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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団

本会議 一般質問

池田梅夫(豊島区選出)  2002年12月11日

-- 目 次 --


どの学校も教室不足、施設不足で満杯状態

 障害児教育について質問します。
 どんな障害を持つ子でも、すべての子どもたちに教育を受ける権利を保障し、その子が一人の人間として成長・発達し、その能力を最大限のばしていけるよう教育条件の充実をはかることは、障害児教育の基本です。
 ところが、最近の東京の養護学校では、生徒の増加に、施設の整備が追いつかず、どの学校も満杯状態、教室不足、施設不足で大変な状況がうまれています。それは、九七年に開校したあきる野学園養護学校以降、生徒数は九百四十八人、十七%も増えているのに、障害児学校がひとつもつくられてこなかったからです。
 先日、私が訪問した養護学校は、教室が足りず、細長く出入り口が一つしかなく、しかも、窓も小さくて暗い準備室を、重度・重複学級の教室として、つかっていました。このような転用教室は四十一教室のうち九教室にもなります。
 また、普通教室も、ついたてで仕切って二学級でつかったり、体の大きな高等部の生徒が小学部の教室を使わざるを得ないという問題も起きています。建築後十五年もたったプレハブ校舎がつかわれていているほどです。
 職員室もまさに過密状態です。百人の先生が、開校時には七十人程度でつかっていた部屋におしこめられ、事務机も幅を短くしたものをつかっているために、書類も先生の体もはみ出しそうでした。設置を義務づけられている先生の休養室も、生徒が使う訓練室をあてざるを得ないという状況でした。
 そのうえ、この学校では来年度、高等部だけで二十名以上の生徒増が予想されるそうですが、これ以上転用できる教室がありません。校長先生は、「生徒が来たいと言う以上、受け入れるのが教育だと思うが、学校の努力ではこれ以上どうにもならない」といっていました。
 東京都の障害児学校のほとんどが、このような劣悪な条件におかれているのです。
 知事は、このような障害児教育の劣悪な教育条件が放置されていてよいと考えているのか、答弁を求めます。

予算をふりむけ学校の増設、改修、教員の増配置を

 子どもたち一人一人が大切にされる、ゆきとどいた教育条件を整備するのは、行政の責任です。しかも、子どもたちの状況は、年々、障害が重くなり、複数の障害を持つようになってきています。東京都は、知的障害養護学校の重度重複学級を、この四年間、一学級も増やしていませんが、障害に応じた対応が必要な重い障害の子どもは四四一名も増えているのです。この生徒数は、都の基準にもとづけば、百五二学級の重度重複学級に相当するものです。そのうえ、許せないことは、重度重複学級の設置基準に、最近、「予算の範囲内」という文言をわざわざ入れ、はじめから予算の枠内しか設置を認めようとしていないことです。
 私は、何人もの関係者に話を伺いましたが、共通して訴えられる要望の第一は、学校の増設です。都はお金がないと言いますが、障害児学校の建設費の負担額は五十億円前後で、毎年の運営費の十一億円程度と考えられます。この程度であれば、毎年四百億円を超えて投じられる直轄事業負担を断わり、学校増設に予算をふりむけることは充分可能ではありませんか。
 都は、このような状況を改善するために、まず、緊急に学校の改修、改善を行なうこと、また、学校不足を解消するため、整備計画を立て、実行することが必要と考えますが、答弁を求めます。
 教員不足も深刻です。この間、都教委が、重度重複学級を増やそうとしないことから、普通学級にも重い障害の子が在籍せざるを得なくなり、本来、重度重複学級であれば配置される先生が配置されず、たいへんな事態になっています。
 たとえば、目配りをして、継続的に指導すればトイレや食事も自立できるの子がいるのに、手がまわらない、また、子どもが、先生も大変だと遠慮してトイレをがまんしてしまうということもあり、教師としてはつらいという話も聞きました。夏のプールも、先生がきちんと配置されていれば一時間入れるのに、交代で二〇分ずつしか入れないこともあるそうです。
 このような状況を放置していて良いと、考えているのですか、子ども達の実情に見合った教育が実施できるよう、教員を増配置するよう求めます。所見を伺います。
 また、給食調理の民間委託を、来年度から肢体不自由養護学校にまでひろげようとしていることは認められません。医療ケアが必要な最重度といわれる子どもも多い肢体不自由学校では、命にかかわる問題です。すでに民間委託を導入したところでは、異物が混入したり、調理員がパートでたびたび交替するために、「安心・安全」がもとめられる給食調理がむずかしくなるなど問題が起きています。
 給食の民間委託の肢体不自由養護学校への拡大はやめるべきです。答弁を求めます。

給食調理の民間委託拡大は中止を、スクールバスの乗車時間は三十分以内に短縮を

 スクールバスの長時間通学の改善は、待ったなしです。スクールバスの運行時間は、平均運行で一時間五分、最長一時間四十五分と、いっこうに短くなっていません。
 私も、この月曜日、肢体不自由学校の一時間二十九分のコースのバスに乗せてもらいました。雪のなかの運行でしたが、道路脇のバス停では、大きな車いすに乗った子が濡れないようビニールをかぶってじっと待っていました。家からバス停までは、十分以上もお母さんが車いすを押して歩いてくるのだということです。
 バスの中ではしばらくすると、我慢できず、上体や腕をゆすったり、声を上げたり大変です。晴れた暖かい日であったとしても、片道でも九十分、往復三時間は、あまりにも長すぎる乗車時間だと実感しました。
 大型車や学校間の共同利用は見直し、小、中型車両を中心に、少なくとも三十分以内で通学できるよう改善することを強く求めます。見解を求めます。
 東京では、保護者や教職員をはじめとする都民のねばり強い運動のなかで、一九七四年、国に先がけて全員就学にふみだし、その後も、国の「重複学級」の基準に「重度」を加え教員を増配置するなど、都独自の財政負担で、全国に誇ることのできる制度を充実させてきました。
 ところが、石原都政のもとで、この基本が崩されようとしていることは重大です。いま、紹介した革新都政以来、築きあげられてきたとりくみと成果にしっかりと立脚して、障害児教育を充実するよう求めて、次の質問にうつります。

都営住宅への期限付き入居制度導入は違法

 知事が本議会に提案している公営住宅法にもとづく都営住宅に期限付き入居を導入する条例改定にたいして、法曹界をはじめ、住宅関係団体、都民から疑問と批判の声がひろがっています。
 そもそも、公営住宅法は社会保障法のひとつであり、「国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸し、又は転貸すること」を目的にかかげています。
 したがって、同法は高額所得者への明け渡し義務は規定されていますが、入居者に期限を限って明け渡しを求めるような規定はどこにもありません。
 この点で、政府は、衆議院における質問趣意書に対する答弁で、公営住宅は「定期借家制度にはなじまない」と明確に述べているのであり、今日なお、これが国の変わらない見解であることは、私自身、十二月六日に、国土交通省をたずね、住宅局総務課公営住宅管理対策官と指導係長から直接、確認してきたところです。
 自由法曹団東京支部が知事に対して提出した「意見書」では、「公営住宅法の予定しない定期借家を東京都が条例で導入することは、権利保障・社会保障の見地からして、法の要求する基準を下回るものを下位規範である条例で制定することになり、その適法性について重大な疑義が存在する」と指摘しているものです。
 また、知事自身、昨年、特定都営住宅への期限付き入居を導入にあたって、「期限付き入居制度を公営住宅で本格的に導入するには法律の改正が必要」と所信表明で述べていたではありませんか。
 知事、今定例会に提出される都営住宅への期限付き入居制度の導入は、公営住宅法に違反していると考えますが、どのように認識しているのですか。法律に違反した条例案は、直ちに撤回すべきです。あわせて、所見を伺います。

若年ファミリーは期限なしの一般公募で行え

 若年ファミリー世帯の都営住宅への入居を促進することは、子育て支援のうえでも、都営住宅におけるソーシャルミックス、すなわち世代交流をはかるうえで、きわめて重要です。
 そもそも、子育て最中の若年ファミリー世帯が、十年たったからと言って、簡単につぎの住宅を自力で確保することなど無理なことは明らかではありませんか。また、子育て最中なのに、転居をせまることは、子どもの保育園、学校の変更など生活環境の激変をまねくことにもなりかねません。
 このように、若年ファミリーの入居に期限を設けることは、子育て支援という制度の趣旨とは、相容れるものではありません。
 若年ファミリー向けの住宅公募を増やすというなら、期限付きなどではなく現在もやっている一般公募で行い、安心して子育てできるようにすべきです。見解を求めます。
 マンション建て替えへの対応についても、都内では民間マンションの空き室が増えておりこれを活用することが重要です。
 空きマンションを借り上げて家賃補助するなど、積極的な対応を検討することこそ求められていると思いますが、見解を伺います。
 また、重要なことは、期限付き入居のひとつとして、「住宅政策上特に必要があるもの」まで認めようとしていることです。事前の住宅局の説明では、要件は「マンション建替えに類似したもの」で、「期限を付すことが必要なもの」とされており、対象については規則でも明記しないとしています。
 これでは、都の考え方ひとつで、「都市再生」によるビル開発や大型道路などによる一時立ち退きにも、期限付き入居を拡大することができることになるではありませんか。石原知事がすすめる「都市再生」の推進と住民追い出しのために、都営住宅をつかうなど断じて認められないことをあらためて申し述べて、質問を終わります。

以上