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■ 議会での質問  日本共産党東京都議団


2003年第3回定例会 文書質問

東ひろたか(江東区選出)

シックスクール対策について

 最近、都内の学校において、改築や改修工事、ITなど機材導入時に、室内化学物質でシックハウス症候群の被害を受ける、シックスクール被害が、あいついでいます。
 昨年の調布をはじめ墨田、江東など改修や改築後の小学校で次々と子どもたちに症状が現れました。9月18日、練馬区は区内26の小学校の各音楽室と、1つのコンピューター室、2つの区立幼稚園でシックハウス症候群の原因物質、ホルムアルデヒドが国の基準を超えて検出されたことを明らかにし、すべての音楽室を使用禁止にしたと発表しました。
 学校における子どもたちの健康を守る上で、シックスクールをいかに未然に防ぐかが緊急の課題となっています。
 私は、明らかにシックハウス症候群と見られる生徒が発見されて問題になった都立世田谷泉高校を訪ね、調査をいたしました。
 同校では、本年3月14日に耐震および教室の改修工事が完了し、この春オープンしたばかりの実習棟でシックスクール被害が発生。生徒の4割近い193名に目や鼻、のどの痛みや頭痛などの症状がみられ、7月になっても34名に自覚症状が続き、9月の診断でも6人が要治療の状態です。
 また、都立学校で20校検査したうち測定により有害物質が基準値を超えていた学校が12校、区市町村でも検査した小中学校で次々発見されています。
 化学物質による症状は、いったん発症すると過敏になり症状が出やすくなるなど、子どもの健康に大きな影響を及ぼすといわれ、緊急の対処が求められる問題です。にもかかわらず国も自治体も、教育施設の工事などで有害物質を使わせないための工事契約や工事資材の仕様のあり方、検査や対策、症状が出た子どもの医療その他の負担問題、勉学への配慮など、ほとんどの課題が検討が始まったばかりです。

.健康局のシックハウス対策マニュアルでは、シックハウスを防止するための、工事資材の選定や施行管理、事後検査などについて一定のアドバイスが行なわれています。
 これらも参考にしながら、多数の子どもが日中多くの時間をすごす学校において、工事資材から有害物質を排除するために、使用禁止材料の指定や引渡し前の検査を厳格におこない、教室の機材も何らかの基準を設けることなど、シックスクールの原因物質を学校内に持ち込まない仕組みづくりを急ぐべきです。答弁願います。

.教育施設は、ホルムアルデヒド、トルエンなど4物質のみ規制していますが、すでに健康局は子どもの利用する施設について、13種類の物質の基準をガイドラインとして定め、普及するとしています。教育施設も4物質では不十分なのは明らかです。少なくとも13物質のガイドラインに基づく検査体制を確立することが必要ではありませんか。所見をうかがいます。

.都立学校には簡易測定器が全校に配置されつつありますが、いち早い定期測定と、必要なところの本格検査を実施し対策を急ぐこと、小中学校でも同様の検査を実施できるよう、区市町村への財政支援や機材の貸し出しなど柔軟な支援が必要です。いかがでしょうか。

 私は、シックスクールが発見された場合の対策を具体化する上で、都立学校でシックスクールが初めて確認された世田谷泉高校の経過と教訓を踏まえる必要があると考えます。
 ここでは実習棟の改修工事が終わった3月に、32教室のうち5箇所を選んで学校環境衛生基準で検査したら3箇所でトルエンが基準を超えていました。
 問題はこのとき3教室だけ使用中止して他の教室で授業を始めたことです。3教室のトルエン濃度が、換気対策などでもなかなか下がらず、5月に全教室を検査したら、現に使っていた7教室で、最大で基準値の8倍もの値が出たのです。その後の対策でも、いまだに一部教室が使えない状態です。
 検査や対策の方策が確立していなくとも、少なくとも検査したうち6割で異常が発見されたとき、全教室の調査を行なっていれば、生徒たちの被害を未然に防ぐことは可能だったはずです。事態を軽視していた教育庁の責任は免れません。

.教育庁は、都立世田谷泉高校におけるシックスクール被害を未然に防ぐ機会を逃した事実を認め、関係者に明らかにし陳謝すると共に、症状が出た生徒の治療費、通院費などは全額公費の負担とすること、必要な治療の継続、勉学の保障など、十分配慮することが必要ではありませんか。
 また今回の事態を教訓にして、今後もシックスクール被害が発生した場合や原因物質が発見された場合の対応も、確立することを求めます。あわせてご答弁ください。

以 上