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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団 |
〇松村委員 まず、ヒートアイランド問題について伺います。
昨年の練馬の三十度を超えた最高気温日数、光化学スモッグ注意報発令日について、まずお尋ねいたします。
〇赤星環境局長 昨年の三十度を超えました最高気温日数、いわゆる真夏日の日数は、練馬では五十九日でございました。また、光化学スモッグ注意報の発令日数は、練馬区を含む区西部では十三日でございます。
〇松村委員 最高気温が三十度を超えるいわゆる真夏日は五十九日と、約二カ月間。都心部の大手町に気象台がありますけれども、ここでの測定では五十二日ですから、都心部より練馬は一週間も多い真夏日が続いたことになります。また、光化学スモッグの注意報発令日も、今お答えがありましたとおり、昨年は十三日、一昨年も十三日です。
練馬の環境保全の概要というのに、この光化学スモッグの状況が、東京都全体と比較して載せられております。この十三日、例えば、今資料がある平成十二年度をいいますと、東京都全体は二十三日なんです。その中で、練馬が十三日。一昨年も十三日。そして、この東京都と練馬区の状況を見ると、例えば東京都全体では十四日のうち、練馬を含む西部ですけれども、十二日。五日間あった平成五年には四日間。東京都全体で十二日あった平成六年には十二日。十九日のうち十六日、六日あったうち四日というふうに、ほとんど練馬の西部地域でこういう光化学スモッグという厳しい状況が生まれております。まさに都内最高であります。
そして、消防庁から資料をとりましたけれども、過度の高温環境に起因して発生した傷病者の搬送人員というのがあります。いわゆる熱中症で救急車で病院などに運ばれた人数ですけれども、昨年は練馬で都内最高の四十二人。これも私、二十三区で計算して平均出しましたけれども、十七人なんです。まさに昨年の四十三人というのは二・五倍です。
集中豪雨も起きていますけれども、練馬区内において、ここ数年間の間で時間雨量一〇〇ミリ近い降雨があったかと思いますけれども、どうでしょうか、伺います。
〇山下建設局長 ここ十年間におきます一〇〇ミリ近い降雨と申しますと、練馬区豊玉の気象庁練馬観測所におきまして、平成十一年七月二十一日に、一時間九一ミリという降雨を一度記録しております。
〇松村委員 これは平成十一年七月二十一日に九一ミリと。昨年も実は、まだ記録が記録されてないということですけれども、時間雨量七四ミリという降雨が降っておりますし、この十年間でこういう都市型の大雨−−熱帯性低気圧、いわゆる台風などによらない都市型の大雨というふうにいわれておりますけれども、練馬のこの回数は五十三回。世田谷が五十八回。しかし、周辺を見てみますと、羽田が三十九回、大手町が四十回というふうな状況ですから、ここ十年間のそういう異常気象による降雨の状況というものも大変な事態だと思います。
こういうもとで、例えば昨年、どのくらいの水害被害が出ているかといいますと、床上浸水七十三件、床下浸水五十四件。それから、九一ミリ降ったという平成十一年の七月二十一日のときには、床上浸水が二百六十五件、床下浸水が百二十件という、大変な被害が出ております。
それでは、練馬区の事務所の床、それと、緑被率についても、二十三区対比でどうなっているか、伺います。
〇赤星環境局長 お答えする前に一つ、光化学スモッグ注意報の発令日数でございますけれども、区部では一番でございますけれども、東京都内とおっしゃいますと、多摩北部が十九日で、一番多くなっております。(松村委員「それはいつの時点ですか」と呼ぶ)平成十三年以降です。
それから練馬区におきます事務所の床面積でございますけれども、約七十六ヘクタールで、二十三区では二十番目の大きさでございます。
また、練馬区の緑被率でございますけれども、約二三%でございまして、二十三区で最も高くなっております。
〇松村委員 気温上昇の要因となるオフィスを含めたいわば宅地率というのは、今おっしゃいましたとおりに一番下が荒川区で、次が葛飾区、北区、その次に練馬区ということで、下から四番目です。逆に、気温を引き下げる緑、これは二十三区で最も多い区がこの練馬区、そういうことが明らかになりました。問題なのは、オフィスは少ない、緑は多い、この練馬で何でこんな異常気象が起きるかということなんです。
これが、私もいろいろ調べてみましたけれども、ヒートアイランド現象によるものだというのです。ちょっとパネルの図をつくってきましたので、今、資料を皆さん方にもお渡ししますので、見ていただきたいと思います。
〔資料配布〕
(パネルを示す)この図なんですけれども、いわゆる真夏日、都心で人工排熱や、また都心に集中する自動車の排気ガスなど、高温域が、都心部でまずつくられるわけです。これは夜間も、エアコンだとかそういうところで出しますから、夜間からずっと明け方まで高温域の状況がつくられて、夏日が出てきます。
それが午後になって、できた暑い固まり、いわゆるヒートアイランドと呼ばれるものが、実は東京湾からの海風だとか、それがこっちの方に行かないで、それは相模湾からの海風も、午前中から吹くようになる。それから東京は、こちらの方の、実は鹿島灘の方からの風も入るということで、夜間から午前中にかけてつくられた、いわば高温域のヒートアイランドが、ちょうど練馬を中心とする方向へ移動するといいますか、ここに移って、しかもそれが滞留するというか、収束場になってきている。こういうことで、今いったような現象が起きている。
もちろん、いろいろな気象条件の組み合わせはあります。そして、もっと冷たい風が入ってくるときに、それが上昇気流を起こして積乱雲などをつくり、雷雲となって、先ほどいいましたような集中豪雨、一〇〇ミリ近いというようなことも発生させる、その書いてあるのが、今いいましたみたく、都心部の大手町では、この十年間をとってみても四十回の都市型豪雨だったけれども、場合によっては三十九回ですね、練馬においては五十三回。またお隣の世田谷も、最も多いわけですけれども五十八回。じゃあ、ちょっと西に寄った府中はどうかというと、これは三十四回ということで、明らかに今、こういうヒートアイランド現象の状況が、練馬を中心とする西北部に異常な状態を起こしているということをぜひ知っていただきたいし、この認識というものが非常に大事だと思います。
環状八号線の上空でできる環八雲、これも別名ヒートアイランド雲と呼ばれているように、このメカニズムによって起こるものです。光化学スモッグは、高度成長期以降の急速な都市化に伴う都心の気温上昇に加え、工場排煙や自動車排気ガスなどの増加によってあらわれるようになりました。しかし、その後、工場ばい煙はなくなりましたけれども、今度は自動車がふえ、またオフィスビルの大変なラッシュ状況、こういうもので環境悪化が進んで、内陸部の、都心部の、つくられたヒートアイランドがこういう区部周辺、練馬や世田谷にもたらされる、ここに高温環境や一〇〇ミリ近い集中豪雨などの被害が発生する、苦しめられるということになったわけであります。
そういう点では、ヒートアイランド現象がもたらすさまざまな被害から、都民の健康と安全を守ることが緊急の課題になっているというふうに思います。
そこで、まず光化学スモッグの被害を防ぐために、光化学スモッグの発生が予想される場合には、少なくとも環八とか、練馬は今、外環問題が大きな問題となっておりますけれども、今、関越まで外環が来ております。こういう周辺地域に自動車流入を規制することは、できないことではないというふうに思いますし、そういう要望も強いわけでありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
〇赤星環境局長 光化学スモッグ発生の際、特定の地域への自動車進入規制についてでございますけれども、これは極めて高濃度にならない限り、法令上できないことになっております。
また、規制する区域の外周部におきまして、新たな交通渋滞や局地汚染の発生源も懸念されるということでございます。
このため、東京都は、環境確保条例に基づきまして、光化学スモッグが発生したとき、または発生のおそれが高いときは、注意報等を発令いたしますとともに、工場等については燃料使用量の削減、自動車等を使用する者に対しましては、不要不急の目的に自動車を使用しないことなどの協力を要請しているところでございます。
今後とも、ディーゼル車対策を初め、大気汚染の改善に全力を尽くしてまいりますな。
〇松村委員 私ここに、練馬区内小学校教育予算要望書、これは練馬区の小P連といわれる団体が出した、来年度予算についての要望書を持ってきておりますけれども、ここに書かれている状態も、本当に光化学スモッグ注意報発令時などは、窓を閉める状態なので、もう蒸しぶろだというのです。せめて各教室に扇風機くらいつけてほしいと。それから、夏場の教室は連日三十度以上になり、大人でも長時間いるのがつらい状態です、子どもたちも集中力が落ちてしまうので、ぜひエアコン、せめて扇風機くらいはつけてほしいと。こういうことで、練馬区当局も、教育委員会は上げてあるそうです、予算要求しているそうですけれども、しかし学校営繕費がこの十年間で半減しているという中で、この要望も、練馬区全体から見たら低い順位だということです。これがだから、抑えられているのですね、そういう実態がある。
私はまさに、今、環境問題が本当に大事だと、石原知事、おっしゃいます、この解決が大事でありますけれども、現にこういう被害が出て、やはり子どもたちに及んでいる、こういう事態を、私は少なくとも東京都政の力で解決していただきたいというふうに思います。
子どもたちは、光化学スモッグになれば窓を閉め切った教室に入らざるを得ません。大都市現象であるこうした被害から子どもたちを守るために、都として、小中学校の冷房施設の支援をすべきではありませんか。
〇横山教育長 公立小中学校の施設につきましては、学校の設置者でございます区市町村の責任で整備すべきものでございますが、お話の光化学スモッグ対策としましては、経費面で国庫補助制度がございまして、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づきまして、冷房施設の設置を含む公害防止対策事業につきまして、十分の五・五の国庫補助が行われることになっております。
東京都としましては、必要に応じまして、こうした助成措置について区市町村に周知をしてまいります。
〇松村委員 東京都全体から見たら、本当にわずかな予算ではありませんか。国の制度だから云々といわないで、本当に積極的にやっていただきたい。
また、ここ数年、ヒートアイランド現象のもとで集中豪雨がふえています。練馬や世田谷区、多摩東部では、幸いにして農地や緑地が多く残されており、この保水能力をどう生かすかがやはり問われております。
練馬区は雨水の流出を抑える必要があるとして、学校や公園への雨水浸透施設をつくり、生活道路を透水性舗装にしていますけれども、敷地面積四百平米未満の宅地にも二十万円を限度とする助成金を出して、雨水浸透ますなどの雨水浸透施設を取りつける制度をつくり、区民にも、ぜひ利用してくださいと呼びかけています。
この地域は、石神井川、それから白子川、少し上流に行きますと神田川や妙正寺川という、こういう上流部にも当たるわけでありますから、こうした取り組みが下流の浸水被害を未然に防ぐ上で効果があります。
この雨水浸透ますは、東京都が先行して実施し、これを受けて区市が始め、練馬区だけではありません、今や多くの区が実施にも踏み切っておりますけれども、ようやく定着してきた。ところが、昨年度、都市計画局はこの制度を廃止したのですよね。区市町村からの強い継続の要望が出ていながら、なぜ廃止したのですか。
〇木内都市計画局長 都の補助制度は、制度開始から既に十年が経過し、地域住民への普及啓発という先導的役割は達成したことから、今後は事業主体である区市において実施するよう、制度を見直したものでございます。
この点については、区市においても了解を得ているところでございます。
〇松村委員 了解など得ていませんよ。どこからそういう言葉が出ているのか。
先導的役割を終えたといいますけれども、今年度でようやく、先ほどいいましたように実施自治体が十区、十六市と半数近くになりましたけれども、まさにこれからというときです。
また、この事業は、やはり広域的にやってこそ効果が上がるのです。そういう意味では、広域行政と東京都がいう位置づけであれば、もう都の役割は終わったなどということで済ませるべきではありません。ぜひ復活すべきだというふうに思います。
それから、川のはんらん防止が急がれていますけれども、この点、都は神田川の浸水予想区域図などを作成して、積極的に取り組みをやっていますけれども、これは神田川だけじゃなくて、各河川ごとに作成して、都民に知らせるべきだというふうに思いますし、またあわせて、区市ではこの浸水予想図に基づいて、ハザードマップを作成したいとしておりますので、ぜひ支援を求めたいというふうに思います。
具体的にもう一点、練馬区ですけれども、緊急クイックプラン、これで箇所づけが行われてやっておりますけれども、先ほどいいましたような昨年の浸水被害が、このクイックプランの箇所づけ以外にも起きているのですね。そこの対応を、今、区議会、意見書を上げたりして求めているのですけれども、ぜひこの拡充をお願いしたいと思います。この点については、いかがでしょうか。
〇鈴木下水道局長 練馬区内の緊急重点雨水対策については、大泉地区など三つの地区を重点地区といたしまして、既に雨水貯留管などの整備を進めているところでございます。今後とも、着実に推進してまいります。
また、昨年の集中豪雨、これは計画を上回る豪雨でございましたけれども、浸水被害を受けた地区につきましては、地元区などと連携を図り、雨水ますやグレーチングますなどの増設など、既に地域特性を踏まえた効果的な対策を実施しているところでございます。
〔山下建設局長発言を求む〕
〇松村委員 いや、いいです、もう時間がないから。
私、この問題で、最後に知事にもちょっと意見を求めたいと思うのですけれども、こうしたヒートアイランドがもたらす被害から都民の生活を守ることとともに、ヒートアイランドそのものをなくすことが欠かせないというふうに思います。
この点では、既に本会議で関係局長が、ヒートアイランド現象は都市化による緑の減少、人工排熱の増大など、環境配慮が十分でなかったこれまでの都市づくりの結果として生じておりますと、こういうふうに原因について述べているわけですね。
知事、であれば、この立場に立った対策が、おのずから東京都の責務となると思いますけれども、ご所見を伺いたいと思います。
〇赤星環境局長 お答えします。
一昨日の当委員会におきまして、和田委員に知事がお答えしたとおり、ヒートアイランド現象は、近代都市、大都市の利便性、快適性を支えるための膨大なエネルギーの消費がこういった事態をもたらしているわけでございまして、文明全体のもたらした一つの弊害であるとの認識のもとに、ラインをまたいで、多極的、複合的に対処しなければならない問題でございます。
今後の都市づくり、都市活動におきますエネルギー消費の抑制など、環境配慮を徹底して、持続的発展が可能な東京の実現に取り組んでまいります。
〇松村委員 知事もちょっとどうですか、所見として。しかし、いや、答えたくないのは、実は知事が打ち出している首都圏メガロポリス構想や、都市づくりビジョンが打ち出している都市再生の方向は、今計画されているビルの開発だけで八千九百十万平方メートルと、この都庁のすぐわきにある三井新宿ビルが五十棟も新たに供給されることになる、これではヒートアイランド現象をなくすどころか、さらなる環境破壊をもたらすことは避けられません。
こういう点においては、有効対策といわれる風の道のモデル実施をやるとか、または都市を冷やす機能を持つ場所の拡大ということで、公園が非常に大事だというふうに思っております。こういう対策を、本当に知事がそういうならば、今、具体的に起きているこういう問題についての対策こそ積極的にやっていただきたいと、強く私は要望しておきたいというふうに思います。
次に、十代、二十代を中心とした若者の引きこもりという、新しい社会問題への対応について伺います。
対人関係や社会的関係を断ち切り、引きこもりという状態にある青年は、全国で八十万人とも百万人ともいわれています。平均年齢二十三、四歳、三十歳を超えるケースが二割くらい、心身のバランスを崩したといった軽度のものから、医学的対応が必要なものまでさまざまですが、長期にわたる場合、本人も苦しいが、家族の葛藤も大変なものがあります。
私は、家族会の方や引きこもり青年の支援に取り組むNPOの方々とお会いし、話を伺いました。引きこもりから抜け出した当事者や家族が異口同音にいうには、家族だけで抱え込んでも解決ができない、第三者のかかわり、支援があったことをきっかけとしたということです。
厚生労働省も、昨年五月、引きこもりはだれにでも起き得る事態であることを重視して、社会的引きこもりにどう対応し、援助するのかのガイドラインを作成しました。どこにも相談できず、家族だけで抱え込んでいるという状況からの、貴重な前進が始まっています。
東京都の関係局における引きこもりの実態の把握状況と対策、どうなっているでしょうか。衛生局、教育庁、生活文化局にお尋ねします。
〇今村衛生局長 衛生局では、精神保健福祉センターや都保健所、及び都立精神病院におきまして、精神保健福祉相談や医療の中で対応しております。
いわゆる引きこもりを理由とした相談件数は、平成十二年度、二十四件となっております。
〇横山教育長 都教委としましては、何らかの心理的理由、あるいは情緒的理由などによりまして、年間三十日以上、学校を欠席している児童生徒数を把握しておりますが、平成十二年度におきます公立学校の不登校児童生徒数は、小学校で二千三百二十二人、中学校で七千八百二十人、合わせて一万百四十二人でございます。
こうした不登校対策としましては、スクールカウンセラーの計画的な配置、あるいはアドバイザリースタッフの派遣を初めとした教育相談体制の充実を図っております。
〇高橋生活文化局長 生活文化局では、東京都青少年センターにおきまして、青少年のための一般相談事業を実施しております。
平成十二年度に青少年センターで受けた相談件数は二千三十九件でございますが、その中には、いわゆる引きこもりに関する相談が五十七件含まれており、これらに対しては、しかるべき専門機関を紹介するなどしているところであります。
〇松村委員 衛生局は医療的な面で、教育庁は不登校、それから生活文化局は青少年センターでということでした。このほか、時間の関係で答弁はお願いしませんでしたけれども、福祉局では、児童相談所で、家に閉じこもりがちな児童の家庭に、お兄さん、お姉さんの世代に当たる青年のボランティアを派遣し、社会性や自立性を高めていく支援をやっている、メンタルフレンドの派遣事業などにも取り組んでいます。
私は、当事者や専門家、支援団体の方などからお話をお伺いしたところ、家族の相談から本人への働きかけ、外に出て学校へ通ったり、働くといっても、最初はあいさつの仕方も忘れてしまったというようなことです。社会生活が営めるようになるには、教育だけとか、衛生だけだという一つの側面だけでは済まされない、さまざまな角度からの支援が必要だということを感じました。
自立に向けた就労支援としては、産業労働局も関係してきます。新しくクローズアップされてきた問題だけに、経験の蓄積や分析も不可欠です。ぜひ各局の横の連携を強めていくことが重要ではないかというふうに思いますけれども、この点で何点か質問し、さらに提案したいと思います。
まず、思春期を初めとした引きこもりの青少年の心のケア対策を総合的に取り組むために、関係機関のネットワークづくりが重要と考えますが、いかがでしょうか。
〇今村衛生局長 衛生局といたしましては、医療的側面から支援するために、さまざまな悩みを抱えている思春期の心のケア対策といたしまして、地域の関係機関が連携できる仕組みづくりに向けたモデル事業を、今年度から実施しておるところでございます。
〇松村委員 衛生局長、具体的には事業の内容はどのようなもので、その成果はどうでしょうか。
〇今村衛生局長 今年度はモデル事業を連携をしてやっておりますけれども、十四年度は、今年度のモデル事業を検証した上で、関係機関の連携による支援体制の構築などを検討していきたい、こう思っております。
〇松村委員 引きこもりにとどまらず、思春期全体の心のケアを視野に置いた事業ですけれども、私は貴重な取り組みだと思います。ぜひ拡充していただきたいというふうに思います。
次に、家族会やNPOへの支援です。孤立していた親が家族会や家族教室などで励まされて、それが子どもとの関係が変わるきっかけとなり、事態が好転したとか、また郵送されてくるようになった自助グループの会報に誘われて、外に出られるようになった青年もいます。こうした会ではみんなでやることが極めて有効で、さらに専門家などの参加も欠かせないとのことです。
また、訪問サポートも有効です。引きこもっている青年は外に出られないのだから、訪問して系統的に働きかけてくれる人がいれば、大きな力になります。また、外に出てみようかなという気になっても、長い間、社会と切り離されているので、実際に一歩を踏み出すのに、非常にやはり勇気が要る、恐ろしいことなんです。安心でき、一緒に行動してくれる人が必要です。
岡山県では、ボランティアと保健婦さんが一緒になって訪問しています。また、そうしたサポートができる人材育成も持たれています。引きこもりから抜け出て、社会とのつながりを回復していく過程で、居場所づくりや就労支援を行っているNPOなどもあります。自分が社会に役立っている、そういう自覚が、引きこもりから抜け出る極めて有力なきっかけになります。
例えば、精神保健福祉の分野から、家族会やNPOなどの支援も検討されてはいかがでしょうか。
〇今村衛生局長 衛生局といたしましては、医療的側面からの技術支援といたしまして、精神保健福祉分野の広い分野で、各種研修会や講演会への講師派遣などを実施しておるところでございます。
〇松村委員 ぜひこうした会や団体に足を運んで、話もよく聞いて支援していただきたいと、心から要望したいというふうに思います。
引きこもりの青年は、不登校からずっと継続の場合も少なくありません。厚生労働省の調査では、引きこもりの約四割が不登校を経験しているといいます。全中学校に、今、配置するとしているスクールカウンセラー、これを小学校にも配置することや、養護教諭の複数配置を行うことが重要と考えますけれども、どうでしょうか。
〇横山教育長 お話のスクールカウンセラーにつきましては、課題の多い中学校には配置しておりますが、今後、計画的に全中学校に配置を拡大しまして、小学校からの相談や派遣要請を受けやすくする体制づくりを進めているところでございます。
また、養護教諭につきましては、児童生徒の健康管理や保健指導など、養護にかかわる職務を行うために学校に配置しておりまして、一定規模以上の学校を対象に、複数配置をいたしております。
〇松村委員 いわゆる社会的引きこもりというのは、必ずしも医療的ケアが必要というわけではなく、病気と呼んでいいのかわからないが、引きこもりを続けている状態とされています。その支援のために、総合的対策の強化がとりわけ重要なんです。
二十二期東京都青少年問題協議会答申、大人も青少年も自立した社会づくりでは、一切の対人関係を断ち切り、ほとんど自分の部屋だけで生活する青少年もいるとして、このような青少年について、今後、動向を把握していく必要があるとしていますけれども、その後、具体化が進捗していません。
引きこもりの実態調査を行い、青少年問題協議会等で総合的支援策について検討する必要があると思いますけれども、お答えいただきたいと思います。
〇高橋生活文化局長 生活文化局では、これまで、大都市における青少年及び子どもの意識や行動の実態調査や、青少年を取り巻くメディア環境の調査など、その時々の課題について、必要に応じて実態調査などを行ってまいりました。
青少年を取り巻く問題状況の一つとしての引きこもりにつきましては、今後、その動向について把握するよう努めてまいります。
〇松村委員 埼玉県は実態調査に乗り出すとか、愛知県は民間地域ネットワークづくりの行政支援システムづくりだとか、広島県では家族支援や家族教室の定期開催、こういうふうに既に各県でも動き出しております。
未来あり、いよいよこれからという若者が社会参加せずに家に引きこもっているということは、本人にとっても社会にとっても大変惜しいことだと思います。未来ある青年が青春をむだに過ごすことのないよう、社会的引きこもりへの対策が急がれると思いますが、認識を伺いたいと思います。
また、各局が連携した総合的な対策をぜひ進めてほしいと思いますけれども、所見を伺いたいと思います。
〇今村衛生局長 次代を担う青年の引きこもりなどの問題は、その原因が複雑かつ多様で、また、社会問題化するなど、解決の難しい、大変困難な問題と認識しております。課題解決には、関連する局が大変多いために、また、事務局も決まっておりません。とりあえず私が答えますけれども、衛生の分野、医療の分野におきましては、さまざまな要因から起こる思春期の心の悩みや問題を早期に発見し、効果的に解決していくために、精神保健福祉の取り組みを始めたところでもあります。
〇松村委員 本当に前向きの答弁をいただきました。本当にこれからの問題なんですね。かつて児童虐待は家庭の問題とされましたけれども、今や大きな社会問題となり、法整備が行われるまでになりました。事態が非常に深刻化してから、ようやく国の対応が始まったといっても過言ではありません。
私は、青年の引きこもりは新しい問題ですが、やはり社会的な支援の仕組みづくりが急がれていると思います。東京都の対応が決して立ちおくれることがあってはならないというふうに思います。
そこで、知事は東京構想二〇〇〇で、子どもの虐待や思春期の問題行動に迅速に対応するとして、引きこもりなどから子どもを守ることを重要課題としています。ぜひ東京都各局が連携して総合的な対策を一層強めていただきたいと思いますが、この問題では、最後に知事にご答弁をお願いしたいと思います。
〇石原知事 今までの引きこもりの問題についての議論を聞いていますと、肝心のことに触れられていない気がするんですね。それは、引きこもりの子どもの、一番内面の原因が何かということをとらえ切れていないと思います。
私の友人に、斎藤環君という非常に優秀な、若い精神病学者がおりますが、彼はこの問題のエキスパートでして、彼にいわせると、先進文明国の中で、あの年代で引きこもりが圧倒的に多いのは日本だけだというんです。
彼の分析は、必ずしもこれは一〇〇%合っているかどうかわかりませんけれども、なるほどなと思うんですが、これは非常に単純な理由でして、要するに、こらえ性がないんです、その子どもは。子どもをそういうふうにこらえ性をなくしたのはだれかといったら、親の責任でしょう。それから、学校の責任でしょう。そして、大事なことは、他人と議論する、そこで自分がいい負かされたり、人ととにかく競り合うことそのものがもう怖くて、煩わしくて、人の前に出ていかない。
もう一つは、周りに自分があこがれる、見習うような大人がいない、自分の親も含めて。さっき指導力不足の先生の話が出ましたが、黒板を見たきり、学校で子どもの顔を見ることができない教師がいて、何で子どもが大人に対する評価というか、あこがれを持てますか。そういう大人をつくったのは、戦後の教育だけじゃなしに、家庭の責任もあるでしょうけれども、私たち、そういうものを究明し切れずに、やたらに局をまたいで組織をつくって何とかしろなんていっても、どうなるものじゃないんですよ、これは。やっぱり個々の人間、閉じこもりの周りに、一番身近にいる大人が反省しませんと、その子どもたちはとても立ち上がってこないと思いますね、私は。
〔「終わりだ」と呼び、その他発言する者あり〕
〇松村委員 終わりますけれども、そういう社会的な背景や原因は、知事とは違って、私たちもいろいろな見解を持っております。(発言する者多し)しかし、現に八十万人から百万人という引きこもりに対して、現にやはり都政がそれに対して……
〔「やめろ」と呼び、その他発言する者多し〕
〇星野委員長 松村友昭委員の発言は終わりました。
〇松村委員 やはり手を打たなければならない、こういう重要な問題だということを、ぜひ知事にも認識されて、積極的に取り組んでいただきたいことを……
〔「終わったよ」と呼び、その他発言する者あり〕
〇星野委員長 松村委員……。
〇松村委員 要望して、終わります。(拍手)