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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団

2001年第2回定例本会議  討論

曽根はじめ(北区選出)  2001年6月8日

 私は、日本共産党都議会議員団を代表して、第一四六号議案、「八ツ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について」ほか二議案に反対の立場から、討論を行います。
 第一四六号議案は、群馬県長野原町に建設を予定している八ツ場ダムの建設計画期間を、二〇二〇年まで延長するという国の計画に同意するものです。このダム計画については、先の第一回定例会でわが党が指摘したように、建設の目的である水の需要が過大に設定されていること、自然や住環境の破壊がさけられないこと、莫大な税金投入になることなどが明らかにされるなかで、計画の見直しを求める声と運動が急速にひろがっているものです。
 また、国にあっても、近くフルプランすなわち水系別の水需要とダム計画全体の見直しをおこなうことが予定されており、今回の計画期間の延長は、見直しをさけるためのかけこみ延長ともいうべきもので、到底、認めることはできないものです。今議会においても都市環境委員会での質疑を通じて、計画期間延長の道理のなさがあらためて明らかになり、三会派が反対するにいたりました。
 知事は、三月の予算特別委員会で、「判断すべきものは判断する」とこたえられましたが、今回示された建設促進を認める判断は、都民が求めている公共事業の見直しの流れに逆行するもので、きびしい批判はまぬがれません。
 都心と臨海副都心をむすぶ晴海通り、晴豊一号橋下部工事は、臨海副都心開発のアクセス道路として建設がすすめられているもので、破たんした臨海副都心の救済の色濃いものであり、都財政にあらたな負担をもたらすものにほかなりません。さらにこの晴海通り延伸にともなう有明北地区の埋立によって、エドハゼなど貴重な自然が残されている通称一六万坪と呼ばれている浅場の海が失われようとしているのです。道路計画を凍結し、再検討するようつよく求めておくものです。
 さて、都議選を目前にして、石原都政が昨年切りすてたシルバーパスや老人医療費助成などの福祉をもとにもどして欲しいという、都民の願いにこたえるのかどうかが、今議会で問われました。
 わが党は、きりすての影響をうけている高齢者の切実な声をとりあげるとともに、シルバーパスが本来、高齢者の社会参加と生きがい支援のための主要な施策の柱であること、老人医療費助成が高齢初期に、病気の早期発見、早期治療をおこない医療を継続する上で欠かせない制度であることを具体的に指摘し、これらの施策をもとに戻すよう重ねて要望しました。これに対して、石原知事は、「十分理解されている」「必要な医療は確保されている」などと、福祉切りすてによって現に生まれている深刻な影響を正面からみようとしませんでした。
 しかし、わが党が明らかにしたように、シルバーパスは十万五千人が利用をあきらめ、老人医療費助成は一年目ですでに九万六千人が門前払いとなっています。毎日、十円、二十円を節約してくらしている高齢者にとって、たとえ千円であれ負担を求められることの痛み、老人医療費助成を使えない苦しみを、知事はどうして理解しようとしないのでしょうか。
 代表質問でも紹介しましたが、全国の政令都市で、東京のようなきりすてをすすめたところは一つもありません。シルバーパスについて「見直しは考えられない」、老人医療費助成についても「廃止は考えていない」とこたえられた政令市の姿勢をこそ、東京都は真摯に学ぶべきであります。
 四年前の都議選で、無料のシルバーパスを現行通り存続すると公約した自民党、公明党、民主党が、公約を投げすて、切りすてに賛成し、今議会では一言もこの問題を取り上げようともしなかったことは、都民の負託をおおきく裏切るものであります。きたる都議選での都民のきびしい審判がまぬがれないであろうことを申し述べておきます。
 介護保険の減免にふみだして欲しいという、都民の声にどう応えるのかも問われました。介護保険については、利用料が負担できず、利用を断念する高齢者があいついでいますが、くわえて今年一〇月からは保険料が二倍になり、一体どうしたら良いのかという、切実な相談がふえています。
 わが党は、「誰もが安心して介護が受けられる制度にするため」に、国に改善をもとめることとあわせ、利用料、保険料の都として減免にふみだすことを提案しました。これに対して、都は、三月議会で約束した社会福祉法人等による利用者負担の減免措置について、検討していると表明するにとどまり、保険料の都としての減免の実施については、拒みました。保険料減免を国にもとめるとともに、都としても必要な対策にふみだすことこそ、都民の願いにこたえる自治体としての態度であることを、つよく指摘しておくものです。
 わが党は、ひきつづき介護保険の利用料、保険料の本格的減免をかちとるために全力を尽くすものです。
 いよいよ都議会議員選挙が目前に迫りました。わが党は、シルバーパス、老人・障害者医療費助成など福祉を復活してほしい、くらしと営業をまもって欲しいという都民のみなさんの願いを高くかかげ、その期待にこたえるために、全力でたたかい抜く決意を述べて、討論を終わります。

以上