文書質問 都営住宅について、海の森水上競技場について あぜ上三和子(江東区選出)
令和6年第四回都議会定例会
文 書 質 問 趣 意 書 提出者
あぜ上 三和子
質 問 事 項
一、都営住宅について
二 、海の森水上競技場について
答弁
一 都営住宅について
二 海の森水上競技場について
物価高騰で暮らしが厳しくなり、「なんとか都営住宅に入れないか」という切実な声が寄せられており、家賃の負担が暮らしを脅かしている実態が広がっていることを痛感しています。
ある一人暮らしの女性は、「夫が亡くなり、年金15万円で生活しているが、公社住宅の家賃は月9万円。蓄えを切り崩して生活してきたが、このままでは払えなくなり、厳しい。子どもに金銭で迷惑はかけられない。都営住宅は、10回以上申し込んでいるが当たらない」。
また、ある70代男性は「月12万円の都民住宅に住んでいるが、同居していた子が仕事で引っ越し。自分の国民年金では家賃は払いきれない。パートで働いているが月4万円。年金と合わせても家賃にもならず、いまは子どもの仕送りで生活しているが、子どもの負担になっていることが心苦しい。何とか都営住宅に移りたい」と切実です。ご近所のつながりや通院先などの関係でできるだけ、今の自宅に近いところの都営住宅の募集に応募しているという声をよく聞きますが、なかなか入れません。
若い世帯も深刻です。「夫婦とも非正規で民間住宅の家賃が重すぎる。先の見通しが立たない状態。都営住宅に入りたい」との声も寄せられました。2024年8月の都営住宅応募倍率は、区部平均で39.6倍、シルバーピアの単身者向け住宅の応募倍率が34.8倍です。
Q1 都は住宅ストック全体が充足しているという認識を示していますが、住まいは人権であり、住み慣れた地域で暮らせるようにすることなど希望する地域で暮らせるようにすることは、都営住宅の大事な役割という認識はありますか。
Q2 また、高い応募倍率の実態があることを都はどう受け止めていますか。
この間、都としても毎月募集を実施したり、募集のオンライン化や書類の削減などで募集、入居までの期間を短縮するなどの努力をされていることは大切ですが、毎月募集となり事務量も増えていると思います。
Q3 応募し当選した場合、入居まで最長でどのくらいの時間を要していますか。また、入居などの手続きを進める担当職員は、この間どのくらい増えているのですか。
都営住宅の増設・新設は都民の切実な願いです。都営住宅の増設や新設、公社住宅などを活用した借上げ住宅を強く求めます。
Q4 また、都営住宅の入居者からは、「自治会長は90代、変わる人がいない」「自治会費を集めることが困難になっている」「自治会費の未払い問題のトラブルが解決できない」などの声が寄せられています。都として、団地が希望すれば共益費を使用料と一緒に徴収するなど改善されていますが、自治会の規約に基づく決議等で決定若しくは、自治会がない場合又は、総会を開催できない場合は、お住まいの世帯の四分の三以上の同意がなければ、都に申請はできません。
自治会からは、「総会も開けない状態の場合、団地の各戸を回って四分の三以上の同意をもらえば、総会での決定と同等の扱いにするという配慮はありがたいが、共益費の金額が上がるのではないか。入院していたり、ドアを開けてもらえないなど様々課題もあり、同意を得ること自体にも困難がある」と聞いています。
共益費徴収事業での共益費の算定は、どの様に行うのですか。共益費が自治会でやっていた時よりも上がらないようにすべきではありませんか。
Q5 また、JKK東京において自治会運営での法律相談会はありますが、自治会の課題を解決するために寄り添い支援する事業は、自治会専用ダイヤルなどしかありません。自治会支援専門員・コーディネーター等の派遣など丁寧な支援が必要と思いますが、いかがですか。
303億円をかけて整備された「海の森水上競技場」について、私は、東京大会の負の遺産になってしまうのではないかと指摘をしてきました。そして、大会後の実態を把握する必要があると考え、昨年の第4回定例会の文書質問において利用実績、維持費の収支など確認してきました。
都の海の森水上競技場利用計画によると、年間、競技で31万人、一般4万人、合計年間35万人の利用を前提に収入1億1,300万円で維持・運営していく計画でしたが、令和4年度の収入は約3,200万円、収入見込みの28%しか入りませんでした。また、来場者も6万人で計画の17%です。更に、令和4年度には、カキが付着してしまった消波装置の被覆カバー設置や清掃作業などで2億1千万円経費がかかったとのことです。
現在の海の森水上競技場のホームページをみますと、カヌーやボート競技よりも会場の側面を利用したシーサイドヨガ教室やノルディックウォーキング教室のお知らせが多くを占めており、9月以降、水上競技場としての利用はわずかとなっている状況が見受けられます。そこで、伺います。
Q1 2023年度の水上競技場の利用人数と大会開催数など利用状況について伺います。
Q2 2023年度の水上競技場のカヌー、ボートなどの水上利用の利用実績(大会と個人利用それぞれ)と、艇庫、宿泊施設、会議室、トレーニングルーム、バーベキューサイト、貸し艇利用、撮影利用などそれぞれの利用実績を伺います。
Q3 また、2023年度の指定管理料と利用料など収支はどうだったのか伺います。
Q4 2023年度、消波装置を何回利用したのですか。消波装置に被覆カバーをかけたということですが、そのことによって競技に支障はないのですか。
Q5 2023年度は、消波装置の維持管理や清掃など消波装置に関する経費は総額いくらになりましたか。
Q6 2024年度の水上競技場の水上利用(大会と個人利用それぞれ)と、収入、収支の見通しを伺います。
Q7 また、個人利用の場合どのような手続きが必要なのですか。個人利用のための管理は、どうなっていますか。
Q8 利用者の方々や団体からは、どの様な意見が寄せられていますか、伺います。
Q9 来年度は、大会など利用見込みはどのような状況ですか。
2024年第4回都議会定例会
あぜ上三和子議員の文書質問に対する答弁書
一 都営住宅について
A1 都民の居住の安定を確保することは重要であり、都民共有の財産である都営住宅については、既存ストックを有効活用し適切な供給や適正な管理に努めてきており、今後とも住宅セーフティネットの中核としての機能を果たしていきます。
A2 都営住宅の入居者募集における応募倍率については、地区により様々であり、申込者それぞれが選択されたことによるものと認識しています。
A3 都営住宅に当せん後、入居資格審査や合格通知の発送等の手続を経て、入居するまでの期間は、約半年から1年です。また、入居者募集業務は委託により行っており、受託者が必要な人員を配置しています。
A4 共益費徴収事業の共益費は、例えば、共用部分の電気・水道料金については、自治会等が電気事業者等に支払った実績に基づき、また、草刈りや落ち葉の清掃については、現地調査に基づき、算出した費用を基に、適切に算定しています。
A5 都は、指定管理者である東京都住宅供給公社を通じ、無料の法律相談会や自治会専用ダイヤルのほか、お客様センターの窓口や巡回管理人による現地での相談対応などを実施しています。
A1 令和5年度においては、来場者数は約5万8千人、大会数は31大会でした。
A2 令和5年度においては、カヌーやボートのほか、トライアスロン、ドラゴンボートなど、31大会が開催されました。水面の個人利用者数は約1千4百人でした。 また、諸室の利用実績については、艇庫は保管艇が189艇、宿泊施設は約3千人、会議室は約280件、トレーニングルームは900人、貸し艇利用は約300件、撮影利用含むイベント利用は約100件でした。 なお、バーベキューサイトについては、令和6年度に開業したものです。
A3 令和5年度の収入は、指定管理料が1億7千1百万円、利用料金収入等が約4千2百万円、合わせて約2億1千3百万円であり、支出は、約1億9千2百万円です。
A4 消波装置は、ボートやカヌーにより発生する波を消すために常時設置しています。 生物付着を抑制するための被覆カバーの取付後も、十分な消波効果を維持しており、競技に支障はないと競技団体からもコメントを得ています。
A5 令和5年度の消波装置に関する費用は、被覆カバーの取付費や消波装置の再設置費、清掃費として約9千万円となっています。
A6 令和6年度においては、9月末時点で、大会数は24大会、水面の個人利用は約1千2百人です。引き続き、大会、練習利用等を進めていきます。 収支見通しについては、今後精査していきます。
A7 競技コースの個人利用は、専用使用の予約がない日を対象に、利用希望日の2週間前から受付を行っており、当日利用も可能です。 施設の開場時間帯は、指定管理者において、常時、案内・受付スタッフを配置し、利用者に対応しています。
A8 施設の利用者からの主な意見としまして、施設が広く、綺麗で利用しやすいというお声をいただいています。
A9 現在、各競技団体等と令和7年度の大会開催、練習・合宿利用や大規模イベントなどの利用に向けて協議しており、利用見込みについては引き続き精査していきます。