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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団

2001年第1回定例本会議 中途議決討論

東ひろたか(江東区選出)  2001年3月8日

大型公共事業を継続、拡大、都民要望と大きくかけ離れ、都財政立てなおしも先送りの最終補正予算に反対

 私は、第百十六号議案、「平成十二年度一般会計補正予算」ほか、四議案に反対する立場から討論をおこないます。
 今年度最終補正予算は、法人税を中心とした三六〇〇億円にのぼる都税収入の増収をうけて編成されたもので、長びく不況、あいつぐ社会保障の改悪に苦しむ都民は、その増収分を、都民のくらし、福祉最優先につかうことを切実にもとめているのであります。しかし、提案された最終補正予算案は、一部、IT予算など計上されていますが、全体として都民の要望とは大きくかけ離れたものとなっているものであるとともに、さしせまった都財政立てなおしも先送りする内容となっており、みとめることはできません。
 まず、都民生活の点では、各党の質疑を通じても、この一年の間にも、不況、リストラの荒らしが吹き荒れ、失業、倒産など過去最悪の事態を迎えていること、昨年、四月実施された介護保険が重い負担となって高齢者を苦しめていること、くわえて、今年一月からの国の医療費の定率性導入が高齢者のくらしを直撃していることなどが、共通して指摘されたところです。
 とりわけ、都が一年前に強行したシルバーパス全面有料化、老人医療費助成と老人福祉手当の段階的廃止、心身障害者医療費助成などの切りさげは、わが党が今議会でも明らかにしたように、パスの返上や、診療抑制などのかたちで、高齢者や障害者の生活に深刻な打撃を与えてはじめていることを直視しなければなりません。
 これらの制度をもとに戻して欲しいという要望は、きわめて当然の要望であります。
 質疑を通じて、これらの都の福祉切りすての道理のなさもあらためて浮き彫りにされました。都は、「財政再建推進プラン」のなかで巨額の「財源が不足する」として、福祉きりすてを合理化してきましたが、今回の補正予算案は、その言い分が成り立たなくなっていることを、明確に示したのであります。すなわち、増えた税収の一部を充てることで、これらの都民の願いに応えることは十分可能であるということであります。これらの福祉施策をもとにもどすために必要な財源は、三五〇億円、介護保険の減免を実施する予算九〇億円を合わせても四四〇億円で、増収分の一二%にすぎません。
 また、経済給付的事業が時代遅れであるなどの理屈がなりたたないことも、都自身が乳幼児医療費助成の拡充に踏みきったことで、証明されましたが、同時に、これからの本格的高齢社会にあっては、さまざまな福祉サービスの拡充とともに、これらの経済給付的事業が高齢者を支える制度として欠かせないものであることも、質疑を通じて、ますます鮮明にされてきています。
 にもかかわらず、知事が、にわかに「隠れ借金」があるなどという理由を持ち出して、都民要求に背を向けようとしていることはとんでもありません。だいたい、「隠れ借金」などといっても、その多くを占める他会計からの借入金はいますぐ返さなければならないものではありませんし、減債基金も過大な見積もりが前提となっているもので、本当に緊急の資金の手だてに迫られているものは、わずかにすぎません。
 最終補正予算案が、公共事業の見直しのおおきなながれに逆行しようとしていることについても指摘しないわけにはいきません。何より問題は、知事自身が、「時代遅れで効果のない公共事業」と批判している国の景気対策に追随して、大型公共事業を継続、拡大するものとなっていることです。
 すなわち、景気対策として首都高速道路公団への無利子貸付に二一一億円、国言いなりの直轄事業負担金に二二四億円など、大型公共事業を中心に一五八九億円が計上されていることです。これらは、国の景気対策へのおつきあいであり、うち約九割が公共事業費によって占められるというものです。代表質問でも紹介しましたが、長野県や大阪府が、ダム建設を中止したり、大規模都市開発を見直す方向に踏みだしたりしているのとは、大きな違いであります。
 予算の使い方に疑問を持たざるを得ないものであることも、委員会での質疑を通じて浮き彫りにされています。それは、首都高速道路公団への貸付金の運用についてであります。今年度予算の百三十八億円のうち、百二十五億円が、年度内の消化が不可能となり、繰り越し扱いとされようとしていることです。このような場合は、本来、不用額として扱うべきものであります。都市計画局もこれまではつかい残しは、すべて不用額としていったん戻し、新年度必要な予算については、あらためて予算計上して議会の承認を求めてきたのです。使いきれないであましているのに、補正予算で追加する理由がどこにあるのでしょうか。
 さらに、国直轄事業負担金にいたっては、どこに使われるのかも明らかにされず、国のいうままに税金を差し出していることもので、到底、認めることはできません。
 都財政立てなおしに逆行する予算であることも、あらためて浮き彫りにされました。
 この点で、知事は、投資的経費を抑制したといっていますが、実際は、今年度当初予算に、この最終補正予算案などを合わせると投資的経費は八五七三億円にふくれあがってしまうのであります。
 また、知事がまったく財政の厳しさを念頭においていないことを示したのが、羽田沖埋立会計への借入金返済であります。これは、本来の返済期限が来年度であるにもかかわらず、これを一年前倒しして二一四億円返還するというものですが、同時に、この羽田沖埋立会計と埋立会計、臨海副都心事業会計の三会計統合されることを考えれば、この返還金が、臨海副都心開発の破たん処理に使われることは、明らかです。本来、埋立会計の余剰金は、都民の財産として活用すべきものであり、一般会計に納付して都民のために有効に役立てることをこそ検討すべきなのであります。
 市街地再開発事業会計についてですが、これも汐留区画整理事業とともに、都財政の現状を無視して、環状二号線の市街地再開発の用地買収に税金をつぎ込むもので、大企業のための大型開発に都民の税金を投入しようとするものであり、認められません。都財政がきびしいというのならば真っ先にメスを入れるべきものであります。
 以上、今年度最終補正予算案は、都民要望に応えるものとなっていないこと、公共事業の見直しどころか、拡大しようとしていること、財政の立て直しを先送りすることなど、都民の理解は到底得られないものであることを重ねて指摘しておくものです。
 ここで、今年度最終補正予算案の審議のあり方について一言申し上げます。これまで本議会おいては、一部の例外を除き、補正予算について、各常任委員会に分割付託し、予算特別委員会での質疑をおこなってきませんでした。しかし、今回の一般会計だけでも五三〇〇億円という規模は、鳥取県や香川県の来年度当初予算案を超えるもので、このような規模の予算を、歳入、歳出全般について審議をおこなう予算特別委員会にかけずに、各常任委員会の審議ですませてしまうことは許されません。
 わが党は、議会運営委員会において、予算特別委員会の場で審議をつくすという、議会制民主主義の基本をふまえた提案をおこないましたが、自民党、公明党、民主党の反対で実現できなかったことはきわめて遺憾であります。
 さて、いま、国中に米原潜による練習船えひめ丸の沈没事故への対応、KSD疑惑、機密費疑惑など、森自公保政権に対する不信と怒りの声がかつてない勢いで広がっています。わが党は、都民本意の予算の実現とあわせ、森自公保政権の悪政に終止符をうち、国民と心の通う政治を実現するために全力をつくす決意を表明して討論を終わります。