過去のページ

■ 議会での質問  日本共産党東京都議団

「東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例の一部を改正する条例」提案説明

植木こうじ(中野区選出)  2001年3月8日

総定数一二八、十一増十減で較差二倍未満、逆転区も解消

 私は、議員提出議案第二号、日本共産党都議会議員団提案の「東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例の一部を改正する条例」について説明いたします。
 まず、はじめに、議会の定数についての基本的考え方についてでありますが、そもそも、議会の定数は、有権者の民意をどれだけ政治や行政に反映させるかという立場で定めるもので、憲法と地方自治法の精神を厳格に守る立場をつらぬくことが大前提であります。
 しかし、都議会においてはこの間、定数の抜本的改善が先送りされてきた結果、今日では、人口較差が二倍以上の選挙区が六区、逆転区、すなわち、他の選挙区より人口が多いにもかかわらず議員の数が少ない場合や人口が少ないのに議員の数が多くなっている場合が二五区も生まれるなどの事態となっています。これは民意を反映する上からも、一票の格差をなくす上からもきわめて不自然な状態といわざるを得ません。このため、これまでくり返し都議会議員の定数が法のもとの平等に著しく反すると都民から提訴されてきたのではありませんか。問題の先送りは許されないのであります。
 したがって、今回の是正にあたっては、原則にたち返って改善を行うべきことを提案するものであります。
 そこで、わが党の定数改善の提案でありますが、第一に、総定数については、現行定数に一を加え百二十八人とするものであります。それは、昨年実施された国勢調査の速報値で区部の人口が八百万人を超えることが明らかになり、当然、地方自治法第九〇条第二項の規定にもとづく法定数百二十八人に合致させるということであります。
 一部会派に総定数を削減する提案もありますが、人口と議員数の関係では、全国の平均では、四万三六一五人に一人の議員が選出されているのに対し、都議会の場合は、九万四七三四人に一人の議員しかいないので、全国平均の二分の一以下の議員しかいないことになります。県別では、もっとも人口少ない鳥取県の場合が一万六一三八人に一人の議員で、大阪府の場合でも七万八六一四人に一人となっています。このように東京の議員数はきわめて少なくなっているのであります。
 それは、東京都の場合、法律で定数の上限が一三〇名に抑えられているなど別扱いとされているからであり、実際に、他の道府県と同じ計算方式で計算すると都議会議員の定数は二〇四名となるのであります。したがって、主権者である都民の民意を正確に反映させるうえで、今回の場合、国勢調査にもとづく百二十八名は最低の議員数となるのであります。
 第二に、選挙区別定数については、各選挙区間での議員一人当たりの人口の最大較差を一対二未満に抑えること。また、逆転区をすべて解消することという二つの原則を満たすべく是正しました。
 第三は、民意が反映されない小選挙区をなくす立場から、千代田区を特例選挙区として扱うことは妥当性を欠いているので、公職選挙法第十五条第三項の規定に基づいて、千代田区については港区と、同様に一人区の中央区については台東区との合区を行うこととしました。
 以上のことをふまえた日本共産党の定数是正案は、世田谷、練馬、足立、江戸川、北多摩第三選挙区、八王子、町田、西多摩の八選挙区で合計十一人を増やし、新宿、墨田、品川、中野、大田、北、港、台東の八選挙区で合計十人を減らすものとなりました。  この改善によって、選挙区間の較差は議員一人当たりの人口がもっとも少ない立川市で八万二千四十二人に対し、最も多い青梅市で十四万九百二十六人となり、その較差は一対一・七二、二倍未満に抑えることができ、なおかつ、逆転区もすべて解消し、すべての条件が満たされることになります。
 さて、自民党並びに公明党、無所属クラブが提案している条例案についてですが、総定数を一増やして百二十八にすることが、民意を反映するうえで欠かせないにもかかわらず、「現在の経済社会情勢を踏まえて一人減員する」と、明確な根拠も示さずに現行定数通りの百二十七人を提案するものとなっています。また、選挙区別定数についても、「最小限の改正」としているために、逆転区が十六通りも残されるだけでなく、二議席以上の逆転区も改善されないまま残されます。、二倍以上の較差も千代田区を特例扱いすることでかろうじて解消するという中途半端なものとなっています。このやり方はこれまでの抜本改正の先送りと同じもので、いっそう一票の格差をひろげるなど、矛盾をさらに拡大するものになりかねません。
 また、民主党の提案は、総定数について原則として百二十名とするとともに、今回の選挙については、激変緩和として百二十四名とするというものです。先ほども述べましたが、総定数についていえば、東京の場合は、全国と比べて上限を低く抑えられているために、一票の重みがいちじるしく軽く、有権者の民意が反映しにくいものとなっていることからも、これ以上削減することは、ますます都民と都政との間を遠ざけるものになりかねません。むしろわが党の提案のように、定数上も都民の民意を都政に反映できるよう現状を改善することこそが、都民がもとめる行政改革にかなったものであると確信するものです。しかも、民主党案は激変緩和のためと逆転区や千代田区を特例区として残すなど、不徹底なものとなっていることを指摘しておくものです。
 以上、わが党の条例提案がもっとも道理にかない、もっとも民主的な定数配分となるものであります。議員各位のご賛同を呼びかけまして、提案理由の説明といたします。