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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団 |
-- 目 次 --
日本共産党を代表して質問します。
一九九〇年代からつづく、長い不況のもとで都民のくらしと営業の危機は深まる一方です。東京の主な指標をみても、都内の世帯平均の消費支出は、昨年より五千円も減少、完全失業率も五・八%と過去最高を記録し、中小企業の倒産も昨年の二割増しのスピードで増えつづけています。
しかも、ただでさえ国民のくらしが押しつぶされかけているときに、小泉内閣は社会保障で三兆円をこえる負担増を強行し、所得税、住民税の増税や中小企業への外形標準課税の導入まで計画しています。さらに、不良債権処理の加速策は、銀行の強烈な貸ししぶりと貸しはがしをあおり、三百三十二万人ものあらたな失業者が生みだされるという、恐るべき試算が示されています。小泉政権の「構造改革」によって、日本経済の土台、主役である個人消費と中小企業が徹底的に破壊されることは、いまやだれの目にもあきらかです。いま、都民は景気とくらしの先行きに不安をつのらせています。
わたしたちが地域を歩いていても、住民の方や中小業者の方々から、口々に、「政治はどうなっているのか」、「もう切りつめるところがない。なんとかして欲しい」などの切実な声が寄せられ、東京都が都民のくらしと営業を守るために先頭に立って欲しいと訴えられます。
住民のくらしをまもるべき地方自治体の長として、知事が、医療費や社会保障の改悪、庶民増税、不良債権の加速処理などの国民いじめと経済破かいの政策をやめるよう小泉首相に申し入れるとともに、なにより、都政が都民のくらしと福祉をまもるために、全力をつくすべきと考えるものですが、知事の所見を伺います。
残念ながら、知事の所信表明や来年度予算編成方針には、史上まれに見る非常事態に対応して、都民のくらしと営業をまもる緊急対策をすすめる立場はきわめて希薄です。
そこで、はじめに緊急対策について提案したいと思います。
今年一〇月に改悪された高齢者の医療費の負担増は、実施されてからまだ短期間ですが、都民に深刻な打撃を与えていることが報告されています。私は、地元北区医師会の会長と懇談する機会がありましたが、会長は「私も〃医療改悪〃とはっきりいっています」といわれ、病院で患者が約一割、開業医では三割も減少するなど、深刻な受診抑制がおきていることが紹介されました。また、一日に一人も患者がこないという開業医の話もあります。事態はここまですすんでいるんです。
高齢者の受診抑制はそのまま、いのちの問題に直結しますが、それに拍車をかけているのが、石原知事が実施した老人、障害者、難病・慢性肝炎などへの医療費助成の切りすてです。
ある慢性肝炎の方は、それまで、月二千円で済んでいたのに十月から月四万円も治療費がかかる、「死活の問題だ」と訴えられていました。また、お医者さんの往診を受けていたある寝たきりの方は、老人福祉手当も四分の一にされたうえ、月二回の往診の負担が三倍になるため、「どうしても診察が必要なら、這ってでも病院にいくので」と往診をやめてしまったそうです。
窓口での支払いを軽減するため高額療養費をこえた医療費について、区市町村や医療機関による一時立て替えを認めることが必要だと思いますが、どうか、また、いのちに直接かかわる低肺機能者の酸素濃縮機のリース代や電気代補助などについて、都が支援することなど、ただちにおこなうべきではありませんか。答弁をもとめます。
また、石原知事が老人医療費助成の段階的廃止などをおこなってから、三年になりました。当時、わが党は受診抑制がすすむと指摘しましたが、今日のあらたな事態による一段ときびしい受診抑制をふまえるならば、老人、障害者、難病・慢性肝炎などへの医療費助成を復活して欲しい、老人福祉手当の廃止を中止して欲しいという、都民の要望は当然であり、これをふまえた緊急対策をすすめることが必要と考えますが、知事の見解を伺います。
介護保険の負担も深刻です。利用率が四割台を低迷し、とりわけ所得の低い人ほど利用がすすんでいません。しかも、来年度は保険料の見直し時期にあたり、いくつかの自治体をのぞいては、保険料が値上げされる方向です。利用料も各自治体で導入された減免制度の格差によって、おなじ都民でありながら負担に大きな差がうまれています。
都が一定の基準を定め、都の財政支援もおこなうことで、少なくとも保険料の第二段階以下の方への減免制度を設けることを提案するものです。
また、利用料についても、都が実施している国の特別制度にもとづく軽減策は、利用者わずか千四百人です。所得制限を緩和することなど、拡充をはかることはもちろん、区市町村の軽減策を支援する本格的な利用料軽減制度をもとめるものです。あわせて、答弁をもとめます。
くらしと営業をまもる対策では、第一に中小企業の経営をどう守るのかという問題です。 小泉政権の「不良債権処理の加速」、すなわち貸しはがしによって、まだ企業として経営力を持っているいわゆる「生きた中小企業」を、債券市場にほうりなげて、アメリカの企業に吸収させるというやり方に、きびしい批判の声があげられています。東京都の景況調査でも、このことでさらに景気は落ちこむと分析しているほどです。
なかでも、大銀行による貸し渋り、貸しはがしがどんなにひどいものなのか。たとえば、豊島区のある業者は、大手銀行からの直接融資すなわちプロパー融資と制度融資の二本立てで資金を借り入れ、毎月、計画通り、遅滞なく返済をつづけている優良企業でした。ところが突然、プロパー融資について、子会社の債権回収会社にまわされたうえ、一括返済をもとめられ、さらには、制度融資分を断ってくるなど、露骨な企業つぶしをねらってきているとのことです。
知事が来年度予算で、重点事業として融資枠の拡大などの改善をおこなうというのは結構ですが、それだけでは、深刻な実態を解決することにはならないからこそ、業者のみなさんから、もっと実態にあわせた対策を、という声がつよく寄せられているのではありませんか。
そのために、大銀行の貸し渋り、貸しはがしを是正するよう政府や大銀行に申しいれること、また、信用金庫や信用組合を地域経済の金融面での担い手として位置づけ、経営支援基金の設立など支援をつよめるとともに、信用金庫、信用組合を通じた制度融資について、利子補給を実施するなどの支援の仕組みをつくることをつよくもとめるものです。所見を伺います。
制度融資で借りかえる場合にも、プロパー融資をふくめて一本化して借りかえられるようにすることや、重い負担となっている信用保証料の全額免除など業者のつよい要望に耳をかたむけてもらいたいと思いますが、見解を伺います。
雇用の問題では、わが党はこれまでに大企業によるリストラから雇用をまもるルールづくりやワークシェアリング、職業訓練の拡充などを提案してきましたが、本日は、緊急雇用対策と青年の雇用にしぼって伺います。
雇用保険も切れた失業者への公的な就労支援としては、現在、国の緊急雇用創出特別交付金事業があるだけです。しかも、この事業は今年度八十億円しか予算化されておらず、都内だけで四十万人近くもいる失業者に到底たりるものではありません。
国に基金の大幅積みましをもとめるとともに、都としても基金の上乗せをおこなうなど緊急雇用創出特別交付金事業を抜本的に拡充することをもとめるものです。また、ここまで深刻化したもとで、継続的な失業対策事業の創設も現実の課題となっています。答弁をもとめます。
今年の都立高校生の就職内定状況は、十月末で五五・五%で最悪を記録した昨年よりさらに三%落ちこみました。大学卒業生も同様に深刻です。
このように、将来の日本をになうべきおおくの若者が、正規の就労の機会もなく、すごすことは、単に個人の問題ではなく、社会的損失というべきであります。
そこで、まず、東京都自身が率先し、若年者の採用にたちあがることをもとめるものです。たとえば、都の職員の年齢構成は、この間の総定数抑制政策により、中高年に大きくかたよっており、若年職員の採用を積極的にすすめる必要があります。とりわけ若い教員の採用は、将来の学校運営の観点からも、待ったなしになっています。また、都立職業高校の卒業生を各局で専門職として採用することも、青年をおおいに励ますものとなるとおもいますが、どうか。
民間企業でも、将来の経営のために若年者の採用を望んでいるところが少なくありません。若年者の正規採用にふみだしたところへの奨励金の支給などの支援をおこなうことなど、民間雇用を促進する支援のしくみを具体化すること、あわせて、東京都として経営者団体や出入り業者に申し入れをおこなうことなどが重要と考えますが、それぞれ、見解を伺います。
ヨーロッパで普及している、若者の就労を支援する社会的支援のシステムづくりもいそがれています。都として大学・高校卒業者のための職業訓練や能力開発のための給付事業、就労までのつなぎ就労、生活支援などトータルな支援のしくみづくりに、この機会にふみだすことを提案するものです。知事いかがですか。
以上、私は、当面の不況から都民のくらしと営業をまもるための緊急対策を提案しました。同時に、いま、編成をすすめている来年度予算についても、「都市再生」を中心とする大型開発にメスをいれ、失業者や三宅島被災者のための生活支援、中小企業予算の拡充など都民の生活防衛を最優先にした予算編成をすすめることをつよくもとめるものです。知事の見解を問うものです。
石原知事は、シルバーパス全面有料化やマル福の段階的廃止に続いて、都立病院と保健所の統廃合など、福祉・医療の切りすて計画を「改革」だと言っておし進め、都民と区市町村のきびしい批判をうけてきました。それにとどまらず、営利企業を中心とした市場競争に福祉を投げ込み、東京の福祉を切り崩す新たな段階に踏み込もうとしていることは、きわめて重大であります。その焦点が、保育の分野です。
知事は重要施策の中で、国に対し認可保育所の設置基準を緩和し、民間企業の参入を促進するよう求めています。
このねらいがどこにあるのか、八月末に開かれた福祉局の部長会議の資料で、「認証保育所をテコに認可保育所の世界を崩していく」とか、「国の新たな保育所システムが認証保育所モデルへと転換していくことをめざす」などと、あからさまに示されています。さらに、「認証保育所は保育料が認可保育所に比べて割高であるために、二〜三年で限界に陥るのではないか」と述べ、認証保育所と認可保育所が対等な条件で競い合える条件を整備するために、認可保育所の保育料の値上げを誘導すること、そのためにも二〇〇四年度には都加算補助もサービス推進費も廃止すること、公立直営は廃止をめざすことなどが、きわめて具体的に提起されています。この方向を進むなら、東京の保育がとりかえしのつかない結果になることは明らかです。
保育サービスを民間の市場競争にゆだねているアメリカでは、第三者評価制度が確立し、低所得者への利用料援助を行っているにもかかわらず、サービス全体の質が低く、質の高いサービスは利用料が極端に高いこと、そのため所得階層によって利用できるサービスの質や量が左右されることや、職員の経験不足と高い離職率など、典型的な「市場の失敗」という状態に陥っていると指摘されています。知事は、こうしたアメリカにおける保育の実態をどのように把握し認識していますか。
わが党は第三回定例会で実態調査にもとづき、営利企業による経営を基本にした認証保育所は保育料が高い、施設が狭い、保育士の賃金や働く条件が低く人材の確保・定着に大きな困難があるなど、若い子育て世帯が安心して預けられる条件のうえで、認可保育所に比べ多くの不十分さがあることを指摘しました。いま、サラ金のアコムの百%出資会社まで認証保育に参入しようとしていますが、この認証保育所を保育の中心にすえ、都が言うように認可保育所を崩していくようなことをすれば、アメリカと同じような事態になることは避けられません。認証保育所はあくまで認可保育所の不足を補完する役割であり、これを保育の中心にするようなことはやめるよう、強く求めるものです。見解を伺います。
わが党がこのことをくりかえし求めるのは、それが保育のあり方の基本にかかわる大問題だからです。
そもそも国が児童福祉法にもとづいて保育所のあり方の基本を示している保育指針は、「保育所は、乳幼児が、生涯にわたる人間形成の基礎を培う極めて重要な時期に、その生活時間の大半を過ごすところである」、「保育所における保育は、入所する乳幼児の最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に増進することに最もふさわしいものでなければならない」と明記しています。認可保育所の設置基準とは、こうした保育の水準を確保するに必要な最低限の基準を定めたものにほかなりません。
しかも国のこの基準は、敗戦後の混乱期につくられた内容であり、それ以降、基本的な改善はされておらず、保育指針にそった保育を実際に行うには低すぎるのが実態です。だからこそ国も最低基準を定めた第四条で、「最低基準を超えて、常に、その設備および運営を向上させなければならない」と義務づけ、さらに「最低基準を超えて設備をもち、または運営している児童福祉施設は、最低基準を理由にしてそれを低下させてはならない」とまで定めているのです。
実際、ドイツやイギリスなどの国際的な基準とくらべて、職員の配置は二分の一から三分の一にすぎません。この最低基準で保育を行うことは困難であるからこそ、東京都をはじめ多くの自治体や社会福祉法人は独自に水準を引き上げる努力を続けてきたのです。その結果、全国的に国基準の一・七倍の保育士が配置されていると言われています。
知事は口を開けば、「全国一律の基準で行われる現行の福祉システムが制度疲労を起こしている」と言いますが、低すぎる国基準こそ、社会経済状態の変化に対応できず、制度疲労を起こしているのではないですか。
そして東京都はかつての革新都政の時代から、こうした低すぎる全国一律の基準からいちはやくぬけだし、独自の都基準を設定し、それを具体的に保障するための都加算補助や人件費補助を行い、それが全国の水準を引き上げる役割を果たしてきたのです。ところが、その都基準を廃止し、全国一律の認可基準まで引き下げたのが、石原知事、あなたです。そのうえ都独自の人件費補助なども廃止し、かつての都基準で設置され運営されているすべての保育園の保育水準を引き下げるにとどまらず、低すぎる国基準をいっそう引き下げる先導役をつとめようとしているのであります。
いまやるべきは、低すぎる国基準の拡充であり、国の最低基準を上回る水準を確保するため都独自におこなっている運営費補助を堅持するとともに、設置認可の都基準を復活することであります。所見を伺います。
知事は、「認可保育所はゼロ歳児保育や延長保育の実施率が低いなど、都民のニーズにこたえきれていない」と言って、一万二千人以上に待機児が増えた責任が、あたかも認可保育所の努力不足にあるかのようにねじ曲げて、安心できる認可保育所の拡充を願う都民の声に背を向けています。
しかし、保育所の新設や増改築の整備予算をみても、五年前の九七年には五十三施設にたいし二十一億円でしたが、来年度局要求はわずか十三カ所八億円まで減らされています。待機児が増加しているにもかかわらず保育所の抑制方針を続け、いまだに増設計画さえ示していない都の姿勢にこそ、最大の責任があることは明白であります。
「認可保育所の入所児童数は定員を下回っている」というのもためにする議論で、ことし九月時点で、定員にたいする入所児童の割合は九九%をこえており、もはや満杯状態です。わが党は、改めて区市の担当者および私立保育園などの聞き取り調査を行いました。「全面改築時にはゼロ歳児保育も行えるよう計画にもりこんでいるので援助をお願いしたい」「老朽化がひどいがいまだに改築できない。待機児解消のため、すぐにでも増改築したい」など切実な要望が多数よせられました。
認可保育所の関係者は、このように増設への意欲は高いのですから、これに積極的にこたえて、整備予算を大幅に増やし、新設と増改築の計画を早急に示し、緊急整備に取り組むことが急務であります。見解を伺います。
また、新設も増改築も用地確保がネックになっており、共通してだされた要望は用地確保への支援です。多摩市長会も都にたいし保育所の「用地取得費にたいする補助制度の創設」を要望しており、特別養護老人ホームのように、保育所整備にたいし、用地取得への補助制度など支援策を創設するよう求めるものです。
都有地も調べましたが、財務局が昨年末に発表した未利用地および引き継ぎ予定地の総面積は百五十一万平米におよびます。そのうち一千平米以上の土地だけでも百三カ所もあります。都営住宅に併設する場合にかぎらず無償貸与をはじめとした支援策を講じるべきです。
こうした新設、増改築への支援に本格的に取り組んでこそ、ゼロ歳児保育も大きく前に進むことは明らかです。
また延長保育をひろげることも都民の切実な願いです。わが党の聞き取り調査によれば、延長保育の職員配置や運営費補助の充実が求められています。たとえば二時間延長を実施する場合、夜の八時から八時半までの保育になるため、夕食の対応が必要となり、調理員の増員が必要になるなど、一時間延長にくらべ格段にハードルが高くなります。また延長保育の補助が、子どもの年齢別単価となっていないため、ゼロ歳や一歳児を受け入れたら不採算になる、利用者が五人未満の場合補助額が激減するなど、改善を求める要望がよせられています。この要望にこたえる必要があると考えますが、所見を伺います。
少子化対策のためにも、若い子育て世帯の経済的負担の軽減は、重要な課題のひとつです。失業、倒産の増大が家族形成期の世帯をも直撃しており、保育料の滞納は年々増加しています。このようなもとで、認証保育所と対等な条件で競争させるために認可保育所の保育料の値上げを誘導するなどということは、絶対に許されません。保育料は都が率先して負担軽減を図ることこそ必要であります。答弁を求めます。
以上、石原知事の「福祉改革」が、いかに東京の福祉を台無しにしてしまうものであるかを、質してきましたが、このことは福祉予算でもハッキリ示されています。先の議会でわが党は、石原知事の三年間に福祉・医療の予算を減らしたのは、大都市で東京だけであることを指摘しましたが、来年度の福祉局予算は今年度にくらべ、実に三百億円、五・三%ものマイナスになっています。
今回の局要求が、かりに全額認められたとしても、七年前の福祉予算の水準にまで逆戻りという、歴史的な大後退となります。福祉局は、児童扶養手当が区市に移行したことや、江東高齢者医療センターの建設が終了したことによる自然減だと言いますが、この三百億円が今年度並みに確保されるだけでも、これまで述べてきた福祉施策の拡充は可能です。
知事、福祉予算を大幅にふやすことがもとめられていますが、見解を伺います。
都が福祉切りすての一方で、すすめている「都市再生」についても、わが党はくりかえし環境、まちづくり、財政の角度から問題点を具体的に指摘し、都市づくりの根本的な転換をもとめてきました。
知事はこれにたいして、まともに答えようとせず、既定方針通りに、「都市再生」をひたすらつきすすむ姿勢をとりつづけています。
わが党が指摘してきたこれらの問題は、すでに現実の問題として、都民の生活の破壊、環境の破壊、地域経済への打撃として、われわれの前に立ちはだかろうとしているのです。
都民生活との関係では、「都市再生」による開発が地域コミュニティを破壊し、居住者の追い出しとなっていることに対して、住民の抗議と反対の運動が広がりはじめています。
都市再生緊急整備地域に、面積の半分近くが指定された港区では、この十月には「このままでよいのか、港区のまちづくりを考える会」が開催され、都市再生への不安と怒りの声が寄せられています。また、集会では、永年、港区に住んでいる人だけでなく、最近、マンションに移ってきた住民からも、土地所有者の三分の二の賛成で事業ができるようになった「都市再生特別措置法」の制定や土地収用法の改悪によって、開発事業者の意向で、簡単に開発ができるようになったことに批判が集中しました。
東京大学の小泉秀樹教授は、週刊誌で、「あまりに、民間デベローッパーの要望どおりに規制が緩和されている」と指摘、また、住民のある方は、都市再生法は、「住みつづけたいとか、環境をまもりたいという、そこに住んでいる人たちのことなど、何も考えていない法律だ」と批判しています。
地域コミュニティを破壊したり、住民を追いだしてはばからないような開発が、都市の再生などといえるのでしょうか。少なくとも、住民が住みなれた街で安心して生活できることを保障することが必要なのではありませんか。見解を伺います。
「都市再生」と、ヒートアイランド現象の深刻化も重大な関係があります。
ほとんどのビルが完成に近づいた汐留地域は、今年の夏、それまで吹いてきた海風がビルにさえぎられ、ビルより内側の地域では、これまで経験したことないような異常な暑さの毎日だったそうです。それは、都市の気温を下げる効果がある「風の道」をビルがふさいでしまったからです。
知事は所信表明で、「もはや環境問題は、経済とのトレードオフではなく、生命とのトレードオフの関係」とのべました。だとするならば、オフィスビルの過剰供給による二酸化炭素の増大、ヒートアイランド現象の激化について、どのような手だてをとろうとしているのか。その手だてが、本当に、東京の環境をまもる上で実効性を有しているのか、都民の前に示されなければなりません。
なによりも重要なことは、大型開発や高速道路建設で超高層ビルを乱立させ、東京に自動車をよびこむのではなく、都市の成長を管理するシステムをとりいれ、自動車の総量規制にとりくむことですが、知事の所見をもとめます。
この上にたって、具体的にヒートアイランド対策をはじめ環境対策を、おおきく前進させることがもとめられています。この点で、知事が来年度予算編成に向けて発表した重要施策は、「CO2排出量削減に向けた取り組みの強化」「集中的なヒートアイランド対策モデル事業」「都独自のディーゼル車対策」の三つの取組を示していますが、これらは、かねてからわが党が提案してきたものであり、ただちに実行に移されることが必要ですが、もはやこれで十分とは言えず、これにとどまることは許されません。
たとえば、環境省の「ヒートアイランド実態解析調査検討委員会」の委員長をつとめた尾島俊雄早稲田大学教授は、ヒートアイランド現象を抑制する効果的な対策として、都市公園をはじめ都市河川と水辺環境の再生、水路の緑化による風の道、みどりのネットワークなどによる「クールランド」の創設を提唱しています。
また、福岡県では、県庁の移転にあたって、跡地の半分を都市公園に、残り半分もビルの屋上全面に階段状の緑化をおこなっています。この屋上緑化の植裁面積は五千平方bで、この都庁の屋上緑化の六・五倍もの広さがあるのです。
そこで、都有地や臨海副都心の未利用地などを、都市公園として緑化をすすめること、二百キロの長さにおよぶ現在、暗渠となっている河川の水辺環境としての再生など「クールランド」をヒートアイランド対策に位置づけ、促進することを提案するものですが、所見を伺います。
東京大気汚染公害訴訟の判決も、知事の「都市再生」の見直しを事実上せまるものです。
判決は、道路の沿道五〇b以内という制約はありますが、「道路を煙源とする自動車排気ガスの因果関係」を認め、さらには国と東京都の道路設置者、道路管理者としての責任を認め、賠償を命じたものです。
東京都がこの判決を受けいれ、石原知事が被害者に陳謝し、控訴を断念したことは当然です。しかし、その責任をあげて国に押しつけ、しかも、排気ガス公害の原因として道路の「渋滞」だけをあげていることは、明らかに間違いです。
わが党は、あらためて調査をおこないました。まず、今回の公害被害者との関係でいえば、認定された方の一人は、東池袋に在住中に喘息が発生したのですが、この場所は特段、渋滞が発生したところではありませんでした。むしろ自動車の数が多かったことが原因だったのです。実際、尼崎の公害裁判で問題になった交差点の場合も、渋滞は問題とされていませんでした。
知事は、〃道路をつくれば渋滞が解消し、大気汚染も改善される〃という論法で、三環状道路の建設を推進しようとしていますが、現状では、環状道路を建設しても、自動車を呼びこみ、渋滞も解消されないし、東京の公害が良くならないことは明らかです。
知事が、渋滞解消の事例として環状八号線の井荻トンネルをあげていますが、渋滞が減ったのはほんの一時で、開通翌年から渋滞が報告されています。
「トンネルができても、大泉から実家の世田谷まで、渋滞にはまると二時間以上かかることもある」、「トンネルのなかで渋滞してしまい、息が詰まるかと思った」などの声がいくつも寄せられています。
なぜ、こんな渋滞が生まれるのか。それは、九七年春に井荻トンネルが開通してから以後、自動車交通が一日平均で四千台もふえているからです。
都は、トンネル開通後、自動車排気ガスも改善されたといいますが、そもそも自動車排気ガス測定所が、排気ガスの飛んでこないトンネル上部に置かれているのだから、数値が低くなるのは当然です。自動車交通量がふえ、しかも、渋滞がなくならないため、逆に、
地元練馬区が沿道に設置している測定室では、一酸化窒素、二酸化窒素ともに改善されるどころか、悪化しています。
知事、「都市再生」がもたらす問題は山積みしています。すくなくとも、「都市再生」が東京の環境、まちづくり、財政などにどのような影響をおよぼすのか、「都市再生」に関する総合的なアセスメントを実施し、都民の判断を仰ぐべきではありませんか。また、その結果が出るまでは、「都市再生」の事業は基本的に凍結し、事態のこれ以上の悪化を防ぐことが必要であると考えますが、知事の見解を伺います。
最後に、日朝問題について一言述べておきます。わが党は、七十年代、八十年代と、北朝鮮がとった金日成個人崇拝の押しつけや大韓航空機爆破事件など無法行為に対する最も厳しい批判者であった党として、また拉致問題の国会における先駆的追及を行い、拉致問題を含めての懸案問題の解決のために、政府間交渉ルートを開くべきと提案してきた党として、正常化交渉の再開という小泉首相の決断を強く支持してきました。しかし、交渉の前途に困難や障害も生まれてきています。
わが党は、日朝両国政府がようやく開いた交渉の扉を決して閉ざすことなく、“北東アジア地域全体の平和と安定をたしかなものにする”“両国間の諸懸案を、包括的に解決するという立場でおたがいに誠意をもって交渉する”“北朝鮮にこれまでの国際的な無法行為の全体を清算させ、国際社会の仲間入りをさせる方向で、道理ある冷静な交渉をつらぬくという立場”に立って、国交正常化の交渉がすすめられ、実を結ぶことを強く期待し、わが党もそのためにねばりづよく努力することを表明して質問を終わります。
以上
〇知事(石原慎太郎君) 曽根はじめ議員の代表質問にお答えいたします。
毎回、共産党の質問を聞いていますと、現代に生きている日本人として気恥ずかしいというか、唖然とすることがよくありますが、どうも共産党の皆さんは、現代における社会工学的、文明工学的発想が硬直しているというか、そもそも欠落しているのじゃないか(発言する者あり)回答だ、これも。黙って聞け。
あなた方は、幹線道路の整備や、例えば秋葉原などの再開発事業が都政の仕事として認められないようでありますが、福祉や医療に限らず、東京の道路を整備することも、都民の暮らしを、特に生命を守ることにつながると私は思っております。
また、小泉総理に対しては、ご指摘されるまでもなく、折に触れて、都民の代表として、いろいろ強く要請をしております。しかし、あなた方も幾ばくの国会議員を国会で持っているのだから、せいぜいその連中に頼んだらどうですか。
私は、これまで福祉、医療を含め、都民の福祉全体の向上を目指して努めてきたつもりでありますし、その考えに、いささかも変わりはございません。
それから、福祉施策の見直しについてでありますけれども、都が目指す福祉改革は、戦後、枠組みができてから基本的に見直されることのなかった福祉のシステムを改め、利用者本位の新しい福祉を構築するための改革であります。
こうした長期的、歴史的視野に立って、これまで見直すべき事業は見直し、必要な施策には財源を集中投入し、改革を進めていくという方針で臨んできております。
これらの取り組みは、あなた方一部の歴史的認識というものを欠いた人たちは反対かもしれませんけれども、都議会のほとんどのご理解を得て進めてきたものでありまして、真の意味での都民福祉の充実に資するものと確信しております。ゆえに、今後とも現在の都の方針を変えるつもりは毛頭ございません。
それから、若年者の就労支援の仕組みについてでありますけれども、意欲を持って社会に貢献したいと思っている若者の就労を支援していくことは、当然、重要な行政の課題であります。
都では、多様な職業訓練を実施し、就労を支援し、さらに大学生、高校生を対象とした職業ガイドセミナーなど先駆的な取り組みを実施しております。
今後とも、国や経済団体、教育機関と連携し、総合的な対策を推進していくつもりでございます。
来年度予算編成についての基本的な考え方についてでありますが、都は、これまでも東京における都市基盤の着実な整備とあわせて、福祉改革の推進や中小企業対策、雇用対策、さらには三宅島被災者への支援など、ソフトの面の施策についても積極的な展開を図ってきたつもりでございます。
都財政を取り巻く環境は依然として厳しく、来年度予算の編成に当たっては、引き続き経常経費、投資的経費を問わず聖域のない見直しを行い、財政構造改革の取り組みをさらに進めていく必要があります。
そうした中にあっても、首都東京を再生し、都民の安心、安全を確保するための課題に対しては、限りある財源を重点的、効果的に配分し、的確に対応していくつもりであります。
次いで、アメリカの保育制度についてでありますが、アメリカの社会保障というのは、従来、本質的に個人責任が基本でありまして、保育も当然、市場原理のルールの下で実施されてきております。高サービス高負担は当然でありまして、何ら彼らの構えている市場の失敗ではないと思います。当然、しかしそこにはいろいろな形の格差が出てきます。それを承知で彼らはやっているわけでありまして、これはアメリカの問題です。
一方、我が国は、公的な責任のもとに制度が成り立ち、サービスを提供してきました。しかしながら、その現状は、画一的で硬直化しまして、大都市の、特に東京のようなこういう大都市の保育ニーズにはこたえておりません。
都が目指す保育は、競い合いを通じて、都民のニーズに的確にこたえる質の高いサービスを提供しようとするものでありまして、アメリカの市場原理と同一視して比較を論じるのは、ただ、ためにする論であり、ナンセンスでしかありません。
それから、これからは共産党のうそをちょっと皆さんにご紹介いたしますが、来年度の福祉予算についてでありますけれども、来年度予算編成の基本的な考えは、今お話ししたとおりでありますが、あなた方が赤旗か黒旗に書いている、福祉予算が要求ベースで三百億減った云々ということは、まさにうそっぱちでありまして、(発言する者あり)いや、その数字をちゃんと解読しなさいよ。
いいですか、十四年度に、もう既に終わってしまった予算がある。児童扶養手当の区市への移管に伴う減、これは二百二十三億、それから江東高齢者医療センター建設終了に伴う減、百三十四億、合わせて三百五十七億でしょう。
前年度要求額五千六百三十二億、そして、これを差し引きしますと、帳面づらでは――つまりこれを、いいですか、要らなくなった予算を何で計上しなくちゃいけないのですか。当たり前じゃないですか。だから、それを差し引いても、ことしは五十六――福祉予算は要求の問題でふえているのですよ。
これを、とにかく三百億減った、減ったというのは、あなた方の非常に卑劣な、共産党独特の数字のレトリックであって、素人はだまされるかもしれないけれども、赤旗の読者はだまされるかもしれないけれども、多くの都民はだまされませんよ、こんなことで。
それから、大型開発と高速道路の建設についてでありますけれども、東京都の都市開発は、都市機能の更新や都心居住の推進を図る上で極めて重要であります。いわゆる三環状など高速道路の建設は、都心部への通過交通の排除や交通利便性の向上のために不可欠であります。これによって都市環境の向上を図りながら、東京の魅力と活力を高めていきたいと思っております。
次いで、都市再生事業を凍結せよとのことでありますけれども、これは本当に、聞いている方がちょっと頭がおかしいのじゃないかと思うのだけれども、どうしてこんなことをぬけぬけいうのかね。
大都市、特に東京においては、道路や空港などの交通インフラの不足、大気汚染、産業の空洞化、改善されない住宅事情など、さまざまな問題が先鋭的にあらわれております。このままでは、日本の活力の源といえる都市が持つ集積のメリットを十分に発揮することはできず、長引く経済の低迷と相まって、日本の国際競争力はますます低下するばかりか、ひいては都民の豊かで快適な安心できる生活の確保も難しくなります。
こうした現況を正確に認識できずに、あえて、あるいはあえて無視して、抜本的な手当てを講じることなく、大都市の活力と経済力が維持できるかのごとき文明工学的認識に欠けた議論は、到底承服しがたいものでありまして、総合的なアセスメントを実施するまでもありません。
低迷している我が国経済を再生するために、活力の源泉でもある都市について、今こそ行政と民間とが協力して、魅力と国際競争力を有する都市を実現することが日本の再生につながると確信しております。
なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。
〇教育長(横山洋吉君) 若年者の教員採用についてのお尋ねですが、都の教育委員会は、教員の採用に当たりまして、教員免許を有することに加えて、教育に対する熱意と使命感、豊かな人間性と思いやり、実践的な指導力等を有する人材を求めております。
教員は、こうした児童生徒の教育を担う重要な役割を果たす者であることから、その職の性格上、単に雇用対策としての発想で採用を考慮することは適当ではないと考えております。
〇福祉局長(川風T康君) 福祉施策に関します十一点のご質問にお答えします。
まず、自己負担限度額を超えた医療費についてでございますが、本年十月一日に施行された老人保健法の改正では、患者は医療機関等の窓口で医療費の一割または二割を支払うこと、窓口での支払い額が自己負担限度額を超えた場合は、後日、その超えた額について償還払いされることとなっております。医療機関等の一時立てかえ制度は、予定されてございません。
東京都といたしましては、この老人保健法の規定に沿って対応してまいります。
次に、低肺機能者に対する酸素濃縮装置のリース代や電気代についてでございます。
低肺機能者が在宅酸素療法で使用する酸素濃縮装置は、医療保険によって貸与されており、自己負担分についても、呼吸器機能の障害程度が三級以上で低所得者の方に対しては、都の心身障害者医療費助成制度により助成をしております。
また、酸素濃縮装置の利用に際して必要となる消耗品がすべて医療保険の対象とされていることから、電気代の負担については、基本的に医療保険制度の中で解決されるべきものと考えており、今後とも、障害者の医療保険制度の充実を国に要望してまいります。
次に、介護保険料の減免についてでございます。
低所得者に対します配慮として、現行制度においては、所得に応じて五段階の保険料を設定していること、より低所得者に配慮するため、地域特性に応じて六段階制の導入を可能としていることなど、きめ細かな対応をしております。
介護保険は社会保険制度であることを勘案すると、低所得者についても、社会保険としての現行制度の仕組みを活用すべきであり、都としては、ご提案のような取り組みを実施する考えはございません。
次に、介護保険の利用料の軽減についてでございます。
都では、国制度である社会福祉法人等による生計困難者の利用者負担軽減措置事業をもとに、対象サービスを四種類から九種類に拡大するとともに、実施主体も社会福祉法人や区市町村だけではなく、すべての事業者に拡大するなど、都独自の区市町村支援策を平成十四年一月から実施しており、十分対応していると考えております。
また、区市町村の軽減策は、各区市町村が独自の判断で行っている自主的な取り組みであり、都として新たな支援を行う考えはございません。
次に、認証保育所の役割についてでございます。
現行の認可保育所は、ゼロ歳児保育や延長保育の実施率が低いなど、都民のニーズにこたえ切れておりません。
認証保育所制度は、こうした大都市特有の利用者ニーズに柔軟かつ的確にこたえるため、利用者との直接契約の導入や、すべての保育所におけるゼロ歳児保育や十三時間開所を義務づけており、多様な事業者の参入による運営上のさまざまな創意工夫によって、利用者本位のサービス提供を目指しております。
したがって、認証保育所は認可保育所の補完ではなく、本来、認可保育所が実施すべきサービス内容を先導するものと考えており、今後ともその積極的な推進に努めてまいります。
次に、保育所の運営費補助などについてでございます。
都は、これまでも児童の処遇向上を図るために、事業者に対して独自の補助による支援を行ってきました。一方、都民の保育ニーズは多様化、高度化していることから、今後とも、補助制度はこうしたニーズに的確にこたえるものとしていくべきと考えております。
また、保育所の設置認可基準の緩和は、多様な事業者の参入が図られ、サービスの競い合いによって利用者本位の保育サービスが提供されるよう、国の規制緩和に合わせ、国基準と同じようにしたものであり、改めてもとに戻すつもりはございません。
次に、認可保育所の整備についてであります。
都内の認可保育所の入所児童は定員を下回っており、総体としては、保育所の数は充足しております。
保育所の整備は、保育の実施主体である区市町村が、その地域の保育ニーズを的確に把握、分析し、既存の保育所の受け入れ枠の拡大や定員の弾力化などの対策を講じた上で、なお不足が生じ、新増設の必要性があると判断した場合に行っていくものでございます。
都としては、これまでもこうした区市町村の施設整備の要望に対し、必要な予算措置を行うなど、的確な対応を図ってきており、抑制方針を掲げたとの指摘は全く当たりません。
次に、保育所の用地取得についてでございます。
都では、国の規制緩和を受けて、平成十二年四月から、それまで自己所有が原則であった土地について賃借も認めるなど、認可保育所の設置基準を緩和しております。
これは、事業者が保育需要の高い地域での保育所の整備をより容易に推進できるよう、見直しを図ったものであります。
都としては、こうした賃借方式や公有地の活用を図るよう、区市町村や事業者に働きかけており、新たな用地取得の補助制度は考えておりません。
次に、保育所設置に未利用地を活用する支援策についてでございます。
保育所設置に当たりましては、賃借方式の活用を初め、事業者が創意工夫を凝らし、区市町村の実施計画に基づいて施設整備を図っていくべきものと考えております。
これまで事業者は、大都市東京の立地上の制約条件を克服して、その整備促進を図るため、他の社会福祉施設との合築、定期借地権や学校の余裕教室の活用など、さまざまな工夫を凝らした対応を図ってきております。今後とも都は、こうした取り組みに対し、助言、協力をしてまいります。
次に、延長保育の職員配置の充実等についてでございます。
都は、都民から高い要望が寄せられている延長保育の着実な推進が図られるよう、その時間数や利用児童数に応じた手厚い運営費補助を、既に国の補助に加算して行っております。
このような状況の中で、事業者に求められているものは、職員の柔軟な雇用など、創意工夫を凝らした効率的な運営を図り、利用者の切実なニーズに的確にこたえていく努力をすることであって、都として、さらなる加算を行うことは考えておりません。
最後に、保育料の負担軽減についてであります。
国の認可保育所の保育料設定の考え方は、保育に要した費用のおおむね二分の一を利用者全体が負担することとし、個々の保育料は、所得に応じて段階的に定めております。しかし、都内区市町村は、さらに利用者の負担を軽減した独自の基準を定めており、実際の徴収額は、国の徴収基準の約半分程度であります。
保育料の負担については、基本的には地域の実情に応じて、それぞれの区市町村が自主的に判断すべき問題であるが、都は、こうした実態を、受益と負担の公平という観点から課題があると認識しており、保育料について負担軽減を図る考えはございません。
〇産業労働局長(有手勉君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、貸し渋りや制度融資の改善などについてでございますが、都は、制度融資取扱指定金融機関に対しまして、本年五月及び十月に、制度融資の積極的な活用などを働きかけました。十一月には、国に対し、中小企業の資金調達の円滑化に向けて、提案要求を行ったところでございます。
また、信用組合の経営基盤強化のため、既に、都議会の議決を踏まえ、東京都信用組合協会内に基金を設けております。現時点では、制度融資について利子補給を実施する考えはございません。
次に、制度融資に対する要望についてでございますが、都は、従来から、中小企業の置かれた厳しい状況などを踏まえまして、制度の改善を図ってまいりました。本年度も年末金融対策として、企業活性資金融資、いわゆる借りかえや、即応型資金融資、いわゆるつなぎの新設などを行ったところでございます。
制度融資につきましては、今後とも、実情に即した適切な運営に努めてまいります。
次に、失業者への公的就労支援の拡充についてでございますが、現在、国において、緊急地域雇用創出特別交付金事業の拡充を検討していると聞いており、国の動向を見守りつつ、適切に対処してまいります。
都としましては、現下の厳しい財政状況を踏まえ、緊急地域雇用創出特別基金を十二分に活用して、雇用創出効果の高い事業を実施するように努めてまいります。
なお、継続的な失業対策事業を創設する考えはございません。
次に、若年者の雇用促進についてでございますが、都では、若年者合同就職説明会やヤングワーカーズフォーラムなどを通じて、就労機会の提供や職業意識の醸成に努めているところでございます。
また、今年度は、経済・雇用緊急プロジェクトの一環として、求人キャラバン隊を編成し、業界団体や各企業を訪問するなど、雇用の拡大を図っているところでございます。
〇総務局長(赤星經昭君) 職員の採用についての質問にお答え申し上げます。
職員の採用数につきましては、事業執行に必要な人員の確保、職員の退職動向などを総合的に勘案して算定しております。
現在、東京都では、財政再建を達成するための内部努力の大きな柱として、職員定数の削減を行っており、新規採用につきましても、この観点から、引き続き抑制が必要であると考えております。
今後とも、新規採用に当たりましては、適材の確保、年齢構成の是正なども考慮しながら、適切に対応してまいります。
〇都市計画局長(勝田三良君) 都市再生と住民の生活についてのお尋ねでございますが、都市再生は、都市機能の高度化と都市の居住環境の向上を図ることを目的としておりまして、そのためには、東京を国際的なビジネスの場とするとともに、あわせて、都市の環境保全や従前居住者の居住確保などにも配慮した、都民の暮らしや生活を支える場としても充実させていくことも必要でございます。
今後も都市再生を積極的に推進し、豊かで快適な、国際的に見て活力に満ちあふれた都市づくりを進めてまいります。
〇環境局長(小池正臣君) ヒートアイランド対策についてでございますが、ヒートアイランド現象は、緑の減少や地表面の人工化、人工排熱の増加などが原因となり生じたものと考えられております。このため、都では、東京都環境基本計画に基づきまして、屋上緑化の推進や保水性舗装の推進、建築物環境計画書制度などによる省エネ対策を着実に実施してまいっております。
また、既に発表しているところではございますが、来年早々には、各局の施策を一定の方針のもとに総合化した取り組み方針を策定することとし、現在、緑等のクールスポットの確保や連続した緑の軸の形成といった観点からの対策も含め、さまざまな検討を行っているところでございます。
今後とも、関係局と連携してヒートアイランド対策に取り組み、環境に配慮した都市づくりを推進してまいります。