などを踏まえ設定するものと考えております。
○和泉委員 適正に設定するんだという答弁、繰り返しておられますけれども、経営状況をそんなに気にするんだったら数字を伺います。
都営地下鉄の乗車料収入と、通学定期、定期外の小児運賃収入、それぞれどうなっていますか。その乗車料収入に占める割合がどうなっているかも併せて伺います。
○久我交通局長 令和5年度の都営地下鉄の乗車料収入は、消費税及び地方消費税込みの金額で約千423億円であり、このうち、通学定期の収入は約47億円、割合は3・3%、小児の定期外の収入は約7億円、割合が0・5%でございます。
○和泉委員 今答弁あったとおり、都営地下鉄の乗車料収入の僅か3・3%、47億円で通学定期無料にすることができるんです。そうすれば、子供たちは親に申し訳ない思いを抱きながら通学しなくて済むんです。小児の定期外の乗車料に至っては0・5%、7億円です。合わせて54億円で、小学生の都営地下鉄の運賃を、通学定期も含めて無料にできる。27億円で、現状の負担額を半分に減らすことができる。東京都の財政力をもってすれば、十分に実現可能です。
東京都が都営地下鉄で発行しているワンデーパス、これも令和4年、令和5年と利用実績、増えています。夏休み、冬休みに子供たちに豊かな経験をさせたい、そういう思い、親の思いが伝わってくるような数字だと思います。子育てと教育にお金のかからない東京を目指すのであれば、ぜひとも実現していただきたい。知事の判断を求めて、質問を終わります。(拍手)