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■ 議会での質問 日本共産党東京都議団
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都の労政事務所統廃合などについて
長引く不況の中、東京都の労働行政に求められていることは、失業者の生活支援、職場の労働者の生活・権利を保障するルールづくり、労働者の雇用の場が確保され、その能力や経験を生かして、職場で健康で安心して働けるようにする施策など労働行政の拡充です。しかし、東京都が第2次財政再建推進プラン、第2次都庁改革アクションプランで示し、来年度予算で進めようとしている方向は、新宿労政事務所廃止、王子職業訓練校廃止など、まったく逆行するものです。そこで、私は、これらの点で都の姿勢を質すものです。
最初に、今年度末で新宿労政事務所を廃止しようという問題です。
東京都の労政事務所は、もともと労働者と使用者の間にあって「働く人たちの豊かな、ゆとりある生活の実現」をめざし1.労働条件の改善向上、2.勤労福祉の充実の2つを柱として取り組むことを目的に、(1)労働関係調査・情報提供、(2)労働教育講座、(3)労働相談・あっせん、(4)労働者福祉などの事業を主な仕事としてきたものです。
現在、労働者をとりまく環境は、派遣労働者、契約社員、パート労働者など不安定雇用労働者の増加、リストラ、雇用調整の増加、高失業率が続くなど、大変厳しい状況がつづいています。さらに職場の労務管理は、いわゆるサービス残業、労働条件の引下げ、会社都合による解雇、賃金不払問題など、雇用、労働条件をめぐる問題が増加してきています。残念ながら、労政事務所がめざしている「働く人たちの豊かなゆとりある生活」とは程遠いといわざるを得ません。労働者自らがどのような働く権利を持っているのかさえ、知らずに働き、サービス残業が横行するなど、法律さえも守らない使用者がいます。だからこそ、ますます労政事務所の役割は大きくなっているといえます。にもかかわらず、新宿労政事務所を廃止にするなら、石原知事が就任した時には9箇所あった労政事務所が、6箇所になってしまいます。
労政事務所には、「親会社が海外生産を始めたので仕事がほとんどなくなった。会社は借金も返せず、給料もまったく出せない状態だと言われた」「派遣会社から『長期の仕事』と紹介されたのに、更新1回で雇い止めになった」「休み明けに出社したら、シャッターに『長らくお世話になりました、閉店させていただきます』の張り紙。社長の行方もつかめない」などの年間5万件を超える、本来であれば、国の労働基準監督所が相談に当たるべきものなどもふくめ、深刻な労働相談がよせられています。
また、こうした相談をうけた場合、労政事務所が、退職強要などの相談について事業主の説明も聞き、労働関係法などの説明もして、両者の理解を深めて、問題解決にあたる、あっせんも1000件を超えています。
こうした労政事務所の役割について日本労働弁護団は、「簡易で迅速・柔軟に対応できる相談窓口が求められており、都の労政事務所は行政機関のなかでピカ一」と評価しています。
さらに、区市町村が開催する労働相談活動、就職面接会、労働関係法の啓発セミナー等も、所管の労政事務所が協力なければ、成功はおぼつかないといわれているものです。
東京の労政事務所は、セクシャルハラスメント防止マニュアルの作成、「退職強要」「職場での嫌がらせ」「人間関係」などいわゆる職場の「いじめ」防止のとりくみでもおおきな役割を発揮しており、これらは全国に先駆けた先進的な取り組みということができます。
これらのことが示すものは、労政事務所に求められていることは縮小ではなく、拡充であるということです。都はこうした現状を無視し、新宿労政事務所を廃止することを持ち出しました。
新宿労政事務所の受け持ち区域は、新宿、渋谷、杉並、練馬、中野、世田谷など、23区内の事業所の4分の1あまりが集中しているところです。この労政事務所が廃止されることになれば、この区域の受け持ちは飯田橋にある中央労政事務所と北区にある王子労政事務所、品川区の大崎労政事務所に分散されることになります。この結果、それぞれの事務所のうけもち事業所は増大することになり、中央労政事務所は現在の約10万の事業所から、約9万増え、約19万事業所に増大することになりますこれは、23区内の事業所の3分の1にあたる数字です。また、新宿労政事務所の廃止によって、現在、王子労政事務所がうけもっている足立区の事業所が、亀戸労政事務所に押し出されることになります。これによって、亀戸労政事務所の受持つ事業所は、11万5000から14万5000に、3万も増えることになります。
このような統廃合によって、これだけ広大な地域と事業所、従業者をもたされたら、労働知識の普及啓発、労使の調査及び情勢の把握などおこなうことは到底、できなくなってしまうではありませんか。
また、労働相談もさらに困難をかかえることになります。これだけの広域で、多数の労働者をかかえて、労政事務所の職員が、職場訪問をして実態を調べるなど、およそ不可能になってしまうではありませんか。
相談者にとっても、これまで新宿で労働相談をうけていた人のうち、たとえば、練馬区のひとが、これからは王子労政事務所までいかなくてはならなくなるなど、不便をきたすことになります。
現在、都内には、全産業で70万以上の事業所、860万人の従業者がおります。「豊かな勤労者生活の確保と労使関係の安定を図るため」という労政事務所の役割の拡充こそが求められている時です。
だからこそ、新宿労政事務所廃止の局案が発表された直後の、11月19日には東京都にたいし、新宿、渋谷、世田谷、中野、杉並の地域の労働組合でつくる東京西部春闘共闘会議が、新宿労政事務所の存続、労働相談体制の充実を求め要請を行い、労働者の切実な声が寄せられました。
また、アクションプランなどの聞き取りのなかで明らかにされた労政事務所を労働相談センターにして、中央労政事務所に庶務の機能を集中し、中央センターにして各労政事務所を労働相談センターの支所にするということも問題です。労政事務所の機能は、労働相談活動だけではありません。それを労働相談に特化させてしまえば、労使への労働知識の啓発活動など、労働相談以外の労政事務所の機能が後退しかねません。また、これらの機能は、民間や国ではやっておらず、雇用情勢の悪化のなかで、充実こそ求められている重要な事業です。
Q | :新宿労政事務所は廃止しないこと。これからの労政事務所のあり方については、廃止・縮小ではなく、拡充の方向を基本に、労政事務所関係者、労働組合、学識経験者などによる民主的な検討の場を作ること。それぞれ答弁を求めます。 |
Q | :本来の労政事務所の役割を後退させる労働相談センター化はおこなわないこと。 増加する労働相談に労政事務所が積極的にこたえることができ、本来業務に支障をきたさないようにするために、職員の増員など必要な措置を講じることを求めるものですが、それぞれ答弁をもとめます。 |
また、労働基準監督署による都民の労働相談の対応もますます重要になっています。そこで、国に対して、労働基準監督署が労働相談にきちんと対応できるようにするための体制強化などを強くはたらきかけることを提案するものですが、答弁をもとめます。
次に職業訓練に関する問題です。
技術専門校の再編、委託化の動きがあります。
技術専門校には毎年、平均で募集枠の2倍以上の応募があり、希望しながら入校できなかった方々は1万人近くおります。圧倒的に技術専門校が足りないのです。にもかかわらず、知事は、1998年度に18校あった技術専門校を、2005年度には王子校を廃止し、15校にしようとしています。
都の公共職業訓練は、もともと国の補助金の枠内でしか事業を行っていないために、まだまだ都民の要望に応えきれていません。また、技術専門校の専任講師が少なく、せっかく施設内で授業をしておりながら一部の科目では時間講師のために、入校から就職まで、生徒と連携して、就職の相談までのれないと聞いています。技術訓練校は、拡充こそ求められているのではありませんか。
王子校の廃止について「敷地の狭さや、時代に会わない科目、近くに赤羽校がある」などを理由に廃止しようとしていますが、交通の便や、王子労政事務所や王子ハローワークとの連携の点でも有利な場所にあり、昨年度の応募倍率も1.7倍です。科目設定を工夫すれば、希望者は殺到するはずですし、全都的にも需要が高い技術専門校を減らすことなど断じて認められないことであり、廃止どころか拡充こそ必要なのです。
Q | :知事、いま、東京都がおこなうべきことは、一日も早く入校して、再就職したいという失業者の願いに積極的に応えることです。都民の願いに逆行する技術専門校の廃止計画を撤回すべきですが、答弁を求めます。 また、技術専門校の定員を大幅に増やし、専任講師を増員すること。雇用保険受給資格のない失業者にも職業訓練手当や生活費について都として支援する制度をつくることなど、失業者の職業訓練拡充の要求に応えることこそ本来の都政の姿勢ではないですか。それぞれ答弁を求めます。 |
以上
質問事項
一 都の労政事務所統廃合などについて
1 新宿労政事務所の廃止について
ア 新宿労政事務所は廃止しないこと。これからの労政事務所のあり方については、廃止・縮小ではなく、拡充の方向を基本に、労政事務所関係者、労働組合、学識経験者などによる民主的な検討の場を作ること。それぞれ答弁を求める。
回答
今回の労政事務所再編は、労政事務所の事業の効率化を図るとともに、労働相談機能を充実させるため実施するものです。
なお、新宿労政事務所は、労政事務所の地域上のバランスや環境上の問題等から、廃止します。
また、労政事務所の事業については、平成15年4月に、労使、学識経験者からなる「東京都労政事業評価委員会」を設置し、効果的な進め方を検討しています。
質問事項
一の1のイ 本来の労政事務所の役割を後退させる労働相談センター化はおこなわないこと。増加する労働相談に労政事務所が積極的にこたえることができ、本来業務に支障をきたさないようにするために、職員の増員など必要な措置を講じることを求める。一それぞれ答弁をもとめる。
回答
労政事務所については、その業務内容が利用者に分かりやすく伝わることが重要なことから、名称の変更を検討しますが、従来の事業については、不断の見直しを行いながら引き続き適切に実施していきます。
今後とも労働相談に適切に対処するため、体制の整備を図っていきます。
質問事項
一の1のウ 労働基準監督署による都民の労働相談の対応もますます重要になっている。国に対して、労働基準監督署が労働相談にきちんと対応できるようにするための体制強化などを強くはたらきかけることを提案するが、答弁をもとめる。
回答
労政事務所が労働相談・あっせんを行うに当たっては、法に基づく取締り権限を有する労働基準監督署と密接な連携を図りながら適切に対処しています。
質問事項
一の2 職業訓練に関する問題について
ア いま、東京都がおこなうべきことは、一日も早く入校して、再就職したいという失業者の願いに積極的に応えることである。都民の願いに逆行する王子技術専門校の廃止計画を撤回すべきだが、答弁を求める。
回答
厳しい雇用情勢の中、職業訓練の実施に当たっては、産業界や求職者の二一ズに的確に応えるため、不断の見直しを行っています。
なお、王子技術専門校は施設が老朽化しているとともに、敷地面積が狭陰であることなどから、効率的な訓練の実施が困難な状況にあります。
質問事項
一の2のイ 技術専門校の定員を大幅に増やし、専任講師を増員すること。雇用保険受給資格のない失業者にも職業訓練手当や生活費について都として支援する制度をつくることなど、失業者の職業訓練拡充の要求に応えることこそ本来の都政の姿勢ではないか。それぞれ答弁を求める。
回答
職業訓練の実施に当たっては、効果的かつ多様な職業訓練の機会の確保に努めるとともに、必要な講師等の配置を行っています。
また、雇用保険受給資格を有しない求職者に対する都独自の職業訓練手当や生活費の給付制度の創設については、かえって就業意欲をそぐおそれもあり、適切ではないと考えています。
なお、平成15年度から新たにフリーターや自営業廃業者等の雇用保険受給資格を持たない求職者などを対象とした「駅前ナイトスクール」を実施しています。