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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団
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私は、日本共産党を代表して、第百三十四号議案「平成十四年度東京都一般会計補正予算」ほか三議案に反対の立場から討論を行ないます。
はじめに今年度最終補正予算案についてです。
いま、都民のくらしと営業は、かつて経験したことのない不況と、小泉政権がすすめる医療改悪、社会保障の負担増、不良債権処理の加速などによって、一段と、その苦しさをましています。
このようなときに、東京都にもとめられるのは、なによりも雇用と営業をまもることをはじめ、都民の生活を防衛することに全力をつくすことであり、補正予算もこの立場から編成することです。
知事は、補正予算の四つの柱の一つとして、「経済・雇用対策」をあげていますが、その内容は、わが党の質疑を通じて明らかにされたように、もっぱら、「都市再生などの経済対策」が中心とされ、ただでさえきびしい都財政にさらなる負担をもたらすものにほかなりません。
また、緊急の対策がもとめられている都民生活の防衛の課題に、積極的にこたえる姿勢が見られないものです。
まず第一に、大型幹線道路や首都高速道路への貸付金、環状二号線市街地再開発事業などの予算だけで、七百四十四億円と経済対策の七割近くを占め、一般会計補正予算の九割が、「都市再生」のための大型公共事業を中心とした「経済対策」に投じられようとしていることです。
これらのなかには、知事もおかしいと認めている国直轄事業負担金や首都高速道路公団への貸付金などが、国いいなりに計上されていることも指摘しなければなりません。
しかも、これらの公共事業の大半は、大手ゼネコン・大企業がうるおうもので、中小企業の要望にこたえるものとはなりません。
第二に、都民の生活防衛では、生活支援や中小企業対策は見られず、雇用対策でも、国の「緊急地域雇用創出特別基金」の積み増しが中心で、都としての対策はわずか四億円が計上されているにすぎません。これで、どこが都民のための経済・雇用対策といえるのでしょうか。
第三に、大型公共事業のための投資によって、都財政難がいっそう加速されることです。今回の補正予算では、公共事業のための借金が七百二十一億円が計上され、都債は六兆九八六七億円に達し、これの返済のための公債費が都財政をおおきく圧迫することになります。
以上、補正予算案は、石原知事がこの四年間にすすめてきた、「都市再生」を中心とした大型公共事業に重点的に予算を配分する一方で、福祉や教育、営業と雇用などの都民のための予算をおおきく後退させるという、逆立ち都政をいっそう露骨にすすめようというものといわざるを得ません。
全国の自治体でも補正予算が提案されていますが、そのなかには国の補正予算への対応にとどまらず、県単独で、緊急の景気・雇用対策にふみだしている積極的な自治体も生まれています。
たとえば、長野県では、産業活性化のため「草の根創業支援」事業や飲食店への就職を望んでいるひとのための「めざせ、もてなしスペシャリスト」事業費、さらには、「小児初期救急医療体制整備モデル事業」を補正予算で提案、高知県では、「木の文化県構想アクションプラン」「生活路線バスへの補助」などが予算化されています。
いま、東京都が提案すべきは、国直轄事業負担金をはじめとする大型公共事業にメスをいれ、都民の生活防衛のための補正予算です。
たとえば、都独自の「緊急雇用対策」の実施であり、恒常的な失業対策事業、さらには、ホームレスの方々や住宅困窮者への住宅の提供がいそがれています。また、京都方式による一括借換融資や、第二期の工業集積地域活性化事業と商店街支援などの中小業者の支援も欠かせません。公共事業も要望の強い住宅改修補助や、中小企業が受注しやすい福祉施設や教育施設、都営住宅などの生活密着型への転換が重要であることを申し述べておきます。
つぎに、男女平等推進基金条例の廃止についてです。
そもそも、果実運用型基金は、金利変動により果実が不安定になるものであり、都民施策の財源とすることは不適切なものです。男女平等の施策を発展させるうえで必要なことは、基金を廃止するのではなく、通常の取り崩し型の基金として継続し、活用することではありませんか。
この問題で問われるべきは、男女平等をすすめるうえでおおきな役割を果たしてきた女性財団を、財団や女性団体の反対をおしきって、東京都が一方的に廃止に追いこんだことです。
最後に、男女平等施策の行動計画が策定され、女性団体や個人の役割がますます期待され、施策の拡充が求められているときに、女性財団を廃止し、その財政基盤とされた基金条例を廃止することは、都民の批判をまぬがれないことを申し述べて、討論を終わります。
以上