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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団
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外かく環状道路青梅街道インターチェンジ計画について
今、杉並の住環境とまちづくりにとって、重大な問題となっているのが、今年1月と3月に国と東京都が方針を発表し、外かく環状道路を大深度地下ですすめるとともに青梅街道にはインターチェンジを建設しようとしていることです。さらに目白通りから青梅街道までは地上部も道路にすることになれば、住環境破壊は多大なものになりかねません。
そもそも、外かん道路計画は、住民無視の一方的な進め方においても、道路建設のために住み続けた住民を追い出し、貴重な水と緑、自然を破壊する点でも、都民の幅広い反対運動が広がり、1970年に当時の建設大臣が計画の「凍結」を宣言せざるをえなかったものです。
ところが石原知事は「都市再生」を都政の最大課題とし、都心部を中心としたビル建設ラッシュを促進するとともに、基盤整備のために3環状道路の建設を強力に国に働きかけてきました。いま杉並で大問題となっている一方的な外かん道路青梅街道インターチェンジ計画も、こうしたなかで引き起こされたものです。
しかし、このような「都市再生」を続けるかぎり、大量のビル建設によって1日25万台もの自動車交通を発生させ、3環状道路をつくっても都内の自動車交通は14万台以上増えることが予想され、大気汚染とヒートアイランド現象の増大で東京の環境はますます深刻化するだけです。
それだけに、「都市再生」の名による、外かん道路計画のごり押しは中止すべきであり、青梅街道インターチェンジ計画の押し付けは撤回すべきです。
以上の立場から、青梅街道インターチェンジ計画を中心に質問します。
このインターチェンジ提案にたいして杉並区民からは、青梅街道と周辺道路への自動車流入による交通渋滞や、周辺の生活、教育環境の悪化、さらに善福寺地域の貴重な水脈切断など自然環境への重大な影響を懸念する声があがったことは当然です。しかし、国と都はこうした疑問にいまだに明確に答えないまま、さらなる具体化をはかろうとしています。
1、青梅街道インターチェンジ計画の疑問点について
そこでまず、杉並区民から出されている主な疑問点について明確な回答を求めるものです。
(1)インターチェンジ設置の場合、開削部などその構造と立ち退き範囲な地上の住民への影響について図面を含めて明らかにしてください。
(2)インターチェンジを設置した場合の、利用交通量と青梅街道交通量の推計を明らかにしてください。とりわけ、これまで示された約1・8万台という推計交通量は、インターチェンジが5箇所設置されたことを前提としたものであり、かつ現況交通量を推計したものです。よって青梅街道1ヵ所のみ場合、及び将来推計の交通量をその根拠も含めて示していただきたい。
(3)インターチェンジ設置にともなって危惧される地下水脈への影響について、その認識を明らかにしてください。
かつてJR武蔵野線の開通によって、地下水脈を分断し国分寺姿見の池の湧水が減少するという影響も生まれています。
善福寺地域では、浅層地下水の分断が周辺の地下水脈に与える影響、東側地域での地盤沈下、西側地域での地盤隆起の可能性、さらに周辺の湧水などへの影響が既存の資料からも懸念されています。こうした地下水脈への影響についての現時点での認識とその根拠としての調査・研究の到達点を明らかにしていただきたい。
(4)インターチェンジの計画対象地は桃井第4小学校と隣接しており、また周辺には善福寺北児童館、八幡幼稚園、善福寺保育園などの施設が多数設置されています。とりわけ、桃井第4小学校では学区域が分断され、通学路の一部が消滅するなどその影響は重大です。
幼児、児童、生徒のへの影響が危惧されるがどのように認識しているのか、当該地域へのインターチェンジ設置計画が適切と考えるのか明らかにしてください。
2、インターチェンジ反対の区民の意思の尊重を
国と都が3月に発表した青梅街道インターチェンジ設置提案は、「設置要望があった」ことを前提としているが、設置対象地域にあたる杉並区からは設置要望はだされておらず、PI協議会の場で提案もなく、一方的に発表されたものです。こうしたPI協議会での協議と地元区民の意向をまったく無視した国と都のすすめ方にたいし、杉並区長からも「誠に遺憾」との批判があげられたところです。
ところが、石原知事は第2回定例会の所信表明において、3環状道路の「早期の前線開通を目指」すとし、外かく環状道路については「近く具体化にむけて計画をとりまとめてまいります」とのべ、道路構造とインターチェンジ計画の具体化をはかろうとしています。
(5)しかし、青梅街道インターチェンジ計画については、杉並区が「みどり豊かな住宅地である善福寺地域の環境保全を重視すると、この地にインターチェンジは建設すべきではない」との態度を正式に表明しており、この地元区の意思は重く受け止め尊重されなければなりません。どう受け止め、対応するのですか。
(6)建設を前提とした国と都の方針発表にたいし、PI協議会の参加者からPI協議会の「存続そのものを危うくするもの」との批判があげられたことが「中間のとりまとめ」でも紹介されています。そもそもPI外環沿線協議会は、「昭和41年都市計画決定以前の原点に立ち戻って、計画の必要性から議論する」という原点にたった、地元住民、関係区市参加のもとで協議が続けられ、先日の「中間とりまとめ」でも「今後、外環計画について意義がないと社会的に判断した場合は、事実上計画を休止することもありうる」ことが明記されました。
外かん道路建設を前提とした「具体化計画」の取りまとめはすべきでなく、PI協議会での合意を尊重して対応すべきではないですか。
3、地上部の計画と負担について
今年1月の国及び都の方針では外かん道路は、沿線への影響を小さくするため」大深度地下ですすめることが打ち出されたが、その直後の3月には目白通りと青梅街道間は地上部も道路とすることが打ち出されました。
住環境への影響を小さくするためとして地下方式で安心させておいて、あとから地上部の道路計画も提案してくる国と都のやり方に怒りの声があがっています。
(7)かつて計画沿線全体についても地下と地上利用の二重構造が打ち出され経緯もありましたが、青梅街道以南の地上部についても地上部利用の検討を進めるのか明確にしていただきたい。
(8)目白通り青梅街道間の地上道路は、都道として整備することもありうるのでないですか、その場合の費用負担はどうなるのでしょうか。
4、事業主体と都の財政負担について
外かん道路計画は、インターチェンジの有無にとどまらず、国も都も厳しい財政運営が強いられるもとで、莫大な財政投入を必要としており、財政上の観点からも許されるものではありません。
(9)外かん道路を国と都の方針にそって建設した場合、総事業費はどの程度と推計しているのか明らかにしてください。
(10)その事業主体については、6月13日の説明会で国土交通省の担当者は、国土交通省だと明言をしたが、あらためて確認したい。
(11)都としては国直轄事業となった場合、その総事業費の3分の1は都負担となります。それ以外にも、都が国と一体となって外かん道路を推進するのであれば当然、財政的負担はまぬがれません。国直轄事業となった場合、都の財政負担をどの程度と推計しているのか明らかにしてください。
以上