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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団

1999年第4回定例本会議 討論

村松みえ子(日野市選出)  1999年12月16日

医療費助成など経済給付的事業は時代遅れとの話は通用しない、福祉予算を大きくし社会保障充実させることこそ必要

◯百四番(村松みえ子君)  私は、日本共産党都議団を代表して、第二百二十八号議案、東京都養育院条例を廃止する条例外六議案に反対の立場から討論を行います。
 東京都養育院は、福祉と医療、研究が連携した総合的なサービス提供を最大の特徴としており、世界的にも高い評価を受けております。ところが今回の提案は、これから迎える本格的な高齢社会に向け、養育院の、この福祉と医療と研究の一体的な運営を一層強化する必要があるときに、逆にそれを後退させるものであり、反対です。
 また、第二百二十三号議案、特別区国民健康保険事業調整条例を廃止する条例は、都区制度改革のための法改正に伴うものであり賛成ですが、東京都が、調整条例廃止後の区市町村への補助を大幅削減しようとしていることは、重大な問題であります。これは、二十三区で一人当たり五千五百円、市町村で二千八百円もの保険料値上げにつながるものです。厚生委員会の質疑でも、多くの会派から共通して指摘されたように、調整条例廃止後の区市町村及び国保組合に対する補助制度は、現行の補助水準を維持するものとするよう、強く要望するものであります。
 さて、今定例会の最大の焦点は、都政史上かつてない福祉切り捨て計画でありました。多くの都民が、みずからの生活の行く末と重ね合わせ、大きな不安を抱き、この都議会の動向に関心を寄せたのであります。
 今回の計画は、シルバーパスの全面有料化、老人医療費助成と老人福祉手当の廃止、さらには、障害者、乳幼児、ひとり親家庭の医療費助成や福祉手当など、都民の宝ともいうべき東京都独自の福祉事業を軒並み大幅削減しようという重大なものです。定例会を通して、この計画に都民の理解が得られるどころか、命綱を切り捨てないで、弱い者をこれ以上苦しめないで、などの切実な声がますます広がっていることが明らかになりました。ある七十五歳過ぎの女性は、若いとき戦争で苦しんだこと、その後も貧乏の中、働き詰めで働いてきたことを振り返りながら、苦労してここまで生きてきて、高齢者が厄介者のような扱いをされるのは、悔しくて悔しくて仕方がない、夜も寝られないと涙ながらに訴えているのであります。
 我が党は、代表質問で、今回の計画にはっきりノーという都民の声をどう考えているのかをただしましたが、石原知事は、まともに答えることなく、福祉の見直しは必要との考えを強弁するだけでした。
 また、我が党は、今回の計画は、都民の命と健康、生活の支えを奪い、住民の福祉を守るべき自治体の変質につながるものであることを明らかにして、見直し案の撤回と、抜本的な再検討を求めました。しかし、これに対しても知事は、あくまで福祉切り捨てを進めるとの態度にしがみつき、さらに、そればかりか、今回の福祉改革を進めることこそ自治体の役割であるとの認識を表明したのであります。
 改革という名で示されているのは、実際には、医療費助成、福祉手当、シルバーパスを中心とする、いわゆる経済給付的事業の切り捨てにほかならないことは、だれの目にも明らかではありませんか。それを進めることが自治体の役割であるなどというのは、とんでもない答弁であります。
 こうした質疑から浮かび上がったのは、石原都政の今回の福祉切り捨て計画が、いかに都民の実態とかけ離れ、都民の痛みを痛みと感じない、冷たいものかということです。そしてまた、都民に対してまともに説明できない、道理がないものかという事実であります。
 シルバーパスについても、知事の認識不足が改めて浮き彫りになりました。石原知事は、多くの都議会議員の公約として、シルバーパスが掲げられていることはよく存じております、そう認識するがゆえに、何もかもすべて残すというわけにはいきませんから、シルバーパス制度を存続させるためにこそ適切な見直しをしていきたい、と答弁しました。しかし、七割に及ぶ都議会議員の公約は、現行のまま存続、または拡充であります。現行の無料パス制度の存続が公約なんです。シルバーパス制度が一般的に存続すればよいという話ではありません。
 今、都民は、深刻な不況とリストラの中で苦しんでおります。その上国は、年金の切り下げ、高齢者医療費の大幅値上げ、そして介護保険の保険料、利用料の重い負担などを次々と押しつけようとしております。それに加えて東京都の、これほど大規模な福祉切り下げの影響を受けたら、都民生活は、二重三重の追い打ちどころか、四方八方から何重にも深刻な打撃を受けることは、明らかではないでしょうか。
 都の福祉見直しだけでも、人工透析の医療費助成が一割負担になる上、マル福も切られる、その上、国保料の値上げが重なる、あるいは、ひとり親家庭の医療費が有料化された上、児童育成手当が切られるなど……
   〔発言する者多し〕

◯議長(渋谷守生君) ご静粛に願います。

◯百四番(村松みえ子君) 一つ一つの福祉の切り下げの影響が重なり合い、増幅し合って、机の上の計算でははかり知れない深刻な生活の危機をもたらすものです。
 このように、都民生活の実態に照らしてみたときに、医療費助成や福祉手当、シルバーパスなどの経済給付的事業は時代おくれとか、福祉予算に占める比重が大き過ぎるから切り下げるなどという話は通用しません。今必要なことは、福祉予算の全体を大きくして、社会保障を充実させることであります。
 福祉の見直し案は撤回し、福祉を守り抜く立場から抜本的に再検討すること、また来年度予算で強行することのないよう、改めて強く求めるものであります。
 知事は、今定例会において、財政難を理由に、福祉はあれもこれも削減する一方で、今日の財政難の真の原因である大型開発などは……
   〔発言する者多し〕

◯議長(渋谷守生君) ご静粛に願います。

◯百四番(村松みえ子君) 温存することを改めて表明しました。我が党が不要不急の事業として有明の丘引き取り、有明北地区埋め立ての中止を求めたのに対して、知事は、あくまで破綻した臨海開発を救済のために巨額の財政を投入することを言明しました。これは都民を犠牲にして臨海開発を聖域として最優先するものであり、断じて容認できるものではありません。
 我が党は、大型開発温存を改め、浪費とむだにメスを入れれば、都財政の立て直しと都民要求にこたえて施策を拡充することは可能であることを示しましたが、これに対して知事は危機突破・戦略プランで打ち出した臨海部開発の拡大や首都圏規模の都市開発などを、これまで以上の規模とスピードで進めることを表明いたしました。
 このような浪費とむだ遣いの方向を拡大すれば、都民の追い出しと業務機能のさらなる集中を進めるだけでなく、都財政をも際限のない泥沼に引き込むことを厳しく指摘しておくものです。
 我が党は、今急速に広がっている都民世論と力を合わせて、かけがえのない東京の福祉と暮らしを守るため、全力を尽くすことを表明して、討論を終わります。(拍手)