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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団
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営利企業による認証保育所を中心としていく方向を強めている
認可保育所を中心に、圧倒的な規模で保育所整備を
・保育料の値上げ誘導、「結果としてそうなることもあり得る」(福祉局長)
・今の経済状況のもとで、保育料の負担増を父母に強いるな
・保育士配置を都基準に戻せ
・認証保育所は、認可保育所に比べてずっと手薄な体制
・障害児保育の都加算の水準は守れ
・認可保育所を中心に圧倒的な規模で保育所増設を
〇大山委員 私は、保育問題について伺います。
石原都政になって四年がたったわけですけれども、全国の保育水準をリードして、目標になってきたのが東京の保育ですけれども、この東京の保育はどうなったでしょうか。
低過ぎる国基準では子どもの発達も父母の働く権利も保障されないために、都独自につくり上げてきた都基準をなくした上、認可保育所への人件費補助、都加算の見直しを進め、児童福祉法に基づかない、営利企業による認証保育所を中心としていく方向を強めていることに、保育関係者を初め、多くの都民は深い危惧を持っています。
私たちは、認証保育所の調査もし、私立保育園や自治体、公立保育園、職員団体、父母、他県などの状況も調べました。その上に立って、私は幾つかの角度から質問を行います。
第一ですけれども、保育料の問題です。
認証保育所について、私たちは昨年の九月に、五十三カ所のA型認証保育所の調査をいたしました。
保育料については、五十三カ所のA型の認証保育園の保育料ですけれども、認可保育所と同じように預けようと思えば、ゼロ歳児の場合、月々十万円以上が四カ所、八万円以上が十二カ所、五万円以上が三十一カ所でした。そのほかにも、さらに時間を延ばそうと思えば、延長料、それから入会金や登録料も一万円から三万円ぐらいというのが相場です。認可保育園では実施されている兄弟割引もありません。
認可保育所の国基準に沿った上限の範囲内だというふうにいっているわけですけれども、これは一日八時間までの話で、十時間とか十一時間とかを利用すると、国基準の上限そのものが高い、その上に、さらに高い保育料になるわけです。
知事、知事に伺いますけれども、若い子育て世帯にとって、これは高い保育料だと思いませんか。認証保育所の保育料で、所得が低い世帯の子どもを預けられると思いますか。
〇宮崎副委員長 中身でございますから、知事ではなく、川崎福祉局長。
〇川崎福祉局長 認証保育所の保育料につきましては、今お話のあったとおり、認可保育所の国基準に沿った上限の範囲内で、事業者が自由に設定できる仕組みとなっております。
したがって、利用者は、開所時間や立地条件、サービス内容など、さまざまな条件を総合的に勘案し、みずから選択し、利用するサービスに対し、適正な対価を負担していく制度となっており、保育料はその際の一つの判断材料でございます。
なお、今お話しの長時間の保育について、保育料が高いというお話でございますけれども、認可保育所については、延長保育はほとんど二時間以上しておりません。したがって、そういう利用者の方々が長時間の保育を必要とする場合は、二カ所、保育所なりそういう施設を使わなくてはいけないということで、プラスをすれば、十万円以上になるということを我々はよく聞いている話でございます。
〇大山委員 正確なことをいってくださいね。私たちは今、保育料の話をしています。私が十万円以上、八万円以上といったのは、認可保育園に預けるのと基本的に同じ七時半から六時半、週六日、月二百六十四時間で計算をしました。
そうやって淡々と、簡単に、判断材料だというふうにいうわけですけれども、認証保育所の保育料が若いお父さんやお母さんたちにとってどういうものか知っているんですか。
子育てグループが開いているホームページの掲示板には、たくさんの書き込みがあります。これからお母さんになるという方が、こういう書き込みをしていました。認証保育所についてちょっと調べてみましたが、やっぱり高い、ううんと、うなっているわけです。
私たちが訪ねた認証保育所の経営者も、問い合わせはたくさんあるのですが、料金が折り合わないので入所してこないんですとか、比較的余裕のある人が利用しているという方もいました。私が話を聞いたお母さんは、見に行ったところは余りにも高いので、通えませんでしたなど、大きな負担になっているわけです。
認証保育所に預けている父母は、ほとんど四月からは認可保育園に行けるように申し込んでいます。ほんのつなぎの一時期だからと、高い保育料もやりくりして、何とかしのいでいるんです。こういう実態をしっかりつかんで、保育行政を進める必要があるんじゃないでしょうか。
ところが、きのうも話題になりましたけれども、福祉局の部長会に出された子ども家庭部の文書では、これはあくまで自由な議論の材料だということですけれども、それにしても、認証保育所は保育料が認可保育所に比べて割高であるために、二、三年で限界に陥るのではないかという問題を立てて、逆に、認可保育所の保育料の引き上げを誘導する、そのために都の補助金を廃止することが課題だとされているわけです。
それで、もちろんこれは決定した方針ではないということが前提で、私は話しているわけですけれども、保育料の問題について、昨年の第四回定例会、それから今回の第一回定例会の代表質問で聞いたときに、福祉局長の答弁は、認可保育園の保育料について、平均して国の徴収基準の約半分程度となっているとした上で、受益と負担の公平という観点から見れば、問題があるというふうに述べているんですね。
問題があるというふうにおっしゃっているわけですけれども、これは都の福祉局として、認可保育所の保育料を国基準まで引き上げていきたい、そういうことが課題だという問題意識を持っているということじゃないんですか。
〇川崎福祉局長 やっぱり負担と受益について考えるときに、これについて問題視しないわけにはいきません。
〇大山委員 はっきり否定しないわけですね。実際に、去年の七月に出された社会福祉法人改革の提言委員会の中間提言で、人件費補助、つまりサービス推進費B経費の原則廃止という提言が出され、福祉局はこれを受けとめて、検討するとしているわけです。
都の補助金をカットしたら、今の保育園の運営の水準を維持するには、その分は区市町村がかぶるか、それとも保育料を上げるしかないじゃないですか。そんなことはとてもできませんという声が市長会からも上がっているわけです。
保育園に対する都の補助金カットというのは、結果として保育料の値上げを誘導することになるんではないでしょうか。どうですか。
〇川崎福祉局長 それは区市町村の判断もあるところでございますけれども、結果としてそうなることもあり得ると思っています。
〇大山委員 補助金をカットすることは保育料を上げることを誘導する、そういうことを認めるわけですよね。それがどういう状況になるのかということですよ。
私は、円グラフを用意しました。
〔発言する者あり〕
〇大山委員 事実です。二十三区の認可保育所を利用している保護者の所得階層別の割合を示したものです。これは所得階層が税金、所得税、住民税で計算されていますので、どれぐらいの収入かというのは非常に計算するのが難しいわけですけれども、計算していただきました。夫婦と子ども一人のサラリーマン家庭で、大体の収入を計算していただきました。
これを見ますと、夫婦共働きで子ども一人、年収五百万円程度までの世帯が約六割を占めているわけです。その六割の中でも、住民税非課税世帯、これがどれぐらいの収入かといいますと、夫婦と子ども一人のモデルで、年収二百万円程度の住民税非課税世帯も約一三%、これはB階層というところですね。住民税は非課税でも、家賃も必要です。年収が二百万円程度、だからこそ、区市町村は国基準の保育料ではなくて、可能な限り負担軽減の努力をしているわけです。
これは自治体のあり方の基本にかかわる、大事な問題だというふうに思います。保護者への保育料軽減策は、東京のすべての区市町村で実施をして、他県の自治体でも努力をしています。第二子、第三子への兄弟割引もあります。秋田県は、少子化対策のためにと、第一子の保育料をゼロ歳の一年間、無料にするということを決めたわけです。
これは知事に答えてもらいます。子育て費用の負担軽減は少子化対策の重要課題でもあります。しかも、今の経済状況のもとで、保育料の負担増を若い父母に強いるようなことはすべきではないというふうに思いますが、どうですか。−−知事に聞いています。福祉局長には聞いていません。
〇宮崎副委員長 川崎福祉局長。
〇大山委員 福祉局長には聞いていません。知事に聞いています。
〇川崎福祉局長 委員長の指名でございます。
〔大山委員「知事に聞いているんです」と呼ぶ〕
〇宮崎副委員長 ちょっと待ってください。大山委員さん、方向性だとか、知事に基本姿勢だったって、それだったら、今の局長、引き続きでいいじゃない。川崎福祉局長。
〔大山委員「基本姿勢ですからね」と呼ぶ〕
〇川崎福祉局長 わかっていただくためには、数字を挙げればいいと思いまして、ちょっと紹介しますけれども、現在、東京の二十六市の平均でございますけれども、児童一人当たりの月額保育所の運営費が十四万一千円でございます。年間約百七十万です。これに対して、負担率、つまり保護者が負担している保育料が約十八万円、一一%、これしか負担していないということでございます。
〇大山委員 こういう基本的なことさえも、知事は答弁ができないということなわけですね。
この所得の分布を見たときに、これ以上の負担をお父さん、お母さんたちにさせるというのがどんなことになるのかということを、私はいったわけですよね。それにもきちんと正面から答えられないということですね。都民のことを全く見ていないといわざるを得ません。
保育料の負担軽減が大事だということを、私たちだけがいっているわけじゃないんです。財界のシンクタンクであるジャパン・リサーチ・レビューの調査部、金融・財政研究センターの主任研究員であります新美一正氏も、市場重視の保育改革の経済分析という論文の中で、本当に保育を必要とする相対的低所得者層に属する家庭が十分な保育サービスを受けられないという保育問題は、先進国社会においてほぼ共通に発生してきた問題だといって、この対策の重要性を指摘しています。認証保育所にあわせて、認可保育園の保育料の引き上げを誘導するようなことは、絶対に都の方針にしないことを改めて求めるものです。
第二には、保育の質の問題です。
十五年度の重要施策の中の国への提案で、認可保育所の設置基準の要件緩和といっていますけれども、何をどのように緩和しようとしているのですか。
〇川崎福祉局長 既存の保育所制度は硬直、画一的で、大都市の多様な保育ニーズに的確にこたえたものとはなっておりません。都が認証保育所制度の創設をしたのは、こうした現状を踏まえ、大都市の多様な保育ニーズに的確にこたえるため、東京の保育総体を多様な事業者が競い合いによって、質の高いサービスを提供していく、利用者本位の新しい保育システムとしていくためでございます。
お尋ねの国への改革提言につきましては、認証保育所制度の創設を踏まえて、例えば保育士以外の資格を持つ人材の有効活用が可能となるような設置基準の緩和や、利用者みずからが保育所を選択できるものとするよう求めているものでございます。
〇大山委員 いろいろいったわけですけれども、利用者本位のサービス、システムということですけれども、利用者本位の福祉改革を進めるといっているわけですが、保育園の場合、利用者というのはだれのことなんでしょうか。知事、これは知事に答えてもらいたいと思います。
〇川崎福祉局長 利用者というのは、児童それから保護者です。
〇大山委員 そのとおりですね。保育園の場合、保護者と児童の双方だというのが、この基本的な認識が重要だということなんです。保育園の利用者は親と子ども両方です。そこが保育園の大事な特徴なわけです。
特に直接的に保育を受けるのは子どもですけれども、乳幼児ですから、自分がどういうサービスを受けているのか、どういう一日を過ごしているのか、特にゼロ歳や一歳では大人に伝えることはできないわけですね。ですから、どこの保育園でも、きちんとした、安心できる保育の水準を保障することが特に大事なことです。
しかも、この乳幼児期は、一生の中でも人間としての基礎をつくり、人間への信頼を培ったり、情緒の安定した子どもを育てる上で、保育の質の中でも、特に安定した保育士との関係というのが重要だとされているのです。だから、全国の自治体が、低過ぎる国基準に独自に上乗せをして、保育の質を充実する努力をしてきているわけです。
保育園を考える親の会が、東京を中心に、全国九十五都市の保育力充実度チェックという調査をしました。埼玉県では、調査した十七市のうち十六市が、年齢別の保育士配置は都基準よりも高いことがわかりました。
私は、都基準より高い人員配置をしている自治体に、どういう理由で国基準を上回って人員配置をしているのかという理由を聞きました。どこの自治体でも、子どもの発達を保障するための配置であること、また、多動の子など、手のかかる子が多くなっているので、手厚い配置が必要であること、また、育児に不安が大きくなっている父母への対応は、保育士により専門性が求められていることなどを理由にいっていました。
保育園を考える親の会が人員配置の調査を実施したのは、保育園は子どもたちが一日の大半を過ごす施設であるため、安全に目が届くことはもちろん、いろいろな場面で保育士が一人一人の子どもの発達や個性に合わせた個別対応ができるかどうかが非常に重要で、これが保育の質を大きく左右します。こういう理由で、お母さんたちも質を重視しているということがわかるわけです。
ところが、東京都は都基準をやめて、国基準まで下げてしまったということは、とんでもないことです。保育の充実に向けて、都基準に戻すことが大事だと思いますけれども、どうですか。
〇川崎福祉局長 都はこれまでも、児童の処遇向上を図るために、事業者に対して独自の補助による支援を行ってきました。一方、都民の保育ニーズは多様化、高度化していることから、今後とも、補助制度は、こうしたニーズに的確にこたえるものとしていくべきと考えております。
また、保育所の設置、認可基準の緩和は、多様な事業者の参入が図られ、サービスの競い合いによって利用者本位の保育サービスが提供されるよう、国の規制緩和に合わせ、国基準と同じようにしたものであり、改める考えはございません。
〇大山委員 国基準が余りにも低いから、そして子どもの発達や、そしてお母さんたちの仕事を保障しようと思ったら、ほかの自治体も都基準を超えて配置をしているんですよ。本当にもう時代が逆戻りという状況です。
お母さんたちはどう思っているかということですね。認証保育所に子どもを預けているお母さんは、こういっています。
薬なども飲ませてくれますけれども、責任は持てない、こういわれてしまうので、非常に心配です。保育士が皆若い上、期ごとに、学期ごとにですね、保育士がかわっているので、子どもにとってよくないのではないかと心配。施設の狭さ、園庭がないことなどを考えると、このまま認可園に入れなかったら、子どもにとってはよくないと思っている。一緒に子どもの成長を見守ってくれる、泥んこなどもやってくれることを望んでいる。
さっき、質の高いサービスを提供していく利用者本位の新しい保育システムが認証保育所なんだといっていましたけれども、保護者のこういう心配を解決することこそ、利用者本位だといえるんじゃないでしょうか。どうですか。
〇川崎福祉局長 一面だけとられてそういうふうにいわれるのは非常に心外なんですけれども、認証保育所に通われている親御さんからは、認可保育所、まあこれは公立だか法人だかわかりませんけれども、どうしても団体での処遇になるけれども、認証保育所に来ると、一人一人の状態を見て対応してくれるので大変助かるというお話も聞いております。
〇大山委員 一面的だというけれども、その言葉は本当にお返ししたいと思います。
実際、私たちきちんと聞いてきたんですよね。こういう……(「一部じゃないの」と呼ぶ者あり)一部の心配にさえもこたえられないというわけですよ。それが利用者本位だといえるわけですか。
本来、八時間が基本になっている国の人員配置が基準の認証保育所で十三時間保育をするというわけです。時間を長くすればするほど、質が問われてくるわけですね。夜間保育の子どもたちの実態調査をもとにした、浜松医科大学教授の安梅勅江さんの分析によりますと、子どもの発達状況は、子どもの発達に適した育児環境が用意されているかどうか、保護者の相談相手がいるかどうか、保護者が育児に対する自信を持てるかどうかなどが強く関連していることが明らかにされました。だからこそ、長時間保育をするには、より手厚い保育士の配置が必要だということなんです。そこのところは、長時間にすればするほどきちんと配置しなきゃいけないというのは、東京都の児童福祉審議会でも確認されてきたことです。
ところが、認証保育所は、逆に認可保育所に比べてずっと手薄な体制で十三時間開いているところに、重大な問題があるわけです。知事はそのことを全然理解していないといわざるを得ません。
保育の質に関連して、障害児保育なんですけれども、東京都が認可保育所に障害児を受け入れられるように障害児加算として人件費をつけたのが一九七四年ですから、既に三十年近い歴史があります。
私は、目が見えないピアニストとして有名な梯剛之さんの文章を読みました。梯さんにとっての保育園での生活は、その後の人生に大きな影響を与えたことがわかります。梯さんは、世界に冠たるロン・ティボーのピアノコンクールの本選に出るときに、本当に大きなプレッシャーを感じるわけですね。そのときに、保育園の雲梯に比べればちっとも怖くないと、コンクールに臨むときに、みずからにいい聞かせるわけです。この梯さんのエッセーに出てきます。目が見えないわけですから−−雲梯って、はしごが空にあるようなので渡っていくわけですよね。足も地面についていないわけですから、目が見えない子が次の鉄棒につかまるといったら、本当に勇気が要るわけですよね。きっと、友達はみんなできるようになって楽しそうにやっているけれども、自分もやりたい。それで、それを、勇気をしっかりと後押しできる。それは、保育士が、目が見えないという障害を持っていても、彼の成長とタイミングを見きわめて、雲梯を渡ることを成功させたわけですね。その後の人生にも大きな影響を持つほどの自信につなげたというわけです。
まさに梯さんにとっては、この人員配置は都基準で配置されていたし、保育士がプロであって、マニュアル保育ではなかったからできたわけですね。まさに梯さんにとっては、よりよい保育園に通うことができたからこそ今日があると、本当にすばらしいことだというふうに私は思います。
知事に、これは知事に聞きますけれども、保育園というのは、このように人の豊かな成長をはぐくむのに必要な質を持たなければならないというふうに思いますけれども、どうですか。
〇川崎福祉局長 質について、認証保育所は悪いということを先ほどからおっしゃっていますけれども、ゼロ歳児、それから延長保育等について、認証保育所は手厚く補助をしており、そういうことはございません。
〔「そんな質問じゃないんだ」と呼ぶ者あり〕
〇大山委員 本当に、質問ぐらいきちんと聞いてください。豊かな成長をはぐくむのに必要な質を持たなければならないと思いますけれども、どうですかと聞いたわけですね。そうしたら……(「保育所だけでなく本人の努力も入っているんだよ」と呼び、その他発言する者あり)では、いいですよ。
障害児加算ですけれども、国は、その費用を一般財源化するというふうにいっているわけですけれども、東京都はどういうふうに対応しようとしているんでしょうか。障害児保育の都加算の水準は守るべきですけれども、どうですか。
〇川崎福祉局長 都の障害児保育事業は、国事業の対象であります特別児童扶養手当対象児童に加え、障害の程度が比較的軽い児童についても対象を拡大するとともに、国基準を大幅に上回る都の加算単価を設定し、障害児保育の推進を図ってきております。来年度から、国基準部分について一般財源化されることになりましたが、都では、平成十五年度においては、現行の障害児保育事業の水準を維持していく予定であります。
なお、こうした都加算補助につきましては、真に利用者本位の福祉を実現するという福祉改革の理念に基づき、大都市特有の保育ニーズに的確にこたえ、サービス向上に効果を発揮していくものにすべきと考えております。
〇大山委員 ぜひ現行水準を維持し、さらに充実していっていただくことを望んでおきます。
認証保育所の経営者も、認証保育所でよいとは思っていないという方がたくさんいらっしゃるんです。本当は認可保育所をやりたいとか、保育園に入れない親がたくさんいたので認証保育所をやったと。制度の最低限の定数では、保育士にも負担がかかり十分ではない。本来は認可でやる仕事。認可保育園は、常に子どもが入所できるようにあいていなければならない。しかし、圧倒的に足りないので、認証保育所は補完する役割がある。この形でよいとは考えていない。多くの経営者がそういうふうにいっているわけです。
子どもの育ちを考えたら、認証保育所を中心にする、この水準を東京の保育にするなどということはできないということを強調しておきます。
第三番目に、認可保育所の増設、拡充の問題です。
東京都は、認可保育所ではゼロ歳児や延長保育が進まないから認証保育所だといいますけれども、私は調べてみました。産休明け保育も延長保育も、公立、私立とも一〇〇%の園でやっているのが、東村山市、府中市、多摩市。できないわけではありませんし、他の自治体も全くやっていないところはありません。
私たちは、なぜ産休明けや延長保育ができないのかということを、自治体や私立保育園に聞きました。公立園でしたら、一歳児園だったところで、改築してゼロ歳児園にするとかということで、ゼロ歳児保育が一般的でなかった時代に建設された保育園を、建てかえのときに、土地の大きさで、ゼロ歳児の保育室がつくれるところはゼロ歳児保育をやっているんですね。しかし、実際に狭い敷地で困難なところが残っているんだということですし、私立保育園だって、全面改築時にはゼロ歳児保育が行えるように計画に盛り込んでいるので、全面的援助をお願いしたい、そして何がネックかといったら、土地の確保が問題だと。土地の補助か土地を無料にしてほしいなど、積極的にこたえようとしているわけです。
都がやることは明確です。認可保育所を増設するために、土地が高い東京で、土地の無償貸与や土地助成、そして実態に見合った運営費の補助です。都として、待機児解消に向けた認可保育所の整備計画をつくることが必要ですが、どうですか。
〇川崎福祉局長 待機児発生の主な原因は、年齢や保育時間等の保育内容のミスマッチと、地域での需給のアンバランスによるものであると考えております。
待機児解消のためには、保育の実施主体である区市町村が、その地域の保育ニーズを的確に把握、分析し、受け入れ枠の拡大、定員の弾力化など、実情に即した対策を講ずるとともに、認可保育所自身が、ゼロ歳児保育、延長保育などの充実に取り組んでいく必要があると考えております。
こうした対策を講じた上で、なお保育所の不足が生じ、新増設の必要があると判断した場合には、保育の実施主体である区市町村が保育所を整備していくものでございます。
都はこれまでも、真に必要な区市町村の施設整備の要望に対しましては、必要な予算措置を行うなど、的確に対応してきております。
〇大山委員 必要な予算措置をとるなど的確に対応してきたというわけですけれども、これは、昨年の六月十九日の子育て推進課が行った施設整備説明会の資料ですけれども、補助事業の採択条件についてという項目には、協議のあった保育所がすべて採択される状況ではありません、都財政が危機的な状況にある中、待機児解消、保育サービスの充実等の課題に積極的に取り組んでいただかなければ採択は厳しいとお考えください、こんなことが書いてあるんです。これは抑制方針だというふうにとらざるを得ません。待機児発生の主な理由は、年齢や保育時間等の保育内容のミスマッチと地域の需給の不均衡によるものだと。こんなこと、よくいえると思いますよ。
私たちは、調べました。十月一日現在、全都で待機児は一万二千人を超えているんですよね。それで、私たち、全都の区市町村の年齢別の園別の措置状況を全部もらいました。四月一日付と十月一日付です。これを見て、私は改めて驚きました。
例えば青梅市などは、四月一日の時点で、三十二園中二十八園が既に一〇〇%を超えて入所しているんです。町田市も、四月一日現在で三十八園中三十園が定員以上に入所しています。品川区も四月一日で四十五園中三十五園が定員を超えています。本当にひどい状況です。千代田区に三歳児があいていたとしても、青梅市の子は入れません。この状況を直視するべきです。弾力化や受け入れ枠の拡大など、できるところはやってきています。年齢や時間がミスマッチだといっても、実際は入るところがないわけですから、ミスマッチなどといっている場合ではありません。やはり認可保育所の増設に取り組むべきなんです。どうですか。
〇川崎福祉局長 先ほど答弁したとおりでございまして、今までも都は、区市町村の施設整備の要望に対して的確に対応してきております。
〇大山委員 実際に認証保育所に預けている保護者も、認可保育所の増設を望んでいるんです。認可園に申し込んだけれども、どこにもあきがなかった。入れるところがあったので職場復帰はできたけれども、どこにも入れなかったらどうしようかと、復帰は十二月なのに、春からとても心配だった。職場復帰しようと思ったら、どこかに預けなければならない。認可保育園はどこにもあいてなくて、せっぱ詰まっている状況で選択肢はなかった。こういうように、認証保育所に通っているお母さんに話を聞くと、一様に訴えるのは、公立、認可をもっとふやして充実してほしいということなんです。
来年度予算にのっているものを全部やったとしても、十五年度待機児ゼロにはなり得ません。
厚生労働省も、待機児ゼロ作戦に取り組まなければならないという危機感があって、保育所緊急整備で四万五千人ふやすということに取り組んでいます。十四年四月一日の全国の待機児は二万五千人で、東京はそのうちの五千五十六人、約二割ですよ。普通に考えれば、厚生労働省が出している四万五千人に対応した数字は、東京で九千人分の整備をしてもよいということです。
一方、私立保育園連盟は、待機児ゼロ作戦を認可保育園の力で実現し、公的保育システムを守ろうと、全国的な取り組みを始めています。保育関係者も研究者も、厚生労働省だって、認可中心ということで一致しています。だからこそ、今やらなければならないことは、子どもたちの発達を保障し、父母の願いにこたえるために、認可保育所を中心に、圧倒的な規模で保育所を整備していくことです。その立場に知事もしっかり立つことを求めて、質問を終わります。(拍手)
〇宮崎副委員長 大山委員の発言は終わりました。