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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団 |
私は、日本共産党を代表して、第一〇九号議案「東京都労政事務所設置条例の一部を改正する条例」ほか、八議案に反対する立場から討論をおこないます。
まず、労政事務所の設置条例ですが、これは、現在、多摩地域に三か所設置されている労政事務所のうち、立川労政事務所と三鷹労政事務所を廃止し、あらたに国分寺に設置するものです。
戦後直後に設置された労政事務所は、「労働者の地位の向上」と「労使間の健全な労働関係の確立を図るための指導・教育・福祉及び調査」を目的にして、地域の労働組合や使用者の関係の調査や個別の労働相談、教育活動や知識の普及などに、大きな役割を果たしてきました。
また、職業安定事業などの労働行政の多くが国に一元化されたもとで、東京都に残された分野として、関係者からは拡充が要望されているものです。
今回、廃止が提案されている立川労政事務所は、立川市、国分寺市など十二市三町一村、三鷹事務所が武蔵野市、三鷹市、東久留米市など十市を所管しています。このため、二つの事務所だけで九万の事業所、八十五万を超える従業者をかかえ、二〇〇〇年度にうけた労働相談は、七千件をこえています。多摩地域の労働者にとってかけがえのない行政機関となっているのであります。
また、三鷹労政事務所に、勤労者の文化・教養、福祉の向上を目的として、併設されている労政会館は、地域の労働者や労働組合の学習や交流の場として、活用されています。
一方、国分寺に新設される労政事務所は、一部地域が、八王子労政事務所に移管されるとはいえ、合計十八市一郡という広大な地域をうけもつこととなり、事業所は七万三千カ所、従業者は六八万人に及びます。そのうえ、職員は二六名から一八名、三分の二に削減されるわけですから、業務が大幅に後退することは避けられません。
未曾有の不況と、大企業のリストラの荒らしが吹き荒れている最中に、労働者のよりどころとなる労政事務所を廃止することは、自治体として、あってはならないことです。
多摩地域での都民サービスの後退は、労政事務所にとどまりません。都庁改革アクションプランにもとづいて、三カ所の経済事務所を廃止し、農業事務所と林業事務所を設置する条例も、都政の多摩地域からの後退を示すもののひとつです。
とりわけ、商工部門は本庁に統合され、遠い存在となってしまうため、関係者からは、「家電のコジマの出店の時に、経済事務所がよく相談に乗ってくれた。これからは、わざわざ新宿まで足を運ばなければならない」、「経済事務所を残して欲しい」という声も寄せられています。
また、多摩図書館の分館化と蔵書の処分についても都民の大きな怒りがひろがっています。とりわけ、長期にわたって、営々とあつめられ、都民に親しまれてきた図書、十万冊を処分するという乱暴で非文化的なやり方については、永六輔さんやシナリオライターの山内久さんをはじめ、日本を代表する文化人の方が、「異議あり」との態度を表明されています。
東京大学名誉教授の高田衛さんは、「図書十四万冊の廃棄は困ります」、「図書館は都民市民のものです。しかも、今日の蓄積にいたるまで、ハード面でもソフト面でも多摩図書館は十数年かかっています。いい図書館は一日でできるものではなく、これ自体が文化面における都のおおきな財産なのです。蔵書廃棄などとんでもない。なんのための図書館なのですか」との声をあげています。
石原知事は、この声に素直に耳をかたむけるべきです。
「衛生局」を廃止し、「健康局」を新たに設置する条例案は、都立病院の統廃合を前提にしたもので、ここでも、清瀬、八王子の小児病院を廃止することが、多摩地域の住民の反対をおしきって強行されようとしています。
この他にも、保健所の統廃合、都立施設としての高尾自然博物館の廃止、青年の家の廃止など多摩地域での、都の施設や都民施策の後退は目に余るものがあります。
わが党は、先日の一般質問でこの問題をとりあげ、東京都の多摩地域に対する施策の切りすて、後退をきびしく指摘したところですが、その後、今月一日には、東大和市議会で、このような東京都の多摩地域軽視の姿勢をただし、各種施策の再編縮小の見直しをもとめる「意見書」が、全会一致で採択されました。
その内容は、「都政は、都民・市民のための行政であり、多摩格差が叫ばれて久しい中、市民生活に直結する保健所や消費者センター、図書館、小児病院等々の再編縮小は、多くの市民に不安を抱かせる施策であり、更なる格差の拡大は多摩地域を軽視したもの」と厳しいものです。
また、意見書は、「東京都がすすめようとしている諸事業の再編縮小を再考し、多摩地域のさらなる施策の充実強化」をつよく求めています。石原知事は、この意見書を、真摯に受けとめなければなりません。
今年度補正予算案は、不況にくるしむ都民生活と切実な要望を反映して緊急地域雇用創出基金事業をはじめとする雇用対策、三宅島復旧対策、さらには公立保育所や都営住宅の整備がもりこまれました。
しかし、同時に指摘しなければならないことは、国の第二次補正予算に対応して、大型幹線道路などの公共事業に、巨額の予算のつぎこまれていることです。石原知事も改善の必要をみとめた国直轄事業負担金が百三十八億円も計上され、八十八億円の首都高速道路無利子貸付金の来年度への繰り越しも予定されています。
東京都は、来年度予算案で、投資的経費を抑制した、都債の発行を抑えたといっていますが、補正予算案に計上された公共事業は、四月以降の新年度にしか、執行できませんから、本来、来年度予算案で計上すべきもので、この最終補正予算を合わせて考えれば、投資的経費も、都債の発行も今年度をうわまわる規模となり、借金依存型の行財政運営を拡大するものにほかなりません。
わが党は、このような大型開発と借金を積みましする補正予算案には反対するものです。
たとえ、きびしい財政状況であっても、不要不急の事業の見直しなど税金の使い方をあらためることで、借金依存型財政運営から脱却し、雇用、中小企業支援、福祉や教育など切実な都民要望に応えることは可能です。
日本共産党は、切実な都民要求の実現に全力をあげるとともに、鈴木宗男衆議院議員の外交の私物化をはじめ、業際研疑惑など、ゆがんだ政治をただすために、先頭に立ってがんばる決意を表明して、討論を終わります。