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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団
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都立老人医療センターと豊島病院との統合・民営化の根本的再検討について
東京都は、01年12月に発表した「都立病院改革マスタープラン」に基づいて都立老人医療センターと豊島病院を統合し民営化する計画を進めています。しかし、この計画に「異議あり」「納得できない」という声は、地元板橋区では、区長、区議会だけではなく、医師会や多くの区民に共通の認識となっています。
この6月16日には、板橋区長が石原知事に対し、要望書を提出。「統合・民営化の都の方針により、板橋区内の医療水準の低下や地域医療連携の後退を招くのではないかと多くの板橋区民が危惧しております」と述べ、「高齢者専門の高度・先進医療への取組で名高い老人医療センターについて、豊島病院とは切り離し現在の医療機能を存続される方向で検討し、区民の不安を解消していただくよう強く要望」しました。
また、続いて6月25日には、板橋区議会の議長、副議長、および各会派幹事長が、都議会議長に対し要望書を直接手渡しました。これには、私も含め、地元板橋区選出の都議会議員全員が同席しています。この要望書は、次のように述べています。
「老人医療センターは、明治5年の養育院創立以来、1世紀以上にわたる歴史的な取り組みをへて、医療と福祉が連携された全人的・包括的な高齢者の専門医療機関として今日に至っております。また、併設されている老人総合研究所、及び板橋ナーシングホームは、老人医療センターと連携しつつ、様々な研究や先駆的事業に取り組んできました。豊島病院と老人医療センターを統合・民営化する都の方針は、医療機関としての規模の縮小や医療水準の低下が少なからず危惧されます。他方、平成14年6月に発表された『都立福祉施設改革推進委員会』の報告の中では、ナーシングホームの廃止を示唆する方針も出されており、板橋区民も大変不安視しています」「老人医療センターの運営については、老人総合研究所、及び板橋ナーシングホームと連携した一体の施設として、今後も都の運営で存続されるよう、貴議会より強く働きかけていただくことを要請します。引き続き、現行の高度な医療水準を維持し、地域医療の連携、高齢者の医療と福祉の連携が損なわれることのないよう、切に要望いたします」。
Q1 東京都は、このような党派をこえた切実な要望を受け止め、老人医療センターは都立直営で存続し、現行の医療水準、地域との連携をはじめとした医療機能、および全人的・包括的医療を堅持することを、直ちに明確にすべきです。
Q2 そして統合・民営化計画そのものを白紙に戻し、豊島病院については、都立直営で存続することも含めて一から検討し直し、地域住民の要求に基づく改革を進めるよう求めるものです。見解を伺います。
Q3 豊島病院について、板橋区は区移管の可能性について検討を進めていますが、区の財政力で現行の医療水準と医療機能を維持することはできません。そのことを、都はどう認識しているのですか。
もともと、都のまったく道理のない統合・民営化計画により端を発した問題であり、板橋区民に重い財政負担をともなう苦渋の選択を強いることは許されません。
Q4 たとえば、豊島病院の精神科救急は、都立松沢病院、都立墨東病院に続いてようやく開設された23区内第3の、なくてはならない拠点施設であり、都の責任で豊島病院において継続すべきものと考えますが、見解を伺います。
Q5 感染症医療も、都の責任で継続すべき行政的医療です。しかも、世界的に大きな問題となっている新型肺炎SARSへの対応で、きわめて重要な役割が求められています。ところが都の統合・民営化計画では、豊島病院の感染症指定医療機関としての機能は、他の都立病院に移転することとされています。そんなことになれば、板橋区はもとより、人口実に170余万人を擁する区西北部二次保健医療圏で、SARSに対応できる感染症病床は空白となってしまいます。これではSARS対策に逆行するのではないですか。豊島病院は、1898年(明治31年)に伝染病院として開設されて以来、100年をこえる感染症医療の歴史と実績があります。SARSに対するきびしい警戒体制を今後も継続する必要があるこの大事な時に、豊島病院の感染症医療の灯を消すようなことは絶対にあってはなりません。都の責任で継続すべきと考えますが、答弁を求めます。
環状八号道路建設計画における東武東上線トンネル、若木〜相生町の環境対策について
(1) 東武東上線トンネルから板橋区若木そして相生町へと、環状八号道路の建設工事が今後本格的にはじまろうとしています。武蔵野の自然林が存在する緑豊かで静寂なところへの道路建設に対して、地元住民は、「今の環境を極力守ってほしい」と願い、「環八道路から住民の暮らしと環境を守る会」(環八の会)
を結成し、都や区に環境まもるための諸施策をそのつど精力的に提案し、実現する活動をすすめてきています。
地域住民の要望が喫緊の一つとして求めているのが、六百メートル、四車線の東上線トンネルの排出ガスを浄化する問題です。
「東上線トンネルの排出ガス除去を」の地域住民の要望に対して、都建設局は「電気集塵機を設置して浮遊粒子状物質は除去するが、二酸化窒素は技術的に除去できないので、高さ45メートルの換気塔をつくり上空に拡散する」との説明をくりかえしてきました。
ところが、国土交通省などが平成4年から首都高速道路湾岸線空港北トンネル京浜島喚気所で、二酸化窒素と浮遊粒子状物質を除去する低濃度脱硝技術の開発をすすめ、すでに11年度には除去率80%以上を達成するまでになっていて、近く実用化が可能な段階にきているとのことです。ここには、私の紹介で、「環八の会」が現地を視察・見学して、担当者からも説明をうけています。
この二酸化窒素の除去の技術開発については、去る6月13日の板橋区議会でも石塚板橋区長が、わが党区議の質問に応えて、「低濃度脱硝技術が開発されていますので、その導入についても検討が進められると聞いております。今後、この設備導入について東京都に要望してまいりたいと思っております」と答弁するところとなっています。
ところが、東京都建設局も第四建設事務所も、「二酸化窒素は除去できない」との回答を「環八の会」に繰り返すだけで、本年1月23日に行われた「環八の会」と都建設局との交渉で「首都高が二酸化窒素の除去装置を開発しているとのことで、調査を」求めたことに対して、「四建から回答します」としていながら、いまなお「環八の会」に調査結果の報告はないとのことです。
そこで、おたずねしますが第一に、都建設局・四建が、国土交通省、首都高などが、二酸化窒素の除去装置の開発に取り組んでいることを承知しているのか。知っているとすれば、その時期はいつか、また、なぜいまだに調査結果の報告がないのか、明らかにしていただきたい。
第二に、この低濃度脱硝装置の開発・実用化のメドがたってきていることを板橋区長も認知しており、都に要望することを表明しています。この技術を東上線トンネルに、まず導入すべきではありませんか。
(2) この環八の道路用地内の板橋区西台公園に隣接する自然林の敷地内に、キンランが自生しており、今年も可憐な花を咲かせました。4月28日の都の調査では14株の群落が確認されました。キンランは,ラン科の多年草で、環境省レッドデーターブックによる絶滅危惧U類に指定されている貴重な植物です。地元の住民は、キンランが発見された昨年から、現地での保存を強く求めてきています。今年6月10日には2206人の署名をそえた要望書が、都知事に提出されてもいます。
キンランが自生している場所は、環八道路用地内とはいえ、幸い道路そのものにはかからず、緑化ブロックが予定されているところであり、工夫すれば現状での保存は可能と思われます。ところが、都建設局、四建はキンラン保護のために真剣に研究・工夫をするのではなく、移植でことをすまそうと考えているようです。
去る6月13日の板橋区議会本会議で、わが党議員の質問に板橋区長が答えた内容は「東京都の報告によりますと、西台公園付近の9箇所でキンランの生育を確認したため、擁壁の構造を一部変更して、このうちの5箇所程度を現地保存していく予定であり、また現地保存できないものについては、専門家の意見を聞きながら移植をしていくとのことだ」と答弁しました。
この東京都の「報告」が事実であれば、都は昨年と同じ過ちを繰り返すことになります。昨年の6月、都四建は、キンラン保存を求める住民の声や移植で成功した前例がないという専門家の忠告を無視し、突如としてキンラン全株を都立赤塚公園に移植するという挙にでました。当日は、住民の激しい抗議の結果、「実験的に5株を移植する」ことになり、結果は、移植した全てが育ちませんでした。もし、全株移植という都の軽率で無責任なやり方が通っていたら、キンランは絶滅の危険にさらされていたことでしょう。
そこで質問します。第一、キンランが自生しているところは道路そのものにはかからず、緑化ブロックが予定されているところであり、創意工夫をこらしてキンランの保存に努めていただきたい。
第二に、若木〜相生地域は、とりわけ武蔵野自然林が存在していた地域であり、そこに新しく幹線道路建設をすすめる計画なのですから、板橋区はもちろんのこと地域住民の意向が十分に反映されるように特段の配慮が必要だと考えるが、見解を求めます。
後楽園・東京ドームでの競輪開催について
石原知事は、今定例会の所信表明で、「都市型の新しいエンターテイメントの試みとして、東京ドームの施設を活用した競輪を開始したい」と、後楽園での競輪の復活を公然と表明しました。
そもそも、後楽園における競輪は、一九七三年、当時のギャンブル廃止を求める世論と地元文京区および地元住民などのつよい廃止要求にもとづいて、廃止されたものです。
競輪廃止にあたっては、東京都は、事業者である当時の後楽園スタジアムと、「昭和四八年四月一日以降、施工者の如何をとわず、後楽園競輪場を自転車競技場の用に供してはならない」という協定をむすんだうえで、九七億円の無利子融資をおこない、その後、後楽園競輪は再開しないことを明確な方針としてきました。
当然、地元区、住民をはじめおおくの都民は、後楽園の競輪は過去のものとして理解してきたのです。
こうしたもとで突然、知事が競輪復活を表明したことに対して、地元区、住民から怒りの声があげられるのは当然です。
煙山力文京区長は、知事の所信表明のあった当日、緊急会見を開き、「三〇年前に廃止した競輪復活とは時代錯誤」であるとして、きびしく批判するとともに断固反対を表明しました。文京区議会も、議長名で「東京ドームにおける公営競輪復活に反対する要請書」を都知事宛に提出するとしています。地元町会でも、「何をいまさら競輪だ」「三〇年前への逆戻りはごめんだ」など、断固反対の態度を表明しています。日本共産党も、文京区議団、区民とともに、都に対して、競輪復活しないよう申し入れをおこないました。
また、競輪復活反対の運動をすすめてきた「後楽園競輪復活反対文京区民集会実行委員会」の代表は、「当時は、父親がギャンブルにのもめり込んだ末の心中騒動など、悲惨なことがあった」「学校も近くにあるし、子どもたちの教育に悪い」として、再開に絶対反対を表明しています。同会が二〇〇〇年におこなった世論調査では、回答者の九割が反対と答えています。
ところが、知事は、こうした声を無視するだけでなく、本会議答弁で、「地元の区長さんの意向というものが、必ずしも地元のおおくの区民の方々の声を代表しているかどうか」と、競輪復活に反対の態度をとっているのは区長だけであって、区民や区議会はそうでないという主旨の発言をおこないました。その後の記者会見でも同趣旨の発言をおこないました。
しかし、事実は、紹介したように、区長も区議会も区民もあげて反対しており、知事の事実をまげた発言に、地元関係者は、あらためて怒りをつよくしているのです。
知事、あたかも区長だけが反対しているという発言は取り消し、文京区、同区議会、地元住民に謝罪すべきではありませんか。見解をもとめます。
知事はまた、「これまでの常識を覆す、若者や女性も楽しめる斬新でスマートな競輪を目指し、賭け事という古いイメージを打ち破っていきたい」とも述べました。
現在、後楽園東京ドームは、子ども連れもふくめた野球ファンで賑わい、また、後楽園遊園地は、子どもや若者などおおくの人が訪れる有数のアミューズメント施設となっており、そこにギャンブル・競輪が設置されたらどうなるのか。知事は、意識的に、競輪をはじめとするギャンブルの弊害に目をつむろうとしていますが、現実を直視すべきではありませんか。
すでに日本は公営ギャンブルにくわえ、パチンコなどギャンブル大国といわれるほどに、ギャンブルが蔓延し、その弊害が顕著に表れています。ギャンブル依存症になり、借金を重ね、職や社会的地位をうしない、さらには家庭崩壊にまでいたる例はおおく報告されています。また、ギャンブル依存症は「心の病」として、本人はおよばず家族にも被害を及ぼしています。
実際に、後楽園競輪が実施されていた当時には、こうした被害に苦しむ都民が少なくなったのです。現在でも、後楽園南側につくられた場外馬券売り場の周辺は、競馬開催時には異様な雰囲気となっています。青少年への影響の点でも、すくなくない青少年が馬券を買い、中学生・高校生の補導は千件を超えるにいたっています。
知事、ギャンブルの弊害について、どう認識しているのですか。見解を伺います。
また、後楽園の東京ドームは、都市計画公園内の施設であるため、ギャンブル施設は認められていません。そのため、建設にあたって、将来にわたって、競輪施設をつくらないことを条件で、都市計画法第五十九条第四項の規定にもとく都知事の特別許可事業として認められた経過があります。
知事は、法律を破ってまで競輪を復活させようと言うのですか。答弁をもとめます。
都は、競輪復活の狙いとして、経済効果や都税収入などあげています。しかし、社会的弊害のおおきいギャンブルに経済効果や税収効果を期待するのは邪道といわなければなりません。
おこなうべきは、東京都の経済を支えている中小企業の復活のための強力な支援であり、都の財源の問題で言えば、都が負担する必要のない首都高速道路公団への出資・貸付金や国直轄事業負担金などを見直すことで、都が期待している税収程度はまかなうことは十分可能です。
以上、あきらかにしたように、知事の後楽園競輪復活は、都民的合意もなく、道理にも説得力にも欠ける理不尽なものといわざるを得ません。撤回すべきですが。答弁をもとめます。